syoukennsijyouron141008

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• 先週の授業の補足
• 上場廃止された株はどうなるのか?
– 上場廃止決定(取引所が決定)から1カ月間は整理銘柄となり、取
引所で売買可能。
– 上場廃止後でも、株主は株主権を持っている(株主総会での議決
権・利益配当請求権)。売買は個人的。
– 日本航空の上場廃止(2010年2月)の時は、会社更生法適用の際、
100%減資が行われ、株式は無価値となる。
• 上場のメリットとデメリット
– メリット:
– デメリット:
–
(会計監査費用、証券取引所への上場料等)
1
• 非上場の大企業
– サントリー・ホールディングス(同族会社)、佐川急便・SGホールディン
グス(同族会社)
– JTB(公益財団法人日本交通公社が筆頭株主、他の株主は鉄道会
社・航空会社・銀行等)
• 上場企業の非上場化の事例
– ワールド(2005年)、吉本興業(2010年)、カルチュア・コンビニエンス・
クラブ(2011年)
– すかいらーく(2006年→2014年10月再上場)
• 非上場化の理由・促進要因
– 上場維持コストが負担
– 株式市場からの資金調達の必要性が低い
– 株式市場からの経営への干渉を避ける
• 株主からの経営への干渉を避けて、抜本的経営改革をやる
– 買収ファンドと組んで、経営改革後の再上場を目指す
– e.g.すかいらーく
• 買収の危険性を避ける
• 同族会社的経営に戻る
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• 外国人投資家増大の日本経済への影響
– 日本企業のコーポレート・ガバナンスへの影響
• Cf. 前期の「証券経済論」第1章金融仲介、金融システム
の比較(市場型と相対型)、④コーポレート・ガバナンス
機能
– 外国人投資家は日本企業の現状に対して批判的
– 2008年のアデランスの株主総会では、会社提案の取締役再任
議案が外国人株主により否決される(外国人持株比率55% )
– 2013年5月:ソニーに対し米ヘッジファンド(サードポイント)が経
営戦略上の要求
• 内向きになりがちな日本企業のガバナンスが強化され
る反面、短期的利益を求める株主の圧力が強くなると、
企業経営の視野が短期化する危険性
– 日本の株価形成への外国人投資家の影響力増大
• 外国人投資家の動きが日本の株価を大きく左右
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・外国人投資家は日本の投資家より、日本企業の
現状に対して批判的(株主の立場を強く主張)
2007年
海外機関投資家
2007年国内投資信託会
社
会社提案:買収防衛策
導入
反対82%
反対26%
会社提案:退職慰労金
支給
反対82%
反対25%
会社提案:監査役選任
反対59%
反対22%
株主提案:役員報酬の
個別開示
賛成85%
賛成56%
株主提案:増配
賛成47%
賛成32%
・日経新聞07.12.22
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• 米ヘッジファンド、サード・ポイント:企業経営に
対して積極的に物言う株主・ファンド
(
)
– サード・ポイントのローブ氏がソニーに対して(ソ
ニー株6.5%を保有)、エンターテインメント事業部
門(映画・音楽等)を分離して、上場すべきと要求
(2013年5月14日)
• 埋もれているエンターテインメント事業の価値を顕在化
させる
• ローブ氏はこれまでもアクティビストとして活動
– 2012年にはヤフーの当時のCEOを辞任に追い込み、メイヤー
氏(グーグル出身)を新CEOにし、自らも社外取締役に就任
5
– 2013年8月6日:ソニー、サードポイントの提案拒否
• エンタメ事業の分離・上場は事業間のシナジーや事業戦
略の柔軟性を失わせる
• 他の手段で資金調達は十分可能だから、エンタメ事業
の株式公開は不要
– サード・ポイント側の反応
• 「失望した。新たな選択を探していく。」
– ヘッジファンド:
• 少数の裕福な個人・法人・年金等から私募で資金を集
め、投資信託等の法的規制を免れて柔軟な投資戦略を
採ることのできる証券投資を中心とするファンド
• すべてのヘッジファンドがアクティビストという訳ではない
• サード・ポイントは運用資産130億ドル
– 2012年には買い時と考え、ギリシャ国債を大量購入、数カ月で5
億ドルの利益を獲得
6
(2)株式の流通市場
・株式市場の分類
発行市場 と 流通市場
新株が発行される市場
既発行株が投資家間で
売買される市場
• 株式流通市場の種類
①取引所市場:立会取引と立会外取引
②取引所以外での取引
(a) (上場銘柄の)取引所外取引
(a.1) 証券会社による取引所外取引
(a.2) PTS(私設取引システム)
(b) 未公開株取引市場
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②(a)上場銘柄の取引所外取引
