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-高齢者の雇用と就業-
「高齢法」の理念を体現している「事業団」の努力
〔報告のポイント〕
●自治体との間で「高齢法」の認識を一致させ、政府に対す
る要求運動を全国統一闘争でつよめる。
●シルバー人材センター中心の国、自治体の雇用・就業対
策の「転換」を求め、労働政策としての「改革」を求める。
建交労中央本部
08.10.18(新潟)
佐藤 陵一
1
「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」(高齢法 86.2.13)
「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律」で名称を
変更した。
中高年齢者に関わる雇用対策法の流れ(前史)
ポイント
1963年 職安法改正 「中高年齢失業者等に対する
就職促進の措置」(第2章の2)が定められる。
「高齢法」のルーツ
●「中高法」(71年)
1966年 雇用対策法 「中高年齢者等の職業の安定」
から「高齢法」(86
(第6章)で雇用率(19条)、適職の選定(20条)
年)へ名称を改定。
が規定され、付則3条で職安法が改正され、
●「中高法」は附則
「中高年齢者の雇用の促進」(第3章の2)が
2条で失業対策事
規定された。
「求職手帳」
業への新規就労を
1971年 「中高年齢者雇用促進特別措置法」(中高法)
閉ざし、失対打ち切
・雇用率制度など45歳以上(中高年齢者)への特別措置
り法となった。
・中高年齢失業者(45歳以上~65歳未満)への特別措置
1973年 雇用対策法改正で「定年の引き上げ促進施策の充実」が国の施
策として義務づけられる。(第3条)再就職援助計画、国の再就職
措置が規定された。(20条の3)
1976年 「中高法」改正で55歳以上の「高齢者雇用率」制度に変えられた。
2
「中」は1971年からの規定。
「高齢法」の
第1章の改正の特徴
その前は「中年」は35歳以
枠組み
上だった。
1.法律の名を改訂した。
2.総則の目的から「中高年齢者」の「中」を外した。
3.「高年齢者雇用安定センター」を指定する。
・「高年齢者継続雇用措置」で事業主のとりくみを促進する。
・「雇用改善事業」(雇用保険法62条)の高年齢者給付金を支給する。
第2章の改正の特徴
1.法の〔目的〕が再規定された
①定年引き上げによる安定した雇用確保
②高年齢者の雇用促進
③定年退職者の就業機会の確保
法の〔基本理念〕の規定が新設
関係者の〔責務〕を新設
事業主、国及び地方公共団体に
一定の努力義務が課された。
ポイント
22年前、高年齢者雇用就業対策の
総合的法体系化をはかった。
①60歳台前半層までを含めた継
続雇用の推進
②高年齢者の再就職の促進
③定年退職後の就業の場の確
保に対する援助
●国連の「高齢化国」基準は7%
●雇用の機会その他の多様な
就業の機会の確保
●「責務」とは「責任と義務」
(広辞苑)
3
2.定年の引き上げ(4条-5条)
①60歳を下回らない定年の努力義務
②大臣による定年引き上げの要請、計画作成命令、勧告と公表措置。
③高年齢者雇用推進者の選任の努力義務。
3.雇用促進の規定
①求人開拓、求人・求職情報の提供(6、7条)
②事業主の再就職の援助(9条)
③多数離職の届出(10条-数は省令)
④再就職援助計画-職安所長の事業主への要請
⑤退職準備援助措置-退職プログラムの実施
「高齢法」(86.2)がシルバー人
材センターの根拠法となる。以
来、22年となる。
80年から予算措置により育成。
4.国・自治体は就業相談、就業機会提供団体の育成
その他就業機会の確保に必要な措置を講ずる
5.高年齢者雇用率制度の廃止(55歳以上、6%の努力規定)
6.シルバー人材センター規定の新設
①知事は市町村ごとに公益法人としてシルバー人材センターを指定できる。
②同センターは無料職業紹介を行える。
7.国の援助規定の整備(45条)
現47条-事業主(団体)へ援助。
定年引上げ、継続雇用、再就職等。
4
「高齢法」-“空腹”は
満たされなかった!
東京の官
製事業団
積極的に評価する議論から
1.定年延長の法制化-60歳以上とす
る努力義務を課した。
2.高年齢者の雇用保障をより明確に
した。
(・基本理念、・国、自治体の責務、・60
歳定年の努力義務、・国の高年齢者雇
用促進努力義務、・事業主の再就職援
助努力義務、・退職準備援助措置、・シ
ルバー人材センターなど)
22年前の危ぐ!
