å - 千葉 中小企業法律相談

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そんな時、顧問先の問い合わせに
即対応ができる、
税理士が知っておきたい
倒産、廃業時の実務
「労働問題、売掛金の回収、
社長の個人的なトラブル等
税理士の先生から実際にご相談を受
けた事例を中心に」
1
略歴
大澤一郎 弁護士法人よつば総合法律事務所 代表社員弁護士
千葉県柏市柏1丁目5番10号 水戸屋壱番館ビル4階
電話番号 04-7168-2300
FAX番号 04-7168-2301
メールアドレス
[email protected]
ホームページアドレス
柏・松戸中小企業法律相談http://www.yotsubasougou.jp/
平成8年 千葉県立東葛飾高校卒業
平成13年 東京大学法学部卒業
平成13年 司法研修所入所 司法研修所55期
平成14年 弁護士登録
千葉県弁護士会所属(登録番号29869)
平成20年度弁護士会松戸支部 幹事
同支部法律相談運営センター委員
2
倒産・廃業に関する方法
1 頻度が高い方法
• 破産法に基づく破産申立(破産法は平成17年全面改正法施行)
• 民事再生法に基づく民事再生申立(民事再生法は平成12年施行、改正回数が
その後多いため最新の法改正を踏まえる必要あり)
• 任意整理を行う方法
• 法的な整理を何もしない方法
• 清算を行う方法(会社法第475条以下、債務超過の疑いがない場合)、清算と
は会社の法人格の消滅前に会社の現務を結了し、債権を取り立て、債権者に対
して債務を弁済し、株主に対して残余財産を分配する等の手続き。
2 頻度が低い方法
• 会社更生法に基づく会社更生申立(民事再生法施行に伴い、案件数は減少・比
較的大規模な会社を対象にした手続き)
• 特別清算を行う方法(会社法第510条以下、債務超過の疑いがある場合)、特
別清算とは、債務超過の疑いがある場合の清算手続き。
3 最近の動向について
3
破産・倒産に関する方法
(法的な概念に基づく場合分け)
清算型
・破産
・清算
・特別清算
・法的な整理を何もしない方法
再建型
・任意整理
・民事再生
・会社更生
・事業再生ADR
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破産についての特徴
• 破産法に基づいて裁判所に破産申立をする方法
• 弁護士事務所からの通知の発送(取立原則ストップ)→申立準備
(書類作成)→裁判所への申立→破産管財人の選任→債権者集
会の開催→配当がある場合には配当手続き、という流れ
• 会社・個人とも、原則として財産がなくなる(ただし、個人の破産の
場合、自由財産として一部保持可能)
• 債務・借金が0円になる
• 事業は廃止することが原則
• 平成17年より全面改正法施行
• 会社を清算する最後の手段
• オーナー社長の場合には、今後の生活をどのようにするかの問題
あり(住居・毎月の生活費・連帯保証人との関係等)
• 免責不許可事由(破産法第252条)に注意
• 非免責債権(破産法第253条)に注意
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破産の事例1
(取引先を維持した解決)
• A社は、建設関係の仕事を営む株式会社。負債は約1億円(金融
機関からの借入金及び買掛金数社分)。会社に大きな資産はない
が、社長の営業能力が高く、仕事を発注する会社は多い。会社自
身は実際の建設工事等を直接行わないことが多く、下請会社の利
用、下請の職人の手配などにより業務を行っている。一部は会社
が従業員を雇用して実際の工事の業務を行っている。不景気の影
響により、毎月の支払が困難になった。
• 解決策 会社自身の財産(什器備品・在庫等)があまりない会社
だったため、社長の営業能力をいかした方法での解決を検討した。
取引先に著しい迷惑をかけないよう、きりの良いところまで業務を
行った。裁判所に会社・社長の破産申立を行い、会社・社長の借
金は0円となった。社長の親戚に新会社を設立してもらい、社長自
身は営業部長ということで新会社での業務を開始した。破産の際
に、仕事を発注してくれていた取引先には一切迷惑をかけなかっ
たため、引き続き旧来の取引先は新会社と取引をしてくれることと
なった。
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破産の事例2
(社長自宅を守った解決)
• A社は、負債3億円の運送業を営む株式会社。売上が激減し、ど
んなに事業規模を縮小しても今後の売上の見通しがたたない状
