2.開発した自走式色素増感太陽電池 搭載型模型自動車

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Transcript 2.開発した自走式色素増感太陽電池 搭載型模型自動車

色素増感太陽電池搭載型
新型模型自動車の
開発と実践
(物理教育 , Vol.58 , No.2 , 2010)
論文著者
輪講発表者
川村研究室
川村康文 , 原 尚志
兒玉明典 , 曽根 均
柏倉達也 , 柴藤寛司
B4
山下 香織
概要
これまで
• 送電するタイプから搭載型に発展
問題
• 実験材料費が高額
• 高校生などが実際に動かすには困難な点もあり
今回
• 車体の改良
• 理科実験教材として授業実践
1.はじめに
色素増感太陽電池で模型自動車を動かす
これまでの試み ①
電池からモーターへ送電
• 模型自動車を軽くしても
電気伝導性ガラスが重い
ために搭載できなかった。
図1
送電タイプの模型自動車
1.はじめに
これまでの試み②
搭載型模型自動車の走行に成功
• 発電できる電力を強力に
• ハロゲンランプ灯火のもと
5cm×5cmのものを10セル使用
• 色素増感太陽電池そのものが高額
なため費用がかさむ
図2
10セル搭載型模型自動車
授業で各班に1台製作できるような安価なものへの改善が必要
1.はじめに
本論文での試み
軽い車体への改良
• ハロゲンランプ1台のみで自走できるように
100円ショップなどで入手
できる材料を用いる
• 児童生徒が自らつくることができるように
プラス極をステンレス板
から電気伝導性ガラスへ
• 学校内でできる実験操作を増やし、材料費を抑える
• 向こう側の景色が透けて見えることも特徴の1つ
2.開発した自走式色素増感太陽電池
搭載型模型自動車
2.1
模型自動車の車体
車体のサイズを決めるために搭載する太陽電池の大きさを検討
6セル搭載型の車体の設計
• 並列・直列を組み合わせることでモーターを作動させることが可能
• ハロゲンランプ1台で走行させることが可能に
車体をどのように軽量化するかについては困難を極めた
• 6セルでは出力が弱い可能性があり、8セル搭載型も平行して開発
• 8セルで自走させるためにはハロゲンランプが2台必要
• より安価にするために6セル搭載型の開発を続行
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搭載型模型自動車
最終的な車体
• 8セル搭載型
• 発泡スチロールをくり
ぬいて軽量化
図3
62.0g
川村ら (2008)
49.1g
川村 (2009)
模型自動車用車体
46.5g
この論文
2.開発した自走式色素増感太陽電池
搭載型模型自動車
2.2
車輪の軽量化
• 強度を失わない範囲でくりぬき
軽量化をはかった。
車輪
5.2g
くりぬく前
3.6g
川村 (2009)
2.5g
図4
内部をくりぬいた
車輪とギヤ
この論文
ギヤ
2.5g
くりぬく前
1.9g
変速部の切り取り
1.4g
川村 (2009)
1.2g
この論文
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搭載型模型自動車
2.3
搭載する色素増感太陽電池について
• 児童生徒が自在に加工できるように両面とも電気伝
導性ガラスを用いた
• 大きさ5cm×3cm
11.1g
ステンレス板
厚み:1mm
4.1g
電気伝導性ガラス
厚み:1.1mm
8枚合計で
56g 軽量化
開放電圧平均値:0.41V
二酸化チタンを焼結,ハイビスカスで染色後
短絡電流平均値:4.46mA
1セルあたりの性能
変換効率平均値:0.0359%
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搭載型模型自動車
2.4
色素増感太陽電池の接続方法
• 接続に用いている
バインダークリップ
の取っ手部分をはず
して軽量化
図5 自走式色素増感太陽電池搭載型
模型自動車の完成写真
3.色素増感太陽電池搭載型模型自動車を
用いて行なった授業実践の内容
対象者
県立N工業高校 機械システム科2年
物理選択者 15名
学習単元
高校物理Ⅰ「熱とエネルギー」
学習内容
色素増感太陽電池の製作と実験
実施日時
2009年12月15日火曜日 5・6時限目
 本時までに2時間をかけて太陽放射や太陽定数,太陽電池
について学習済み
 太陽電池の特徴についてモーターの回転実験を行い体験的に学習
 低コストでかつ有害物質を含まない色素増感太陽電池が研究開発中であり、
次回にその制作・実験を行うと予告
3.色素増感太陽電池搭載型模型自動車を
用いて行なった授業実践の内容
4.実践授業における生徒の学習効果
 授業後にアンケートを配布し,実践授業の内容や方
法について7項目の質問を行なった。
 集計方法
 とてもそう思う:5
 まあまあそう思う:4
 どちらとも言えない:3
 あまりそう思わない:2
 全くそう思わない:1
4.実践授業における生徒の学習効果
図6 アンケート結果
4.実践授業における生徒の学習効果
 質問1
全員が「とてもそう思う」を選択している
→ この教材が確実に生徒に受け入れられることを示して
いる
 質問2および3
 この教材で伝えたい事
 それぞれ高い数値が得られている
→ 教材が授業目的の達成をサポートしている
4.実践授業における生徒の学習効果
 質問4および5
 科学技術としての色素増感太陽電池とその可能性についてど
う認識したか
 いずれも高い数値
→ ハイテク技術に高校生が触れることの意義が確認された
 質問6
かなり高い数値 → より進化させたものへの期待
 質問7
高い数値
→ ハイテクを実感できたり,環境問題解決につながるよう
な教材を用いた実験を高校生たちが期待している
4.実践授業における生徒の学習効果
 生徒の感想
 「もっと実験をやってみたい」
 「この電池を利用したほかの実験も見たい」
→ 色素増感太陽電池に強い興味を持った
自ら製作できて構造がわかりやすい
 最先端ながら身近な素材でできていて環境に
やさしいと実感できる

5.考察
対象学年の幅が広く、次の2つの学習効果が同
時に得られる実験教材
• 最先端技術の進化の様子を感じることができる
• 地球環境問題の解決に生徒自身が関われるかも
しれない、という実感をもつことができる
6.おわりに
理科教師は、色素増感太陽電池のような新規の実験
教材に取り組むことで、生徒の地球環境問題解決へ
の意欲・関心を高めていく必要があるのではないか
授業実践を通して、生徒の学習に効果的な実験教材
を開発していく、という姿勢を失ってはならない
この論文を読んで
 論文の構成がしっかりしている
 開発の過程 → 教材の実践 → 効果の分析
 結論に説得力が出ている
 徹底した軽量化に教材開発への熱意を感じる
 すべては生徒の喜ぶ授業づくりのため
 ある一定のところで妥協せずに、とことんまで突
き詰める粘り強さを持つことが大事。