情報倫理

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情報倫理
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林 隆史
情報技術と情報倫理
情報倫理の必要性
• 情報技術を円滑に使っていくために必要
• 情報技術の利用によって生じる不利益を
より少なくするために必要
情報技術と倫理
• 情報技術が倫理に影響を及ぼしている
• 倫理でカバーできない部分は法令か技術
で補っている
• なるべく倫理で対処したほうが自由にやれ
る
情報倫理は特別か?
• 基本は、通常の倫理と同じ
• 情報技術によって、普段は意識しないです
むはずの部分が問題になることがある
情報倫理は誰のため?
• 情報技術の利用者の負担を軽くするため
情報倫理とセキュリティ
• セキュリティの観点からも重要な情報倫理
• 意識的な攻撃は大変危険
• 潜在的な攻撃を防ぐ
• 不要な衝突を防いでおく
• 周囲からの援護を得るためには信用が大事
インターネットを介した
コミュニケーション
インターネットを介した
コミュニケーション
• インターネットを介していることで、生じる問
題がある
• 基本的な部分は、従来のコミュニケーショ
ンと同じ
インターネットを介した
コミュニケーション
• 匿名性
– 大きな特徴の一つ
– 本人確認のための技術は存在する
• 端末相手
• 相手の真意を推し量るのが容易ではない
メール
• 送る方は返事をするよりも楽
– すぐ返事が返ってくることを期待しがち
• 返事は手間がかかることがある
– たくさんのメールに返事をするのは大変
• メールの文章は推敲不足のものが多い
– 読む側の負担が大きくなる
メール
• 誤って送信することがある
– 初心者かどうかは無関係
• 受け取ったメールの扱い
– 勝手に公開してはいけない。
メール
• ねずみ講メールは出さない(違法行為)
• ダイレクトメールは大学からは、出さない。
プロバイダから個人として出す場合でも法
令を遵守した上で出す。
• SPAMメールは出さない
メールのフォワード
• アドレスの設定を確実に行う
• メーリングリストに入っている場合には特
に注意が必要
• 携帯などへの転送は、受け取り可能なメー
ルの量にも注意する
• あふれると、エラーメールになることがある。
ニュース
• 発言者の責任が不明確(になりやすい)
• 正しい情報を流す
• 読んだ記事を他人に紹介するときは、よく
確認する
ニュース
• 議論がエスカレートしやすい
– バックグラウンドの違い
• 文化
• 専門用語
• 攻撃をしない
– 冷静な議論
– 攻撃されても応戦しない
掲示板
• 情報の確からしさ
• 言動に責任を持つ
• 犯罪に加担しない(メール・ニュースも同
様)
掲示板
• 個人の意見か、組織を代表しているの
か?
– 書く方は、個人のつもり
– 読む方は、組織・団体と同一視しがち
• メール、ニュースも同じ
Webpage
• 不特定多数(場合によっては特定多数)の
人が見ること
• 正しい情報
• 法令遵守
webpage
• 個人攻撃の道具に使わない
• 改竄されていないか、自分で確認
顔写真などの公開
• 本人の許可
• 犯罪を誘発しない
チャット
• 攻撃的な言動を慎む
• デマを流さない
P2P
• ファイル共有の使い方に注意が必要
– 著作権で保護されているデータは、著作権者
の許可なしに、ファイル共有などを用いて、結
果的に公開してしまう様なことはしてはいけな
い。
• ソフトウェア+共有相手によっては、公開し
てはいけないようなファイルを気づかぬう
ちに共有させられていることがある。
P2P
• 映画、音楽などは特に著作権に注意する。
• 団体、組織の内部文書の要注意
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林 隆史
コンピュータ上の情報
• 他人のデータは、データの所有者が明示
的に許可しているときに初めて利用できる。
• 不必要に、他人のデータにアクセスしない。
ファイルの所有者
• 実際のファイルの所有者とシステム上の
ファイル所有者を一致させる
• サークル…退会、卒業
• 職場における異動
アクセス権
• 正しく設定する。
• システム上でアクセス可能になっていても、
むやみにアクセスしない
コピー
• 配布可能範囲を確認しておく