況。社長個人の自宅(時価1500万円)があるが、会社の債務を
社長が連帯保証した連帯保証債務についての抵当権5000万円
が設定されている状態。社長は高齢のため、事業を辞めたいが家
だけはなんとか守りたいとの希望あり。
• 解決策 会社は破産するしかないとの結論。社長も破産するしか
ないとの結論。自宅については、時価が1500万円なので、金融
機関と交渉した結果、親族が1500万円を準備して不動産を買い
取り、売買代金全額を金融機関に返済して抵当権を外す方法で
合意。(しかも、親族は購入に当たって住宅ローンを組むことがで
きた。)親族から社長が自宅を借りることにして、社長は自宅から
退去する必要がなくなった。
7
民事再生についての特徴
• 民事再生法に基づいて裁判所に申立をする方法
• 一部の借金を支払って残部を免除する方法
• 会社の場合、今後事業自体が黒字になることや、資金を援助して
くれるスポンサーの存在が必要になることが多い。事業は継続で
きる可能性あり
• 該当する事業についてスポンサーの買取希望がある場合には優
先して検討すべき
• 個人(社長)の場合、住宅・住宅ローンがある場合に大きなメリット
あり(住宅ローンをそのまま支払い、他の借金を大幅にカットする
ことが可能)
• 会社の場合、裁判所に納める予納金が比較的会社の規模と比べ
て高額になる可能性あり
• 申立後資金繰りにつまずく場合も多いので、会社の資金繰りにあ
る程度余裕がある状況での申立が必要
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事業譲渡(民事再生)の事例1
・A社は車・バイク等の塗料の製造・販売・加工を行う工場を複数保有する
株式会社。売上5億円程度。オーナー社長が死亡したため、社長の妻が
後継の社長に就任。ただし、事業については廃止したいとの意向が強
かったため方向性について検討した。
・解決策 債務超過の会社ではなく、業務を一斉に終了しても数字の上では
会社を終了させることが可能な状態であった。しかしながら、多数の従業
員を一斉に解雇することにはオーナー一族の心理的な抵抗も強く、また、
取引先との間でも数十年間の取引を行っていたので、いきなり取引を終
了させることは道義上困難という状態であった。そのため、新会社を設
立して問題点を解決することとした。旧会社の従業員は旧会社を清算す
るために一度全員解雇した上で、一部の従業員について新会社に雇用
した。取引先については、どうしても取引を継続することを強く要請され
ている業者との塗料加工・製造・販売部分についてのみ新会社に事業
譲渡を行った。現在、従来の会社は資産管理会社の状態であり、適切な
時期に清算手続きにより終了する予定である。新会社については、会社
自体を第三者に譲渡できないかどうか検討中である。なお、従来の会社
が債務超過となる場合には、民事再生による手続きを行う予定であった。
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民事再生の事例2
• A社は、負債総額1億円の株式会社。社長は住宅ローンありの不
動産を所持している。不動産の時価は2000万円、住宅ローンの
残額は2500万円。会社の債務の連帯保証に社長個人が1100
万円分なっている。また、社長自身が個人として他に9社、400万
円の負債を金融機関から負っている。
• 解決策 会社の事業については、将来の売上の見込みが立たな
いということで破産により廃業。社長については、知人の会社に取
締役として就職。社長個人については民事再生の申立をすること
にした。民事再生の結果、住宅をそのまま持ち、住宅ローンを従
前の条件にて支払ながら、住宅ローン以外の借金1500万円の5
分の1の300万円を3年間・36回の分割払い(月額約8万4000
円)により支払う方法により解決。会社は廃業となったものの、社
長個人の生活状況としてはそれほど従前と変わらない結果とする
ことができた。
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任意整理の特徴
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•
裁判所を利用せず、弁護士事務所と債権者が直接交渉する方法
弁護士事務所からの通知(取立原則ストップ)→業者との間での残高の確認→分割払いの交渉→
分割払いの合意に基づく支払開始、という流れ
金融機関・消費者金融等には効果的
ヤミ金融・無届けの貸金業者等にも効果的
買掛金については効果が低い
