力学的エネルギーが保存されない運動

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力学的エネルギー
問題
右図のように、摩擦のある水平面上で、ばね定数49𝑁/𝑚 のばねの一
端を固定し、多端に質量2.0𝑘𝑔の物体を取り付ける。自然長より0.16𝑚
だけばねを引き伸ばし、静かに放した後の運動について答えよ。物体
と面との動摩擦係数を0.10とする。
(1)ばねの長さが自然長の所を最初に通過するときの物体の速さはい
くらか。
(2)物体が最初に止まる所は、ばねの縮みがいくらの所か。
(3)物体が最初に止まって、そのまま動き出さない場合、物体と面との
間の静止摩擦係数はいくら以上か。
(1)
0.16𝑚
この系では摩擦があるので、力学的エネルギーは保存されない。そこで、摩擦
がする仕事によるエネルギー損失まで考慮して、エネルギー保存の方程式を立てる。
摩擦力
最初のエネルギー
摩擦力が物体に
仕事をするので
系のエネルギー損失が
ある
自然長通過時の 摩擦によるエネルギー損失
力学的エネルギー (失われた分を足してやる)
1
1
2
𝑘 ∙ 𝑥 + 0 = 0 + 𝑚 ∙ 𝑣 2 + 𝑚𝑔𝜇𝑠
2
2
バネに蓄えられた 運動エネルギー バネに蓄えられた
はゼロ
エネルギーはゼロ
エネルギー
ただし自然長を通過するときの速度を𝑣
物体の移動距離を𝑠、動摩擦係数を𝜇とおいた。
𝑣=
𝑘𝑥 2 − 2𝑚𝑔𝜇𝑠
=
𝑚
𝑣 = 0.3136 =
(2)
49 ∙ 0.162 − 2 ∙ 2 ∙ 9.8 ∙ 0.1 ∙ 0.16
2
3136
56
=
10000 100
0.56[𝑚/𝑠]
自然長
1
1
2
0 + ∙ 𝑚 ∙ 𝑣 = ∙ 𝑘 ∙ 𝛿 2 + 𝑚𝑔𝜇𝛿
2
2
𝑘 ∙ 𝛿 2 + 2𝑚𝑔𝜇𝛿 − 𝑚 ∙ 𝑣 2 = 0
∴ 0.56[𝑚/𝑠]
0 [𝑚/𝑠]
自然長
δ
δ(デルタ)だけ進んで
止まったとする
δに関する二次方程式
−2𝑚𝑔𝜇 ± 4𝑚2 𝑔2 𝜇2 + 4𝑘𝑚𝑣 2
𝛿=
2𝑘
−2 ∙ 2 ∙ 9.8 ∙ 0.1 ± 4 ∙ 22 ∙ 9.82 ∙ 0.12 + 4 ∙ 4.9 ∙ 2 ∙ 0.562
=
2 ∙ 49
−3.92 ± 138.2976
=
98
= 0.08 (δ>0より)
(3)
∴ 8.0 × 10−2 [𝑚]
(2)を利用する
ただし、床と物体の間に働いている
摩擦力を𝐹とおいた。
𝑘𝑥
𝐹
自然長
δ= 0.08[m]((2)より)
𝑘𝑥
𝐹
自然長
δ= 0.08[m]((2)より)
𝑘𝑥 = 𝐹 ≤ 𝐹𝑚𝑎𝑥 = 𝑚𝑔𝜇0
今働いている
摩擦力
最大静止
摩擦力
物体が、ばねから押されているにも関わらず、
動いていない(止まっている)ということは、
この状態で働いている摩擦力は最大静止摩擦力
に達していないということ。
ただし、最大静止摩擦力を𝐹𝑚𝑎𝑥 、最大セ氏摩擦係数を
𝜇0 とおいた。
𝑘𝑥 ≤ 𝑚𝑔𝜇0 より、両辺を𝑚𝑔(> 0)で割って
𝑘𝑥
≤ 𝜇0
𝑚𝑔
49 ∙ 0.08
≤ 𝜇0
2 ∙ 9.8
注)この問題で𝑘𝑥 = 𝑚𝑔𝜇0 とおいてはいけない!!
最大静止摩擦力に達しているとは限らない。
最大静止摩擦力とは、物体が動き出す瞬間の摩擦力。
∴ 0.2以上