銀河系内の空間スケールを理解する。

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Transcript 銀河系内の空間スケールを理解する。

星間物理学 講義1:
銀河系の星間空間の世界
太陽系近傍から銀河系全体への概観
星間空間の構成要素
2012/10/03
太陽系近傍の中性ガス(T<1000K)の分布の様子 : Local bubble ?
Hipparcos の観測による年周視差で太陽からの距離のわかっている星について NaI D-line (5890A) の吸収線の深
さから中性ガスの柱密度を測定。太陽の周りのそれぞれの方向について中性ガスの分布を出す。
銀河面上の方向
Welsh, Lallement et al. 2010, A&A, 510, A54
似たような仕事:
Lallement et al. 2003, A&A, 411, 447
Paresce 1984, AJ, 89, 1022
Sfeir et al. 1999, A&A, 346, 785
Vergely et al. 2001, A&A, 366, 1016
銀河面に垂直の方向
コントアは Log n(NaI) = -9.5 - -7.8 cm^-3
それは HI のガスの量に直すとおよそ
Log n(HI) = -1.0 – 0.7 cm^-3
に相当する。
太陽系近傍の中性ガス(T<1000K)の分布の様子 : Local bubble ?
紫外線に見られる HI (Lya), H2 の吸収線から推定された柱密度と NaI D 線の柱密度の比較。NaI D 線の観測で
中性のガスを捉えることができる。
太陽組成を仮定した場合の関係
電離された Na の成分があるので完
全には合わず散らばりも大きい。
Bohlin et al. 1983, ApJS, 51, 277
Sfeir et al. 1999, A&A, 346, 785
Ferlet et al. 1984, ApJ, 298, 838
太陽系近傍の星のダスト吸収の分布 : Local bubble ?
Hipparcos 衛星の観測による年周視差で太陽からの距離のわかっている星について 赤化量を求めてそれぞ
れの方向についてダストの柱密度を推定した結果。それぞれの点が測定に用いた星に対応し、黄色か紫色、
黒色になるにつれて吸収が大きくなることを示す。
銀河面上の方向
Reis et al. 2011, ApJ, 734:8
太陽系近傍の星のダスト吸収の分布 : Local bubble ?
Hipparcos 衛星の観測による年周視差で太陽からの距離のわかっている星について 赤化量を求めてそれぞ
れの方向についてダストの柱密度を推定した結果。それぞれの点が測定に用いた星に対応し、水色から紫
色に向かうにつれて赤化量が高いことを意味する。黒点はデータのない箇所を示す。
銀河面上の方向
銀河面に垂直の方向
Vergely et al. 2010, A&A, 518, A31
Frisch et al. 2007, Space Sci Rev, 130, 355
太陽系近傍の高温度(10^6K)ガスの分布の様子 : Local Bubble ?
0.25 keV のソフトX線での背景放射観測により推定される高温ガスマップ。ソフトX線での背景放射は銀極方向
が強い。ソフトX線は logNH(cm^-2)~20 程度で吸収されるので太陽近傍での放射を見ていると仮定している。高
温ガスは一様な温度(10^6.0-6.1K, R1/R2 比で推定)と密度(log ne=-2.3 cm^-3)を持ち強度は視線方向の深さに
よって決まる、と仮定して求めた。銀河面の垂直方向に広がる構造が推定される。ただし太陽風に伴う放射の寄
与も示唆されており、温度などについて議論がある。
Snowden et al. 1998, ApJ, 493, 715
Snowden et al. 1990, ApJ, 354, 211
太陽系近傍のHI ガスシェルの分布の様子
HI ガスのマッピングによって見えてきたガスシェル。
Heiles 1979, ApJ, 229, 533
太陽系近傍のHI ガスシェルの分布の様子
HI ガスのマッピングによって見えてきたガスシェル。それぞれのガスシェルまでの距離は Fich et al. (1989)
の銀河系回転曲線を用いて推定した。
McClure-Griffiths et al. 2002, ApJ, 578, 176
Heiles 1984, ApJS, 55, 585
太陽系近傍のHI ガスシェルの分布の様子
観測されたサイズと膨張速度を超新星残骸のモデルと比較して決めた年齢は 1-10Myr。シェルを生成する
のに必要なエネルギーは 1 – (a few 100s) x 10^51 erg。
McClure-Griffiths et al. 2002, ApJ, 578, 176
太陽系近傍の分子ガスの分布の様子
広い視野の CO 分子輝線探査で明らかになった太陽系近傍の分子雲の分布。
Dane et al. 1987, ApJ, 322, 706
太陽系近傍の星、星形成領域、などなどまとめ
緑:分子雲
水色:個々の星
オレンジ:星団
赤:超新星残骸
http://galaxymap.org
太陽系近傍の星、星形成領域、などなどまとめ
http://galaxymap.org
HI ガスの分布から見た銀河系の構造
Oort et al. 1958, MNRAS, 118, 379
Nakanishi et al. 2003, PASJ, 55, 191
HI ガスの分布から見た銀河系の構造
Nakanishi et al. 2003, PASJ, 55, 191
HII 領域の分布から見た銀河系の構造
星形成領域(HII領域, 分子雲)の分布、銀河回転を仮定して距離を推定している。星の明るさで距離を確認。方向と
合わせて銀河系内での位置を推定した結果。
銀河系平面からずれている様子。= “ warp “
励起パラメータが大きい(=たくさんの若い星を持つ)領
域を大きい印でプロットしてある。実線は4本アームで
フィットした結果。
Russeil 2003, A&A, 397, 133
初期の仕事:
Georgelin&Georgelin 1976, A&A, 49, 57
似たような仕事:
Paladini et al. 2004, MNRAS, 347, 237
分子ガス(CO)の分布から見た銀河系の構造
Dane et al. 1987, ApJ, 322, 706
さまざまな波長で見た銀河
外から見た銀河で想像する
アンドロメダ銀河のガスの構造。
Nieten et al. 2006, A&A, 453, 459
外から見た銀河で想像する
M33 の中の HII 領域、星形成領域、HI ガスの分布。
Ha+GALEX
Thilker et al. 2005, ApJ, 619, L67
右:HI(blue) + Ha(red) + optical (yellow)
左:HIガスの速度場
光電離ガスの分布
M51 の中の HII 領域の分布。
銀河系内のガスの諸相
Myers et al. 1978, ApJ, 225, 380