府域水道の将来像2 「安定給水の強化」災害等に関するリスク管理

Download Report

Transcript 府域水道の将来像2 「安定給水の強化」災害等に関するリスク管理

資料-3
府 域 水 道 の 将 来 像 ②
「安定給水の強化」 ~災害等に関するリスク管理~
平成22年11月19日
大阪府健康医療部環境衛生課
1
本日の説明内容
1.大阪の水道水源
2.大阪で想定される災害等と水道への影響
3.安定給水強化に向けた対応策
2
1.大阪の水道水源
 府域水道の水源の現状
府域の水源別認可水量
水源の種類
認可水量
比率
淀川
約 519万m3/日
92%
淀川以外の表流水
約 17万m3/日
3%
地下水・伏流水
約 29万m3/日
5%
合計
約 565万m3/日
-
約 389万m3/日
-
平成20年度
1日最大給水量
府域水源の特徴と課題
≪水源の特徴≫
• 淀川への依存割合が極めて大きい。
• 表流水は、府域周辺部で比較的多く利用さ
れており、山間部では小規模のものが多い。
• 地下水は、北部では淀川周辺部、南部では
石川周辺部や平野部で比較的多く利用され
ている。
≪課題≫
水源(浄水場)が、淀川系に一極集中
していることから、供給安定性の面で
課題がある
3
■地域自己水の現状・将来見通し
 地域自己水の内訳(平成19年度実績)
 地域自己水の将来見通し
(第2回委員会資料‐2の再掲)
7.0
泉州
100
H19年
9.7
地域
南河内
19.9
東大阪
北大阪
25.2
3.0
0.0
19.5
5.0
10.0
15.0 20.0
25.0 30.0
水量(万m3/日)
淀川
地下水
府営水道以外の受水
淀川以外の表流水
伏流水等
注:大阪市除く
 自己水は、北大阪・東大阪地域が南河内・泉州地域と
比べて多い。
 ただし、東大阪地域は淀川以外の自己水が少ない。
水量(万m 3/日)
80
H32年
61
61
60
40
20
0
S63
54
46
予測値 上位
中位
下位
実績値
H4
H8
H12
H16
H20
H24
H28
H32
平成21年9月1日第3回大阪府水道部経営・事業等評価委員会
【資料1-1】「水需要部会の開催経過など」より抜粋
 府営水道の水需要予測によれば、市町村の自己水は、
概ね現状(下位値)から約25%の減少(上位値)を見込
んだ推計となっている。
 これは、市町村自己水のうち約3割(約20万㎥/日)
は、水量、水質、施設の老朽化等の課題を抱えている
一方で、危機管理対応等のため自己水を残しておきた
いということもあり、幅を持った推計となっているものと
思われる。
4
2.大阪で想定される災害等と水道への影響
 想定リスクと被災状況の想定
リスク
水道被害
地震
・水道施設の停止(損壊、停電等)
・津波に起因する海水遡上による取水停止
渇水
・取水制限
水源水質の異常
・取水停止
事故
・浄水場、基幹管路の停止
(老朽化、人為系の事故等)
ケース
ケース1
ケース2
ケース3
生駒断層帯地震の想定震度分布
想定リスク
被災状況の想定
地震
生駒断層帯の地震により、大阪府営水道
の浄水場及び南部(南河内、泉州)方面へ
の送水管が被災(震度6強~7)する。
渇水
渇水により、河川(伏流水含む)を水源と
する大阪府域における全ての浄水場の供
給能力が7割(さらに5割)となる。
水質異常
村野浄水場上流部における水質異常によ
り淀川を水源とする浄水場からの供給が
停止する。(結果としてケース1と同様)
府営水道施設の
被災想定箇所
生駒断層帯地震
 マグニチュード:7~7.5程度
 地震発生確率:
30年以内ほぼ0~0.1%、50年以内ほぼ0~0.3%
5
■ケース1:地震時の水道への影響
 地震時の目標応急給水量原単位(大阪府水道地震対策基本方策より)
目標応急
給水量原単位
第1段階
初めの3日間
第2段階
7日目
20 L/人/日
第3段階
14日目
100 L/人/日
第4段階
21~28日目
3 L/人/日
250 L/人/日
備考
60
生命維持用水
50
簡単な炊事、1日に1回のトイレ用水
3日に1回の風呂・洗濯、1日に1回のトイレ用水
地震前とほぼ同水準の水量
