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「戦後」から見えてくる「いま」と
建交労の未来
はたらけど はたらけど 猶わが生活 楽にならざり
ぢっと手を見る
(石川啄木の「一握の砂」、明治43年)
88年前
自由競争により‥弱い立場
にある人々が取り残されてしまうことなく、社会に参
加していく環境をつくることが大切
(天皇の74歳の誕生日の記者会見、東京新聞07.12.28)
2008.9.28 大分県本部第10回定期大会
建交労中央本部
佐藤 陵一
・食料不足と物資不足
・急激なインフレレ-ション
戦後はここから
戦争がもたらした恐るべき破壊と惨状 始まった!
死者310万人、国富の1/4が灰燼に帰し、失業者は
1,300万人に及ぶ
全国規模の食料不足、住宅不足、物資不足 ・軍事工場
の閉鎖
「配給」は1日1人あたり2合1
勺(約380㏄)の米、麦、穀物。
昭和24.5.20 緊急失業対策法
公布、8.28失業対策事業
の開始
○24.2、閣議報告された予想さ
れる失業者数は1,884,000人。
○25.5、登録日雇労働者が410,
000人に激増。
「いま」-失業・半失業の深
刻さ。公的就労の意義。
68都市が空襲で破壊され、44万
人の非戦闘員が焼殺された
・兵士復員
・海外から
引き揚げ
飢餓の国民
隠匿物資:軍部が「本土決戦」に備え、生産素
材、原材料は全国各地の廃坑や山の横穴に
食糧・衣料・燃料・工業原料など膨大な物資を
備蓄し、隠匿していた。「降伏後1ヶ月で約
5000億円の物資が消え失せた」(衆議院隠退蔵物
資特別委員会)
2
1945.12.22労働組合法公布
1947.5.3施行
労働組合の急激な成長
戦前の最高
369,000人(7.9%)
敗戦後1年で 3,937,000人(30 %)
「日本労働組合に対する原則」
(極東委員会1946.12)
日本の労働者が3つの目的を持って、
組合を組織する事を奨励する。
①労働条件を防護し、改善するため
②産業労使協約を交渉するため
③平和的民主的日本の建設に団体と
して参加するため
「いま」、労組は何を期待されているか
●漁民、農民、トラック‥生活防衛
●建設産別の展望‥ゼネコン交渉
●第9条を守る‥改憲を許さず
●憲法に先立って
制定される
●憲法では労組を
特別に重視
第21条 集会、結社及び言論、出版その
他一切の表現の自由は、これを保障する。
第28条 勤労者の団結する権利及び団
体交渉その他の団体行動をする権利は、
これを保障する。
・「労働者の結社」にだけ、別に条文を設
けている。資本と労働者の「労働契約」
は、実質的には対等でない。団結する
ことにより、初めて対等となる-憲法が
立脚する理念。
・保障は「保護して守る」の意味。
3
敗戦から10年、まるで別の国
のような変貌を遂げた
名実ともに「高度に発達した資本主義国」となる
朝鮮特需を経て
「もはや戦後では
ない」(1955年「経済白書」)
1.工業生産力(重化学)の巨大発展
鉄鋼、アルミニュウム、石油製品、セメント、発電機、テレビ
自動車は71年に2位、コンピューターの設置台数
第1次大戦(1914~18)期
に最低ランクの資本主義
国となったが、線維産業中
心の奇形的な構造
2.恒常的な輸出超過、貿易黒字国に転成
60年代末に鉄鋼、船舶、家電製品は輸出額世界第1位となる。自動車は74年から。
外貨保有は60年代前半の最高20億ドルから72年には92億ドルに急増。ただし金保
有ではなくドル保有。
賃金水準は、①春闘、②人
事院勧告、③最低賃金で決
まってきた。
3.国民生活水準の向上
設備投資主導の高度成長のもとで生活水準の向上は後まわしにされた。春闘で少
しずつ上昇し、生活水準が上がった。「3種の神器」(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)など
