lecture-elliptical

Download Report

Transcript lecture-elliptical

Observational Properties of
Elliptical Galaxies
M32 by T.M.Brown et al. (NASA)
楕円銀河の起源
銀河形成の記録を残すもの
•
•
•
•
•
•
•
•
•
星間物質
中性水素ガス・分子ガス
電離ガス・高温ガス
星の種族
色-等級関係
Butcher-Oemler銀河
E+A銀河
UVフラックス
色・吸収線強度勾配
•
•
•
•
•
•
•
•
基準平面
力学的揺籃
コア(高速回転、逆回転)
コア(色勾配)
コア(密度分布)
ダスト・シェル・リップル
等輝度面のゆがみ
球状星団系
Neutral Hydrogen Gas (HI)
Huchtmeier et al. (1995) A&A 300, 675
楕円銀河の中性水素ガスの量は水素の21cm輝線の強度から測定する
Neutral Hydrogen Gas (HI)
Knapp et al. (1985) AJ 90, 454
観測されたM(HI)/LBとMBとにはまったく相関が見られない。
Neutral Hydrogen Gas (HI)
Knapp et al. (1985) AJ 90, 454
Elliptical
Sc
大多数の楕円銀河にはHIガスは無い。
楕円銀河のM(HI)/LBはべき乗で減少し、
M(HI)/LBは三桁以上もばらつきがある。
つまり、HIと星の進化とは無関係で。
Neutral Hydrogen Gas (HI)
Huchtmeier et al. (1995) A&A 300, 675
赤外で明るい
青い
例外的に存在するHIの多い楕円銀河は青く、ダストも多い。また、赤外線光度も高い。
これはHIの多い楕円銀河内にダストに覆われた星形成領域の存在を示唆する。
Neutral Hydrogen Gas (HI)
大部分の楕円銀河は中性水素ガスを含まない。
RSAサンプルでは検出率は15%である。
これがIRASサンプルになると、楕円銀河のHI検出率は30%に跳ね上がる。
HIの質量は107-109Moである。
検出された楕円銀河は中性水素の多い銀河と少ない銀河とに二分される。
星の光度と単位光度当たりのガス質量との間には相関がなく、星の進化と
ガスの進化とが切り離されていることを示唆する。
HIの多い楕円銀河についてみると、これらの銀河の大多数は特異な銀河であり、
色は青く、遠赤外で明るい。
これは星生成が起きていることを示唆する。
水素分子ガスの質量は中性水素ガスよりも一桁低い。
ダスト質量はHIの1/1000で、この値は渦状銀河と同じである。
HIの多い楕円銀河の特徴が他の楕円銀河と大きく異なることから、これらの
銀河でのHIガスの起源は銀河のマージングや矮小銀河の捕獲にあると考えられる。
Molecular Hydrogen Gas (H2)
Wiklind et al. (1995) A&A 297, 643
楕円銀河の大多数は弱いCO輝線を示す。分子ガスの質量は107-109Mo、これらの
分子ガスは銀河の中心領域に分布する (Knapp & Rupen 1996, ApJ 460, 271)。
Molecular Hydrogen Gas (H2)
Lees et al. (1991) ApJ 379, 177
黒丸がCOが検出された楕円銀河、実線は近傍のE/S0銀河(±1σ)。
Molecular Hydrogen Gas (H2)
楕円銀河におけるCO分子の検出率は100ミクロンでのフラックス(ダストによる
輝線)が強いほど高くなる。
IRASサンプルでは約45%の検出率である。
一般に暗い銀河の方が検出される率が高く、これらの銀河は青い。
色ー等級図では青いほうにずれている傾向がある。渦状銀河の場合には星生成と
関係していると考えられている。
CO光度と星のLB光度との間には顕著な相関が見られない。これはHIと同じ。
これから、楕円銀河の水素分子やダストが星から放出されたとは考えにくい。
ガスとダストの比は700位であるが、50という低い値のものもある。
ダストの温度が低い銀河ではCOとFIRから出したH2質量比が低くなる。
これは分子雲に付随しないダストがFIRエミッションに寄与していることを示唆する。
H2とHIの質量比は渦状銀河に比べて2-5倍低い値を示す。
H2の起源は銀河の外にある。
Ionized Hydrogen Gas (HII)
