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Slide 1

シックハウス対策としての住宅のアルデヒド類
濃度と換気性能に関する研究
ー木造実験住宅における放散源を用いた検証実験ー

2023017 渡部 裕介


Slide 2

はじめに
近年
ホルムアルデヒド等の化学物質による
室内空気汚染が問題となっている。

2003年7月施行 建築基準法改正
ホルムアルデヒド低減のための規制
(例えば、内装仕上げの制限等・・・)

換気設備は居室で換気回数0.5回/h以上とする。
建材の等級表示が改正された。


Slide 3

ホルムアルデヒド発散量に関する建材の等級表示
JIS、JAS ホルムアルデヒドの
新規格名称
発散速度(※1)
F☆☆☆☆ 0.005mg/m2h以下
 F☆☆☆

0.005mg/m2h超
2
0.02mg/m h以下

F☆☆

0.02mg/m h超
0.12mg/m2h以下

F☆

0.12mg/m h超

2

2

内装の仕上げ JIS、JA
の制限
S旧名称
制限なし
使用面積を制
第3種ホルムアルデヒド
限(床面積の2 E0、FC0
発散建築材料
倍まで)
第2種ホルムアルデヒド 部分的使用の E 、F
1
C1
発散建築材料
み可
第1種ホルムアルデヒド
E2、FC2
使用禁止
発散建築材料
告示で定める区分

建築物に使用され5年経過したものは、制限なし

ホルムアルデヒド濃度が温度上昇とともに増加
することが知られている。
※1 夏期条件(28℃、相対湿度50%)の値


Slide 4

研究目的
従来の研究により建材等の放散量測定結果から
室内気中濃度の換算式がある。
しかし
単室条件だけである。
・建材等の吸着
・多数室では他室との空気の出入りがある。

実住宅における実験は行われていない。
本研究では
実大実験住宅の室内に合板を用いたホルムアルデヒ
ド放散源を設置し、冬季・夏季における室内ホルムア
ルデヒド気中濃度と換気量の関係について実験的検
証を行うことを目的とする。


Slide 5

実験住宅の概要
1階



2階











キッチン

洋室 NE



納戸

和 室

リビング

ホール

主寝室
洋室 SE

平面図
場所:(財)ベターリビング筑波建築試験センター
在来軸組工法木造二階建住宅


Slide 6

換気システム(1)

熱交換器

第一種ダクト式 ダクトを用いて集中給排気
全熱交換により、排気の熱を回収


Slide 7

換気システム(2)

第三種ダクトレス

外壁面に排気ファン、給気口を設置
排気のみを運転


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放散源の設置状況

1枚の大きさ:91cm×91cmの合板(表裏表面積
1.66m2)
合計:392枚


Slide 9

放散源の設置

放散源(合板 10 枚)
放散源(合板10枚)

JAS規格FC0の構造用合板を使用
合板設置量は床面積の5倍


Slide 10

放散源を床面積の5倍にした理由
居室における換気回数と内装材制限
居室(LDK、洋室、和室など)
最低0.5回/hの換気が法律上の義務
換気回数
内装材の制限
換気回数 第2種(FC1・E1) 床面積の0.3倍
0.5回以上 第3種(FC0・E0) 床面積の2.0倍
第4種(新規格)
無制限
換気回数 第2種(FC1・E1) 床面積の0.8倍
0.7回以上 第3種(FC0・E0) 床面積の5.0倍
第4種(新規格)
無制限
※夏季条件での値


3







5倍

使用する建材の面積に0.5を乗じた値が床面積
を超えてはならない。


Slide 11

建材からのホルムアルデヒド放散量
デシケーター法 JIS A 1480に規定される
ガラスデシケーターを用いた方法
ガラスデシケーターの中に建材を入れ、蒸留水に吸着
させ、その水のホルムアルデヒド濃度を測定する方法

チャンバー法

JIS A 1901に規定される
小型チャンバーを用いた方法

小型チャンバーの中に建材を入れ、チャンバー内に空気
を流通させ、出口で捕集した空気から濃度や換気量等を
知ることによって時間当たりの放散速度を測定する方法


Slide 12

デシケーター法 放散量(mg/L)

デシケーター法による放散量測定結果
0.7
0.6
0.5

FC0(F☆☆☆)

0.4

冬季実験

0.3

夏季実験
新規格(F☆☆☆☆)

0.2
0.1
0.0
2/17

3/3

3/17 3/31 4/14 4/28 5/12 5/26

6/9

6/23

7/7

7/21

8/4

8/18

9/1

9/15 9/29 10/13 10/27

時間(JST)

放散量

製造直後、0.58mg/L
冬季実験期間中、3回の平均0.22mg/L
夏季実験期間中、2回の平均0.125mg/L

夏季に放散量が低減:木口アルミテープ無


Slide 13

測定スケジュール
窓開け

換気測定

1日目

換気測定

パッシブサンプリング(24時間)