耐久消費財が普及。高校進学55.7%(60年)→91.9%(75年)。マイカー保有
4
と持ち家が広がる。
日本列島改造論
土地買占め、狂乱物価
10%の経済成長率ではじき出した数字を、絶対動かない「既定事実」とし、これだけ
のものを早く作らないと経済成長に間に合わない。工業用地、用水、新幹線・高速
道路を先につくり、後から企業を誘致する計画。
道路特定財源をつくった田中角栄
国民総生産
1970年
工業用地
貨物輸送量
粗鋼生産量
石油消費量
73兆円
12万㌶
3500億㌧キロ
0.9億トン
2.0億キロ㍑
304兆円
28万㌶
1兆3200億㌧
2億トン
7.9億キロ㍑
(出発点)
1985年
「改造論」の予想
1985年
キロ
134兆円
15万㌶
4300億㌧キロ
1億トン
2.5億キロ㍑
193兆円
17万㌶
5800億㌧キロ
1億トン
2.3億キロ㍑
現実の到達点
2000年
現状
「熊出没に注意」の看板
●苫小牧東部開発は6000㌶が空き
地。5万人の工業基地つくりが、企業
の従業員総数は1800人。用地造成
費は3600億円。
●「むつ小河原地域」は7900㌶。12
万人が働く、超大型コンビナート計画
石油港湾:7億㌧規
輸送量が4倍。新幹
模の石油需要を賄う
線によって浮いた
には、50万㌧タン
在来線の旅客輸送
カーの入港を年間、
力を貨物に切り替
延べ1400回受け入
える。新幹線9000
㎞以上、高速道路1 れる港湾が必要とな
る。
万㎞。
「私の戦後60年」(不破哲三)
高度成長の結果の「陰」
公害、受験地獄、社会保障水準
政府はまったく冷淡
国民の生活全体の豊
かさを示していない
貧困な社会保障、国民は老後、病気に備え 日本は6.5%
④低福祉 各国GDP比の社会保障給付額(1974年当時) ・12~14%:アメリカ、
-
イギリス、カナダ ・20%台:西独、仏国、伊国、ベルギー、スウェーデン、オランダ
⑤産業公害・都市の過密
・水俣病:有明海の工業用水
・阿賀野川の第二水俣病
・神通川流域のカドミウム汚染、イタイイタイ病
・四日市石油コンビナートの亜硫酸ガス、喘息都市は近隣重化学工業地帯からの有
毒排ガス
・高速道路の自動車の排ガス
・高層ビル乱立による日照権の破壊、風害
穀物自給率 1960年83%→79年35%
⑥農山村の過疎、農業衰退
人口の都市への大量流出、農山村の伝統的産業の衰退、ダム建設による山村
の埋没、私鉄やバス路線の廃止。農山村はいちじるしく人口が減少し、荒廃した。
「通商白書」
原油価格
過去2回の石油危機
1バレル125.5㌦のうち50.8㌦は
最高値は147ドル(08.6)
投機資金による価格のつりあげ
第1次石油危機 1バレル3.11㌦→11.65㌦
・1973.10.6、第4次中東戦争が勃発。エジプト・シリア連合軍が、奇襲攻撃でシナイ
半島とゴラン高原を制圧。イスラエル軍が反撃し、ダマスカスとカイロに迫った。16
日、アラブ産油国は、イスラエル支援のアメリカ、オランダへの原油禁輸と原油公
示価格の21%引き 上げを発表した。原油価格は最高で4倍に高騰した。原油採
掘量や価格決定権をメジャーから奪還する産油国の意図があった。
第2次石油危機 1バレル32~40㌦
・1979年、イラン革命をきっかけに第2次石油ショック。80年、1バレル40㌦。第1次
ショック前と比べると原油価格は20倍となった。
日本は中東原油に依存していた。政府は電
力消費の抑制などの危機感をあおった。ガ
ソリンのみならず、物価が連鎖的にあるいは
便乗で急騰し、74年の消費者物価上昇率
は23%となった。トイレットペイパーの買占が
起きた。供給削減はなかったが、世界的な
物価高の時代となった。
2度の石油ショックは日本経済に打撃。
・石油、電力多消費型産業が、国際的に「割
高」となり競争力をなくした。
