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工学部
バルブメタルの非水電解液中における
不働態化と表面欠陥
(山大工*,山大院理工**,上海交通大学***)○立花和宏*,
ヤン・リュウ
仁科辰夫**,遠藤孝志*,田中良樹**,木俣光正*,楊立***,
尾形健明*
〒992-8510 山形県 米沢市 城南4-3-16
TEL&FAX:0238-26-3137
mailto: [email protected]
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/2614/
緒言~EDLC開発の歴史と課題~
Table 1 EDLC開発の歴史
年
1957
1969
1978
1990
開発
G.E..特許
SOHIO特許
NEC/Matsusita
Matushita/Isuzu
構成
黒色タール塊-硫
酸電解液
炭素ペースト硫酸電解液
活性炭素織布有機電解液
アルミ箔・活性炭有機電解液
市場
低電圧キャパシ
タに市場無し
低電圧キャパシ
タに市場無し
メモリーバック
アップ
超高電流キャパシ
タによる充放電
<EDLCの課題>
①二次電池に比べエネルギー密度が低い。
②低温・高温域での充放電効率が低い。
③等価直列抵抗が電解コンデンサの、約1000倍も高い。
工学部
緒言~EDLCの問題解決策~
< これまで検討されてきた、EDLCの課題解決策>
①電解液を水溶液から有機電解液に変える。
・広い電位窓が得られる。
②電解液を有機電解液からイオン性液体に変える。
・比較的高いイオン導電性が得られる。
・不揮発性である。
・不燃、若しくは難燃性である。
・比較的広い電位窓を有する。
・極めて広い液体温度範囲を有する。
③溶質塩の最適化を図る。
・セル容量の高容量化
・内部抵抗の低減
キャパシタの
エネルギー
E=CV2/2
工学部
目的~課題の解決方法の問題点~
これまで、EDLCの性能の向上が、電解液の溶質や溶媒を変えることにより行われている。
しかし、電解液の溶質や溶媒と、集電体に使われるアルミニウムの耐食性や、不働態化、
炭素電極材料との接触抵抗については研究されていない。
EDLCのサイクル特性、寿命、内部抵抗は、集電体の
耐食性や、不働態化、炭素電極材料との接触抵抗に起因する。
目的
バルブメタルの非水電解液中での耐食性や不働態化、
表面欠陥と炭素との接触抵抗について明らかにする。
工学部
実験方法~実験の流れ~
Al,Nb,Ta旗型電極
を作成し、アルカリ脱脂
① Al電極を
イオン性液体中でCV
①イオン性液体中で
のAlの耐食性、
不働態化を評価
Al,Nb,Ta電極を
10V,20Vでアノード酸化
炭素分散液に
ディップコーティング
②水溶液中でCV
③有機電解液中でCV
①、②EDLCモデルを作成
工学部
し接触抵抗を評価
実験方法~旗型電極の作成~
旗型電極を
Al箔(純度99.99%厚み0.1mm)
Nb箔(純度: 99.9% , 厚み:0.05mm)
Ta箔(純度: 99.9% , 厚み:0.05mm) より作成。
5mm
8mm
試験面
S=1cm2
7mm
5mm
アルカリ脱脂
1M NaOH(1分)→H2O (1分)→0.65M
HNO3(1分) → H2O(超音波洗浄1分)
7mm
5mm
8mm
マスキング
柄の部分を50V(vs. Ag/AgCl)まで化成処
理した. その後リード部分を切った。
マスキング
部分
7mm
5mm
リード
工学部
実験方法~EDLCモデル電極の作成~
化成
電解液
Al: 0.3M アジピン酸アンモニウム
Nb、Ta:0.1Mリン酸
条件
・対極:Pt
・参照極:Ag/AgCl
・電流密度:1mA/cm²
・化成電位 10、20V
・エージング:Nb,Ta 10分
Al 30分
参照極
試料極
対極
電解セル
炭素分散液
旗型電極
炭素分散液に
ディップコーティング
乾燥(160°C,30min)
工学部
実験方法~イオン性液体中でのAlの耐食性、及び不働態化~
Table 2 Alの耐食性、及び不働態化を明らかにするために
CV測定時に使用したイオン性液体の電解液
金
属
カチオン
Ⅰ
アニオン
Ⅰ
Al
EMI
BF4
Al
EMI
BF4
Al
PMI
BF4
Al
PMI
BF4
Al
BMI
BF4
Al
BMI
BF4
カチオン
Ⅱ
(1M)
アニオン CV測定条件
Ⅱ
(1M)
Li
TFSI
Li
TFSI
Li
TFSI
・掃引速度:0.5V/sec
・対極:Pt
・参照極:Pt
・-2.0V vs.Ptから掃引
工学部
実験方法~高電場機構によるシミュレーション~
500
Current / μA・cm
-2
400
実測値
Break down
300
一致
200
100
1.40E+00
1.20E+00
1.00E+00
8.00E-01
6.00E-01
4.00E-01
2.00E-01
0.00E+00
-2.00E-01
-1
0
R  const.
漏れ抵抗が
一定
OK
1
2
3
4
5
0
電位比例電流成分
-100
-10
0
10
20
30
40
Potential vs. Ag / V
皮膜
ECM
電位
Al
AlOx/2F3-x
1.40E+00
1.20E+00
1.00E+00
8.00E-01
6.00E-01
4.00E-01
2.00E-01
0.00E+00
-2.00E-01
-1
0
R  k
漏れ抵抗が
皮膜厚に比例
NG
1
2
3
4
1.20E+00
1.00E+00
残余電流
R  
8.00E-01
6.00E-01
漏れ抵抗は、
皮膜表面の集中抵抗
NG
4.00E-01
2.00E-01
0.00E+00
-1
0
-2.00E-01
5
1
2
漏れ電流なし
3
4
5
電流
工学部
実験方法~表面欠陥と炭素との接触抵抗~
Table 3 表面欠陥と炭素との接触抵抗を求めるためにCV
測定時に使用した水溶液系電解液と有機系電解液
金
属
水溶液系
Al
アジピン酸アンモニウム (C2H5)4NBF4
(0.05M)aq
/PC
109 Ω・cm
(1M)
有機電解液系
リン酸(0.1M)aq
Nb
96.8Ω・cm
LiClO4
/EC・DEC
(1M)
リン酸(0.1M)aq
96.8Ω・cm
LiClO4
/EC・DEC
(1M)
Ta
CV測定条件
・掃引速度:0.5V/sec
・対極:Pt
・参照極:Ag/AgCl
・自然電位から掃引
工学部
実験方法~カーブフィッティングによる接触抵抗の算出~
0.3
0.3
容量線形項、
ラプラシアン項
あり、LiCoO2
電池正極模型
0.2
0.1
0.1
0
-0.4
-0.2
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
-0.1
-0.2
R×10
-0.3
1
dQ
 0.1  0.05V
dV
  V  0.3 2 

