ここ - 香川大学農学部

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世界の穀物生産とバイオ燃料
アメリカの世界一のとうもろこし迷路畑
世界的にトウモロコシの需要が増大している。
その原因として近年急増しているバイオエタノー
ル向けトウモロコシ需要である。米国エネルギー
政策の転換によって21世紀に入りトウモロコシエ
タノールの生産は急増しました。それによって主
要穀物にどのような影響を与えるかについて検
討する。
バイオエタノールとは?
サトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵させ,蒸留
して生産されるエタノールを指す.一般には車などの燃料と
しての利用を意識した用語である。
バイオエタノールが期待されている理由
再生可能な生物資源から生産されているために
持続可能なエネルギーであること.
燃焼しても地表の循環
炭素量を増やさないこ
と.
しかし、食料との競合といった問題点
も指摘されている。
主要穀物の生産量について
世界の主要穀物4種の生産量の変化
(1000t)
生産量の変化
900000
800000
700000
600000
500000
400000
米
小麦
コーン
大豆
300000
200000
100000
0
かつては生産量一位だった小麦だが、1994年
以降コーンが徐々に生産量を上げ、現在では
小麦をかなり上回っている。
主要生産国の穀物生産量
生産国(米)
生産量(1000t)
%
生産国(小麦)
生産量(1000t)
%
中国
130900
30.1
中国
113000
16.6
インド
97500
22.5
インド
78400
11.5
インドネシア
36250
8.3
アメリカ合衆国
68026
10
バングラディシュ
29600
6.8
ロシア
63000
9.2
生産国(コーン)
生産量(1000t)
%
生産国(大豆)
生産量(1000t)
%
アメリカ合衆国
305319
39
アメリカ合衆国
79486
33.7
中国
156000
20
ブラジル
60000
25.5
ブラジル
55000
7
アルゼンチン
50500
21.4
メキシコ
24000
3.1
中国
16800
7.1
アメリカ、中国、インドなどが上位におり、特にアメリカ
におけるコーンの生産量は、世界全体の約四割を占
めるほどである。
アメリカのとうもろこし生産量、
バイオエタノール生産量
350000
(1000t)
300000
(万KL)
250000
2500
200000
2000
飼料等仕向用
150000
1500
エタノール仕向用
エタノール生産量
100000
1000
50000
500
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
0
アメリカでは、近年のバイオ燃料開発によって、飼料用など
のとうもろこしまでもがバイオエタノール用に転用されている。
米国のトウモロコシ生産量は世界の約4割を占める
が、そのうちの2割以上がエタノールという新需要に
とうもろこし価格高騰
大豆・小麦農家
とうもろこし農家へ
大豆・小麦などの主要穀物の生産者が減少
穀物の価格高騰
穀物などの国際価格の推移
06年半から急騰
価格変動について
在庫量+生産量+輸入量-消費量-廃棄量≒輸出可能量
になる。もちろん在庫を空にするわけにはいかないので、実際には在庫量をある
程度維持した上で輸出可能な量が計算されることになる。
・原油価格高騰を背景としたバイオ燃料需要の拡大に伴い、
バイオ燃料用の作物へ転作が起こっている
・世界的なバイオ燃料の原料としての穀物等の 需要増大
大豆・小麦は生産量の減少
とうもろこしは消費量の増加
ここ数年の間で確かに消費量は増加し、需給の関係の上では価格が上昇する要因
になりうるということが確認できた。しかしこの上昇率は近い将来における不足を予
見した上での先回り的な買い付けによる価格上昇が主要因かもしれない。
とうもろこし輸出量と在庫量
上のグラフを見ると、
・ブラジルが非常に健闘している(在庫量の増加、輸出量は少し
ずつ増えている)
・アメリカは在庫量が急減している
・グラフにはないが生産量第2位だが中国のトウモロコシ輸出
は急減しつつあり,その輸出量は03年の1,639万トンから06年
の310万トンへと大幅に減少している。
各国におけるバイオ燃料の動向
図:アメリカのトウモロコシ畑
アメリカの現状
・ 米国トウモロコシ輸出の生産量に占める割合
は今後15年度までの10年間は17.8~19.4%
とほぼ同じ水準で推移すると予測されている。
・ トウモロコシの生産量は横ばいであるため主
に家畜の飼料が減らされ2007年から2008年
の間で14%も減少しています。
・ 今後もさらにバイオエネルギーに使用される
ウモロコシの割合は増えていくと考えられて
おり価格の上昇が懸念されています。
中国の現状
• 80年代まで,主食であったトウモロコシは,80
年代半ばから飼料穀物となり,90年代半ばか
らアルコールやスターチ等工業原料としての
利用が加わり,さらに近年では燃料エタノー
ルの原料にもなった 。
• トウモロコシの生産は今後も増加するが,そ
の増加率は需要の伸びに追いつかず数十年
後には中国は輸入国化していく可能性が高
い。
日本の現状
• 日本は小麦の56%トウモロコシは90%をアメリカ
から輸入しているため価格変動の影響を受けや
すい。
• 日本国内で消費されるトウモロコシの内75%は
家畜の飼料に使われているためトウモロコシの
価格が上昇すると肉類の価格が上昇する恐れ
がある。
• 日本でバイオエタノールは試験的に少量生産さ
れるにとどまりアメリカ,ブラジル,EUに大きな差
をつけられているのが現状である。
各国の動向と将来
• 各国でバイオエネルギーが急増した理由として
考えれることは石油・ガソリンの代替燃料,地球
温暖化対策,それにともなう様々な補助金など
が理由である。
• 今後世界中でバイオエネルギーは増加するがそ
れと同時に食料とエネルギーで競争が起こると
思わる。それによる食料価格の高騰に対して各
国は太陽光発電などの再生エネルギー,廃棄物
を利用したバイオマス燃料の開発などの対策を
取っている。日本も多くの食料を輸入しているた
め速やかな対策が必要である。
参考文献
• 農林水産省 食料需給インフォメーション
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/index.html
• 九州大学農学部、農政学教室
http://worldfood.apionet.or.jp/