• 配った相手にも周知する
バックアップする
• バックアップデータは、もともとのデータ所
有者のものである
• テープやディスクを処分するときは、完全
に消去する。
データ保存
• 長期にわたって保存すべきデータは、的確
な方法で保存しておく
– メディアの耐久性
– データを見るしかけ
• CD,DVDならソフトも
• マイクロフィッシュは結構優秀
バックアップ/リストアしてもらう
• データの復元(リストア)は、結構手間がか
かる
公開
• 正しい内容
• 権利侵害をしない
• 人権
• 著作権
肖像権
• カメラなどで撮影した顔などの画像を勝手
に利用してはいけない。
• 建築物も同じ
• 教育・研究目的でもダメ
内部情報
• 外部に漏らすと、セキュリティ上問題となり
うるもの
– アカウント
• パスワード
• アカウントのリスト
• 個人名
– 外部からのアクセス方法
• ダイアルアップの電話番号など
作品、製品
ソフトウェア設計・作成
• バグを極力ださない様にする
• メンテナンスがしやすい様にする
• 他人がメンテナンスすることもある
• 数ヶ月後の自分も他人と同じ
• 設計>作成
– 設計に十分な時間と労力をかける
• 検査 》 作成、設計
– 検査も含めると 10行/日のことも
ソフトウェア設計・作成
• 使用目的をよく把握する
• 趣味、研究・開発、実用
• ソフトウェアの管理にかかるコストを見積
もっておいて、それを相手に示す。
• 機器組み込みソフトは、ユーザが存在を認
識していないことがあるので注意が必要。
バージョンアップなどを的確に連絡する。
ハードウェア設計・作成
• 相手の必要とする機能を的確に実現する
• 必要十分な機能と十分な安定性
– 高負荷に対する耐性
– 様々な使い方を想定しておく
ソフトウェアの利用の仕方
• どの程度の保証があるかを調べてから使
う。
• 他の人に使わせるときは、事前に、保証範
囲や不具合について知らせるか注意を促
す
• ソフトウェア利用に関して発生する手間を
よく検討する
ソフトウェア利用
• あらかじめ、管理コスト(手間、バージョン
アップ代)を考えておく
• ルーターなどにもソフトははいっている。
ハードウェア利用
• 機能、性能を十分把握しておく
• 機能の豊富さだけはなく、安定性も大事
コンピュータ資源の利用
アカウントとパスワード
• 自分だけのものではない
• 一人のパスワードがもれると、他の人も危険になる
ディスク
• むやみに使いすぎない
– 不要なものは消していく
• 共用ディスクに不必要な負荷をかけない
CPU
• 占有しない
• 必要度に応じて、優先度を変える
– UNIXのniceコマンド
– GRID
メモリ
• 使いすぎない
– ソフトを使うときも
– ソフトを作るときも
帯域
• 一人占めしない
• 幹線は多くの人が使うので、一人あたりの
帯域は狭くなる
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林 隆史
セキュリティ
最も危険な攻撃
• 特定の価値観に基づいた正義感をベース
にした攻撃
• 恨み
incident防止
• 攻撃を誘発しない
• ネットワーク外で、不要な争いをしない
• 攻撃の大義名分を与えない
自力救済
• いかなる理由があっても、ネットワークなど
を使って、仕返しなどをしてはいけない。
情報配布
• システムやぶりのための情報をむやみに
配布しない
• 警告のために公開するときは、方法まで示さない
セキュリティ関連情報
• security incidentを誘発しない様に注意して、
必要なところにのみ正しく周知する。
機密情報
• 配布しない
– 権限のない人がアクセスできるところに置いて
おくのもよくない
メール
• 相手を傷つけないように、表現に気をつけ
る。
• すぐに怒らない
メール
• ダイレクトメールなどを送らない
– 送るときは法律を遵守する
メールアドレス
• 他人のメールアドレス
を本人の了解なしに
人に教えてはいけな
い。
• メールのアドレスは、性
別などが判別できない
ものの方がよい。
怪しいメールには反応しない
• SPAMや不適切な内容、不愉快なメールが
来ても、直接返事をしない
• 必要なら、メールが来たところの管理者に
連絡する。
• 必要に応じて、警察などに通報する
最低限のコンピュータ管理
incidentを防ぐために
ファイル