 0.5 exp  
  0.2  


R  0.5
0.5
-0.6
-0.4
-0.2
0.3
0.2
0.4
0.6
0.8
1
dQ
 0.5
dV
R  0.1
-0.1
-0.2
-0.3
0.4
ハイブリッド
キャパシタ模型
0.4
0
R×10
-0.6
理想的な
コンデンサ
0.2
容量線形項あり
ELDC模型
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0
-0.6
-0.4
-0.2 -0.1 0
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
dQ
 0.5  0.05V
dV
  V  0.3 2 

 0.5 exp  
  0.2  


R  0.5
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
dQ
 0.5  0.02V
dV
R  0.5
工学部
実験結果~イオン性液体中でのAlのボルタモグラム~
②PMI-BF
4 2サイクル
1st cycle
1.5
2nd cycle
BMI-BF4
1サイクル
③BMI-BF
1st cycle
4 2サイクル
1.0
2nd cycle
Current
電流 / mA/mA
1.0

0.5

0.0
-2
-1
0
1
0.8
カチオンⅠ
アニオンⅠ
①
EMI
BF4
②
PMI
BF4
③
BMI
BF4
④
EMI
⑤
⑥
4
4
0.6
0.4
4
1st cycle
2nd cycle
0.2

0.0
-0.2
2
電位 / V/V
vs.Pt
Voltage
vs. Pt
イオン
性液体
④EMI-BF4 12サイクル
EMI-BF +LiTFSI サイクル
+Li-TFSI
1st cycle
2nd cycle 1サイクル
⑤PMI-BF
4
PMI-BF +LiTFSI2サイクル
+Li-TFSI
1st cycle
1サイクル
⑥BMI-BF
2nd cycle4
BMI-BF +LiTFSI2サイクル
+Li-TFSI

2.0
2nd cycle
PMI-BF4
1サイクル
1.2
-2
-1
0
1
 
2.5
①EMI-BF4 12サイクル
1st cycle サイクル
EMI-BF4

Current
/mA
電流 / mA
3.0

2
電位
/ V vs.Pt
Voltage
/V
カチオンⅡ
(1M)
アニオンⅡ
(1M)
BF4
Li
TFSI
PMI
BF4
Li
TFSI
BMI
BF4
Li
TFSI
工学部
実験結果~Li-TFSIの添加効果~
0.4
④


