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パーソナリティ心理学
クロニンジャー理論 1
木島伸彦
[email protected]
慶應義塾大学
クロニンジャー理論における
パーソナリティ、気質、性格
パーソナリティ
無意識下の自動的反応
意識下の自覚
顕現性(サリアンス)
気質
性格
意味
http://www.nttdata-getronics.co.jp/profile/lits/lits05_01.html
2
クロニンジャーの
パーソナリティ理論(旧)
気質temperamentと性格character
気質:相対的に先天的要因が強い
神経伝達物質の代謝に規定される
性格:相対的に後天的要因が強い
発達・変容する
測定尺度:
Temperament and Character Inventory(TCI)
クロニンジャーの
パーソナリティ理論(新)
気質temperamentと性格character
気質:経験に対する自動的な情緒的反応
神経伝達物質の代謝に規定される
性格:人を主体的にするもの
個人的な目標と価値の反映
発達・変容する(遺伝子の影響もある)
パーソナリティ 1
クロニンジャーの理論
パーソナリティ=気質+性格
気質と性格によって、精神疾患を説明しうる
・気質
新奇性探究、損害回避、報酬依存、固執
・性格
自己志向性、協調性、自己超越性
パーソナリティ 2
クロニンジャーの理論(気質)
神経伝達物質の代謝と関連があり、遺伝子
による関与も考えられる。
・新奇性探究:ドーパミン
・損害回避:セロトニン
・報酬依存:ノルアドレナリン
・固執:(セロトニン)
パーソナリティ 3
クロニンジャーの理論(性格)
自己洞察によって、成長・発展するもの
パーソナリティ障碍を説明しうる
・自己志向性
・協調性
・自己超越性
パーソナリティ 4
クロニンジャーの理論によって、説明されるもの
精神疾患
パーソナリティ障碍
学校の成績
営業社員の成績
クロニンジャー理論の特長1
外的基準連関妥当性
神経伝達物質の遺伝子多型との関連性
予測的妥当性
精神疾患,人格障碍,職務パフォーマンス
生理学的基礎
発達心理学的見地
パーソナリティに関連する遺伝子研究
Ebstein et al.(1996); Benjamin et al.(1996) 以来, 「パーソナ
リティと関係のある遺伝子探し」の研究が盛んに.
新奇性探究とドーパミン受容体D4遺伝子
Kluger et al.(2002);Schinka et al.(2002) △
損害回避とセロトニン・トランスポーター遺伝子
Sen et al.(2004) NEO,N ○ TCI, HA×
Munafo et al.(2005)
NEO,N × TCI, HA○
今後は、G-G interactionも考慮に入れるべき
人種差、サンプリング、疾患の有無も注意すべき
*年齢も重要:成人すると親の育て方の影響がほぼゼロになる
10
Comings et al.
(2000)
59 candidate
gene in
personality
11
うつに対する遺伝と環境の相互作用
遺伝1
遺伝2
.348
.546
NS
.938
環境1
‐.445
HA
.710
環境2
遺伝3
.627
→うつは特有の遺伝
要因を持たない
‐.463
RD
.771
環境3
‐.401
‐.190
.465
P
‐.208
うつ
.851
環境4
Ono,et al.Molecular Psychiatry,2002
.744
環境5
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クロニンジャー理論の特長2
コンステレーションの重視
個々の特性よりも組み合わせを重視する
学習の重視
(特に気質に関して)学習を重視する
例.ADHD
自己洞察の重視
気質は変容しにくいが、それを理解することで
気質をコントロールする
TCIと予測的妥当性
気分障碍
損害回避の高さ、自己志向性の低さ
学業成績
報酬依存の高さ
職務パフォーマンス
情熱家の営業成績がよく、激情家の成績が悪い
パーソナリティ障碍
後述
気質特性の布置によるパーソナリティ
障碍分類(木島ら, 1996)
演技性
反社会性
境界性
自己愛性
(生真面目性)
新奇性探究
統合失調質
強迫性
回避性
損害回避
報酬依存
参考文献
現代心理学 Ⅰ サイエンス社
パーソナリティ オールポート 新曜社
木島伸彦ら (1996). Cloningerの気質と性格の
7因子モデルおよび日本語版Temperament
and Character Inventory(TCI).
精神科診断学.
「現代のエスプリ」 木島伸彦 1999