第1章.株式・株式市場 (1)日本の株式の保有構造

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証券市場論講義計画
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第1章:株式・株式市場
第2章:証券会社と証券業務
第3章:資産運用と投資信託・年金
第4章:証券化
第5章: M&A
第6章:デリバティブ
第7章:ファンド資本主義
第8章:日本の金融システムと証券市場
第1章.株式・株式市場
(1)日本の株式の保有構造
・戦後から1980年代までの状況:
個人の株式保有比率低下、金融機関・企業の
比率上昇←株式相互持合いの進展
・近年の傾向:
・
←金融の国際化、株式相互持合い
解消の動き
・年金・投信の比率若干上昇
・
東京証券取引所『株式分布状況調査』2006年度
○株式保有構造の日米比較2007
日本
米国
・個人
18.2%
25.6%
・銀行
7
0.3
・事業法人
22.3
――
・保険
7.6
7.9
・年金
8.8
23.8
・投資信託
4.7
28.4
28.3
12.6
・外国人
• 株式保有構造の日米比較
• ①日本では米国に比べて、事業法人・銀行の株式保
有比率が大きく、個人の比率が小さい
– 企業間の株式持合いの影響。しかし近年では持合いは解
消傾向だが、一部で復活。
– 個人比率小:株式は投機的という日本人の考え方。
• ②日本では米国に比べて、投信・年金の株式保有比
率がまだ小さい
– 米国の個人の株式保有比率は、長期的には低下傾向。
• ③
(2)株式の流通市場
・株式市場の分類
発行市場 と 流通市場
• 株式流通市場の種類
①取引所市場:立会取引と立会外取引
②取引所以外での取引
(a) 上場銘柄の取引所外取引
(b) PTS(私設取引システム)
(c) 未公開株取引市場
①取引所市場
・機能:有価証券の大量の需給を集中させ、売買の機会
を提供し(流動性の付与)、公正な価格を形成する。
• 取引は基本的に
で行なう。
– 複数の売り注文・買い注文を付き合わせて価格を決める
• 取引所の集中
– 現在取引所は6ヵ所:東京、大阪、名古屋、札幌、福岡、ジャ
スダック、
– 新潟、広島の証券取引所の閉鎖(東証との合併)2000年
– 京都証券取引所の閉鎖(大証との合併)2001年
– 大阪証券取引所によるジャスダックの買収予定2008年
• 上場(株式公開):
– 取引所でその企業の株式の売買が認められること
• 上場基準:
– 上場のために満たしていなければならない基準(株式
の数・分布や企業の純資産・利益)
– 幅広い投資家に投資してもらうため、投資家保護
• 上場廃止:
– 一定の要件(上場廃止基準)に該当した場合、上場廃
止とする。幅広い投資家に投資してもらうには、不適
格となった場合。
– ライブドア(06.4)、カネボウ(05.6)、西武鉄道(04.12)
の上場廃止
• 取引所の組織形態:
– 証券会社による会員組織→株式会社化
日本証券経済研究所『図説日本の証券市場2008年版』p.137
日本証券経済研究所『図説日本の証券市場2008年版』p.141
• 取引所市場:立会取引と立会外取引
• (売買)立会取引
– 取引所の取引時間内でオークション方式で取引
• 立会外取引
– 取引所の取引時間外で取引(時間外取引)
–
をスムーズに行うために97年
から開始、売買立会取引での値段に準じた値段で取引(相
対交渉取引、終値取引)
– 証券会社間取引が中心、上場会社の自社株取得にも利用
– 東証取引高の5~8%程度を占める
– ライブドアがニッポン放送株取得に利用、TOB(株式公開
買付け制度)を使わず
日本証券経済研究所『現代日本の証券市場:2006年版』
○株式売買状況2007年:部門別
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個人: 23.8% (32.4%)
銀行: 0.2
(0.2)
事業法人: 1.5 (2.0)
保険: 0.2
(0.2)
投資信託: 1.7 (2.3)
外国人: 39.8 (54.2)
証券会社の自己売買:26.6
( )内は証券会社自己売買を除く割合
○株式売買状況の特徴
– 約4分の1
• 売買取引を活発に行っている(株式保有比率に
比較して)部門
–
–
• 売買をほとんど行っていない部門
– 銀行、事業法人、保険
• その中間
– 投資信託
②(a)上場銘柄の取引所外取引
• →取引方法の自由化: (a)取引所外取引、
(b)PTS(私設取引システム)の登場
• →
• (a)取引所外取引
– 証券会社や機関投資家による大口の取引、ブロック・
トレーディングや取引所の取引時間外での取引
– 東証取引高の6~10%程度
(b)PTS(私設取引システム)
• 電子取引による
が
可能になる。ECN(電子証券取引ネットワーク)
• 米国:
– 1969年のインスティネット が最初で90年代に急増
– 既存の取引所の株式売買シェアをECNが奪う傾向
– 2005年:ニューヨーク証券取引所がECNのアーキペラ
ゴを買収、ナスダック(米国店頭株式市場)がECNのイ
ンスティネットを買収
・PTS:Proprietary Trading System
・ECN:Electronic Communication Network
・日本のPTS
日本証券
経済研究所
『現代日本の
証券市場』
2008年版
大和証
券
2008.8.8
マーケット
メーク方式
18:00~
23:59
個人投
資家
上場銘
柄
(c)未公開株取引市場
• 金融ビッグバンの中で97年、日本証券業協会が
未公開株を取引するグリーンシート市場を開設
• 未公開株専門の証券会社(ディーブレイン証券)
も設立される。
• 証券会社が売り気配・買い気配を提示し、証券会
社の店頭で売買。PTSを使って証券会社間を仲
介。
• 登録銘柄:71銘柄、上場廃止となった銘柄も登録
可能(フェニックス銘柄)
• cf.米国の未公開株取引市場:
– ピンクシート市場、OTCブリティンボード市場、ローカル
市場