0.0
-0.5
-2.0
-1.5
-1.0 -0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
-0.1
2.0

0.10
0.05

0.00
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
電位
/ V vs.Pt
Voltage
/V


-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
電位
/ V vs.Pt
Voltage
/V
1サイクル
2サイクル
1st cycle
1サイクル
2nd cycle
4
0.20 ⑥BMI-BF
BMI-TFSI+LiTFSI
2サイクル
+Li-TFSI
1st cycle
0.15
2nd cycle
⑤
0.0

Current
/mA
電流 / mA
0.25
③BMI-BF
BMI-TFSI4
②
0.1
電位
/ V vs.Pt
Voltage
/V
0.30
1サイクル
2サイクル
1st cycle
1サイクル
2nd cycle
⑤PMI-BF
4 2サイクル
PMI-TFSI+LiTFSI
0.3
+Li-TFSI
1st cycle
2nd cycle
0.2
Current
/mA
電流 / mA
1.0
0.5
②PMI-BF
PMI-TFSI4

①

1st cycle
1サイクル
2nd cycle
2.0 ④EMI-BF
4
2サイクル
EMI-TFSI+LiTFSI
+Li-TFSI
1st
cycle
1.5
2nd cycle
0.5

Current
/mA
電流 / mA
1サイクル
①EMI-BF
EMI-TFSI4 2サイクル
2.5

3.0
1.0

1.5
2.0
イオン
性液体
カチオンⅠ
アニオンⅠ
カチオンⅡ
(1M)
アニオンⅡ
(1M)
①
EMI
BF4
②
PMI
BF4
③
BMI
BF4
④
EMI
BF4
Li
TFSI
⑤
PMI
BF4
Li
TFSI
⑥
BMI
BF4
Li
TFSI工学部
実験結果~Al,Nb,Ta(20V皮膜)のEDLCモデルのCV ~
1.5
カーブフィッティング
による接触抵抗の算出
Nb
Ta
Al
1
電流/mA
0.5
0
-0.5
0
0.5
1
1.5
-0.5
-1
-1.5
電位/V vs.Ag
EDLCモデル
静電容量C [μF]
接触抵抗R [Ω]
Al/Al2O3/AB
1700
210
Nb/Nb2O5/AB
1500
850
Ta/Ta2O5/AB
―
―
工学部
実験結果~有機電解液中におけるAl,Nb,Taの接触抵抗~
Nb
Nb近似線
Ta
Ta近似線
接触抵抗R/Ω
3000
Al
Al近似線
y = 238 x + 143
2500
2000
1500
y = 38 x + 260
1000
y = 10 x + 128
500
0
0
5
10
15
20
25
30
35
ア ノード酸化電位/V vs.Ag/AgCl
工学部
実験結果~水溶液中におけるAl,Nb,Taの接触抵抗~
Nb
Nb近似線
Ta
Ta近似線
Al
Al近似線
接触抵抗R/Ω
3000
2500
2000
y = 32 x + 404
1500
1000
y = 24 x + 267
500
0
0
5
10
15
20
25
30
35
アノード酸化電位/V vs.Ag/AgCl
工学部
結論
●イオン性液体中でもフッ素系アニオンが含めれていれば、アルミ
ニウムは不働態化することがわかった。よって、 EDLCの電解液
としてイオン性液体を用いる場合、フッ素系アニオンが含まれて
いるイオン性液体を使えばよい。
●酸化皮膜の欠陥部は、バルブメタルの種類によらず、皮膜が厚く
なると欠陥濃度が減ることが分かった。すなわち、集電体の表面
処理は酸化皮膜の欠陥濃度に影響を与え、EDLCの内部抵抗に
影響するので、最適な表面処理を行えばEDLCの内部抵抗は低
減できる。
工学部
実験方法~イオン性液体の種類~
name
Molecular structure
N
Water content
CH 3
O
CF3
EMI-TFSI
O
S
N
S
N
O
CH 3
O
CF
3
PMI-TFSI
N
BMI-TFSI
S
N
O
C H 2C H 2 C H 3
22ppm
O
C H3
O
CF
3
O
S
N
N
O
C H 2 C H 2 CH 2 C H 3
O
CF
3
S
N
N
O
CF
3
S
O
N1113TFSI
CF
3
O
S
N
27ppm
O
CH 2 CH 3
N
CF3
20ppm
O
CF
3
S
34ppm
O
工学部