「すざく」であばく超光度X線源

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「すざく」であばく超光度X線源 (P4-7)
磯部直樹(理研,[email protected]), 牧島一夫(理研/東大), 宮脇良平(東大)
水野恒史, 高橋弘充(広島大), 久保田あや(芝浦工大), 海老沢研(ISAS/JAXA), 他ULXチーム
近傍渦巻き銀河に存在する非常に明
るいX線源 (LX >> 1039 ergs/s)
中質量ブラックホール(BH)の有力な
候補である (M >>10 M◎) 。
質量降着率が大きいと考えられる
( ~ エディントン限界)
M82 X-1からの硬X線
(Miyawaki et al. in prep.)
XIS FI
XIS BI
HXD-PIN
L2-10 keV =
3.5 x 1040 ergs/s
「すざく」による ULX の観測
PL
 「すざく」は、すでに 4つの近傍銀河
cutoff-PL
(NGC 1313, M82, NGC 4945, NGC 2043)
に存在する ULX の観測を行っている。
 高感度と広帯域を生かし、降着円盤
の状態、中心BHの質量や回転などの
物理量を明らかにし、ULXの正体に迫
りつつある。
 cutoff-PL model
G = 0.8±0.1,
Ecut = 5.7 +0.5–0.7 keV
 compTT model
Te = 2.5 ± 0.1 keV,
t = 8.0 ± 0.4
M82 X-1 からのX線放射は、
~2.5keVの電子からのコンプトン放射でよく再現された。
銀河系内のBH連星 (~100 keV) よりも低い温度であった。
NGC 1313
X1のXISライトカーブ
X1
カラー : XIS FI画像, 等高線 : 赤外線画像
 HXD-PINで~20 keV
までの信号を検出
 3-20 keV のスペクトル
は、PLでは再現されず、
折れ曲がった形をしている
NGC 1313 X-1 and X-2 : 「すざく」が明らかにしたスペクトル変動
可視光画像 XIS0画像
「すざく」が発見した ULX : Suzaku J1305-4931 in NGC 4945
2005/10/04, 19, 27の
3回 (合計約100 ks)
2005年8月
Hardness
ULX発見
XMM-Newton archival data
2003/12/21, 23,
2006/06/05, 2005/02/07
2003/12/25
2000/10/01, 2004/01/08, 16,
2004/11/23
(Miller et al. 2003; Feng & Kaaret 2006 )
MCD
PL
h : Eddington 比
BH質量 [M◎]
(Isobe et al. 2008 in PASJ Suzaku 2nd issue)
許される領域
M = 20 – 130 M◎のBHが
非常に早く(a ~ 1)回転し
ている可能性が高い
NGC 2403 Source 3 のスペクトル変動
(Isobe et al in prep.)
可視光(DSS) XIS (0.5 -10 keV)
MCD+cutoff-PL
•Tin=0.2 keV, G=0.9, Ecut=3.4 keV
•Tin=0.2 keV, G=1.6, Ecut=6 keV
X2のXISライトカーブ
fainter phase
MCD
 2006年1月の近傍銀河NGC 4945の観測で新しいULXを発見 (Suzaku J1305-4931)
KERRBB
 スペクトルは PL よりも MCD の方がよくう (Tin=1.70±0.06 keV, Rin=76±4.9 km)
 観測中に2倍程度のフラックスの変動を示した。
BHの回転 (Kerr BH)
 温度と光度に、 L ∝ Tin4 の相関が見られた。
Energy [keV]
で、説明できる。
⇒ 系内BH連星の High/Soft状態に似ている。
Suzaku J1305-4931 のスペクト
 MCD(つまり標準降着円盤)では、
Diskの
a:spinパラメタ
ルをkerr BHモデル(Li et al 2005)で
inclination
X線光度はエディントン限界の3倍程度になる。
フィッティングして、質量、質量降
BH, ULXの温度と光度の関係
着率、Disk inclination, spin パ
ラメタに制限をつける
fainter phase
brighter phase
XIS FI
XIS BI
0.5 -2 keV
銀河からの成分
 多くの観測で、PL型のスペクトルを示した
 「すざく」の観測では、低温のdisk成分と
変動するcutoff-PL成分の重ね合わせ
⇒系内BH連星のVery High State
XMM-Newton archival data
2004/06/05
2003/12/21, 2004/01/08, 17
2000/10/17, 2005/02/07
2003/08/23 (Miller et al. 2003; Feng & Kaaret 2006 )
XISスペクトル
2 -10 keV
brighter phase
X2
XISライトカーブ
2006年1月
質量降着率 [1018 g/s]
超光度X線源(ULX)とは
XMM-Newton による観測
「すざく」による観測 2003/04/30,
2003/09/11
2006/03/16-17
2004/09/12-13
(約63 ks)
Source 3 のスペクトル
「すざく」のベストフィット
MCDモデルに対する比
Chandra による観測
2001/04/17
2004/08/09, 23
2004/10/03
2004/12/22
p とフラックスの関係
Source 5
「すざく」による NGC 1313 の観測のまとめ
どちらのULXも明るさによってスペクトルが変化
X-1 (銀河の中心に近いX線天体)
これまででもっともX線高度が大きかった
(LX~2.5 x 1040 erg/s)
低温円盤成分と変動するcutoff-PL成分
•p-free disk model
系内BH連星の very high state に似ている
(p=0.63, Rin=43 km)
エディントン限界を満たすには、
•MCD model (Rin=96 km)
質量 M ~ 200M◎が必要
X-2 (銀河の中心から離れたX線天体)
暗い時には MCD型スペクトル
多くの観測でMCD型のスペクトル
明るい時には p-free disk モデル型
「すざく」観測中に円盤内縁半径
暗くなると、内縁半径 Rin が小さくなる
Rinが変化
slim disk状態 にある質量 M ~ 50 M◎のBH
と考えれば、説明ができる。
⇒ X2 は slim disk 状態
(Mizuno et al. 2007, PASJ, 59S, 257 )
Chandra (2004/08/23) : MCD
Standard disk
p = 0.75
Chandra (2004/12/22) : PL
NGC 2403
Source 3
Suzaku (2006/03/16)
Chandra (2004/08/23)
Chandra (2004/12/22) : PL
Newton (2004/09/12)
 ほとんどの観測で MCD 型のスペクトルを示した。
「すざく」の観測 : Tin = 1.09±0.03 keV, Rin = 16.9+6.9-5.5 km
 MCDによる光度, Tin の変動 は±10 %程度であった。
 MCDは、エディントン限界程度で輝くM=10-20M◎のBHを示唆
 2004/12/22 のChandraの観測(図の緑)だけは、
PL型のスペクトルを示した( G = 2.37 ± 0.08)。
⇒ 系内BH連星の
Slim disk 状態(MCD型) と Very high 状態(PL型)
の遷移に似ている
S
C
Newton (2004/09/12) : MCD
S : Suzaku
C : Chandra
N : Newton
C
N
MCD型スペクトルがslim disk 状態であることを検証す
るために、「すざく」, XMM-Newton, Chandra のスペ
クトルを p-free モデル(Mineshige et al. 1994)フィッティング
 フラックスが大きくなると、p の値が減少した。
⇒ slim disk モデルの理論計算と一致している。
よって、slim
disk 状態 と考えて矛盾はない。