システムのモデリング

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第2週:システムのモデリング
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制御とモデリングの関係
モデリングとは
制御におけるモデリングの重要性
プロセスモデル
電気モデル
機械モデル
線形と非線形
TUT, System & Control laboratory
今週の授業の目的
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今週の大きな目的
モデリングの概念,重要性を学ぶ.また,例題から実対象
のモデリング,モデリングにおける数式について学ぶ.今週
の授業内容は,実対象から数学モデルを導出する際に利用
できる.
 モデリングの概念を理解する
 モデリングの重要性を知る
 プロセスモデルの一例を学ぶ
 電気モデルの一例を学ぶ
 機械モデルの一例を学ぶ
 線形,非線形について学ぶ
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制御とモデリングの関係
ねらいをみつける
現象をみる
モデリング
現象を解析する(計測)
因果関係をとらえる
ねらいに対して,制御できるか?
制御のコンセプト(アイデア)
制御設計(制御理論)
インプリメンテーション(アルゴリズム,プログラミング,実装化)
制御
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モデリングとは
現象の時間的変化を表現する方程式(微分方程式)をその現象
の数学モデルと呼ぶ.また,数学モデルをつくることをモデリング
という.
モデリングとは一般に考察対象の現象に応じて,質量保存則,エ
ネルギー保存則などの保存則を用いて,状態の変化を微分方程
式によって表現すること.
例えば,バネkに力Fを加えたときの変位xは
F=kx
であり,これはモデリングの一例である.また,一般的な用途とし
ては,下記のような入力xと出力f(x)の関係を明らかにして,利用
することである.
x
f(x)
f(・)
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制御におけるモデリングの重要性(1)
プラントPに入力rを入力したときの出力yは次の式,次の図である.
y=P・r
r
P
y
プラント
上記の関係で出力を目標の値にしたいとき,出力の値を確認しな
がら入力を調整しなければならない.
例:出力yの値を1にしたい.このとき入力r=1として,y=2であった.
また,入力r=2としたときは,y=4であった.これよりプラントP=2と
推測でき,入力r=0.5とすれば出力y=1を得るはず.
(実験値によるモデリングの一例)
他の出力値にしたいとき,同様の計算が必要となり,入力rを逆算
する形となる.
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制御におけるモデリングの重要性(2)
そこでコントローラ(フィードフォワードコントローラ)Cを用いる.こ
れによって y=r という関係になり,目標の出力を得る.
r
C(=P-1)
P
コントローラ
プラント
y
コントローラCがプラントPの逆数であることから,入力値を出力と
して得ることができる.プラントPを求めておけば,出力yを目標の
値にすることが容易となる.
→プラントを求めることは制御にとって非常に重要である.
もし,モデリングしたプラントPが誤差を含んでいたら?
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制御におけるモデリングの重要性(3)
r
C(=P-1)
P+DP
コントローラ
プラント
y
y  ( P  DP)  C  r
 ( P  DP)  P 1  r
 ( I  DP  P 1 )  r
誤差
目標値に対して DP・P-1・r ずれた値を得る.
モデリングでプラントPをうまく得られる場合もあるが,モデル化誤
差DPを含む場合もある.モデル化誤差を有する場合,ここで示し
ているフィードフォワードコントローラでは出力yを目標値にできな
い.
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制御におけるモデリングの重要性(4)
そこでフィードバックコントローラCを用いる.
y
r
C ( P  DP)
r
C ( P  DP)  1
C
P+DP
コントローラ
プラント
y
フィードバックコントローラCをうまく設計すれば,出力yを目標値に
することができる.(詳細,設計の仕方は制御工学設計論)
ただし,うまいコントローラを作るためにはモデリングにより求めた
プラントPが必要.
→モデリングは制御にとって非常に重要である.
物理現象から数式モデルを作るモデリングについて授業を行う.
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プロセスモデル
qi(t)
h(t)
C
A
qo(t)
水槽の断面積
: C[m2]
給水量変化
: qi(t)[m3/s]
流出量変化
: qo(t)[m3/s]
流出口断面積
: A[m2]
水位
: h(t)[m]
Δt時間の水位変化をとΔhすると,
CDh(t )  {qi (t )  qo (t )}Dt
C
dh(t )
 qi (t )  qo (t )
dt
一方,水槽の流出量変化qo(t)は,水力学の法則から
qo (t )  k h(t )
ただし,kは出口の形状係数.
1 2
gh

