佐治川ダムの役割

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Transcript 佐治川ダムの役割

佐治川ダム堰堤改良事業について
鳥取県 河川課
佐治川ダムの役割
洪水調節のイメージ
①洪水調節
大雨に対してダム地点での計画上最大の流量365m3/s
のうち192m3/sをカットし、173m3/sに調整して佐治川沿
川地域の洪水による水害を未然に防止するものである。
②発電流水の正常な機能の維持
ダムに貯めた水を導水し、その落差を利用して発電を行っ
ています。最大時出力5,000KWでの使用水量は3.6m3/s
です。鳥取県内の一般家庭が使用する電力の約8,000戸
分をまかなうことができます。
③流水の正常な機能の維持
ダム地点下流の佐治川の維持用水の確保、ならびに佐
治川を水源とする下流沿岸耕地の用水を確保するもので、
ダム貯水量のうち不特定容量分の404,000m3から補給し
ます。
貯水池容量配分図
千代川流量配分図
袋川
日本海
6,100
←
新袋川
八東川
宮ノ下● ↓ 550 片山● ↓ 2,400
5,700
←
■行徳
5,000
←
●袋河原
3,100
←
●河原橋
2,400
←
●用瀬
↑
佐治川
720
173
ダムカット(192)
365
【 堆砂対策検討の進め方】
(1) 佐治川ダム堆砂状況および問題点
【堆砂状況模式図】
堆 砂 状 況
実績堆砂量
328, 800m3
■ 堆砂率: 約77% ( 計画堆砂量: 430, 000m3) ■ 実績年平均堆砂量: 約10, 000m3
■ 既往最大堆砂量: 約70, 000m3 ( S50, H10) ■ 実績比堆砂量: 452m3/km2/年
■ 有効容量内と 堆砂容量内の比率: 2 : 8 ( 計画200m3/km2/年)
サーチャージ 水位 EL. 398. 50m
常時満水位 EL. 397. 50m
[ 当初] 有効容量 1, 880, 000m3
有効容量内堆砂量
74, 000m3
堆砂進行による問題点
有効容量内空き 容量
1, 806, 000m3
制限水位 EL. 385. 50m
計画堆砂位 EL. 379. 70m
問題点1:貯水容量の減少
■ 堆砂容量の残容量が少ない。
( 約100, 000m3)
■ 既往最大の堆砂が1 ~2 回発生
すれば、 堆砂率は100%以上と な
り 有効容量が不足し 、 洪水調
整や発電に支障を き たす。
■ 近年の堆砂傾向
( 年平均約15, 000m3) で堆砂が進
行すれば、 約7年で堆砂率は100%
以上と なり 有効容量不足に繋がる 。
問題点2:放流設備への影響
■ 堆砂位が常用洪水吐き 呑口標高から 約2 m
ま で迫っており 、 今後の堆砂進行によ り
ゲート 開閉操作に支障をき たし 、 下記の問
題が生じ る 。
・ 貯留水の無効放流が生じ る 。
・ ゲート の維持管理ができ ない。
2m
■ 堆砂位が利水放流設備口標高から 約2 mま で
に迫っており 、 今後、 堆砂が進行すれば利水
放流に支障をき たす。
洪水吐き 敷高
EL. 369. 85m
[ 当初] 堆砂容量 430, 000m3
約2m
堆砂容量内堆砂量
254, 800m3
利水放流管敷高
EL. 369. 643m
堆砂容量内空き 容量
175, 200m3
【累積堆砂量の経年変化】
累 積 堆砂 量
計画堆砂量
50 0.0
45 0.0
3 3
計 画 堆 砂 容 量 43 0. 0× 1 0 m
計 画 堆砂 容 量 の 77%
比 堆 砂 量 452m 3 /km 2 /年
40 0.0
3 3
(2) 検討手順
累 積堆 砂 量 ( × m10)
35 0.0
検 討 手 順
堆砂対策の目的:貯水容量の維持、放流設備の機能維持
30 0.0
H 10 年
( 19 75~ 1 99 7) 実 績 比 堆 砂 量 2 03 m 3 /k m 2 / 年
25 0.0
20 0.0
15 0.0
S 5 0年
10 0.0
年 度
図 -1 .1 (1 ) 佐 治 川ダ ム 累 積 堆 砂 量経 年 変 化 図
【最深河床高経年変化図】
ダ ム 天端水位 EL. 400. 500
サーチャ ージ 水位 EL. 398. 500
常時満水位 EL. 397. 500
洪水期制限水位 EL. 385. 500
計画堆砂位 EL. 379. 700
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
0.0
1977
◆経済性、 ◆早期の効果発現
1976
◇対策効果、 ◇ダム 運用, 下流河川への影響
◇施工性、 ◇維持管理
計画 比 堆 砂 量
3
2
200m /km /年
5 0.0
1975
一次選定し た 数案から 、 下記項目を 考
慮し 、 堆砂対策を 決定する 。
1974
一般的な メ ニュ ーの中から 、 下記項目を 考慮し 、 数案選定
する 。
1973
【二次選定】
1972
【一次選定】
佐治川ダム堆砂対策検討フロー
鳥取県単独事業
説明資料
計画を上回る堆砂量の増加
堆砂率約77%、計画の2.3倍の早さ、ダム機能低下を生じる恐れ
堆砂対策の必要性
堆砂対策の緊急性
★ダムのゲート機能障害除去対策
★貯水容量減少によるダム機能低下防止対策
平成10年洪水が再来したら?