原則として、再度分割払いの約束を組み直して返済していく方法
強制力がないので、相手が応じるかどうかによって成功する可能性が大幅に変わることとなる
個人の破産・民事再生・任意整理・過払い金返還請求については、当事務所HP「柏・松戸債務整
理自己破産相談」あり(http://www.yotsubasougou.com/)
各業者ごとの対応方法
• 銀行・政府系金融機関の場合
• いわゆる商工ローンの場合
• いわゆる消費者金融の場合
• いわゆる「ヤミ金融」等の場合
• 借入金ではなく買掛金の場合
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過払い金について
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過払い金=利息制限法の定める利率を超える高利の借入れをした借主が、本
来、借入金の返済は終わったのに返済を続けたため、払いすぎた金銭
弁護士事務所からの通知の発送→業者から開示された取引履歴を再計算→業
者との間における過払い金返還請求の話し合い又は訴訟の提起→過払い金の
返金、という流れ
利息制限法(10万円未満は上限20%、10万円以上100万円未満は上限1
8%、100万円以上の貸付は上限15%)
利率が年15%以下の場合には過払い金は発生しない。
物を購入したときの債権の場合、過払い金が発生しない。
SFCG(旧商工ファンド)、ロプロ(旧日栄)対策
物を購入したときの債権の場合、過払い金が発生しない。
相手会社が倒産してしまった場合には過払金の請求はほぼ不可能
業者ごとの対策(平成21年10月22日現在)
(1)過払い金が発生しない業者の例
(2)過払い金が発生するが、回収が困難な業者の例
(3)訴訟を提起すれば回収が可能な業者の例
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過払い金についての事例
• A社は、年間売上1500万円位の小規模の小売店。社長
は、会社の資金が足りず、50万円、100万円と言った小
規模の借入を自ら消費者金融、商工ローン等の利率2
0%台の高利率の業者にて10年間も行っていた。ついに
個人での借入にも限界が来たため、会社(負債1000万)
をたたんで個人(負債500万)も破産しようと考え弁護士
事務所に来所
• 解決策 20%台の利率の業者については、過去に払い
すぎた分の利息があるため、弁護士事務所が各業者と交
渉(一部過払い金返還請求訴訟の提起)。結局、社長個
人の借入については、債務額500万円が160万円に減
額。しかも、複数の業者から過払い金330万円の返金を
受けることができた。個人名義の借金がなくなったため、
会社も継続して行うことができることとなった。
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事業承継について
• 株式の後継者への集中(親族内承継・親族外承
継)
• 「会社の存続・発展」と「オーナー家の発展」との
両面から考える必要あり
• 個人財産と会社財産の整理
• 遺言書の作成
• 会社の各種規定の見直し、トラブル防止対策
• 紛争が生じる可能性が高いので、弁護士による
継続的な関与が必要な分野
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会社分割について
• 会社分割=事業に関して有する権利義務の全部又は一
部を、分割後他の会社(承継会社)又は分割により設立す
る会社(設立会社)に承継させることを目的とする会社の
行為
• 合併の逆というイメージ
• 事業の一部門の移転等が可能
• 債権者(金融機関)からの異議が出るかどうかがポイント
• 事業譲渡との比較=事業譲渡の場合、個別の契約関係
は相手方の同意を得て行う必要あり、事業譲渡の方が法
的な手続は少ない
• 法的なアドバイスが必要のため弁護士に継続的に相談す
る必要性が高い分野
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倒産・廃業の場合の
長期的な視野に立った対策
• 早めの弁護士への相談により、多数の選択肢の中から一番納得
のいく選択肢を選ぶことが可能
• 抵当権付の債務についての早めの対策を建てることが必要
• 連帯保証人付の債務についての早めの対策を建てるものが必要
• 会社財産・社長個人の財産をきちんと分けた上で、それぞれの財
産が廃業の場合にどのようになるのかを事前に検討することが必
要
• 詐害行為取消訴訟(民事訴訟)、否認請求・否認訴訟(破産)に注
意!