 地震時における段階別必要水量と地域自己水量の比較
3
30
20
3
リスク発生時の必要水量(
万m /日)
自己水量(
万m /日)
平成20年度
淀川以外の
第2
第3
第4
人口(
万人) 第1
地域自己水
地域自己水
段階
段階
段階
段階
北大阪
175
0.6
3.5
17.5
43.8
19.5 ③
16.3 ②
東大阪
203
0.7
4.1
20.3
50.8
25.2 ③
3.1 ①
南河内
64
0.2
1.3
6.4
16.0
9.7 ③
9.7 ③
泉州
175
0.6
3.5
17.5
43.8
7.0 ②
7.0 ②
合計
617
2.1
12.4
61.7
154.4
61.4 ②
36.1 ②
参考:
大阪市
265
0.8
5.3
26.5
66.3
243.0 ④
0.0 ①
○囲み数字は供給可能な段階を示す
地域
40
3
経過日数
水量(万m /日)
段階
10
0
北大阪
~第1段階
第2~第3段階
第4段階~
地域自己水
東大阪
南河内
泉州
第1~第2段階
第3~第4段階
a
淀川以外の地域自己水
第4段階(250L/人/日)の必要水量は、全地域、自己水のみでは賄うことができない。
北大阪・東大阪・南河内地域では、自己水のみで第3段階(100L/人/日)まで賄える。
泉州地域では、自己水のみでは第2段階(20L/人/日)までしか賄えない。
泉州地域は淀川から遠く、安定給水の強化が重要な地域といえる。
淀川水源の浄水場の供給が全停止した場合は、東大阪地域は自己水のみでは第2段階(20L/人/日)までも賄えない。
6
■ケース2:渇水時の水道への影響
 渇水時の取水制限時の供給可能水量と需要実績の比較
地域
北大阪
東大阪
南河内
泉州
合計
参考:
大阪市
供給可能水量(
万m /日)
自己地下水 自己表流水 府営水道
合計
10.2
6.5
38.3
55.0
3.0
15.5
47.7
66.2
3.7
4.2
11.9
19.8
2.6
3.1
51.9
57.6
19.5
29.3
149.8
198.6
0.0
170.1
0.0
170.1
H20給水量(万m /日)
平均
56.5
68.1
20.4
59.2
204.2
124.2
最大
63.8
78.3
24.2
67.6
233.9
142.4
3
想定B 渇水時における供給可能水量を、表流水及び伏流水の
5割と地下水の全量とする(地域間の公平性を確保)
3
地域
北大阪
東大阪
南河内
泉州
合計
参考:
大阪市
供給可能水量(
万m /日)
最大 自己地下水 自己表流水 府営水道 合計
63.8
10.2
4.7
25.9
40.8
78.3
3.0
11.1
35.1
49.2
24.2
3.7
3.0
8.0
14.7
67.6
2.6
2.2
38.0
42.8
233.9
19.5
21.0
107.0
147.5
142.4
0.0
121.5
0.0
121.5
H20給水量(万m /日)
平均
56.5
68.1
20.4
59.2
204.2
124.2
3
水量(万m3/日)
3
100
80
60
40
20
0
北大阪
H20一日最大給水量
東大阪
南河内
H20一日平均給水量
泉州
供給可能水量
100
水量(万m3/日)
想定A 渇水時における供給可能水量を、表流水及び伏流水の
7割と地下水の全量とする(地域間の公平性を確保)
80
60
40
20
0
北大阪
H20一日最大給水量
東大阪
南河内
H20一日平均給水量
泉州
供給可能水量
想定Aにおける供給可能水量は、府域全体(大阪市除く)で平成20年度一日平均給水量を若干下回る量に相当する。
→渇水の期間が長引いた場合は平常時の給水に支障を来すことも想定される。
上流側から順次必要量を受水していく場合は、最も下流の泉州地域への供給量が、さらに不足することも懸念される。
異常渇水が進行した想定Bにおける供給可能水量は、府域全体で平成20年度一日平均給水量の7割程度となる。
7
3.安定給水強化に向けた対応策
 大阪府域の水道水源と課題
≪淀川≫
≪地域自己水≫
 大阪の最重要な水源
 広域水道施設全体の耐震化等には
