情報処理学会大会発表資料

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複数の移動ロボットによる
協調的な行動:
情報共有に基づく
お片づけロボットのシステム開発
中京大学大学院 情報科学研究科
可知大資 中谷聡太郎 白井英俊
目的
• 仮想空間上で提案された片づけロボットを現
実空間において実現する
Housekeeping With Multiple
Autonomous Robots
Housekeeping With Multiple
Autonomous Robots
• Akerら(2011)の提案した仮想空間上での常
識推論に基づく片づけロボットシステム
• ロボットは事前に与えられた情報を用いて、
部屋を片付ける(部屋に散在するモノを所定
の位置に運ぶ)
• 1台では片付けることのできないモノを発見し
た場合、複数台で片付ける
• ロボットは同一のアルゴリズムで動く
本研究の片づけロボット
• Akerらの研究では考慮されていなかった不確
実性とロボットが協調するための動作につい
て考察
• ただし、物をつかんだり複数のロボットで一つ
のものを運んだりする、という機能は実現でき
ていない
• 共同研究者との協調作業:ハードウェアとソフ
トウェアそれぞれを分担
Akerらとの違い
片づけ機能
マップ情報の共有
複数台での片づけ
同一のアルゴリズムで動く
現実空間で動作
不確実性を考慮
Akerら
○
○
○
○
×
×
本研究
○
○
○
○
○
○
これにより、ロボットが現実空間において行動できる
不確実性
• ロボットの移動における誤差
ロボットは自身に搭載されたセンサの情報を元に
自己の位置を推定する(デッドレコニング)
不確実性を減少させるために
• ランドマークを設置し、そこまでの距離情報を
取得し、拡張カルマンフィルタを用いて自己の
位置を推定する
ロボットシステム
コントロールセンター
ハードウェア
ソフトウェア
シミュレータ
ロボット
コントロールプログラム
ロボットシステム
• 研究をハードウェアとソフトウェアの2つの両
面において行う
• ハードウェアではロボットの製作と、ロボットと
コントロールセンターとの通信について検討
• ソフトウェアではコントロールセンターの動作
アルゴリズム、およびロボット単体のコントロ
ールプログラム(行動計画、移動、通信)の検
討をシミュレータを用いて行う
ロボットに必要な機能
• ランドマークや片付けるべき物体、他のロボ
ットを認識するための画像処理機能
• 移動のためのサーボ制御機能
• 障害物検知のためのセンサ制御機能
• コントロールセンターとの通信機能
• これらの機能を使って、片付けの順番をスケ
ジュールし移動経路を生成する機能
実装①
• ランドマークや片付けるべき物体、他のロボ
ットを認識するための画像処理機能
– Webカメラとソフトウェアライブラリ
• コントロールセンターとの通信機
– PandaBoardの通信機能を用いて実装
実装②
• 移動のためのサーボ制御機能
– Arduinoを用いて実装
• 障害物検知のためのセンサ制御機
– Arduinoを用いて実装
• スケジューリング機能
共同研究者の作成したコントロールプログラム
実装③
• ArduinoやWebカメラから情報を取得するた
めのARToolKitは、Ubuntuをインストールした
PandaBoardによって制御される
片付けシステム
コントロールセンター
ロボット
ソフトウェア
コントロールプログラム
Arduino
ARToolKit
PandaBoard
センサ・サーボ
Webカメラ
完成したロボット
ロボット仕様
• 基本性能
– 速度:15.6cm/s
– 最大検知・計測可能距離:100cm(超音波センサ)
– 最少検知・計測可能距離:7cm(超音波センサ)
– 最大検出距離:300cm(Webカメラ)
– 有効検知範囲:前方-60~60°(ターレット付)
• 本体サイズ
– 縦23cm
– 横22.6cm(車輪含む)
– 高さ16.5cm(Webカメラ含む)
搭載されているセンサ
• 障害物検知・距離計測:超音波センサ
前方の障害物の検知・距離計測に使用
• 近接物検知:赤外線センサ
超音波センサの検知から漏れた障害物の検知
• 方位測定:デジタルコンパスモジュール
ロボットの旋回に使用
• Arduinoによってこれらを制御する
ARToolKit