・巨額の原油輸入代金の支払いが国際収支
の大きな負担となった。
・「省エネ・ハイテク産業」の確立。IMF・JC
が「経済整合性路線」で賃上げを自粛。
特筆
豊富な低賃金労働力と
人口年齢構造の劇的変化
超高度成長を可能
とした要因③
米国の1/8、西独の1/4の低賃金。鉄鋼のトンあ
たり生産コストは米国103㌦、日本17㌦
農地改革の成果。生産力
の上昇で労働力が過剰
さらに加わる3つの事情
1)大量の農村人口が都市に移動
2)女性の経済活動への参加(共働き)
3)総人口の7割近くが生産年齢人口
戦前の日本は「多産型社会」
(明治~ベビーブーム期までの出生率は
32.7/1000)
老齢層と年少人口を合わせた社会的に扶
養される総人口が縮小し、所得をあげうる年
齢層が爆発的に増大した。低賃金・低福祉
政策の継続を容易にし、高い剰余価値率の
実現を助け、消費市場の大膨張、不況知ら
ずの高度成長の背景にあった。
現在の中国の高成長に通じる
男性比60.9%。
(74年資、本主義国1位)
生産年齢人口(15~64歳)
1950年 5,014万人
1970年 7,211万人
1846年(幕府最後の人口調査)
推定3200万人
1872年(明治4年、近代戸籍制度)
3500万人
1912年(明治末年)
5000万人
1926年(大正末年)
6000万人
1932年(昭和7年)
7000万人
1948年(昭和23年)
8000万人
8
1967年(昭和42年)
1億人
物価が安定している中で土地や株
が急騰し、資産価値の増大をはる
かに上回り、水ぶくれする現象
84~89年 機械設備や建
物等固定資産が35.4%増
大、土地129.2%(2.3倍)、
株式340.9%(4.4倍)(経済
企画庁)
①投機家は超低金利融資
で土地を買い、それを担保
に新たな融資を受け、さら
に土地を購入。このプロセ
スが反復された。
②大企業自身が土地、株
の投機に大金を投じた。手
段は転換社債(新株に転換
できる社債)とワラント債(社
債を保有したまま、新株を購入
できる権利がついた社債)
バブル(水の泡)
の発生。80年代後半
いま、投資して未来における利益を確保する。バスに
乗り遅れるな。堅実な投資と区別がつかなくなる。
〔オランダ〕チューリップの球根=馬2頭
付きの馬車1台
チューリップは中東原産。品
種改良であでやかな新種が登場。値が上がった。ある
時点から球根の先物取引が行われ、投機化した。球根
の価格は花の価値から乖離する。17世紀のオランダ。
〔イギリス〕「南海会社」の株価が急騰。(奴隷制取引や通商特
権の独占)1720年頃。株式会社が「泡のように」設立された。
「子供たちの運勢を強める会社」「召使いによる損失を保険す
る会社」「鉛から銀を抽出する会社」「偉大な利益になるすべて
を行う会社」-あらゆる階層が株式投機に狂奔した。
〔アメリカ〕フロリダの保養地1920年代。地価がわずか2週間
で倍になる。人々が押し寄せ、交通渋滞を起こし、「路上で土
地売買、地図を広げることを禁止する規則」が制定される。バ
ブル崩壊後、30年代の不況へ。
SUB PRIM LOAN
(サブ・プライム・ローン)
下位の‐優良貸付け
信用度の低いものへの住宅ローン。住宅価格が上
昇している間は、無理をしてローンを組んでも住宅を
売れば過重ローンは返済できる。下落すれば不良
債権が続々発生する。
どれだけあるか不明
〔アメリカだけにとどまらない理由〕
ローンを金融商品化してグローバルな市場で取引し、貸付にともなうリスクの軽減を世
界中に分散した。
先進国(豊かな社会)に
〔何が起きているのか〕住宅バブルとその崩壊。連動した資
おいては人々はそれほ
源や穀物の商品先物市場で投機が生じた。その影響で為
ど新しいモノには飛び
替市場や株式市場の変動を通じて世界経済全体に即座
つかない。経済活動で
に波及する。過剰な資金が世界を駆けめぐり、バブルや投
