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星間物理学 講義4資料:
星間ダストによる散乱・吸収と放射 1
星間ダストによる減光(散乱・吸収)過程、放射過程のま
とめ、およびダストに関わるいろいろ。
2011/11/09
ダストによる減光 : カリーナ星雲の可視光での画像
赤色はHa 輝線の画像で若い星の周りにある HII 領域を表す。
ダストからの放射 : カリーナ星雲の赤外線での画像
スピッツアー衛星による 3.6um(blue) 4.5um(green) 8.0um(red) の合成画像。
赤色の光はダストからの放射による。
ダストによる減光 :
M20 の可視光での画像
赤は Ha 輝線
ダストによる減光とダストからの放射
M20 のスピッツアー衛星
による
3.6um (blue)
4.5um (green)
5.8+8.0um (red)
の合成画像
:
ダストからの放射 :
M20 のスピッツアー衛星
による 24um の波長の画像
ダストによる減光
:
Mie 理論で計算された 1球状粒子による吸収、散乱
波長が長い(粒子が波長に比べて小さい)と減光効率は小さい。a / lamda ~ 1 で最大。
波長が短くなる(粒子が波長に比べて大きくなる)と減光効率は1に近づく。波長依存
性がなくなる。
Rayleigh scattering
銀河系のダストによる減光曲線
:
さまざまなサイズのダストの重ね合わせ
さまざまな星の方向に対して推定された減光曲線。方向によって紫外線での吸収曲線の形が顕著に異
なる。
E(B-V) = AB – AV, Rv=AV / E(B-V) で曲線の形が記述される。Rv~3.1 が平均的。
Draine 2003, ARAA, 41, 241
Mathis 1990, ARAA, 28, 37
ダストのサイズ分布 : 銀河系の方向によって減光曲線の形は異なる
べきが -3.5 の power-law で表せる(Mathis et al. 1977, ApJ, 217, 425; MRN
model)。減光曲線の形状からサイズ分布を推定することができる。
Kim, Martin, Henry, 1994, ApJ, 422, 164
銀河系のダストからの放射とダストの組成
観測された高銀緯領域の銀河系のダスト放射のスペクトル(データ点)とそれを再現するダストの組
成のモデル。中間赤外線では小さいサイズの炭素系ダストの放射が支配的である。小さいサイズの
ダストは熱平衡状態にはない。遠赤外線ではより大きなサイズの炭素系、シリケイト系ダストの放
射が支配的である。このようなダストの混ぜ合わせで銀河系の吸収曲線も再現される(次のページ)。
Li & Draine 2001, ApJ, 554, 778
銀河系のダストによる減光曲線のモデル
ダストによる紫外線、可視域から赤外線にかけての減光曲線をダストの組成から推定したもの。
紫外線では 2175A のフィーチャーが特徴的。 このフィーチャーの起源については PAH が有力である。
10um
付近で silicate の吸収が顕著になる。
AK/AV=0.15, A(10um)/AV=0.01、可視波長域で 1mag の減光に対して、近赤外線では 0.15mag、中間赤外線
では 0.01mag の減光しかない。
Li & Draine 2001, ApJ, 554, 778
Draine&Lee 1984, ApJ, 285, 89
ダストによる減光 : 全体でみた場合、吸収と散乱の効果の比較
特に紫外線波長域で吸収が顕著になるが、可視波長域では散乱のほうが寄与が大
きい。より長い波長になると再び吸収の寄与が大きくなる。
Draine 2003, ARAA, 41, 241
ダストによる散乱 :
青く広がっている領域は
ダストによる散乱:
反射星雲
ダストによる散乱 :
H-band で見られる星の周りの
ディスク構造もダストによって散
乱されたひかりを見ている。
Fukagawa et al. 2004, ApJ,
605, L53
ダストによる減光 : 実際に観測されている赤外線波長域での吸収バンド
NGC7538 IRS9 という原始星の観測に見られる赤外線での吸収フィーチャー、
3.0um に H2O の吸収、9.7um、18um に Silicate (Si-O stretch, bending) の
吸収が見られる。
Whittet et al. 1996, A&A 315, L357
ダストによる減光 : 赤外線波長域での吸収バンド
銀河系中心にある Sgr A* を観測して見られるダストによる赤外線での吸収
フィーチャー、3.0um に H2O の吸収、9.7um、18um に Silicate (Si-O
stretch, bending) の吸収が見られる。
Chiar et al. 2000, ApJ, 537, 749
Gibb et al. 2004, ApJS, 151, 35
環境によるダストの性質の違い
:
銀河毎のダスト減光曲線の違い
小マゼラン雲の中のダストでは “UV bump” の構造が見られない。
Starburst + Blue Compact Galaxy の減光曲線も SMC に似て UV bump が見られない。遠
方星形成銀河のダスト減光補正にはこのカーブが用いられる。Balmer decrement の大きさ
に応じて分類したサンプル毎の平均スペクトルの違いから求められた。
Galliano et al. 2005, A&A, 434, 867
Calzetti et al. 1994, ApJ, 429, 582
星の連続光に対する減光量とラインに対す
る減光量の違いもあり、色超過で半分。
環境によるダスト性質の違い :
ら調べて減光曲線を推定する。
他の銀河でのダストの性質を赤外線SEDか
PAH:
Very Small Grains: 1.2nm<a<15nm
Big Grains: 15nm<a<110nm
Galliano et al. 2003, A&A, 407, 159
環境によるダストの性質の違い
Wang et al. 2004, ApJ, 609, 589
:
2175A feature in high-z objects ?
Noll et al. 2009, A&A, 499, 69
ダストからの放射 : オリオン星雲の赤外線でのスペクトル
アモルファス Si
アモルファス Si @80K
アモルファス Si @130K
アモルファス C @300K
アモルファス C @85K
アモルファス C @155K
Cesarsky et al. 2000, A&A, 358, 708