2日目

パッシブサンプリング(24時間)
3日目
アクティブサンプリング(30分)
8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

30分間の窓開け換気:
室内のホルムアルデヒド濃度を外気同等まで下げる


Slide 14

サンプリング方法

測定方法

DNPHを用いたアクティブサンプリング
バッジを用いたパッシブサンプリング

アクティブサンプリング
吸引ポンプを用いて強制的に室内の空気を
DNPHカートリッジにサンプリングする方法
ポンプ流量は1.0ℓ/minとし、30ℓ採気
パッシブサンプリング
24時間パッシブサンプラーに暴露してサンプ
リングする方法


Slide 15

サンプリング設置状況

アクティブサンプリング

パッシブサンプリング


Slide 16

空気質測定位置

浴室

洗面





階段

階段
キッチン




2FNE

玄関+廊下
納戸
2Fホール

和室+床間等
リビング

主寝室
2FSE

アクティブサンプリング(居室)5点
パッシブサンプリング(居室+非居室)10点


Slide 17

冬季の実験条件
※○の中の数字は実験条件番号
温度=23℃
換気システム

負荷

設定換気回数 C=2(cm2/m2)

温度=28℃

C=5(cm2/m2)

C=2(cm2/m2)



---



---

---

5倍

---

②、⑪





第一種ダクト式

5倍

0.4



---

---

第一種ダクト式+局所

5倍

0.5



---

---

第三種ダクトレス

5倍

0.4





---

第三種ダクトレス+局所

5倍

0.5



---



換気無し

換気システム:換気停止、第一種ダクト式、第三種ダクトレス
換気回数:住宅全体の容積に対して0.4回/h、0.5回/h
気密性能:高気密仕様(2cm2/m2 )、一般気密仕様(5cm2/m2 )
温度:エアコン暖房で 23℃、28℃


Slide 18

冬季のアクティブサンプリングによる
ホルムアルデヒドの住宅内平均濃度測定結果
1.6
23℃
28℃

140
120



60
40

1.2

HCHO濃度指針値(100μg/m )



80



3

換気

100

1.4
















1.0





0.8
0.6



0.4

20

0.2

0

0.0

負荷
気密



2


5倍
2


5倍
5


5倍
2


5倍
2



5倍 5倍
5
2
実験条件

機械換気を行わない場合


5倍
2


5倍
2


5倍
2

換気回数実測値(回/h)

アクティブ HCHO濃度(μg/m3 )

160


5倍
2

指針値の7割程度


Slide 19

冬季のアクティブサンプリングによる
ホルムアルデヒドの住宅内平均濃度測定結果
1.6
23℃
28℃

140
120



60
40

1.2

HCHO濃度指針値(100μg/m )



80



3

換気

100

1.4
















1.0





0.8
0.6



0.4

20

0.2

0

0.0

負荷
気密



2


5倍
2


5倍
5


5倍
2


5倍
2



5倍 5倍
5
2
実験条件

機械換気を行わない場合
機械換気
(換気回数0.4~0.5回/h)


5倍
2


5倍
2


5倍
2

換気回数実測値(回/h)

アクティブ HCHO濃度(μg/m3 )

160


5倍
2

指針値の7割程度
指針値の4割程度


Slide 20

冬季のホルムアルデヒドの1・2階平均濃度比較

3
2階 HCHO平均濃度( μg/m )

140
120

温度差換気

100
80



60



40

パッシブサンプリング
アクティブサンプリング

20
0
0

20

40

60

80 100 120 140

1階HCHO平均濃度(μg/m3)

2階は1階より濃度が高い
2階は1階の1.3倍


Slide 21

デシケーター法による
放散量から求めた換算室内濃度式
デシケーター法による放散量から求める室内濃度換算式
2

C  0 . 158 D  0 . 017  

1

Q

 1 . 09

 t  23 



55  h
100

S
C:気中濃度[ppm]

S:材料表面積[m2]

D:デシケーター値[mg/L]
Q:換気量[m3/h]

t:温度[℃]
h:相対湿度[%]

ppmからμg/m3への変換式
C:気中濃度[ppm]

m
273
C'  C 

 103
22.4 273  t

C:
' 気中濃度[μg/m3]
m:分子量(HCHO=30.03)

t:温度[℃]


Slide 22

冬季のデシケーター法による
放散量から求めた換算室内濃度と実測値濃度の関係

3
HCHO実測値( μg/m )

200

150

100

50

0
0

50

100

150

200

デシケーター法換算値(μg/m3)

実測値より換算値が高い


Slide 23

冬季の換気回数とホルムアルデヒド濃度の関係
リビング(1階)

換算濃度曲線

3
HCHO濃度 [μg/m ]

140
120

160
アクティブサンプリング
D=0.24mg/L
D=0.19mg/L

100

60

20

120

アクティブサンプリング
D=0.24mg/L
D=0.19mg/L

100

80

40

140
3
HCHO濃度 [μg/m ]