• 倒産・廃業(又はその前提としての事業再編)の場合、早めに詳し
い弁護士へ継続的に相談することにより、選択肢が広がります
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従業員に対する
倒産・廃業前後の対策
従業員に対する対策
• 従業員には倒産・廃業直前まで倒産・廃業の事実を知らせないこと
• 資料・打合せメモの管理を徹底すること
• 弁護士事務所、会計事務所との打合せをしている事実が発覚しないよう
にすること
• 会社の業務終了の時期について検討すること
• 理想は全員に退職届を作成してもらうこと
従業員のトラブル例
1 個別の従業員がしつこくて困る。
2 労働基準監督署からの問い合わせがあって困る。
3 労働組合からの連絡がいきなりあって何のことだかさっぱりわからない。
4 何らかの未払いを理由とした裁判を起こされてしまった。
5 多数の従業員を巻き込んだ大トラブルに発展してしまった・・・。
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労働基準監督署対策
• 倒産・廃業等であれば労働基準監督署にその旨を伝えれば大き
な問題になる可能性は低い
• 労働基準監督署からの書面・電話での問い合わせには真摯に回
答すること
• 労働基準監督署からの問い合わせについての具体的回答の方法
(1)賃金未払
(2)残業代不払
(3)解雇についての争い
(4)その他書類の不備
• 従業員の今後の生活保証のため、解雇をするとしても必要な手続
きはきちんと会社で責任を持って行うことが、従業員との間での無
用の紛争を防止する方法となることあり
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労働組合対策
• 従業員が解雇に納得せず労働組合に依頼をするケースあり
• 労働組合に対して社長個人、人事担当者のみで望むのは危険
• 団体交渉=労働者の集団又は労働組合が代表者を通じて使用者
又は使用者団体の代表者と労働者の待遇又は労使関係上の
ルールについて合意を達成することを主たる目的として交渉を行
うこと
• 不当労働行為=やってはいけないこと(団体交渉拒否、組合員で
あることを理由とした不利益取扱、使用者が組合の運営などに介
入・干渉すること)
• 労働組合との団体交渉では安易に書面にサインはしないこと
• 労働組合法は労働組合と誠実に団体交渉を行うことを要求してい
るが、合意することまでは合意していない
• 労働組合の求める日時・場所で団体交渉を行う必要はない
• 社会保険労務士・弁護士等に相談した方が無難
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従業員の解雇について
• 解雇=使用者による労働契約の解約
• 合意解約=労働者と使用者が合意によって労働契約を将来に向けて解
約すること
• 合意解約を目指すこと(退職届の作成)
• 倒産・廃業の場合、最終的には解雇をする必要あり
• 整理解雇の四要件(人員削減の必要性、整理解雇選択の必要性、被解
雇者選定の妥当性、手続きの妥当性)について解雇前に確認すること
• 一部の従業員のみ解雇して一部の従業員の雇用を継続する場合に紛
争がおきやすいので注意が必要
• 解雇予告手当について
• 未払賃金立替払制度(独立行政法人労働者健康福祉機構HP
http://www.rofuku.go.jp/kinrosyashien/miharai.html)
• 解雇無効・残業代の請求を併せてされることもあるので注意!
