201504 msw 1

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2015年度
医 療 福 祉 論
人間福祉学部 准教授
宮 嶋
淳 (みやじま じゅん)
博 士 (ソーシャルワーク)
• 医療福祉学は、イン
ターフェイスだ。
– ヒトは体が健康である
だけでなく心が満たさ
れ、家族や友人に愛さ
れ、地域などの環境に
適応して初めて「人間」
として幸福に生きられ
る。
医療福祉学とは
• 広義には、保健医療と社会福祉を合わせてと
らえた総括的な概念。保健福祉学とも。
• 保健は、医療を除く狭義の保健サービスの意
味ではなく、保健医療の総称。
– 介護、リハビリテーション、医療ソーシャルワーク
• 狭義には、リハビリテーションや医療ソーシャ
ルワーク
山手茂の「医療福祉学」
• 医療福祉専門職のチームワークを育てる共
通基盤
• 医療福祉=保健・医療・福祉の総合
• 医療ソーシャルワーク=患者・家族を対象と
するソーシャルワーク
医療ソーシャルワークとは
• 患者とその家族がかかえる生活問題の解決
を図るために専門的援助を行うこと
• 通常は、医療ソーシャルワーカーが専門的業
務として行う。
健康の概念
• 健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会
的安寧の状態であり、単に疾病又は病弱の
存在しないことではない。
(WHO)
スピリチャルな状態
↓
人間として生きる意味など存在意義に
かかわる状態。
川村匡由・室田人志編
著(2011)『医療福祉
論-これからの医療
ソーシャルワーク-』ミ
ネルヴァ書房
医療福祉の概念
広 義
医 療
社会福祉
社会保障(制度・政策)
社会福祉(制度・政策)
狭 義
医療保険(制度・政策)
M S W
(医療ソーシャルワーク)
社会福祉サービス
医療サービス・医療費給付
医療福祉援助
(対人サービス)
患者・家族
(クライエント等)
医療福祉の目的
• 疾病の予防や治療、あるいは社会復帰を妨
げられている患者とその家族を対象として、
日常生活における様々な社会的障害の除去、
あるいは緩和を図りながら、予防や治療、リ
ハビリテーションを含めた包括的医療を国民
に権利として提供する。
医療福祉活動
• 社会福祉の専門技術
としてのソーシャル
ワークを用いる医療
ソーシャルワーカーを
中心として、保健・医
療・福祉の関係機関や
専門職種との連携・協
働によって行われる。
医療福祉の沿革
• 近代的な医療福祉の萌芽はイギリス
• 19世紀後半、アルマナーの活動から
• アメリカでは1905年、マサチューセッツ総合
病院のキャボット(Cabot, R.C.)が医療ソー
シャルワーカーを採用
• わが国では1926(大正15)年、東京・芝の済
生会病院、1929(昭和4)年、聖ルカ病院で近
代的医療社会事業が始まった。
日本のMSWの歴史
(新生期)
• 1929年:浅賀ふさ・・アメリカでキャボット、キャノンに
学ぶ。
• 1947年:保健所法
• 1948年:出淵みや~杉並保健所の専任SWr
• 1949年:全国社会福祉協議会がGHQの推奨によ
る3ヶ月間の講習会を開催
• 1951年:中島さつき~東京都衛生局で「医療社会
係り」に
• 1953年:日本医療社会事業家協会設立
• 1956年:ベックマン報告~医療社会事業の必要性
を提言
• 1972年:内田守・野村茂『医療社会事業の実際』
医療保障制度に関する勧告
• 1956年
医療における、機会の不均等である。疾病が貧困の最大原
因であることを思い、生命尊重の立場に立つならば、教育と
並んで、医療の機会均等は最優先的に重視されなければな
らぬ。しかるに、古くからの懸案である無医村の解消には、
はかばかしい進捗もなく、医療機関の偏在も是正されず、政
府はいたずらに少数の優秀病院の設立維持のみに重きを置
いているとさえ言われる。
– いかなる医療保険からも締め出されている国民が、全体の3分の1も
取り残されている。すなわち、単に零細企業に雇用されているという
ことだけで、健康保険の適用から除外されているものが、今日なお
300万人もある。その家族を合わすと、その数は恐らく1,000万人に
達するであろう。
日本のMSWの歴史
(発展期)
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1973年:老人医療無料化で「社会的入院」が増加
1977年:病院で死ぬ時代に。老人病院の増大
1980年代:交通事故による遷延性意識障害の急増等
1985年:第一次医療法改正。都道府県医療計画制度導入
1989年:医療ソーシャルワーカーの業務指針
1992年:第二次医療法改正。病院の機能分化。急性期病院
における平均在院日数の短縮化。
• 2003年:国立病院のSWrへの福祉職俸給表の適用
• 2006年:診療報酬改定による「社会福祉士」の位置づけ
• 2008年:MSWの業務「退院支援」が診療報酬に位置づけ
明治
疾病の変化
人口動態
医療体制
社会的背景と施策
急性感染症
多死多産
乳児死亡率増大
西洋医学の導入
X線の発見
開業医中心医療
公衆衛生対策
予防・防疫対策
大正期
~1940年代 慢性感染症
初期
少死多産
抗生物質や抗結核薬の発見
乳児死亡率(18.6%:1918年)
病院中心医療
結核による死=第1位
第二次世界大戦
第二次世界
大戦後
感染症の一時流行
~1950年代
戦後、べビーブーム
戦後の復興
施設内出生(4.6%:1950)
施設内死亡(11.1%:1950)
1960
~80年代
少死少産
在宅医療の推進
生活習慣病による死亡率高まる
国民皆保険
(50%超)
人口高齢化
老人保健法の成立
施設内出生(99.5%:1980)
施設内死亡(57%:1980)
超少産
高齢者死亡増加傾向
医療と福祉の総合システム
乳児死亡率(4.5%=1992)
介護保険の導入
高齢者医療制度
健康増進施策
生活習慣病
1990年代以降老人性退行性疾患
医療機関の壊滅・復興
2006.医療制度改革
• 病院に地域医療連携室を
時期
内容
1948.医療法成立 病院の施設基準整備
1985.第一次改正 都道府県医療計画整備
背景
医療へのフリーアクセス
医療機関と従事者の量的充
医療機関の地域偏在解消
1992.第二次改正 療養型病院、特定機能病院の創設
医療施設の機能の体系化
診療所への療養病床群設置
1997.第三次改正 地域医療病院制度創設
医療計画制度の充実
病床区分の見直し
2000.第四次改正 臨床研修の必修化
医療情報提供の推進
患者への医療情報の提供
医療計画制度の見直し
2006.第五次改正 医師不足問題への対応
医療安全の確保
医療従事者の資質の向上
高齢化
医療の高度化・専門化
チーム医療の進展
国民の意識の変化
安心と信頼の医療
医療費適正化