コンジット・ゲートが完全閉塞不能になったら?
想定事象→洪水調節不能、貯水容量の減少
発電量の減少
機能不全に陥る前に予防
応急対策(H17~18県単独費)
-現状維持を図る-
必要最小限の掘削除去を行い、現状維持を図る。
抜本的対策案の検討(H17県単独費)
【一次選定】
○効果の確実性、施工性等を総合的に検討
・貯砂ダム 案
・排砂ダム 案
・フラッシング運用 案
・掘削・浚渫 案
など
【二次選定】
○経済性、早期効果発現を検討
・浚渫+掘削
・貯砂ダム+掘削
・排砂バイパス+貯砂ダム+掘削
・フラッシュ運用+貯砂ダム+掘削
相談・提言
ダム管理
専門家
※ダム技術センター等
抜本的対策案の決定 『貯砂ダム+掘削』
※必要に応じてフラッシング運用等を検討する
【事業方針】早期効果発現のため、トータルコストで最も優れる貯砂ダムを施工する。その後、貯砂ダムを超えて
貯水池に流入する細粒分の量を継続的に確認し、必要に応じてフラッシング運用や予備ゲート補修を検討する。
佐治川ダム〔鳥取県〕の概要(堰堤改良事業)
佐治川ダム平面図及び貯砂ダム設置予定位置について
◆ダムの概要
①目的
②経緯
③位置
④諸元
【貯砂ダム設置位置の考え方】
洪水調節、不特定用水、発電(鳥取県企業局)
昭和43年工事着手、昭和47年3月竣工
鳥取県鳥取市佐治町尾際
形式:重力式コンクリートダム、堤高46.5m 、
堤体積56千m 3、総貯水容量2,310千m 3、
1)貯砂ダムは、貯水池上流端で本川、支川に分かれており両者の土砂を
捕捉すること、建設当時の工事用道路を活用することから右図に示す
ように支川合流点より下流に設置する。
◆事業の必要性・緊急性・効果、県の取組み
2)貯砂ダムの容量は、既往最大堆砂量から設定し、V =70,000m 3とする。
佐治川ダムは流入土砂量が多く、ダムが竣工してから34年間
ですでに堆砂率が約77%となっている。これは建設当時設定
していた堆砂計画の約2倍で堆積している状況であり、このま
ま堆積が続くと、約7年間で堆砂率が100%を越えることとなり
治水容量、利水容量が確保できなくなる。さらに、問題となって
いるのは、堆砂位が常用洪水吐け呑口から約2mまでのことろ
まで迫っており、比較的大きな流入土砂が発生すれば、洪水
吐けゲートが開閉できなくなる恐れがある状況であり、早急な
対応が必要である。
鳥取県では、対砂対策について有識者と協議等を行うだけで
なく、H 17年度より県単独費で、応急措置としての除砂作業を
行うなど最大限の努力を行っている。
3)貯砂ダムの設置高さは、貯砂ダム建設中、発電に支障がないよう発電
に必要な最低水位より高く計画する。
佐治川ダム平面図
佐治川ダム全景(
下流から)
既往最大堆砂量
( 70, 000m3)
容量確保
◆事業の内容
総 事 業 費 : 295百万円
事 業 工 期 : 平成19年~平成20年
実 施 内 容 : 貯水ダム、測量・設計 等
堆砂率約7 7 %(計画の約2 . 3 倍)
このままでは有効容量が減少、
ゲ ート 操作に支障をきたす恐れ
◆堆砂の状況
【堆砂状況模式図】
実績堆砂量
328, 800m3
サーチャージ 水位 EL. 398. 50m
常時満水位 EL. 397. 50m
制限水位 EL. 385. 50m
[ 当初] 有効容量 1, 880, 000m3
有効容量内堆砂量
74, 000m3
有効容量内空き 容量
1, 806, 000m3
計画堆砂位 EL. 379. 70m
洪水吐き 敷高
貯砂ダム( H=14m予定)
貯砂容量V=70, 000m3以上
※発電に必要な最低水位より 上に計画
合流点
[ 当初] 堆砂容量 430, 000m3
約2m
EL. 369. 85m
堆砂容量内堆砂量
254, 800m3
利水放流管敷高
EL. 369. 643m
堆砂容量内空き 容量
175, 200m3
佐治川ダム縦断図
◆ 事業の効果
佐治川ダムでは平成10年度に発生
した70,000m 3が既往最大堆砂量とな
る。今の状態でこの70,000m 3程度の
堆砂が発生するとゲートの開閉が不
可能となり、ダムの機能を失う事に
なってしまうが、新たに貯砂ダムを設
置することでこれを解消することがで
きる。また、貯砂ダムを設置すること
で除砂作業が行いやすくなり、有効
貯水量の回復が容易になる。
本ダム
貯砂ダム
※除砂作業が行い
やすくなる。
粗粒砂を捕捉
※異常な土砂流入に対し
て
も直接貯水池内に入ることを
防ぐことが出来る。
貯砂ダムを設置