Philips et al. (1986) AJ 91, 1062
[NII]6546A
楕円銀河の55-60%には電離ガスが存在するが、その質量は103-104Mo
しかない。電離ガスの質量は少ないが、吸収線の測定に大きな影響を及ぼす。
X-Ray Hot Gas in Ellipticals
Matsushita et al. (2002)
A&A 386, 77
M87
Lee et al. (2003) AJ 125, 2975
Hot X-Ray Gas in Ellipticals
Chandra 0.5-2.0kev
(Jones et al. 2002, ApJ 567, L115)
NGC4636 (ASCA)
Matsushita et al. (1998) ApJ 499, L13
X線高温ガスは銀河が星で輝いている範囲では少ないが、その外側では
大量に存在する。200kpcよりも外側では星の質量を凌駕する。高温ガス
では鉄などの重元素が検出されているから、一部のガスは銀河から放出されている。
楕円銀河のガスの行方
楕円銀河にはガスが無いと言われるが、実は高温のガスが楕円銀河を
取り巻いている。このガスの起源はそれが鉄を多量に含むことから、銀河の
星にあると考えられる。中性水素ガスや水素分子ガスの存在量は小さい。
また、電離ガスも質量的には微々たるものである。低温の水素ガスの存在
する銀河では星生成が起きている様子も見られ、また、銀河の光度とには
顕著な相関も見られないので、ガスと星の進化は無関係、つまり、これらの
ガスはダストとともにその起源は外部にあるであろう。となると、楕円銀河
にもともとあったガスはどこに行ったか?全てのガスが星になったとすると、
あらゆる楕円銀河の金属量は等しくなければならないが、これは観測事実
とは矛盾する。これから推論するに、楕円銀河にあったガスは高温に加熱
されて一部は銀河の星間ガスとしてとどまり、残りは銀河団やフィールドに
放出されてしまったものと考えられる。そのためにはガスを加熱する機構が
必要であるが、それが何か?超新星爆発、AGN、宇宙の再電離などが
考えられる。
Colour-Magnitude Relation
of Elliptical Galaxies
楕円銀河は明るいものほど赤くなる
Sandage & Visvanathan (1978) ApJ 223, 707
CMRs of Elliptical Galaxies in
Virgo and Coma Clusters
Bower, Lusey & Ellis (1992) MNRAS 254, 601
VirgoとComa銀河団のE/S0銀河はほとんど同一の色-等級関係を示す。
また、その分散は観測の誤差と同程度に小さい。星形成期間が短いことを示唆する。
CM Relation of Elliptical Galaxies
Gladders et al. (1998) ApJ 501, 571
近傍の銀河団の色-等級図を赤方偏移で区分していくつかにまとめたもの。
細いストリップに並ぶ赤い銀河が楕円銀河とS0銀河である。暗いところに遠方の
赤い銀河が見えてくる。後年、これらが楕円銀河の先祖であることが分かる。
Scatter along the CMRs
Bower, Lusey & Ellis (1992) MNRAS 254, 601
S0を除くとほとんど分散がない。分散の上限として0.04等を取る。
Scatter along the CMRs
Bower, Lusey & Ellis (1992) MNRAS 254, 601
星の種族の色進化をδ(U-V)/δtとすると、CMRの分散は次の様に
書き表すことができる。
銀河が瞬時に
形成された場合
ここに、tFは銀河の形成時期、tHは球状星団の年齢=15Gyr、β<1は
形成時期の広がりを表すパラメータとする。分散が小さいという条件は、
これらの銀河団の楕円銀河は10-13Gyr以上昔に形成されたはずである。
Colour Gradients in Elliptical Galaxies
Pelitier et al. (1990) AJ 100, 1091
楕円銀河には中心に向かうほど赤くなるという色勾配を示すものが多い。
色勾配が金属量の勾配に起因するならば、中心の星ほど金属量が高い。
Colour Gradients vs Global Properties
Peletier et al. (1990) AJ 100, 1091