「もっとも、これらは多くの精神規定や努
力義務規定であって、美しい花園をみる
ようである反面、空腹を癒す団子が乏し
い感は否めない。実際の成果は今後の努
力いかんにかかっている」
シルバー人材センターを法制化し、60歳
以上の高齢者の短期的・臨時的な非雇
用就業の機会を開始した。
・外国に例がない。画期的、独創的な新制度
・「高齢者事業団」に活動は当初、「労働者供
給事業」であると偏狭ないわれなき非難を
うけたが、ようやく国家法の公認と
なった。
シルバー人材センターと委託者および会
員の間は、それぞれ請負又は委任類似
の関係である。会員は下請負人のような
地位にある。会員と同センターおよび委
託者の間では、いずれも雇用関係は存
在しないものとして制度化されている。こ
うした法律構成は、労働者派遣と同様に
議論のあるところである。私見では「3者
間労務供給契約」の一種であり、セン
ターと会員の関係は「不真正第3者にた
めにする契約」と理解すべきである。(要旨、
「3者間労務供給契約」 山口大経済学雑誌35巻第5・6
号)
(「高年齢者雇用安定法」馬渡淳一郎、日本労働法学会誌68号 1986年)
5
自治体と第5条の解釈と認識を一致させる!
「実務解説」(p.46~48)
日本は法治国家
「実務解説」の学習が重要
高年齢者雇用安定法
第1条(目的)では、①定年引き上げ、②継続雇用、③再就職促進、④就業機会の確保
を掲げている。
「責任と義務」(広辞苑)
第5条(国及び地方公共団体の責務)「労働者その他の関係者の
自主的な努力を尊重しつつその実情に応じてこれらの者に対し
必要な援助等を行うとともに・・高年齢者等の意欲及び能力に
応じた雇用の機会その他の多様な就業の機会の確保等を図る
ために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努め
るものとする」
「事業団」は長年にわたり苦
労と努力をしてきた。働きたい
現実の声を訴える。
国は自治体の判断と逃げて
いる。自治体の施策と、国の
「指針」をつくらせる。
「労働組合も入る」と解説書に
明記。建交労との話し合いを拒
否できない。
第40条は「国及び地方公共団体の講ずる措置」ですが、「臨時的かつ短期的な就業又は軽易な業
務に係る就業を希望する者への就業機会を提供する団体の育成」と制約される。
6
「高齢法」の理念を体現している「事業団」
●法律の名称は「高年齢者の雇用の安定に関する法律」
●第3条(基本理念):「高年齢者等は、その職業生活の全期間を通じて、そ
の意欲及び能力に応じ、雇用の機会その他の多様な就業機会が確保さ
れ、職業生活の充実が図られるよう配慮されるものとする」
❐財団ソーシャルサービス協会-「日雇労働者の雇用機会の提供のため、日雇労働
者を雇用して行う事業」(「寄付行為」の第4条(事業)の7)
❐NPO東京高齢者就労福祉事業団-「就労を望む中・高
齢者に対し‥社会参加と高齢者雇用の増進に寄与する」
●現状はシルバー人材
センター中心の高齢
❐特定非営利活動法人豊の国雇用・福祉事業団-「失業者
者の就業対策となっ
等の雇用機会の増進」(目的)、「未就職者や失業者等に
ている。
雇用の機会を提供する事業」
●「福祉の増進」の位置
づけは「労働 (雇用)
❐企業組合青森県中高年雇用福祉事業団-「協同して事
政策」と は次元が異
業を行い、もって組合員の雇用確保と経済的地位の向
なるものである。
上を図る」
シルバー人材センターは根拠法の「高齢法」(第41条)で「高齢者の福祉の増進に資す
ることを目的として設立された民法第34条の法人(高年齢者就業援助法人)」とされ、
指定基準(第41条1項二号)でも「高齢者の福祉の増進」となっている。
7
「高年齢者就業実態調査」(厚労省04、抜粋)
経済上の理由 生きがい・社会参加
男 65~69歳 60.3%
11.8%
60~64歳 71.8%
9.3%
女 65~69歳 55.3%
12.5%
60~64歳 67.1%
11.3%
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09春闘で全国統一闘争を強
化したい!