– →取引方法の自由化: (a.1)証券会社による
取引所外取引、(a.2)PTS(私設取引システム)
の登場
–→
• (a.1)証券会社による取引所外取引
– 機関投資家や金融機関・企業による大口取引・バス
ケット取引を証券会社の店内付け合せによって行う
取引
– 取引所内外取引高の3~4%程度
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(a.2)PTS(私設取引システム)
• 電子取引による
が可能になる。ECN(電子証券取引ネットワーク)
• 米国:
– 1969年のインスティネット が最初で90年代に急増
– 既存の取引所の株式売買シェアをECNが奪う傾向
– 2005年:ニューヨーク証券取引所がECNのアーキペラゴ
を買収、ナスダック(米国店頭株式市場)がECNのインス
ティネットを買収
・PTS:Proprietary Trading System
・ECN:Electronic Communication Network
9
・
PTS Information Network
10
・日本のPTSの動向
運営会社名
対象顧客
取引時間
業務開始→停止
マネックス証券(マ 個人投資家
ネックス・ナイター)
17:30-23:59
2001.1→2011.12
インスティネット証 証券会社・機関投
券(ジャパン・クロッ 資家
シング)
8:00-17:00
2001.1→2012.5
カブドットコム証券
個人投資家・証券
会社・機関投資家
18:00-23:59
2006.9→2011.10
SBIジャパンネクス
ト証券(ジャパンネ
クストPTS)
個人投資家・証券
会社・機関投資家
8:20-16:00, 19:0023:59
2007.8→継続中
松井証券(即時決
済PTS)
個人投資家
9:00-12:00, 12:3015:00
2008.5→2011.9
大和証券
個人投資家
18:00-26:00
2008.8→2011.12
野村証券(Chi-X
Japan)
個人投資家・証券
会社・機関投資家
8:00-16:00
2011.7→継続中
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・日本のPTSの動向
• 個人投資家向けの夜間取引として始まる。
• しかし、取引高はそれ程増加せず、2011年ま
でにほぼすべての証券会社がPTSの運営業
務から撤退
• →
• 現在残っているPTSは、証券会社や機関投資
家の取引が中心
– ジャパンネクストPTS、Chi-X
– SBIジャパンネクスト証券の株主構成:ソフトバンク・インベスト
メント・グループ:53.1%、ゴールドマンサックス:38.4%、その他4社:
8.5%
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・
・米国株式取引における各種取引市場のシェア(2014年5月)
・Nasdaq、NYSE
(伝統的証券取引所)
・ATSs(Alternative Trading
Systems, PTSと同じ)
:35社が45のPTSを開設
・Other Off-Exchange:主として証
券会社の店内付け合せによる取
引所外取引
・米国では一定規模以上のPTSは
公式の証券取引所として登録が要
求される。 BATSとDirect Edge
・狭義のPTS:シェア11.3%
・広義のPTS(取引所登録を
したPTSを含む)
:シェア20%以上
清水葉子「アメリカのATS以外の取引所外取引の現状」『証券レポート』2014年8月
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・欧州の株式取引の28%はPTS
『週刊ダイヤモンド』2014.9/20
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・株式取引において、米英に比べて
なぜ日本でPTSのシェアが小さいのか?
• 米国の状況
– 規制:2005年のNational Market System規制
• 考え方:市場間競争を促進しつつ、市場間リンケージ強化により全
体を1つの市場として機能させる
• 最良気配を提示する市場に注文を回送し、売買させる(最良執行
義務)
• 自市場に新しく注文を集める必要のあるPTSにとって有利な規制
– 機関投資家・証券会社の低コスト取引に対する意識の強さ
• 日本
– 規制:2005年証券取引法改正で最良執行義務が導入
• 証券会社が価格、スピード、流動性等を総合的に考慮し、最良執
行の方針を定めることとなっており、米英に比べて価格面での最良
執行の義務付けが緩い
– 機関投資家・証券会社の低コスト取引に対する意識がそれ程強くない
深見泰孝「我が国のPTSの現状と課題について」『証券レポート』2010年8月
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