Transcript 発表資料
耐久財における 選択型アフターサービスの 購買意欲への影響 立教大学 耐久消費財 杉本遼 須関秀之 中島佳奈 羽柴里帆 山口美季 目次 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 研究目的 現状分析 先行研究 問題意識 仮説 検証 インプリケーション 参考文献 1 2 研究目的 研究目的 3 10ゼミ共通テーマ •定義 近年の不況によって低迷する 消費者の耐久財における購買意欲の促進 4 現状分析 ⅰ耐久財の現状分析 ⅱ消費者の現状分析 現状分析 ⅰ耐久財の現状分析 1. 2. 3. 4. 耐久財とは 耐久財の特徴 アフターサービスとは アフターサービスの重要性 5 現状分析 耐久財とは 6 長期にわたって使用される製品を指す 価格が比較的高く、買回り品の一つとされる 各種統計関係の定義としては、「原則として想 定耐用年数が1年以上で比較的購入価格が高いも の」を耐久消費財と定義することが多い Ex)自動車、家電、コンピューター 現状分析 耐久財の特徴 7 製品一個当たりの値段が比較的高く、 製品保証、人的販売、アフターサー ビスの重要性が高い 現状分析 アフターサービスとは 8 一般的なアフターサービスの例 製品 1.一定期間の保証に基づく苦情の処 理(修理、取り替えなど) 2.使用・操作法に関する教習などの 啓発 3.点検、巡回 4.取り付け 5.部品、消耗品の交換・補給など これらのアフターサービスの費用は、保証期間中は無 料である場合が多いが、その後は有料になるのが普通 である。 現状分析 CRM、CSの重要性の増加 9 売り上げ・マーケットシェアベースの生産者主導の経営 顧客の要望や嗜好にあわせた顧客重視の経営 アフターサービスに代表される顧客満足度を 向上させることが企業の利益増進につながる 現状分析 新たな差別化要因 1 0 A社がいい ね!! 家電量販店A社 アフターサービス ◎ 家電量販店B社 アフターサービス× 製品・性能での差別化がほとんどない現在、アフ ターサービスは新たな差別化要因として見直され ている 現状分析 ⅱ消費者分析 1. 2. ライフスタイルの多様化 拡がる消費スタイル 11 現状分析 ライフスタイルの多様化 12 複雑化する社会背景・・・グローバル化、少子高 齢化、 不況による経 済格差 複雑化する社会背景に合わせ、消費者もそれぞ れの生活に適したライスタイルを確立し始めて いる。 ライフスタイルの多様化 出典:滝本絵里奈『現代消費社会論』 現状分析 13 拡がる消費スタイル ライフスタイルの多様化に伴い、消費スタイル にも様々な傾向が出てきた。 プレミアム消費 安さ納得消費 嫌消費 徹底探索消費 利便性消費 etc… 多種多様な消費スタイルの登場によって、消費 者もそれぞれ違ったニーズを求め始めている 出典:滝本絵里奈『現代消費社会論』 現状分析 14 現状分析まとめ アフターサービス 消費の多様化 • 耐久財におけるアフ ターサービスの重要 度は高く、企業の利 • 複雑化する社会背景 の中、消費者のライ フスタイルは多様化 15 先行研究 アフターサービスの重要性 先行研究 先行研究① 1 6 刀根(1980) 「アフターセールス戦略は、まさに企業の成 長と発展を方向づけるための基本戦略であり、 さらに、これが企業・商品差別化の決め手で あって、顧客固定化・市場開発の決め手ともな り得るものである」 アフターサービスは 差別化・顧客固定化の決め手 先行研究 先行研究② 1 7 Levitt(1981) 「製品の属性が技術的に高度化すればするほど、 売上高は当該製品に伴う顧客サービスの質と有 効性にますます依存するようになる。」 製品技術が高度化するほど、 製品に付随するサービスの質が重要となる 1 8 問題意識 1 9 問題意識 アフターサービスの重要 性 消費者ニーズの多様化 現在のアフターサービスは 消費者のニーズに 対応できていないのではない か Apple.inc の事例 2 0 iPod touch/iPod classic 製品購入後1年間のハードウェア保証と90日間 の無償電話サポート ASを付加するかどうかは、消費者 \6,800 + の 判断に委ねられている AppleCare Protection Plan購入 最長2年間に渡りサービス&サポートを提供 エキスパートによる、電話サポート、世界中 保証の内容を消費者が選択することができる の国々で本体、バッテリーおよび付属品の無 料修理(修理部品代および工賃を含む) 2 1 理想のアフターサービスとは? 消費者が自らのニーズに合わせて アフターサービスをカスタマイズできる方式 「選択型アフターサービス」 2 2 仮説 仮説 1. 2. 2 3 「選択型アフターサービス」は現在のアフ ターサービスと比較して、消費者の購買意欲 をより高める。 「選択型アフターサービス」は製品価格や消 費スタイルに左右されることなく有効である。 2 4 仮説検証 アンケート形態 仮説検証結果 仮説検証 検証の流れ *アンケートの実施 対象者:20代男女 対象製品カテゴリー:ノートパソコン 実施時期:11月5日~20日 有効回答総数:88名 内訳:5万円 28名 :10万円 30名 :20万円 30名 *検証 分析方法 1. 選択型アフターサービスのニーズ 2. 因子分析(特性を抽出) 3. 