利益をあげるためには
機で利益を生み出している。実体なき経済である。
たえずバブルを起こし、
投機的利益を無理につ
くりださなければならな
〔経済の実相は資本主義の限界を示す〕
金融の一時的な混乱とか、ずさんな融資だけではない。通 い。「逆立ちした経済」
によらなければ利潤確
常なら市場に登場しないリスクの高い融資を行い、住宅バ
保ができない、しかも大
ブルをつくり出さなければ利益をあげられない、今日の経
規模にたえず繰り返さ
済活動にこそ問題がある。アメリカの好景気は、不動産バ
れることになりかねない。
ブルと無理な融資と株式市場や商品市場での投機によっ
てかろうじて支えられている。現代資本主義の限界を示す。
佐伯啓思京大教授
(08.3.31道新)
バブル崩壊、10年以上の長期低迷
転機は公定歩合に引き上げ。2.5%(1989.4)→6.0%(90.8)
理由は、土地の値上がりが、個人の宅地購入、企業の工場拡
張、国・自治体の都市開発、道路建設に支障をきたした。
なぜ、ひどいことになったのか
❐バブルの後遺症が大きかった-①過剰な生産設備の存在
バブル崩壊まで、
日本は経済が好
調な国だった。G
DPは80年代平均
で3.7%。国と地
方の財政は黒字。
失業は少なく、くら
しは着実に向上し、
未来に夢を描け
た。
があらたな設備投資の回復につながらず、②銀行のかかえ
た不良債権(40兆円-政府)が「貸出業務」を滞らせた。
90年代、
❐財界・政府の不況対策が間違っていた-①「乾いたタオル
「失われ
からさらに水をしぼる」ーリストラに走り、②コストの安い発
展途上国への海外進出した。勤労者の消費力が減退し、
た10年」
国内経済が空洞化させた。③「ゼロ金利」と法人税の引き
下げは大企業の利潤を増やしたが、海外に投資された。 ・1992~2000
④公共事業は建設・鉄、セメント業界の潤いだけで国債の
経済成長率
累積を巨大化した。
1.15
❐有効な不況対策は、GDPの55~60%消費を高めること。 ・失業320万人
設備投資は、短期に急激に変動し、景気に強烈な影響を
(1999年度)
11
及ぼすが、消費は「じわり」と景気の底を支える。
・財政赤字が
最悪
新首相は常に「改革」を口に
するが、小泉首相は「構造改
革」のために「痛みに耐えよ」
「自民党を潰す」といった。
創造的破壊を通じて「経
済社会の活性化」をは
かり、それによって経済
成長を実現する。手段
は、①民営化・規制改
革、②再チャレンジャー
支援の2つ。
「小泉改革」の具体的な姿
❶郵政民営化
「官から民へ」 郵便、郵便貯金、簡易保険
❷規制緩和
を切り離して別々の会社とする。郵貯、簡保
の340兆円。アメリカの生命保険業界が参入
❸労働の規制緩和
を強く要求してきた。
❹大店法廃止
マネーゲームで「錬金術」に道
・「金融ビッグバン」(1998年)で金融改革法。
❺医療「改革」
証券会社、銀行・保険会社の規制を取り払う。
❻大増税
ハイリスク・ハイリターンのデリバティブ(金融
後期高齢者医療制度
派生商品) の販売.。
12
・(小泉内閣、01年)株式の細分化を緩和。
「ホリエモン」の錬金術。
生存権と戦後民
❸労働の規制緩和
主主義を原理的
「政府の審議会」の驚くべき議論
に否定するもの
❐最低賃金引き上げは、それに見合う生産性を発揮で
生活困窮を招く
きない労働者の失業をもたらす。
❐過度に女性の権利を強化すると、企業は最初から雇
用を手控える。
副作用がある
❐正社員の解雇を厳しくすると、企業は非正規雇用へ
シフトする。
❐派遣への直接雇用の義務付けは、期限前の雇い止
めを誘発し、派遣の地位を危うくする。
❐労働時間の上限規制は、脱法行為を誘発し、労働
13
者と使用者の利益を無理やり放棄せせる。
「再チャレンジWG」
非正規労働者1663万人(06年)
アルバイ
ト 337
20%
派遣
121 7%
