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自己重力多体系の
1次元シミュレーション
物理学科4年
宇宙物理学研究室
丸山典宏
自己重力多体系
=
重力の相互作用がはたらく多数の質点からなる系
宇宙の様々なスケールの天体の理想的なモデルになる
• 球状星団 (約105個の恒星の集まり)
• 銀河 (約1011個の恒星の集まり)
• 宇宙の大規模構造 (ダークマター等の粒子の分
布として捉える)
系の現実の時間発展は物質のミクロな運動によって決定される。
系に含まれる粒子の数が非常に多い場合は、一般に
我々は統計的な手法を用いて、系をマクロに扱う。
自己重力多体系
通常の物質
重力は長距離力であり、系内のすべての粒子
粒子はごく近くにしか相互作用しない。
どうしが相互作用をする。
マクロな物理量の進化はミクロの力学とは独立に決定出来る。
マクロの力学はミクロの力学と切り離して考えることができない。
通常とは異なる熱力学的特徴?
統計力学、熱力学
物理量
(密度、温度、
圧力etc…)
まず、個々の粒子の運動方程式を決定し、その
運動を計算することによって系全体の時間発展
を調べる。
今回は、1次元の系について扱った
• 1次元系は位相空間がコンパクトであるため扱いやすく、
力の法則も簡単なため系の時間発展を正確に追跡し
やすいというメリットがある。
• 一方、1次元の重力の性質は、3次元のそれとは異な
り、自己重力多体系の性質の一部は失われてしまうと
考えられる。
モデルと基礎方程式
• 図のように、質点の集合であるシートがx軸にそって
並んでいるモデルを考える。
• モデルは原点について対称。
• シート同士は衝突せず、すり抜けると仮定する。
i 1
2
3
・・・・・・・・・
iN
x
x0
• 1枚のシートが周囲に作る重力加速度gは、ガウスの法
則と同様にして
g
S
面密度σ
g
 2Sg  4GS
 g  2G
シートjがシートiの単位面積あたりに及ぼす重力加速度は
 2G ( x j  xi )

gij  
0
( x j  xi )
  2G ( x  x )
j
i

2G
x
 2G
xj
よって、シートiの運動方程式は
2
d xi (t ) 2 N
  gij  2G (2mi 1)
2
dt
j i
打ち消しあう
1
・・・・・・
・・・・・・
2
N
i
・・・・・・
・・・・・・
x
mi枚
エネルギーについて
時刻tに、シートiの持つエネルギーは
 i (t ) 

2
vi (t )  2G
2
2N
2
 x (t)  x (i)
j
j 1
i
系全体のエネルギーは
E(t ) 

2N
v

2
i 1
i
2
(t )  2G
2N
2
 x (t)  x (t)
i j
j
i
モデル1:密度一様
モデル1:密度一様の場合
Nˆ (x)
…
Nˆ (x) は、あるxまでに含まれる粒子
の累積数
N
h
…
x
0
xi (0)  (i  )h (i  1,2,3,N )
1
2
解析解が存在する
x
モデル1:密度一様
解析解
2
d xi (t )
 2G (2mi 1)
2
dt
xi (0)  (i  12 )h
(i  1,2,3,N )
vi (0)  0
より、あるシートがx(t)=0となる時間tcはiに依存せず、
 2G 
tc  

 h 

1
2
 2G 
1

2
tcを用いて、
時間を規格化する
(ρは平均の密度)
モデル1:密度一様
• t=tcで、全てのシートがx=0となり、落下の途中
で他のシートに追いつくことは無い。
• シート同士は衝突しないので、全てのシートは周
期T=4tcで振動を続けると考えられる。
N=3 の場合
各定数は
x
  0.1
G 1
tc
モデル1:密度一様
位相空間内でのシートの運動
(N=100)
t tc  0.0
t tc  0.8
t tc  1.6
t tc  3.2
t tc  4.0
v
x
t tc  2.4
モデル1:密度一様
各時刻でのシートの分布
t tc  0.8
t tc  0.6
t tc  0.4 t tc  0.2
t tc  0.0
Nˆ (x)
x
モデル2:中心高密度
モデル2:中心の密度が高い場合
Nˆ (x)
N
…
…
x
x
0
1
(
i


2) 
xi (0)  tan 

2 N 
i  1,2,3N 
モデル2:中心高密度
位相空間内でのシートの運動
(N=1000)
t tc  0.0
t tc  1.0
t tc  2.0
v
x
t tc  3.0
t tc  4.0
tcは中心の密度を
元にしている。
モデル2:中心高密度
各時刻でのシートの分布
Nˆ (x)
x
モデル2:中心高密度
各時刻でのシートの分布
t tc  50
Nˆ (x)
x
モデル2:中心高密度
中心から一定数番目のシートの座標
x
t tc
考察:シートの分布の緩和について
• 初期では、中心の密度が高まり、その高密度領域
が外側に伝わるような形で、系全体に広がっていく
ように見える。
• 各シートはそれぞれ振動しながら、時間の経過とと
もに中心から緩和されていく。
• シート同士は衝突しないが、外側にあるシートと中
心付近のシートとは重力によって相互作用をしてい
る。そのため、系は緩和に向かっていると思われる。
APENDIX
自己重力多体系とは?
互いに重力を及ぼしあう多数の質点によって構成
される系
m1m2
F G 2
r
• 系の現実の時間発展は物質のミクロな運動に
よって決定される。
• しかし、系に含まれる粒子の数が非常に多い
場合は、一般に我々は統計的な手法を用いて、
系をマクロに扱う。
=熱力学、統計力学
銀河などの自己重力多体系でも、液体や気
体といった通常の物質と同様に統計的な手法
を用いることが出来る?
液体、気体といった通常の物質
粒子はごく近くにしか相互作用しない。つまり、局所的な平衡は近
くの粒子の状態によって決まる。
マクロ的な物理量が、力の及ぶ範囲よりはるかに大きなスケール
内での平均によって決められるのならば、その物理量の進化はミ
クロの力学とは独立に決定することが出来る。
物理量
(密度、温度、
圧力etc…)
自己重力多体系
重力は、1/r ポテンシャルで表現される長距離力であり、その力は
引力のみである。つまり、個々の粒子の運動は系内の他の全ての
粒子からの力の合計によって決定される。
マクロの力学はミクロな力学と切り離して考えることができない。
=通常とは異なる熱力学的特長を持つ。
物理量
(密度、温度、
圧力etc…)
モデル2:中心高密度
エネルギーの分布
各エネルギーは、log(t/tc)に比例して減少
考察1:シートの分布の緩和について
• 初期では、中心の密度が高まり、その高密度領域
が外側に伝わるような形で、系全体に広がっていく
ように見える。
• 各シートはそれぞれ振動しながら、時間の経過とと
もに中心から緩和されていく。
• シート同士は衝突しないが、外側にあるシートと中
心付近のシートとは重力によって相互作用をしてい
る。そのため、系は緩和に向かっていると思われる。
エネルギーの再分配は、
どのように行われているのだろうか?
考察2:エネルギー分布の時間変化
• 中心付近のシートは時間の経過と共に重力
を通じてより外側のシートにエネルギーを受
け渡す。
• その結果、シートは中心付近へと落ち込み、
高密度の領域が形成され、その後、緩和して
いるように見える。
以上のような緩和過程、エネルギーの再分配
の性質は、通常の熱統計力学では見られない。