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A-7 磁歪素子を用いた
マイクロ球面モータの
駆動特性の評価
知能電気機器研究室
電気電子システム工学科
澤村 一樹
発表内容
1.球面モータ
・球面モータとは
・従来技術
2.研究目的
3.励磁電流による磁歪の伸縮
4.測定装置
5.変位特性の測定
6.まとめと今後の課題
1.球面モータ
●球面モータとは


1個のモータで多自由度の回転
コンパクトで制御性が良い
●用途
図1 球面モータ
ロボットの目や関節の回転駆動として期待
●小型化できると・・・
医療・工業用の内視鏡や災害現場での救助に
用いる超小型CCDカメラ駆動用アクチュエータ
として使える。
従来の技術
10mm
20mm
図2 圧電式超音波球面モータ
図3 電磁型球面モータ
複雑な動きをするマニピュレータなどへの研究がされている
○共振駆動
○高電圧駆動
○脆い
欠点
○部品点数の多さ
○保持機構が必要
小型化が難しく、実用化されていない
2.研究目的
鉄ガリウム合金を用いて従来にない
○シンプル
○小型
○保持機構が不要
○低電圧駆動
球面モータを開発しその医療応用を目指す
鉄ガリウム合金
○延性材料
○高い透磁率
○機械加工性が良い
本研究では従来にない3mm径の球面
モータを作製し、その駆動特性を評価した
球面モータの構成
B2
A1
B1
A2
図4 球面モータの構成図
図5 球面モータの断面図
作製したモータの写真
1mm
1mm
図6 作製した球面モータ
バイアス磁気回路
磁石の起磁力により
磁束が通る
磁歪が発生
A1
N
S
A2
図7 磁力線図
磁歪によりロータは鉄ガリウム合金に吸着保持
保持機構が必要ない
3.励磁電流による磁歪の伸縮
磁束の向きが同じ
⇒磁束が増加
伸び
A1
N
S
A2
微小回転
図8 ロッドA1,A2励磁時の磁力線図
縮み
磁束の向きが逆
⇒磁束が減少
ロッドの磁歪特性
伸び
A1,A2
磁石
図9 電流-変位特性
(磁石なし)
縮み
図10 電流-変位特性
(磁石あり)
1方向への回転原理
ノコギリ波電流の1周期で微小回転する
②
①
図11 コイルに流す電流とロータの駆動角度
滑りが生じる
4.測定装置
図12 測定装置
①周波数10Hz,±0.4Aの正弦波電流時の変位
②周波数1kHz,±0.1Aのノコギリ波電流時の変位
磁歪ロッド先端部形状
面接触
点接触
図13 球座加工 ギャップの大きさに違い
図14 段差加工
磁気抵抗の点から同じ電流値で球座加工の方が大きな磁束が通る
球座加工の方が少ない起磁力で磁束が通る
5.変位特性 (球座加工)
図15 ロッドA1,A2の変位特性
図16 ロッドB1,B2の変位特性
±0.15~0.2Aほどで飽和値
変位特性 (段差加工)
図17 ロッドA1,A2の変位特性
図18 ロッドB1,B2の変位特性
±0.3Aほどで飽和値
ノコギリ波電流を流した時の
時間応答(段差加工)
図19 ロッドA1,A2の時間応答
図20 ロッドB1,B2の時間応答
駆動条件
周波数5kHz,流す電流±0.2A以上で駆動確認
A方向への駆動
B方向への駆動
6.まとめと今後の課題
まとめ
○3mm径の球面モータを作製
○球座加工・段差加工したモータの変位特性の測定
⇒どちらも変磁したバタフライ曲線が得られた
○ノコギリ波電流を流し駆動させた
⇒周波数・電流を変化させることで駆動できた
今後の課題
○残り3個の駆動する条件を調べる
○移動体速度・トルクの測定
ご静聴ありがとうございました
球座加工と段差加工での比較
●変位特性
・両方において対抗するロッドでの伸縮が生じた
・立ち上がり、立下りでの傾きは段差加工の方が緩やか
●ノコギリ波電流印加時の変位
両方のモータでノコギリ波電流の緩やかな立ち上がりと
急な立下りに合わせてロッドの伸縮が発生していた
変位だけを考えると2方向に駆動が可能
しかし・・・
実際に駆動させてみると理想的に2方向に動かなかった
磁石なしでの変位特性
段差加工
球座加工
球座ヨークあり(段差加工)
球座ヨークあり(球座加工)
損失
球面モータの作製手順
作製補助用の冶具
冶具となる磁性体
4個の溝に
接着剤を塗る
補助冶具を外して
溝の周りに強力な
接着剤を塗る
鉄ガリウム合金にコイルを
取り付ける
鉄ガリウム合金を接着し
補助冶具に押さえつける
ように固定する
中心部にヨーク・磁石を取り付け
ロータを取り付ける
鉄ガリウム合金の加工方法
⇒切削作業
金属材料を各種旋盤を用いて切削し、所定の形状・寸法に加工すること。
先端の加工方法
⇒光電加工
超音波球面モータ
圧電素子に交流電圧を印加
ステータの表面に進行波が発生
接触面で楕円運動の軌跡
ロータは進行波と逆に動く
磁気回路
N:コイルの巻き数
R1~R4:鉄ガリウム合金の抵抗
R5:ロータとヨーク間の磁気抵抗
R6:ネオジム磁石の抵抗
Hc:ネオジム磁石の保磁力
l:ネオジム磁石の長さ
f1~f4:鉄ガリウム合金の磁束
理想的な等価磁気回路