v
ベルヌーイの法則より
 v  2 gh
2
よって, qo (t )  Av  A 2 gh  k h(t )
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電気モデル(1)
抵抗,コイル,コンデンサが電源と直列に接続された電気回路のモデリングを
考える.
抵抗値Rの抵抗,静電容量Cのコンデンサ,インダクタンスLのコイルと電圧Eの
電源からなるRLC回路に電流Iが流れているシステムとする.
I
R
L
C
E
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電気モデル(2)
電気回路のモデリングにおいて,次の条件が必要である.
1)電流Iと電荷Qには I  Q の関係がある.
2)抵抗Rに電流Iが流れるとき, V  RI  RQ の電圧降下が生じる.
3)コンデンサC前後電圧差をVとすると,コンデンサには電荷Q=CVが蓄えられ
る.したがって,V=Q/C.
4)コイルに流れる電流をIとすると,コイルの前後において V  LI  LQ の電圧
降下を生じる.
5)キルヒホッフの法則:ある時刻における,ある閉回路まわりの電圧降下の代
数和は0である.
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電気モデル(3)
時計回りの閉回路を考え,1)~4)と5)のキルヒホッフの法則を用いると次式
が得られる.
1



LQ(t )  RQ(t )  Q(t )  E
C
4)
2)
3)
5)
初期時刻t=0における電荷Qは0,電流 I  Q も0とすると,次の初期条件が得ら
れる.
Q(0)  Q (0)  0
これらのモデリング,初期条件を用いることで,RLC回路の電流の時間的変化
や,各素子における電圧の時間的変化を数式から求めることができる.
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機械モデル(1)
バネとダンパによって指示された質量に外力が作用するバネ・マス・ダンパの
場合のモデリングを考える(下図) .これは自動車のショックアブソーバの単純
モデルに相当するものである.
ここでバネのバネ係数はk,ダンパの粘性減衰係数はc,質量の重さはm,外力
はf(t),静止位置からの質量の変位はx(t)である.外力,変位は上向きを正とす
る.
x(t)
f(t)
m
c
k
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機械モデル(2)
質量mの物体に力Fが作用したときの力方向の加速度をaとすると,ニュートン
の運動法則より,次式を得る.
F=ma
ダンパによる速度 x (t ) に比例した下向きの減衰力 cx(t ) とバネの伸びx(t)に比
例した下向きの力kx(t)が生じる.
これらをまとめた
a  x(t )
F  f (t )  cx (t )  kx(t )
をニュートンの運動法則に代入することで,次のバネ・マス・ダンパの数学モデ
ルを得る.
mx(t )  cx (t )  kx(t )  f (t )
初期変位をx0,初速度をx1とすると,次の初期条件が得られる.
x(0)  x0 , x (0)  x1
車体重量,バネ,ダンパ,外力の組み合わせを変化させて,モデリング,初期
条件に適用することで,車体の揺れの挙動を求めることができる.
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線形と非線形
線形性: f (x  y )  f ( x)  f ( y) が成立する関係
例1
f ( X )  aX
f (x  y )  a(x  y )
 ax  ay
線形
 f ( x )   f ( y )
例2
f (X )  X 2
f (x  y )  (x   y ) 2
 a 2 x 2   2 y 2  2 xy
f ( x)  f ( y )  ax 2  y 2
 f (x  y)  f ( x)  f ( y)
非線形
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