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誘電性とは?
• 電場をかけても電気は流れず、
+電極側に負電荷粒子が、
-電極側には正電荷粒子が移動(分極)する現象
(荷電粒子は移動するだけであり、電気は流れない)
• 誘電性には
電場を取り去っても分極が保持される場合と、
電場を取り去ると分極が消滅する場合の
二通りがある
参考:導電性に関して物質を分類すると、
導体、半導体、絶縁体
に分けられる
誘電体
• 電場を掛ける前の電荷の状態
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
• 電場を取り去った誘電体の電荷の状態
+
+
+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-
-
-
電荷は移動するが、流れるのではない
電子の位置が若干変位(正負の電荷位置がずれる)
分極
誘電体(電気を流さない性質は絶縁体と同じ)
誘電体:電場によって正の電荷、
および負の電荷をもつ粒子が位置を変える
絶縁体:電場によって電荷の位置は変わらず、移動もしない
+
+
+
+
+
+
-
-
-
++
+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-
-
-
導体の場合
-
-
-
誘電体の場合
• 誘電体は電気を蓄えることができる
(絶縁体は電気を蓄えることができない)
• 電荷担体のずれが保持されたまま(分極状態)
(電気)分極
• 分極:電場によって正負の電荷位置がずれること
(双極子モーメント)
• 電気双極子:位置が若干ずれた状態にある
正負電荷のペア
• 誘電性:分極が誘起される性質のこと
• 4種類の分極:電子分極
イオン分極
配向分極
空間電荷分極
分極状態保存の有無
• 電場をかけたときの分極状態が保存されない場合
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
電場をなくすと、電場をかける前の状態に戻る
• 電場をかけたときの分極状態が保存される場合
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
-+ -+ -+ -+ -+ -+
電場を取り去っても
電場をかけた状態のまま(分極状態が保存されている)
電気を溜めていることになる
分極の種類
• 電子分極:電子と原子核が反対側に移動
原子の場合
+
-
• イオン分極:陽イオン、陰イオンが反対側に移動
+
• 配向分極:後述
• 界面分極:後述
-
イオンの場合
誘電体材料の代表:BaTiO3
ペロブスカイト型化合物
Ba2+:0.135nm
O2-:0.140nm
Ti4+:0.086nm
問 上記の半径を考慮して、BaTiO3の立方晶が安定である
のか否かについて検討しなさい。
BaTiO3焼結体の分極
問 p.167図6.7を参考にして正方晶系BaTiO3の単位格子の
分極方向を記しなさい。ただし、電荷の偏りと矢印の向きは
下のとおりとする。
+
-
BaTiO3焼結体の分極
問1 前の正方晶単位格子を念頭におき、下図のBaTiO3焼
結体の二次元平面図に、各粒子の分極方向を記しなさい。
模式図
問2 上下に電極を付与し、上に+、下に-電圧を掛けた場
合の各粒子の様子の変化を図に記しなさい。
-
+
誘電率と容量
• コンデンサ(キャパシタ)(誘電体の応用例)の基礎
• 印加電圧に比例した電荷を蓄える素子
電荷
+-
+
-
+ -
-
Q=CV
(単位:[C]
クーロン
[F] [V] )
電気容量
電圧
ボルト
ファラッド
1[C] :1[A]の電流が1秒間流れた時の電荷
比誘電率
• 空気(真空)の誘電率:8.854×10-12[F/m]
容量
C = ε×S/d
C:静電容量「F」 F:ファラッド
S:電極面積「m2」
d:電極間距離[m]
εの単位:[F/m]
• 誘電率(ε)と比誘電率(εS )
ε = εs ・ ε0
ε 0 :真空の誘電率
(8.854×10-12[Fm-1])
問題:電極面積が1.0cm2、電極間距離が1mmである場合、容
量が8.854[nF] であるコンデンサの比誘電率を求めなさい。
誘電率の計算
[問題] 比誘電率が100である酸化チタン、およ
び比誘電率が10000であるチタン酸バリウムが
ある。これら2種類の材料を、電極面積1.0[cm2]
の2枚の電極間(1.0[mm])に挟んでコンデン
サを作製した。こうして得られた2種類のコン
デンサの容量[F]を求めなさい。
高容量の誘電体を得るための方法
[問題]
1 比誘電率が1000である材料を用い、面積が
1.0×10-4 [m2]で厚さが1.0×10-3[m]の平板の両
側に電極を設けてコンデンサを作った。このコン
デンサの容量[F]を求めなさい。
2 1と同じで厚さが1.0×10-4[m]である場合の容
量は?
3 2と同じで面積が1.0×10-3[m2]である場合の容
量は?
