Transcript 双方向性
現代社会の匿名性 インターネットと現代社会に共通する匿名性 田中勇人(Tanaka Hayato) 問題意識 • インターネット上に存在する匿名性 • 現実世界での匿名性 インターネットの特性 • • • • 双方向性 リアルタイム性 オンデマンド性 マルチメディア性 ・ ・ 双方向性 ・ウェブサイトによって不特定多数に 情報を発信 ・1対n ・情報の発見者に感想や意見を送る 電話・FAX・手紙 リアルタイム性 • 距離や時間にとらわれずに情報交 換を行うことができる。 電話・会話 マルチメディア性 • インターネットはテキスト中心のメディアとして 発展してきたが、ネットワークの高速化とコン ピュータの情報処理能力の向上によって静止 画や音、動画もスムーズに扱えるようになっ た。 • テキスト、音、静止画、動画を自由に組み合 わせて情報を伝達できるメディアである 現実社会での匿名性 • 電話でのコミュニケーション • 手紙でのコミュニケーション • 対面でのコミュニケーション 電話でのコミュニケーション • リアルタイム性・双方向性を持つ • いたずら電話や無言電話などの「迷惑」 電話 • テレフォンセックスや電話カウンセリング →チャット・電子掲示板 手紙でのコミュニケーション • 双方向性・オンデマンド性を持つ • 「不幸の手紙」 • 郵便ポストにランダムに投函される広告 (DM) →電子メール 対面でのコミュニケーション • 源氏名 ー 遊女が好んで源氏物語 五十四帖の名を名乗ったことから転 じて、現在は主に水商売の女性が 使う名称(大辞泉,2006) →ハンドルネーム インターネットと現実社会の混同 インターネット世界が生み出した悲劇 「ドクター・キリコ事件」 ドクター・キリコ事件 • 女性Aが青酸カリにより服毒自殺 • 薬の入手先は自殺志願者が集まるウェブサ イト「ドクター・キリコの相談室」 • 薬をそのサイト上で販売した草壁(仮名)は女 性Aが死亡したことに責任を感じ服毒自殺 • マスコミはインターネットが引き起こした悲劇 としてクローズアップ 朝日新聞・社説 • 社会は自由になればなるほど、陰の部分も ふくらむ。インターネットもいかがわしい要素 を抱え込んでいる。・・・・中略・・・現在の社会 は明らかに転換期にある。若い人だけでなく、 中高年も悩んでいる。わずらわしい現実や、 人間関係から目をそらしたくもなる。そんなと き、インターネットの世界は、手軽な逃げ道に 映りがちなのかもしれない。だが、そこに埋没 したところで、出口は見えまい 事件の争点 • インターネットの匿名性を利用し、毒薬が簡 単に入手できる構造 • 自殺願望を持つという同じ属性の人々が簡 単に集まることで、連帯感が生まれ、「死」に たいするハードルが下がる 現実世界と仮想世界 • • • • 自殺を考えていたのは現実世界 実際に薬を使うのも現実世界 自殺する手段を得たのは仮想世界 薬の売買に関するやり取りは電話 ↓ どちらの世界も介在しており、インターネットが もたらした事件とは言い切れない インターネットは過程のひとつに過ぎないとも考 えられる。 結論 • インターネットの特性であるマルチメディア性 は既存のメディアの特性を持ち合わせる。同 時に既存のメディアが持つ匿名性の問題も持 ち合わせる。 • インターネットがもたらしたとされる事件でも、 現実世界が影響しており、一概にインターネ ットの匿名性が原因とは言い切れない。 インターネットの世界と現実世界は二つの異 なる世界なのではなく、密接につながりあう 複雑に絡み合った複合体なのである。どちら の世界で起きていることも他方の世界で起き ることに何かしらの影響をあたえている。 匿 名性がインターネット特有の問題というように 考えられるのは、インターネットがまだまだ発 展途上であり、その機能性ばかりが注目され 上記したような複合体として捉えられていな いことがもたらす結果であると考える。