契約・嘱
託 422
25%
パート
783 48%
パート労働者
110万円
派遣労働者
119万円
契約・嘱託労働者
288万円
非正規労働者全体
133.4万円
(赤旗06.1/28)
1996年~2005年に非正規
雇用が649万人の増
日本以外は賃金を6~20%引き上げている
各国とも競争
している。しか
も大企業はボ
ロもうけ(下図)
異例(08.9.11、朝日) 二階経産相が御手洗
会長に09春闘での「賃上げを要請」。「重く受
け止めできるだけの事をしたい」と回答。
15
(「赤旗」07春闘、藤田宏)
❻大増税と
大企業優遇
財界は実効税率30%を要求
(法人税30%+法人住民税+法人事業税)-(損金を
処理)=実効税率は約40%
「定率減税」の廃止
・所得税の一律20%、地方税の15%を1999年不況が
長期化・深刻化するなかで税負担の軽減をはかった。
「貯蓄率」:可処分所得の中から
貯蓄される割合 実収入-税金+社
・1970年代
・2002年
03年
04年
20%
7.3%
7.8%
2.8%
「企業は金の卵を
生むもの」(小泉首相)
法人税
1986年
42%
1989年
40%
1990~97年 37.5%
1999年
30%
会保険料
貯蓄ゼロ世帯
1955年 7.9世帯
2006年 22.2世帯
(「家計の金融資産に関する世論調査」05、
06年、金融広報中央委員会)
相対的貧困率
(貧困の国際的比較は
その国の平均的な所
得の半分以下の人々
の国民比で行う)
(90年代後半)
メキシコ
20.3%
アメリカ
17.1
トルコ
15.9
アイルランド 15.4
日本
15.3
ドイツ
10.0 16
フランス
7.0
スウェーデン 5.3
日本経団連(2006年5月)
「希望の国・日本」の正体
御手洗新会長は就任あいさつで何を述べたか
●「日本は世界経済の主要なプレイヤー」であり続ける
●「かつて企業を苦しめた『3つの過剰』はほぼ解消し、企業業績は過去最高水
準を更新し続けている」が、「全要素生産性」をさらに上昇さる。
●新興勢力の台頭のもとで、「競争力の格差を不断に創出する」。そのために
新商品・サービスの国家プロジェクトをリード役に「税制、財政、教育などすべ
ての施策を動員して整備」し、「新しい成長のエンジンをフル回転」させる。
●「社会システムやその根底にある国民意識の転換」が必要であり、貫かれるの
は「自らの責任において自らの未来を切り開く気概」である。
●福祉は「自ら支払ったものを大幅に超える給付を受けられる制度」は「官への
甘え」である。「給付を経済の身の丈にあった水準」に合わせるべき
●地方自治は、「地方住民が必要な行政サービスを選択し、その費用を自ら賄
うことを基本」とする。
教育基本法の改悪
● 「格差はむしろ経済活力の源」である。
●セーフティネットは、NPOやボランティアの力を最大限活用して整備する。
BRICs-ブラジル、ロシア、インド、中国。世界人口の42%、27億人を占め、
04年平均実質成長率は7.9%。
国際関係は経済のみならず、政治、
社会、文化など様々な分野で相互
に地球規模の影響をもたらしている。
グローバル化は歴
史的な傾向だが
●グローバリゼーションは経済的には国境を越えた経
済活動の活発化。日本企業は低い生産コストを求め、
グローバルに生産と流通を統合している。
●政治的には「冷戦後の米英系自由主義の世界的波
及の進展」(通商白書)。
●その実際の姿は 「地球的規模での弱肉強食」 戦略。
(牧野富夫)
●アメリカが使う場合は「戦争に勝つための戦略用語」
といえる。(品川正治)
反グローバリズムが強まっている。先進国の雇用喪失、途上国
での所得格差、森林の減少、温暖化の進行、食料の安全性
の低下などに異議を唱える運動。
国の07年度予算
歳出は82.9兆円
税収は53.5兆円
もはや「破たん」している!