相関分析(2変量による相関係数の算出) 2 5 仮説検証 2 6 アンケート形態 ¥50,000/ ¥100,000/¥200,000 A : 現在のアフターサービス B : 選択型アフターサービス ¥50,000/ ¥100,000/ ¥200,000 1.AとBを比較して選択してもらう 2.価格を3つに分け、それぞれ別の人に回答しても らう 仮説検証 1.選択型アフターサービスのニー 27 ズ Q.現在のASと選択型ASのどちらがついた製品を購買 したくなりますか? 32% 選択型AS 68% 現在のAS 選択型アフターサービス体系は一般的に見てニーズがあ る! 仮説検証 2.因子分析 2 8 回答者の購買行動に関する質問15項目(天井効果の見られた1 項目を除く)を主因子法により因子分析を行った 固有値1以上は3因子で、3因子で13項目の 全分散の50.954%を説明している⇒3因子構造が妥当 仮説検証 2.因子分析 2 9 『堅実因子』 『こだわりリッチ因 子』 『衝動買い因子』 仮説検証 3.相関分析 3 0 ①5万円のPCを購買する場合 A: 現在のアフターサービス B: 選択型アフターサービス 『堅実因子』 『こだわりリッチ因 子』 『衝動買い因子』 全ての因子で選択型 アフターサービスが 有効である。 仮説検証 相関分析 3 1 ①10万円のPCを購買する場合 A: 現在のアフターサービス B: 選択型アフターサービス 『堅実因子』 『こだわりリッチ因 子』 『衝動買い因子』 全ての因子で選択型 アフターサービスが 有効である。 仮説検証 相関分析 3 2 ①20万円のPCを購買する場合 A: 現在のアフターサービス B: 選択型アフターサービス 『堅実因子』 『こだわりリッチ因 子』 『衝動買い因子』 全ての因子で選択型 アフターサービスが 有効である。 仮説検証 相関分析まとめ 3 3 5万円、10万円、20万円全ての価格帯、 且つ全ての因子で 選択型アフターサービスの有用性が認められた 価格、因子間に選択型アフターサービスの有用 性 についての差異は認められなかった 仮説検証 仮説検証まとめ 3 4 選択型アフターサービスは現在のアフター サービス体系と比較して、一般的に有効で ある 選択型アフターサービスの有効性は、価 格・消費スタイルどちらにも左右されない 2つの仮説は共に支持された! 3 5 インプリケーション インプリケーショ ン インプリケーション概要 「選択型アフターサービス」のインプリケー ションとして、二つの段階を用いて「選択型ア フターサービス」を消費者に普及させていく STEP1 STEP2 • 店内入り口にて選択型ASについての チラシの配布 • 各製品分野ごとに特化した選択型AS の看板・POPの設置 • 因子ごとに相応しい選択型ASの提示 3 6 インプリケーショ ン 3 7 店内アプローチ STEP1 ・来店時にチラシを配布 選択型アフターサービスとは 買い物の前 に下調べを する つい衝動買 いをして しまう 1.YES 2.NO 1.YES 2.NO 友達の持っ ている商品 が気になる 堅実型 *おすすめアフターサービス 堅実型 リッチ・ こだわり 型 衝動買い 型 1.YES 2.NO ※表面イメージ図 リッチ・こだわり型 衝動買い型 ※裏面イメージ図 インプリケーション 店内アプローチ STEP1 «表面» 消費者の購買傾向 を認知させる «裏面» 消費者の購買傾向 ごとに特化した選 択型ASの提示 店頭にてチラシ配布することで 選択型ASに対する関心・認知の向上を図る 3 8 インプリケーショ ン 店内アプローチ コン) STEP2(例:パソ39 •パソコン売り場一例 パソコンに特化した選択型ASの 一覧 新商品 メーカーごと 衝動 買い 低価格商品 堅実型 リッ チ・こ だわり 型 インプリケーショ ン 店内アプローチ STEP2 各売り場ごとに選択型ASについての詳細を提 示した看板・POPの設置 消費者は、各個人に適した選択型AS についての情報を獲得することがで きる 4 0 インプリケーショ ン インプリケーションまとめ 4 1 STEP1・・・店頭でのチラシ配布で選択型ASの関 心・ 認知を高める STEP2・・・各売り場ごとに特化した選択型ASの 詳細を提示する →消費者各人に適した選択型ASの 情報提供ができる STEP1・2を通して消費者は自分の消費傾向に あったアフターサービスが受けられ、顧客満 足を高めることができる。 今後の展望 他年代への選択型アフターサービスの有効性の解明 インプリケーションの有効性の検証 4 2 参考文献 田淵泰男(1999)『製造業におけるサービス戦略について』 刀根武晴(1980)『アフターセールス戦略』プレジデント社 刀根武晴(1984)『アフターセールス戦略の課題と方向』明大商學論叢,pp.77-94 43 Theodore Levitt(1981)「Marketing Intangible Products and Product Intangibles」Harvard Business Review,pp. 94-102. 古川一郎・守口剛・阿部誠(2004)『マーケティング・サイエンス入門』第2章「消費者行動」有 斐閣アルマ 松田久一(2009)『「嫌消費」世代の研究』 経済産業省(2010)『消費者購買行動傾向~リーマンショック以降の日本の消費者の実像~』 総務省 http://www.soumu.go.jp マネー事典 http://m-words.jp/ 滝本絵里奈『現代消費社会論』 ご清聴ありがとうございました。