• アクセス権設定には気をつける
• アクセス可能だからといって、中を覗かな
い。
弱点のあるホスト
• 自分のデータなどが危険にさらされるだけ
ではない。
• 攻撃に利用される。
• サイトごとインターネットからはじきだされる
攻撃ホスト(なりすまし)
• セキュリティ管理がしっかりしていなと、コ
ンピュータなどを他人に乗っ取られて攻撃
につかわれる
• 被害者のはずが加害者になってしまう。
ポート
• 現行の多くのコンピュータが通信にポート
と呼ばれるものを使っている。
• むやみに使うと侵入と間違われる
• 他からのアクセスを侵入と早合点してク
レームをつけない。疑わしいアクセスを拒
否するのはよいが、すべてを侵入だときめ
つけて苦情を言うのは好ましくない。
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林 隆史
専門家
専門家としての姿勢
• 世間知にまどわされない。
• 「○○だから(絶対)□□だ」ということを安
易に鵜呑みにしない。
• コンピュータだから間違わない
• オープンソースだから安全だ
• ファイアウォールがあるから安全だ
誤った世間知
• 誤った世間知に惑わされたり、広めたりし
ない。
• 情報関連分野は、非常に広い
• よく知らない分野の話は、鵜呑みにすると
危険
• 新聞、テレビ、雑誌(専門雑誌を含む)
専門家としての姿勢
• コンピュータは、広く生活に浸透してきてい
ることを考えて慎重な態度をとることが望
ましい。
• 専門家の誤った発言は、非専門家を介し
て、社会的な決定に悪影響を及ぼす危険
性がある。
専門家としての姿勢
• システムによって向き不向きがあることを
自覚する
• 並列化に向いたものと向かないもの
• 分散システム向きのものと集中システム向きなも
の
• 特別な知識がないと使いこなせないものも
ある
• IDS(侵入検知システム)
プロのソフトウェア作成
• 作成するソフトの用途をよく検討する
– どのくらいの間、使われるか?
– 誰が使うのか?
• 使う人のスキル
• どこまで責任を持つかをはっきりとさせて
おく。
• 工期の適切な把握(過小・過大見積りをし
ない)
プロのソフトウェア作成
• 実際のプログラミングよりも、設計、テスト
の比重が大きくなる。
• 言語や開発環境、実行環境によって異なる
• 十分なテストをしてからリリースする。
製品テスト
• 様々な利用形態を想定して、十分なテスト
を行う。
システム設計
• システムを利用することによって発生する
手間もよく考える。
• システムのメンテナンスまで含めてよく検
討する。
システムサポート
• 一番大事な仕事の一つ
• システム設計にフィードバックする
• 工業倫理・科学倫理の多くは、そのまま情
報倫理にも適用される
製品
• 本当に、ユーザにとって利益となるのか?
• 特に新技術には、注意が必要
• 熟慮断行
セールス
• 自分自身が使うことを想定した上で、責任
ある行動をとる
• 技術的なことは、しっかりと確認しておくこ
と
クレーム
• クレームをつけるときは、技術的な点の確
認をしっかりとする
• 感情的にならない
工業倫理・科学倫理
• 多くの学会が倫理規定を持っている
ソフトウェア
• 演習室などにインストールされているソフト
ウェアの一部は、大学内でのみ利用が許
可されている。
著作権
• downloadの仕方を含めて確認が必要
• 作成者がどの様な要求をしているかを確
認
• 無責任にfreeであるとしてリンクしていることがある
著作権
• ファイル交換で、知らないうちに著作権を
侵害しないようにする。
• 著作権の保護の仕方に異議がある場合は、
裁判などを通じて行う。
何が正しいか?
• 複数の倫理(正義)がぶつかることもある。
自分の責任で、どの立場をとるかを選び、
その結果にも責任を持つようにする
「自己責任」
• 「自己責任」は非常に難しい
• 自己責任の範囲を拡大しすぎると
• 不幸な人が増える
• 結果的に、システムが不安定になっていく
• 自己責任の範囲を縮小しすぎると
• システムの管理コストが増大
• 結果的に、システムが不自由なものになっていく
より的確な判断を下すために
• 判断のもととなる確かな知識+経験+判
断力
情報倫理についての合意形成
• ネットワークで結ばれている以上、なんら
かの共通ルールが必要
• 文化、宗教、価値観などが異なっていることのある
ことを認める