積層コンデンサ
• 積層コンデンサの断面図
電極面積:S
1層の厚さ:t
全体の厚さ:5t
• 単層コンデンサの断面図
単層の場合
電極面積:S
厚さ:5 t
積層コンデンサ
• 同じサイズで大容量化が可能
構造の概要
[問題] ある物質を用いてコンデンサ(容量B[F])を
作った。 この時の物質の大きさは、1.0cm角で厚さ
が1.0mmである。この材料の大きさを①~⑤のよう
に変更した場合のコンデンサの容量を求めなさい。
① 厚さは変わらず、面積を2倍にしたもの
② 面積を2倍にし、厚さを2倍にしたもの
③ 面積を2倍にして、厚さを1/2倍にしたもの
④ 面積は1.0[cm2]に戻し、厚さを1/20倍にしたもの
⑤ ④を20層重ねたもの
積層コンデンサに関する問題1
[問題] ある物質を用いてコンデンサ(容量B[F])を作っ
た。 この時の物質の大きさは、1.0cm角で厚さが
1.0mmである。この材料の大きさを①~⑤のように変
更した場合のコンデンサの容量を求めなさい。
① 厚さは変わらず、面積を2倍にしたもの
② 面積は2倍のままで、厚さを2倍にしたもの
③ 面積は2倍のままで、厚さを1/2倍にしたもの
④ 面積を変えずに、厚さを1/20倍にしたもの
⑤ ④を20層重ねたもの
大容量化が可能に!
薄膜化物質を重ねると小型・
軽量化が同時に達成される!
誘電体の種類
• 常誘電体:電場によって分極するが、電場がない
場合には分極しない(線形型・非線形型)
• 強誘電体:
• 半強誘電体:
• フェリ誘電体:
問題 常誘電体、および強誘電体が示す誘電性のなかで、
最も特徴的な相違点を説明しなさい。
セラミックコンデンサ用化合物
•
•
•
•
TiO2
CaTiO3
SrTiO3
BaTiO3
・
・
・
有機物や非晶質に比べて比誘電率が大きい。
特に、BaTiO3 ! !
強誘電体の履歴現象
• 分極処理(A→B→C)
• 分極処理後(C→D→F→G→H→I→C→{繰返し})
P (C/m):分極
E
C
B
D
F
I
E (V/m):電界
A
自発分極:E点の分極値
残留分極:D点の分極値
G
H
抗電場:残留分極が零になる電圧
自発分極が生じる理由
• 永久双極子の影響
• 双極子とは?
• 正方晶形単位格子を有する物質を考える
単位格子を分極した場合は、
右図のように分極:
• 上記のような単位格子を含む焼結体中の粒子に方向
性はなく、粒子内に存在する分極方向はバラバラのは
ず(物質は、様々な方向の分極域からなる)
• これに分極処理を施すことによって、電場方向と整合性
のある分極域が増える(教科書p. 34図2-7)
誘電体材料の代表:BaTiO3
• ペロブスカイト型化合物
問題:立方晶BaTiO3型の単位胞を描きなさい。
Ba2+:0.135nm
O2-:0.140nm
Ti4+:0.086nm
誘電損失
• 電界の応答について行けない場合、
分極に遅れが生じる
• 誘電率は低下
• 誘電体に蓄積されなかった電気エネルギーは消失
誘電損失(熱として放出される)
誘電率の計算
[問題]
空気の誘電率[F/m]を求めなさい。
[問題] 比誘電率が100である酸化チタン、および比
誘電率が10000であるチタン酸バリウムがある。
これら2種類の材料を、電極面積1.0[m2]の2枚の
電極間(1.0[m])に設けた。こうして作製したコ
ンデンサそれぞれの容量[nF]を求めなさい。
積層コンデンサに関する問題2
問題 ある物質を用い、1.0×1.0[cm2]で厚さが1.0mm
(S=10-4 [m2]、d= 10-3[m])のコンデンサを作った。
また、同じ物質を用いて作製した10.0[μm]の厚膜に
極薄(厚さを無視する)の電極を塗布し、これを重
ねて上記コンデンサと同寸の積層コンデンサを作製
した。内部電極の重なり部分の面積が90%であるとし
て、これらふたつのコンデンサの容量を比較しなさ
い。
積層コンデンサに関する問題3
問題 前頁と同様な積層構造において、比誘電率が
1000で厚さが2[μm]の厚膜を積層して同寸法のコン
デンサを作製した。こうして得られるコンデンサの
容量[F(ファラッド)]を計算しなさい。ただし、電極
の有効面積は厚膜面積の80%であるとする。
積層数を増やすことによって、
更なる小型軽量化が可能に!
コンデンサ容量
コンデンサの容量(C)は電荷(Q) の蓄積と電極
間の電圧
(V )で測定される。
C=Q/V
SI単位系では容量はファラッドを単位とする。
通常は、マイクロファラッド(µF), ナノファラッド
(nF), 或いはピコファラッド (pF)を用いる。
容量は電極の面積に比例、電極間の距離に
反比例する。同様に誘電体の誘電率にも比例
する。
平行に配置された電極板のコンデンサの容量
は:
C = e A/d ( ただし、 A 》d 2 )