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従業員による
民事訴訟・労働審判対策
• 労働審判=個別労働関係民事紛争について、裁判官と労
使の専門委員で構成される労働審判委員会が事件の審
理、調停、労働審判(判決に相当するもの)を行う制度
• 労働審判の特徴
• 労働審判を起こされた場合、弁護士に依頼がほぼ必要
• 民事訴訟の場合長期化の可能性あり(賃金、残業代、解
雇無効等)
• 労働関係の民事訴訟の特徴
• 給料未払い、解雇等が刑事事件になることはあまりない
• 労働関係の裁判は、弁護士によって多く取り扱っている弁
護士とあまり取り扱っていない弁護士がいるので、できる
だけ多く取り扱っている弁護士に相談することが必要
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労働問題の事例
• A社は資金繰りが悪化しているものの、仕事を継続していく意思と
能力を有する産業廃棄物処理業を営む株式会社。問題行動が多
い従業員がいたので解雇した。しかし、予想外の大トラブルに発展
してまった。
• まずは、従業員が労働組合に加入し、労働組合からの様々な要
求がきた。また、他の従業員がいつのまにか労働組合の味方と
なってしまい、会社内に労働組合ができることとなってしまった。
「職場環境の改善」などを求める団体交渉申し入れが頻発した。さ
らに、労働基準監督署には残業代の不払いについての相談を従
業員がすることとなってしまった。加えて、解雇した従業員につい
ては解雇無効・残業代支払いの訴訟が提起されてしまった。しか
も、労働組合主導と思われる会社を中傷するビラが取引先、会社
周辺、社長の自宅周辺で配布されることとなってしまった。
• 解決策 個別に対応するしかない状況であるが、できれば最初の
従業員を解雇する際に、解雇ではなく、きちんと事業を説明した上
で、従業員からの退職という扱いにしておいて欲しかった。
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倒産前に売掛金を回収する方法
1
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3
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請求書の送付・手渡し
督促の電話・手紙
内容証明郵便での督促(会社・弁護士事務所)
支払督促(裁判所を利用)
公正証書の作成(会社・弁護士事務所)
商品引き上げ
債務との相殺(会社・弁護士事務所)
民事訴訟(弁護士事務所)
民事執行(弁護士事務所)
債権回収のポイント
• 「とにかくしつこく、早く」が重要
• 相手の財産を把握できているかどうかが重要
• 連帯保証人、担保が付いているかどうかが重要
• 弁護士への依頼は早ければ早いほどよい
• 裁判手続きも早ければ早いほどよい
• 費用対効果を考えると、弁護士事務所との顧問契約が有益なこともあり
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売掛金の回収についての具体例
• A社は、清掃関係の業務を請け負う株式会社。少額・
多数の売掛金・取引先を有するため、売掛金の未回
収が多くて困っている状況。ただし、額が少額のため、
弁護士にその都度依頼することまでは面倒だし、費用
もかかると考えていた。
• 解決策 弁護士と話し合った上、顧問契約の方法をと
ることにより、継続的に納得できる費用での弁護士名
での通知書の送付、訴訟の提起等をスムーズに進め
られるようになった。また、継続的に請求業務を行って
いるので、毎回詳しく弁護士事務所に案件の内容に
ついて相談しなくても、スムーズに売掛金の回収業務
が進むようになった。電話・FAX・メールのみによる相
談もできるようになり回収の迅速性も増した。
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会社での支配権争い
• 会社内で相続、兄弟げんか、親子げんか等が原因で、株
主間の一致した見解がとれない会社→社長は弁護士への
継続的な相談が極めて重要
• 倒産・廃業の場合、株主間紛争があると、会社にとって一
番望ましい方法をとれない可能性あり
• 一番の理想は、株主間の紛争が生じないこと
• 株主間の紛争が生じてしまった場合には、株式の買い取
りが最大の目標
• 株式の買い取りが困難な場合には訴訟を提起されるリス
クが高いために各種規定・手続きを万全に行う必要あり
(株主総会・取締役会が必要な各種の会社の行為)
• 多数株主が少数株主である取締役の解任をすることは慎
重さが必要
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株主間紛争の具体例
• A社は、80%以上の株式を現社長が保有し、10%程度の株式を対立