-教育・福祉・医療の削減と増税の志向-
夕張は年間予算111億円。借
金が600億円だった。
歳入
一ヶ月の世帯収入 (税収)
40万円
歳出
一般歳出-家計費
地方交付税-田舎の実家に仕送り
国債費-ローンの元利払い
毎月新たに借金(不足)
年度末のローンの残高は4,600万
33万円
10万円
15万円
18万円
「国の借金は827兆円。赤ちゃんを含めた国民1人あたり647万円(05
年度末)」借金は1年以内で借り換えを繰り返している「短期資金」を
含めると1000兆円を超えている。
“非情”な福祉の切り捨て
老齢加算17,000円は70歳以上がすでに
「骨太方針2006」
廃止。第2の「人間裁判」が始まる
①生活扶助水準の
見直し
96,200世帯。平均保護額14万円。 08年
②母子加算の廃止 度までに23,260円(1級地)が廃止。
③級地の見直し
④リバースモーゲージ制の導入
生保世帯の類型
高齢者世帯 46.7%
母子家庭
8.8%
障害者世帯 10.3%
傷病者世帯 24.8%
困窮者世帯 9.4%
500万円以上の持ち家。65歳以上は担
保として7割の貸付。
②と④はすでに07年度から実施
生活保護の受給者数
20
95年88万人→06年149万人
「消えた年金」だけではない。年金不信の真の原因
社会保険方式で20歳以上60歳未
月額14,100円(05年度):国民年
満のすべてに加入を義務づけ。収
金(第1号)被保険者2190万人中
入がなくても納付義務がある。「排
全額免除・猶予者数538万人
除原理」(拠出しなければ救済対象か 06年実質納付 完全未納者370万人
ら外す)の世界。
完納者940万人
率は49.0%
年金不信=構造的欠陥+高い保険料
自営業は65歳以
上も働ける。家業 +低い年金額+受給資格期間の長さ
を継ぐ子がいる
国民年金(老齢基礎年金)は40年間
欠かさず納めて月額66,000円。国
民年金だけの約900万人は平均月
額47,000円。老齢年金受給者の
62.1%が150万円未満。
25年間保険料を納めなけれ
ば受給できない異常な長さ。
未納者の差し押さえ(06年度)
は11,910人。
21
「格差社会」の本質と
その原因 (大木一訓教授)
❶不平等の拡大が大規模
かつ急速に進む
日本は以前も不平等社
会だったが、「いま」の
「格差社会」の意味を押
さえておく
2001年以降の小泉内閣の新自由主義の諸政策
❷中流階層が姿を消した
❸社会の底辺に膨大な貧困・失業層が累積した
非正規雇用、フリーターの増加
❹新自由主義政策がいっそう悪化させた
金持ち優遇税制、
社会保障、社会福祉の改悪。規制改革、民営化の推進。
❺社会の2極分化。機会均等が保障されなくなった
「勝ち組」「負け組」、教育、結婚、就職など
❻国民の将来不安を高めている 子ども、高齢者の自殺増
❼国民の貧困率が高い国となった
規約第3条 この組合は建設、交通・運輸、農林、
自治体関連および一般労働者で組織する。
建交労の特質‥‥
永山、大須教授の
目に映る姿とは
〔永山利和日大教授〕
● 多様な労働者を組織してきた。
● 要求・解決すべき課題に応じて自ら組織・政策・運
動を決めてきた。
● 企業別に組織された多くの 労働組合とは異なり、自
覚にもとづく個人加盟組織 であり、その運動は強い
特性、鮮明な色彩、多様な性格をもち、既成の運動
形態の枠や観念から自由な組織であった。
● 労働経験の長い労働者と若年が生活と労働の「対
話」から改善への創意・工夫が行われた。
過去と未来の交流運動史
〔大須慎治中大教授〕
「非常識」を「常識」にかえてしまった組合。
日雇が「退職金」と「健康保険」をつくりあげた。
「2大闘争」の前進
総合力を発揮している
「4つの大運動」-実はす
ごいことをやっている!