• 検出されたマーカーの情報か
らカメラに対するマーカーの3
軸情報を計算する
• この機能を使ってロボット(カ
メラ)からマーカーまでの距離
を算出する
• 距離情報やIDを用いて自己
位置推定や、物体判別を行う
作成したマーカー
ロボット・マーカー
目標物・マーカー
ランドマーク・マーカー
マーカー別の機能
• ロボット・マーカー
他のロボットの認識
協調的に片付ける場合に使用
• 目標物・マーカー
片付けるべき物体の認識
どこに片付ける物体なのかなどの判別に使用
• ランドマーク・マーカー
自己位置推定における位置情報の取得に使用
実験
• ロボットを移動させ、ランドマークの距離を計
測し、自己の位置を推定させる
実験フィールド
ランドマーク
• 150cm*150cmの空間
• ロボットは初期位置から
右へ57度前方へ30cm
直進する
• その都度ランドマークの
距離を計測する
• そのデータを拡張カルマ
ンフィルタにかける
ロボット
実験結果①
• +
– 理論値
• *
– 実測値
• K
– フィルタリング
した値
実験結果②
1回目
4回目
15.0
16.2
22.8
24.9
2.50E-01
-3.62E-07
-3.62E-07
2.50E-01
16.7
16.2
26.7
24.9
2.50E-01
-3.62E-07
-3.62E-07
2.50E-01
30.7
32.4
45.4
49.8
5.00E-01
-1.17E-06
-1.17E-06
5.00E-01
33.9
32.4
53.0
49.8
5.00E-01
-1.17E-06
-1.17E-06
5.00E-01
47.0
48.5
66.5
74.7
7.50E-01
-1.93E-06
-1.93E-06
7.50E-01
51.9
48.5
78.1
74.7
7.50E-01
-1.93E-06
-1.93E-06
7.50E-01
13.4
16.2
23.3
24.9
2.50E-01
-3.62E-07
-3.62E-07
2.50E-01
16.5
16.2
25.7
24.9
2.50E-01
-3.62E-07
-3.62E-07
2.50E-01
28.7
32.4
44.7
49.8
5.00E-01
-1.17E-06
-1.17E-06
5.00E-01
34.3
32.4
50.1
49.8
5.00E-01
-1.17E-06
-1.17E-06
5.00E-01
44.5
48.5
65.8
74.7
7.50E-01
-1.93E-06
-1.93E-06
7.50E-01
53.6
48.5
75.6
74.7
7.50E-01
-1.93E-06
-1.93E-06
7.50E-01
17.1
16.2
26.5
24.9
2.50E-01
-3.62E-07
-3.62E-07
2.50E-01
35.3
32.4
51.4
49.8
5.00E-01
-1.17E-06
-1.17E-06
5.00E-01
54.9
48.5
75.3
74.7
7.50E-01
-1.93E-06
-1.93E-06
7.50E-01
2回目
5回目
3回目
考察①
• ARToolKitによるランドマークとの距離を算出
する場合において、ロボットとランドマークと
の角度の誤差が大きく、拡張カルマンフィルタ
にフィートバックすることができなかった
• 結果として、拡張カルマンフィルタが本来想定
していたほどの精度が出なかった
考察②
• デッドレコニングの値が、ロボットの移動速度
に依存しているため、ロボットの速度が変わ
るとデッドレコニングの値が変わってきてしま
う
• これにより実測値が異なっているのに、フィル
タリングした値がほぼ固定になってしまったと
考えられる
• ロボットが現実空間を移動するには改良の余
地があると考えられる
まとめ
• 自己位置推定する場合において、ロボットか
らランドマークに対するランドマークの角度を
無視してしまったことや、デッドレコニングの
値がほぼ固定になってしまったことによって、
思ったような精度が出なかった
• しかし、この二つの問題を解決することによっ
て、より精度の高い自己位置推定ができると
考えられる
展望
• 自己位置推定の精度をより高めることによっ
てロボットが自律的に行動する場合の誤差を
収束させることが必要
• 片付けるといいながらモノを持って動くという
ことができていないので、ロボットがモノを持
って動くことができるようにする