Transcript hn - 首都大学東京
X線で宇宙を見よう 首都大学東京(東京都立大学) 大橋隆哉 1. X線て何だ? 2. ダークマターやブラックホールが 見える 3. 「すざく」衛星について X線って何だ? 電磁波のスペクトル X線は波長の短い電磁波 光子のエネルギー (hn = hc/l)が大きい 高温の物質がX線で輝く 太陽のコロナ ブラックホールへ落ち 込むガス 銀河団を満たす高温ガス X線で見る太陽 可視光 X線(「ようこう」衛星):太陽 黒点は高温プラズマの噴出口 X線で見える天体の姿は可視光とは大きく異なる 可視光では見えないものがX線で見える 地球の大気はX線を通さない 小田 稔「宇宙線」 裳華房 1974 X線天文衛星 ローサット(独) 1990-1999 「あすか」 (日) 1993-2001 XMMニュートン(ESA) 1999- チャンドラ(米) 1999- 高解像度撮像:チャンドラ衛星 かに星雲中心のパルサー (中性子星) 電波銀河ケンタウルス座Aの ジェット 12000 光年 3光年 (1.6分角) 角分解能0.5秒角 ⇔ 光のハッブル宇宙望遠鏡に匹敵 活動銀河の 鉄ライン 相対論的速度で回転する降 着円盤を中心核のX線が照 射 重力による赤方偏移と、近づ くガスの青方偏移が合成され、 X 線 広がった輝線スペクトルの構 強 造が期待される 度 「あすか」の観測結果は理論 的予想に合う 「あすか」による活動銀河 MCG6-30-15からの鉄の輝線 X線のエネルギー 宇宙を構成するもの 可視光 X線 軟X線(未解明) 我々が直接観測できている物質は宇宙全体の 1-2%に過ぎない 銀河団 銀河分布が示す 宇宙の大構造 約1千万光年の中に銀河が数100 個集まった巨大な集団 宇宙の大構造の中でも特に濃い 領域が銀河団になる 宇宙年齢をかけて作られてきた 重力はダークマターが支配して いる 我々の観測できる物質はほとん どがX線で光る高温ガス ダークマター:高温ガス:銀河 ≒ 75:20:5 かみのけ座銀河団 銀河団のX線放射 可視光(中心領域の銀河) ペルセウス座銀河団 X線の画像(500万光年) 約6千万度 の高温ガ スが充満 鉄の輝線 ペエ クネ トル ルギ ー ス Chandraの見た 中心30万光年 (Fabian et al. 2003) X線のエネルギー なぜダークマターがあると 言えるのか? 銀河団の中には高温ガスが閉じ込められて いる (観測事実) 重力が弱いと熱いガスは蒸発して逃げてし まう(お湯を沸かすと熱い湯気は逃げていく) 銀河や高温ガスの質量を合計しても、ガス を閉じ込める重力に足りない(ガスが熱すぎ る。銀河の運動も活発すぎる。) ゆえに、見えない物質が重力の源になって いると考えざるを得ない。 質量分布 銀河団の重力質量:1014~1015 M☉ (太陽質量) 高温ガスは銀河の合計より4-5倍重い 重力質量は銀河と高温ガスの合計より4-5倍重い ⇒ダークマター A1060 半径 ケンタウルス座銀河団 「すざく」衛星 2005年7月10日JAXA宇宙科 学研究本部から打ち上げ 2000年打ち上げ失敗の再挑戦 重量1700 kg 観測装置 X線反射望遠鏡 4台 [マイクロカロリメータ 1台 ] CCD検出器 4台 硬X線検出器 1台 http://www.astro.isas.ac.jp/astroe/index-j.html 「すざく」総合試験 振 動 試 験 重心測定 太陽電池発 電能力試験 熱真空槽へ X線天文衛星の性能比較 Astro-E2 すざく 良いエネル ギー分解能 高エネルギ ーの感度 大きな面積 Chandra チャンドラ XMM-Newton ニュートン 解像度 「すざく」の観測装置 XRT 0.5-10 keV HXD: シンチレー タ + Si 検出器 10-700 keV プリコリメータ 視野: 0.6-4.6度 「すざく」の観測装置 XRS: マイク ロ カロリメータ DE = 6 eV 視野: 2.6分x 2.6分 日米協力 首都大も参加 XIS: X線 CCD DE = 120 eV 視野: 19分x 19分 4セット, 日米協力 「すざく」の有効面積 XRT+FPD Non-imaging Detector 0.5 keV~700 keVまでをほぼ連続的に観測可能 「すざく」の見たろ座銀河団 Suzaku image of the Fornax cluster Raw spectra (XIS1) O line Hard excess