(B-R)勾配 vs 自転速度/速度分散
(B-R)勾配 vs 絶対等級
楕円銀河の色勾配と力学的特性や絶対等級との間には余り明瞭な相関は
見られない。これは色勾配が質量に依存しないことを示す。重力収縮仮説では
質量の大きな銀河ほど色勾配が大きい。逆に、マージングでは相関は弱いか無い。
Metallicity
Gradients
in Ellipticals
Kobayashi & Arimoto (1999)
ApJ 527, 573
Metallicity Gradients in Ellipticals
Kobayashi & Arimoto (1999) ApJ 527, 573
Metallicity Gradients vs Global Properties
Kobayashi & Arimoto (1999) ApJ 527, 573
速度分散
有効半径
絶対等級
M/L
金属量勾配と速度分散、絶対等級、有効半径、質量・光度比とには相関がない。
Origin of Metallicity Gradient
楕円銀河の色や金属吸収線の強度は周辺部から中心に向かうに従って、
赤くなり、強くなる。これは中心部の星ほど高い金属量を有しているから
だと考えてよい。つまり、楕円銀河の中心部ほど化学進化の影響を強く
受けている。もし、重力収縮で楕円銀河ができたなら、質量の大きな楕円
銀河ほど中心での化学進化は進むはずであるから、明るい楕円銀河ほど
急な金属量勾配を示すはずである。
しかしながら、楕円銀河の金属量勾配と質量とにはどうやら相関がない
らしい。一般に金属量の勾配を持った銀河が合体すると、星は分散し、も
ともとあった金属量の勾配はゆるくなる。また、ガスの多い銀河が合体す
れば、その際に新たな星形成が起こるであろう。これは勾配を急にする方
向に働く。銀河の質量の成長の歴史は一通りでないであろうから、たとえ
同じような質量の楕円銀河でも金属量勾配には多様性が現れてもよい。
質量は積算されたものであるが、金属量勾配は合体の歴史によって微妙
に変化するからである。
Metallicity Gradients Revisited
Ogando et al. (2005) astro-ph/0509142
merger
monolithic
collapse
金属量勾配には上限がある。質量の大きな楕円銀河ほど勾配には分散が
あり、傾きの最大値は銀河質量とともに小さくなる。
UV Flux Upturn
大質量
中質量
中質量
矮小銀河
Burstein et al (1988) ApJ 328, 440
UV Flux Upturn
Burstein et al (1988) ApJ 328, 440
速度分散の大きな楕円銀河ほどUVフラックスアップターンが強くなる。
Origin of UV Flux Upturn
楕円銀河のUVフラックスアップターンとは2500Aより短い波長でフラックスが
再度増加する現象をいう。これは楕円銀河に高温(>10 5度)の星が存在する
ということである。そのような星の候補としては、若いOB型星や古いポストAGB
星、或いは、AGB-manque星(HBから直接白色矮星に行く星)などがある。
UVフラックスアップターンの強さは
質量の大きな楕円銀河ほど強い。
金属量の指標Mg2ともよい相関が
ある。
M32 UV光度分布(Galex)
Origin of UV Flux Upturn
Ferguson et al. (1991) ApJL 382, L69
もしも、UVフラックスアップターンが
若い星の影響ならば、若いOB星の
特徴的なCIV(~1550A)の吸収
線が見えるはずであるが、
Fornax銀河団の中心にあるcD銀河
NGC1399の観測ではこれが検出さ
れなかった。これから、UVフラックス
アップターンの原因は若い星ではない
ことが分かる。
古い星であるとすると、遡れば楕円
銀河ではUVフラックスアップターンが
消失するはずである。もしも、
起源がポストAGB星(惑星状星雲の
中心星)にあるならば、銀河の年齢
が7GyrになるとUVフラックスが
突然出現するはず(宇宙時計)。
NGC1399
Butcher-Oemler Galaxies
Butcher & Oemler (1984) ApJ 285, 426
銀河団の中でのBO銀河の割合
[OII], [OIII], Hβ輝線の卓越
した銀河=活動核銀河(AGN)
弱い輝線と吸収線=渦状銀河
強い水素のバルマー線=E+A銀河
Hey what’s this?