組合員の確信が仲間を増やす力
□ゼネコン交渉の継続(重層的下請構造のもとでの「本社」交渉の
威力は抜群の力)
□集団的労使関係・労使の共同セミナー(労働者
の権利擁護と「共存・共闘」の中小企業政策の発展)
□対政府・自治体交渉(自治体ぐるみの対政府闘争、制度の改
善とともに新たな制度創設も)
□自ら雇用をつくりだす(失業者闘争と「事業団」運動)
□建設・運輸の共同と政策の重視(建設労連、生公連、建政
研、交運共闘、交運研)
「すごさ」を組合内外に定着させる創意・工夫が重要と
なっている-伝統をつくりあげる。
日本は法治国家。「制度」闘争は改悪反対、改善ととも
に創設の展望をもって進める。 高齢者の雇用・就業の場合は
高年齢者雇用安定法(高齢法)
「責任と義務」(広辞苑)
第1条(目的)は、①定年引き上げ、②継続雇用、③再就職促進、④就業機会の確保
を掲げている。
第5条(国及び地方公共団体の責務)「労働者その他の
関係者の自主的な努力を尊重しつつその実情に応じて
これらの者に対し必要な援助等を行うとともに・・高年齢
者等の意欲及び能力に応じた雇用の機会その他の多
様な就業の機会の確保等を図るために必要な施策を総
合的かつ効果的に推進するように努めるものとする」。
「事業団」は長年にわたり
苦労と努力をしてきた。国
の「指針」をつくらせる。
国は自治体の判断と逃
げている。組合が対自治
体闘争に全力をあげる。
「労働組合が入る」と解説
書に明記。話し合いを拒否
できない
自治体はシルバー人材センター(目的は「福祉の増進」)中心の高齢者の就業対策
を行っている。「高齢法」の目的を体現しているのは「事業団」である。
25
「高年齢者就業実態調査」(厚労省04、抜粋)
男 65~69歳
60~64歳
女 65~69歳
60~64歳
経済上の理由 生きがい・社会参加
60.3%
11.8%
71.8%
9.3%
55.3%
12.5%
67.1%
11.3%
自治体ぐるみの
対政府闘争に
自治体交渉のポイント
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がぜん“やる気”が出る
行動を提起する
組合員を増やす-「すごさ」と「お
もしろさ」を知ることが力となる。
幹部は3つの視点を堅持して
1.「未組織労働者の組織化」の課題は労働組合が生
まれたその瞬間からの歴史的任務。
「労働組合は、労働者の完全な解放という広大な目的のために、労働組合をつくっ
たその瞬間から、組織化の中心として意識的に行動することを学ばなければなら
ない」(「労働組合、その過去・現在・未来」マルクス)
2 労働相談に対しては、「建交労は知恵も力も貸しま
す。しかし、たたかうのはあなた自身です」の立場。
組合は「解決請負人」ではない。
3.「みんなで話し合い、みんなで決め、みんなで行動
する」-時間がかっても「力」を発揮できる。
27
「月間」では、どこに焦点を当てるのか。準備を整える。
日時を決めて行動する。計画をしっかりもって‥‥
とりくみの1-知名度と信
頼を高め、「相談」を中心
に労働者を吸引するとり
くみ。必要なのは解決実
績の宣伝と知名度アップ
の手だて。
とりくみの2ー「月間」を中
心に職場で組合員を増
やす。「しがらみ」を打開
する。「この要求を実現
しょう」を鮮明にする。
とりくみの3ー先を見な
がら役員会で「戦略」を
練り、オルグを集中する。
・どこに(職場か、地域なのか)
・どのように(事前の調査は)
・いつまでに
*同業種に広げる。
*政策で呼びかける。
*共同で地域を変える。
*活動家をつかむ。 28
敗戦後の惨たんたる焼け野原の中で新憲法など民
主主義と平和の諸法律がつくられた。この民主主義・
平和の大原則にもとづいて空前の大繁栄が生み出
された。
繁栄の頂点でのバブルというとてつもない巨大利潤
のチャンスが到来した。理性が麻痺して資本主義の
本能のままに株式投機・土地投機に身を投げ出し、
その結果、バブル崩壊の奈落に落ち込込んでいくこ
とになった。
現在の日本は二極化し「格差社会」である。労働者
に対する搾取と収奪は19世紀の「原始形態」に引き
戻されようとしている。「資本主義の限界」が指摘され、
国民のたたかいは「もう一つの日本」を模索しながら
激化している。労働組合が見直されている。