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在宅介護者の
ストレスマネージメント
介護ストレスを認知行動療法を用いて改善
立命館大学文学部心理学専攻
小牟禮 尚子
問題
 急速な高齢化と長寿化により高齢者介護の
問題が深刻である。在宅介護の家族負担が
増大している。
 ライフイベントにおいて高齢者の在宅介護は
人生における最大のストレスのひとつである
とされる。(Zarit & Edwards,1999)。
結果
 介護は極度の疲労、社会的孤立、経済的負
担、家族関係や仕事との葛藤などを引き起こ
し、介護者としての役割が増すにつれ、抑う
つや免疫反応の減退といった介護者の健康
は悪化される。(Coe Neufeld,1999)。
介護ストレス
 単発または短期のストレスとは異なった、蓄
積性の変化に基づく状況的ストレスを想定し
介護ストレスに適用する。心理要因のみに注
目するのではなく、生理・心理・社会モデルに
基づき介護を多次元のストレスとする拡大多
元モデルを基本とする。
先行研究
 高齢者を介護する家族の受ける負担を測定
するスケールの開発・負担に影響を与える要
因の探索を目的
 「負担感尺度」 Zarit
 「介護者を対象とした負担感尺度CBS」新名
理恵
 「介護者の受ける負担感」「介護者のバーン
アウト」中谷
 「在宅家族介護者の対処(コーピング)」和気
先行研究から
 気分転換や家族への協力依頼など積極的な
対処(コーピング)を行っている介護者ほど、
ストレス反応(抑うつ)が低く抑えられているこ
とが明らかである。
 介護者が主体的に適切な対処(コーピング)
をおこなうことによって、ストレス症状が極限
まで達してしまうことを阻止できる可能性を示
唆している
先行研究への疑問
 介護者のストレス要因探索や介護者自身の
対処法は研究されているが、実践的なストレ
スを軽減する技法(ストレス・マネージメント)
効果は検証されていないのではないだろう
か?
研究目的
 本研究では、認知行動療法においてストレス
反応の軽減に有効とされるストレス・マネージ
メントを介入することで介護ストレスに対して
のストレス軽減効果を検証することを目的と
する。
被験者
 京都市内の高齢者の在宅介護者3~5名を
被験者とする
ストレス調査内容
 介護者のストレスを分析するため、ストレッ
サー・コーピング・ストレス反応の3つの概念
を用いて分析する。
 介護者のバーンアウト・・介護者のストレス測
定のために家族介護者バーンアウト尺度
(MBI)を用いる。(中谷、1992)
独立変数
認知行動療法に基づいた介入・ストレス対処法
・介護ストレスについての認知学習
・目標設定
・セルフモニタリング
・目標達成後の自己へのご褒美によるオペラント強化
リラクセーション
・イメージリラックス・トレーニング
従属変数
 ストレス対処法→セルフコントロールの技能
によりストレス軽減
 リラクゼーション法を習得→自律神経系の働
きを整え、欝や不安などの感情をコントロー
ルする
実験プログラム
実験者
初回面接
質問紙調査
次回以降 認知行動療法
リラックストレーニング
被験者
質問紙回答
毎日目標ができたか〇×△で記録
(セルフモニタリング
1ヶ月間継続
質問紙回答
最終面接
ストレス質問紙調査
目標達成率判断
達成率に応じて自己へのご褒美
参考文献
中野 敬子(著) (2005) ストレスマネジメント入門 金剛出版
兵頭好美・田中宏二・田中共子(著)(2003)介護ストレス・サポートモデ
ルの検討 健康心理学研究 第16巻
櫻井成美(著) (2006) 高齢者を介護する家族のためのサポートグ
ループの効果についての研究 平成国際大学研究報告
石川利江・井上都之・岸太一・西垣内磨留美(著) (2003)
在宅介護者の介護状況、ソーシャルサポートおよび介護
バーンアウト
健康心理学研究 第16巻
足立淑子(編)(2001) ライフスタイル療法 医師薬出版
三田寺 祐治(著) (2002) 要援護高齢者を介護する家族介護者の介護ストレス
関する研究 淑徳短期大学研究紀要第41号
前田大作(著) 老親介護に関する態度に影響する要因の研究
Japan Lutheran College
竹中晃二(編)(2005) ストレスマネジメント ゆまに書房