 災害時に地域給水に寄与(近い、
浄水方法がシンプル)
 地域自己水は減少傾向
 淀川異常渇水(取水量50%)には
時間と費用を要する
対応できない
 安定給水の強化に向けた広域的な取組
これまでの強化策(耐震化、給水拠点整備等)に加え、更に広域的な取組を検討
 地域自己水との連携
 近隣他府県との連携
8
■地域自己水との連携
 非常時の地域自己水の活用
 地域広範に給水
 飲用水・消火用水・生活用水(トイレ・清掃活動等)
 地域の衛生状態の維持
 社会活動の早期復旧
≪地域自己水を活用するための検討事項≫
 地域における水道施設ネットワークの構築、運用
短期的な取組み
短・中期的な取組み
既存施設等による応援給水の検討
①既存緊急連絡管等による給水
②給水車による水輸送等
緊急連絡管・加圧設備等の整備の検討
〔検討時の課題〕
技術的な実現可能性、費用対効果、役割分担等
 共通指針の策定
内容:水源の存廃や費用負担の考え方
共通指針は目安であり、地域自己水源の取扱い(存廃)等は、危機管理上の安全性や効率
性、経済性等を総合的に勘案し、当該市町村が決定する。
9
■地域自己水との連携イメージ
断水
用水供給事業送水管
配水池
・緊急連絡管が整備
されている地域
↓
緊急連絡管による
給水
・緊急連絡管が整備されて
いない地域
↓
給水車による給水拠点へ
の水輸送の検討
地域自己水
配水池
浄水場
C市
配水池
緊急連絡管
B市
P
新規の緊急連
絡管・加圧設備
の整備の検討
A市
B市自己水の断水時には、C市連
絡管による給水応援が可能となる
10
■近隣他府県との連携
 ソフト面での連携
 相互応援協定等の実効性強化
 ハード面での連携
 緊急連絡管の整備等
近隣他府県の水源の状況(位置図)
京都市水道
(730,000m3/日)
・琵琶湖
・淀川水系淀川
兵庫県営水道
【多田系】
(164,100m3/日)
・淀川水系猪名川
京都府営水道
(236,800m3/日)
・淀川水系宇治川、
木津川、桂川
 更なる安定給水の強化
 費用対効果等に留意
府南部地域の安定給水強化
地勢的条件(淀川から遠い)
紀の川系水源の活用
(淀川水系と異なる水源)
優先度が高い
奈良市水道
(247,400m3/日)
・淀川水系布目川、
白砂川、木津川
府南部地域との
相互応援
和歌山市水道
(213,000m3/日)
・紀ノ川水系紀ノ川
奈良県営水道
(389,000m3/日)
・淀川水系宇陀川
・紀ノ川水系紀ノ川
11
■紀ノ川系の相互応援イメージ
奈良県営水道との相互応援イメージ
 紀ノ川系の相互応援先
奈良県営水道
和歌山市水道
 奈良県営水道との相互応援
美陵ポンプ場
【特徴】
 双方ともに大口径管路布設
 南部地域(泉州地域)への送水
が、平常時と同じ送水運用(水
の流れ)で可能。
【課題】
 大阪府から奈良県へ送水する
ためにはポンプ場が必要。
桜井浄水場
御所浄水場
泉北浄水池を
経由して泉州
地域へ送水
西部調整池
― 紀ノ川系
― 淀川系
12
■近隣他府県との連携イメージ(広域連絡管の検討事例)
京都市上水道
:広域連絡管
1,050,000m3/d
730,000m3/日
:用水供給 (1),(2),(3)
(12)
兵庫県営水道
751,000m3/d
968,000m3/d
3/日
676,000m
(内
受水
(受水含む)
870,400m3/d)
236,800m3/d
2,160,000m3/日
(用水供給)
神戸市上水道
京都府営水道
2,650,000m3/d
750,700m3/日
(15)
(5),(6)
大阪府営水道
236,800m3/日
(4)
(14)
(用水供給)
阪神水道
企業団
1,290,000m3/d
(13)
大阪市上水道
(9),(10)
,(11)
2,430,000m3/d
3
1,289,900m3/日
2,010,000m /日
(7),(8)
奈良県営水道
500,000m3/d
3/日
389,000m
図-5.2 広域連絡管の模式図
出典:水道の耐震化計画等策定指針 の解説 (財)水道技術センター(平成20年10月) p64
(計画給水量については、平成20年度水道統計に基づき修正)
13