160

主寝室(2階)

:28℃
他 :23℃
:負荷

0

80
60
40
20

:28℃
他 :23℃
:負荷

0
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
換気回数[回/h]

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
換気回数[回/h]

1階は右下がり線、2階はばらついている
温度差換気により1階から2階に空気が上昇している


Slide 24

チャンバー法による
放散速度を用いた換算室内濃度式
チャンバー法による放散速度を用いた室内濃度換算式
C:気中濃度[μg/m3]

L
C  EF 
n

EF:放散速度[μg/(m2/h)]
n:換気回数[回/h]
L:試料負荷率[m2/ m3]

チャンバー法が28℃設定のため、設定温度に補正する式
EFt  EF28℃  1.09 (t  28)
t:設定温度[℃]


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冬季のチャンバー法による
放散速度を用いた換算室内濃度と実測値濃度の関係
160
ホルムアルデヒド放散速度
26.4μg/m 3

3
HCHO実測値( μg/m )

140
120

換気回数
0.4~0.5回/h

100
80
60
40

換気なし

20
0
0

20 40 60

80 100 120 140 160

チャンバー法換算値(μg/m3)

チャンバー試験時の換気回数0.5回/h
換気回数0.4~0.5回/hの場合は、実測値と換算値の相関あり


Slide 26

夏季の実験条件
※ ○の中の数字は実験条件番号
冷房28℃
換気システム

2

2

エアコン停止
2

2

2

2

負荷

設定換気回数

C=2(cm /m )

C=5(cm /m )

C=2(cm /m )



---

---

---

---

5倍

---

①、⑩





第一種ダクト式

5倍

0.4



---

---

第一種ダクト式+局所

5倍

0.5



---

---

第一種ダクト式+局所

5倍

0.7



---

---

第三種ダクトレス+局所

5倍

0.4



---

---

第三種ダクトレス+局所

5倍

0.7



---



換気無し

換気システム:換気停止、第一種ダクト式、第三種ダクトレス
換気回数:住宅全体の容積に対して0.4回/h、0.5回/h、0.7回/h
気密性能:高気密仕様(2cm2/m2 )、一般気密仕様(5cm2/m2 )
温度:28℃、33℃(満たないときはエアコン冷暖房)


Slide 27

夏季のアクティブサンプリングによる
ホルムアルデヒドの住宅内平均濃度測定結果
1.6
28℃
33℃



140
120





換気

100
80

HCHO濃度指針値(100μg/m 3 )




















1.4
1.2
1.0
0.8

60

0.6

40

0.4

20

0.2

0

0.0


負荷 5倍
気密 2


5倍
5


5倍
2


5倍
2



5倍
5倍
2
2
実験条件

機械換気を行わない場合


5倍
2


5倍
2


5倍
2

換気回数実測値(回/h)

アクティブ HCHO濃度(μg/m3 )

160


5倍
2

指針値の9割程度


Slide 28

夏季のアクティブサンプリングによる
ホルムアルデヒドの住宅内平均濃度測定結果
1.6
28℃
33℃



140
120





換気

100
80

HCHO濃度指針値(100μg/m 3 )




















1.4
1.2
1.0
0.8

60

0.6

40

0.4

20

0.2

0

0.0


負荷 5倍
気密 2


5倍
5


5倍
2


5倍
2



5倍
5倍
2
2
実験条件

機械換気を行わない場合
機械換気
(換気回数0.4~0.7回/h)


5倍
2


5倍
2


5倍
2

換気回数実測値(回/h)

アクティブ HCHO濃度(μg/m3 )

160


5倍
2

指針値の9割程度
指針値の6割程度


Slide 29

夏季の換気回数とホルムアルデヒド濃度の関係
リビング(1階)
アクティブサンプリング
D=0.15mg/L
D=0.10mg/L

160
3
HCHO濃度 [μg/m ]

140
120

140
100

80
60
20

アクティブサンプリング
D=0.15mg/L
D=0.10mg/L

160
120

100

40

180

3
HCHO濃度 [μg/m ]

180

主寝室(2階)

:33℃
他 :28℃

0

80
60
40
20

:33℃
他 :28℃

0
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
換気回数[回/h]

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
換気回数[回/h]

冬季よりばらつきが少なくなっている
内外温度差が小さく、温度差換気が起こりにくい


Slide 30

まとめ
冬季23℃・夏季28℃環境下

ホルムアルデヒド指針値(100μg/m3)を
超えるものはなかった
換気回数0.5回/h程度
機械換気を行わない
3割程度濃度が下がる
デシケーター法の濃度換算式
換気回数と実測ホルムアルデヒド濃度の関係
換算濃度曲線を下回っていたことから安全側だといえる
チャンバー法の濃度換算式
実験条件とチャンバー法の設定条件が同じ場合
濃度換算式で実測値が推定できる