する兄弟が保有している株式会社である。会社経営を巡って争いとなり、
株主総会決議により、少数株主である兄弟を取締役から解任したところ、
兄弟から解任をめぐる裁判を提起された段階で弁護士事務所への相談
があった。
• 取締役の解任には正当事由が必要のため、正当事由がない解任として、
数年分の取締役報酬を会社が兄弟に判決により支払うこととなってし
まった。また、兄弟は取締役ではなくても株主であることには代わりはな
いので、各種訴訟等を提起されることとなってしまった。(現社長の解任
の訴え、会計帳簿の閲覧謄写請求、取締役会議事録の閲覧謄写請求、
株主総会議事録の閲覧謄写請求、特別背任・横領での刑事告訴)
• 解決策 兄弟からの株式の買い取りが最初の段階でできていれば、この
ような争いにはならなかった。株主間の紛争は一度こじれると永遠に続く
ことが多いので、株主間紛争が会社で発生しそうな場合には、まずは、
今後のリスクを把握するためにも弁護士への相談が不可欠である。
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裁判員裁判と従業員の休暇
• 裁判員制度=殺人や放火のような重大事件につき裁
判員6人と裁判官3人で事実認定と量刑を決める制
度
• 裁判員を理由とした欠勤の場合の給与支給の義務は
ない
• 会社として最低限注意すべきポイント
(1)裁判員になったことを理由とした降格・不利益取扱
の禁止
(2)従業員が裁判所から呼出をされた場合、従業員か
ら申し出があった場合にはそれを妨げてはならないこ
と
・今後法改正の可能性あり
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刑事事件(交通事故)
• 事故の場合逃げないことが一番のポイント
• 逮捕されてしまった場合23日間の拘束を覚悟する必要あ
り
• 会社に顧問弁護士がいれば、すぐに顧問弁護士に問い合
わせの必要あり(早急な対応が結果を変える可能性あり)
• とりあえずすぐ警察に行ける余裕がある弁護士がいない
場合は、当番弁護士制度を利用。一度は無料。連絡後、
原則としては翌日までには弁護士が警察署に行くこと可能
• http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/list/keiben/kei
ben_c.html(当番弁護士制度のHP)
• 死亡事故であったとしても、飲酒なし、保険あり、ひき逃げ
なしであれば、刑務所の可能性はかなり低い
• 最近の刑罰の傾向
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交通事故(被害者)
• 社長又は社員が交通事故の被害にあった場合、最低限やっておく
べきことは、(1)相手の住所・氏名の把握、(2)警察をその場で呼
んで事故に関する証明書を後日作成してもらうこと
• 保険会社によっては、(1)個人が保険会社に請求する場合、(2)
弁護士が保険会社に請求する場合、(3)民事訴訟を提起した場
合で異なる支払基準を作成している場合あり
• 交通事故の保険には、弁護士費用特約(弁護士への依頼費用を
保険会社が負担する特約)が付いているケースも多いので、その
ような場合は積極的に弁護士への相談をした方がよい。
• 怪我をした場合、我慢して医者に通わないと思わぬ不利益を受け
るケースあり(医者に通った回数・期間で支払額が決まることが多
い)
• 通称「赤い本」、「青い本」が損害賠償額算定の基礎資料(日弁連
交通事故相談センターHP http://www.n-tacc.or.jp/book/)
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顧問契約のメリット
(1)すぐに弁護士事務所に相談できる
(2)業務内容や内情の理解が得られる
(3)迅速な対応が期待できる
(4)よりよい契約交渉や紛争解決が期待できる
(5)信頼関係を構築しやすい
(6)法務コストの削減
特に、以下のような会社には顧問契約がお勧めです。
(1)売掛金の未回収が多い会社(少額・多数の売掛金の未回収が発生する可能性がある会社等)
(2)従業員と紛争になる可能性が高い会社(労働組合が強い会社等)
(3)株主間での調整が必要な会社(少数株主から訴訟を起こされる可能性がある会社等)
(4)継続的に法律問題(訴訟等)が発生している会社
(5)建物明渡訴訟・交渉が多い会社(不動産管理会社等)
→事業を行っていない個人の方の場合には、顧問契約ではなく、個別に弁護士にご依頼された
方がよいかとおもいます。他方、会社の場合や、事業を行っている個人の場合には、弁護士への
相談は、大きなトラブルになる前に早めに信頼できる気心の知れた弁護士に相談するのが一番
です。
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