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海洋生態系モデル
「拡張版NEMURO "eNEMURO"」の開発
○吉江 直樹(北大・院・地球環境)
山中 康裕(北大・院・地球環境/地球環境フロンティア)
今回の内容
1. モデルの改良点
2. 境界条件と設定
3. モデルの再現性の比較
4. 植プラの棲み分けの要因
NEMURO (PICESの標準海洋低次生態系モデル)
窒素・ケイ素循環、植プラ2グループ、動プラ3グループ
これまでの改良版NEMURO (Yamanaka et al. 2004)
炭酸系・カルシウム循環の追加
拡張版NEMURO “eNEMURO”
ケイ藻2グループ化、小型生物群の追加
モデルの境界条件
気候帯の異なる2つを設定
亜寒帯
A7 (41.5N,145.5E) を想定
亜熱帯
B1 (30.0N,138.0E) を想定
温度依存性と生理パラメータの設定
温度依存性
PLc
:亜寒帯で活性高
PS
:亜熱帯で活性高
PLp, PM:どこでもQ10 = 2.0
植物プランクトンの生理
動物プランクトンの捕食
NEMUROとeNEMUROの比較
亜熱帯(B1)での植プラの季節変化
亜寒帯(A7)での植プラの季節変化
eNEMUROで再現された植プラの棲み分け
気候帯(境界条件)の違いにより植プラの棲み分けが発生
どのような境界条件の変化が、この棲み分けを引き起こ
しているのだろう? 水温?栄養塩?混合層?日射量?
亜寒帯の境界条件を一つずつ亜熱帯に変えた場合
植プラは、水温と栄養塩環境の変化に感度が高い
境界条件全てを徐々にA7からB1に変えていく場合
平均水温の変化 (10℃→22℃)
T=T
季節変化を考慮した水温の変化
T = T + ΔT
(2~18℃→18~26℃)
水温の変化(上昇)
植プラの温度依存性
水温の上昇に伴い、
温度依存性と同じように、
棲み分けが起こるのだろうか?
棲み分けの境界は明確なのか?
T=T
水温の季節変化をさせずに
平均水温のみを変化させた場合
棲み分け境界:急激
温度依存性に似た棲み分け
T = T + ΔT
水温の季節変化を考慮して
変化させた場合
棲み分け境界:なだらか
季節変化により共存共栄
まとめ
“eNEMURO”では、”NEMURO”に比べ、亜熱帯域の
生態系の季節変化がより現実的になった。
植物プランクトンの棲み分けには、水温と栄養塩環
境の影響が大きい。
大きく異なる温度依存性がある場合でも、
水温の季節変化が、棲み分けの境界をなだらかにし、
共存共栄を可能としている。