(Dressler 1990)
頻度は近傍で数%、z=0.4-0.55で30%、遠方ではさらに増える。楕円銀河の現象
というよりは、成長過程にある銀河団の高温ガスの中に渦状銀河が落下したときに、
ガスが圧縮されて星が形成され、その後にS0銀河になるところを見ているのではないか。
E+A銀河の特徴
Zabludoff et al. (1996) ApJ 466, 104
E+A銀河のスペクトルは水素のバルマー系列吸収線が強いのが特徴である。これは楕円銀河にA型星を足
しあわせたときによく似ており、E+Aと呼ばれる所以である。一般には楕円銀河に若い星(A型星)が多量に
混在したと考えられ、スターバーストが起こった後の姿と考えられているが、最近のHSTによるイメージング
ではA型星の渦状パターンが確認された。これは渦状銀河がS0銀河になる途中の姿と考えるほうがよい。
Spectra of E+A Galaxies
Pracy et al. (2005) MNRAS 359, 1421
E+A Galaxies in Cluster
Tran et al. (2003) ApJ 599, 865
CL1358 @ z=0.33
E+A銀河の多くはデイスク銀河。銀河が合体したときにバーストが起こり、
そのあとにE+Aになるとする仮設もある。遠方にEROなどとの統一的な理解が必要。
Fundamental Plane of Elliptical Galaxies
Bender et al. (1995) ApJ 411, 153
楕円銀河には様々なスケーリング法則
が認められるが、表面輝度、有効半径、
速度分散を組み合わせたある平面を
定義すると、その平面上に薄く分布する。
これを基準平面といい、楕円銀河の
力学的な構造と星の種族との間になんら
かの相関があることを示している。
FPのエッジオンヴューが傾いているのは
質量の大きな銀河ほどM/L比が大きい
ことを示す。一義的にはこれはM/L比
が金属量が高いほど大きくなるためであるが。
Tilt of Fundamental Plane
Pahre et al. (1995) ApJ 453, L17
基準平面の傾きはKバンドでの測光でも現れる。KバンドでのM/L比は
金属量への依存性がB,Vバンドに比べて小さいから、この傾きが金属量に
よるとは考えにくい。つまり、ダイナミカルな質量が増加していることになる。
Counter Rotating Cores
Bender (1988) A&A 202, L5
楕円銀河の中心部には銀河本体とは逆向きに回転していたり、高速で回転しているコアがある場合が
ある。また、複数のコアがあることもある。これらは、他の銀河を捕獲した証拠と見られている。
Shells and Ripples
NGC1344
NGC3923
楕円銀河にはシェルとかリップルとか
呼ばれる構造が見られる場合がある。
これらは星でできており、矮小銀河を
捕獲したときにこのような構造ができる。
Malin & Carter (1983) ApJ 274, 534
Dust in Elliptical Galaxies
Sparks et al. (1985) MNRAS 217, 87
NGC5128
楕円銀河のダストはレーン状に分布するものが多い。また、薄く銀河全面に
渡って分布するという(星と混在して)指摘もある。ダストの起源は外部にあり、
約30%の楕円銀河がダストの存在を示す。
Surface Brightness Distribution
Sparks et al. (1985) MNRAS 217, 87
NGC105
楕円銀河の表面輝度分布は決して同心状の楕円ではない。箱型をしているもの
ひし形をしているもの、その中間などがある。また、長軸、短軸の向きも銀河中心
からの距離によって変動する。
Distorted Isophotal Shape
Bender et al. (1988) A&AS 74, 385
disky
boxy
等輝度面のゆがみを数値化し、
a(4)が正ならDISKY、負ならBOXY
な楕円銀河という。明るい楕円銀河
はBOXYのものが、暗い楕円銀河は
DISKYなものが多い。
Boxy vs Disky Ellipticals
Bender et al. (1989) A&A 217, 35
effective radius
disky
radio strength
X-ray luminosity
boxy
ellipticity
radio vs LB
X-ray luminosity
一般にBoxyな楕円銀河は回転していない。扁平度が小さい、強い電波減である。
楕円銀河がこのような等輝度面のゆがみをもつのはマージングの影響である。
Diskyな楕円銀河はエネルギーを散逸しながら重力収縮した円盤を中心部に持っている。
Boxy vs Disky
Bender et al. (1989) A&A 217, 35
boxy
disky
質量の大きな楕円銀河ではX線ガスや電波強度のエクセスがある。
Rotation & Velocity Dispersion
Davies et al. (1983) ApJ 266, 41
明るい楕円銀河は星のランダムな速度場で支えられているが、暗い楕円銀河は
自転で支えられている。
Fine Structure Parameters
Schweizer et al. (1990) ApJ 364, L33
Fine structure parameters : Σ = S + log(1+n) + J + B + X
S:
n:
J:
B:
X:
眼視で判断した最も顕著なリップルの強さ (S=0-3)
リップルの数 (n=0-17)
ジェットの数 (J=0-4)
眼視で判断したBoxinessの大きさ (B=0-3)
X-structureの有無 (X=0、1)
Fine Structure Parameters
Schweizer et al. (1990) ApJ 364, L33
微細構造パラメータが大きな楕円銀河ほど
Hβ吸収線の平均からのずれが正の方向に
大きくなる。
つまり、力学的な揺籃の度合いは大きい
楕円銀河ほど、星形成の兆候が見られる。
これらの力学的揺籃はマージングの
影響で発現したと考えると辻褄が合う。
NGC3921
NGC7252