自治体要請の「骨太」事項
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就 8
厚労省は、雇用対策法施行令にもとづき「雇用政策
の基本方針」(08.2.29)を定め、次いで「08年度雇用施策
実施方針の策定に関する指針」(08.3.31)を告示した。
●「基本方針」は、「当面5年程度の雇用政策の方向性」を示したもの。
●都道府県労働局は08年度の「実施方針」の策定にあたり、①本省の「指針」と同
時に、②知事の意見を聞くことされている。
「計画」から「基本方針」へ後退
全文は厚労省の「報道発表資料」を
参照
●「雇用政策基本方針」-「すべての
人々が能力を発揮し、安心して働き、
安定した生活ができる社会の責任」
-(雇用政策課 )
●「平成20年度雇用施策実施方針の策
定に関る指針」(告示第189号)
●「雇用政策」の全体像は、今回
の 「事業団」部会の直接的な議
論の対象ではないが、雇用・失
業闘争を重視する建交労として
押さえておくべき基本です。
●高齢者対策について「知事が述
べている意見」を把握することが
重要です。
9
「基本方針」における政府の問題意識
「原因」を読み解きながら、
たたかいの具体化をはか
ることになる。
❶ニート・フリーターと所得格差拡大の懸念
2003年の217万人をピークに2006年は187万人と3年連続で減少している。就職氷河期の年長フ
リーター(25~34歳)は改善の動きが鈍い。ニートも改善の動きが鈍い。フリーターやニー トの正
社員への就職が難しい状況にある。さらに「日雇派遣労働者」(日々又は30日以内の雇用)は雇
用安定、職業能力の蓄積不足が懸念される。所得格差の拡大や格差の固定化、未婚化による少
子化の加速が懸念される。
❷女性、高齢者に対する就業環境の整備
「均等法」から20年
・女性の社会進出が着実に進んでいる。管理職や役員にしめる女性の比率は国際的に低い。実
質的な機会均等が確保されたとは言い難い。仕事と子育て・介護の両立の難しさから離職を余
儀なくされ、いったん退社すると正社員の再就職・再就業が難しい。
・高齢者は高い就業意欲を持つが、雇用・就業機会が十分でない。転職に際し、賃金が低下する。
高い就業意欲を活かし、職業生涯の長期化に対応した就業環境の整備が急務となっている。
「老人福祉法」があるが。老人授産所は
❸新たな働き方の出現に伴う課題
外部人材を活用する企業が増加し、企業の雇用管理に変化がみられる。日雇派遣労働者は教育
訓練機会の差から職業キャリア形成にも差が生じる懸念がある。
10
政府の「問題意識」の続き
❹正社員の絞り込みとその影響
企業が中核的人材を絞り込み、週60時間以上の長時間労働が高水準となっている。
30代男性の21.7%が長時間労働である。健康を損ない、肉体的・精神的な疲労は生
産性にも影響を及ぼす。男性の家事・育児時間が短く、女性の負担を高めている。同
一企業内でも、雇用形態により職業能力開発機会の享受が分かれる。正社員間でも、
職業能力開発機会の多寡や質が異なるなど、将来の社会全体の人的資本の蓄積不
足が懸念される。
❺産業界のニーズとのミスマッチ
産業界は学校教育がニーズに合致していないと指摘。在学中のキャリア教育が十分で
なく、基礎的な職業能力が形成されていない。職業意識が十分に醸成されていない。
❻雇用失業情勢の地域差
公共事業に依存していた地域は地域産業が弱体化している。雇用創出力が乏しい。雇
用失業情勢の改善に遅れがある。
11
〔08年度〕(職業安定広報08.1 )
国の雇用対策の重点
国の雇用政策のスローガンは「全員参加型社
会」の実現。すなわち「人口減少社会はみんな
が働く社会」である。
●若者-フリーターの常用雇用化プランを推進
●女性-マザーズ・ハローワークの機能強化。育児休業の取得の促進、多
様な保育サービスの実施
●高齢者対策
①改正高齢法にもとづく65歳までの雇用確保
②「70歳まで働ける企業」の実現へのとりくみ
③シルバー人材センター事業等の充実をはかる
「偽装雇用」や
「有期契約」が
社会問題化
●障害者-①障害者雇用率の未達成企業や公的機関への指導強化、②短時間労
働に対応した雇用促進、中小 企業における雇用促進
●雇用の「地域差」(と「質」)の改善
雇用情勢の地域差に対する対策。「地域雇用開発促進法」で「自発的雇用創造地
域」と認定し、国は「雇用創出に向けた意欲のある地域のとりくみを積極的に支
援」する方針。公共事業削減による失業を移動ではなく地域の雇用創出で解決
する。
「新パッケージ事業」(「安定広報」08.1、p.28に例示)
・雇用拡大メニュ- ・人材育成メニュ- ・就職促進メニュ-
県段階の「指針」
がつくられている。
12
❐ 「教育・子育て・介護・環境」の重点分野でシルバー
を活性化する(08年度、厚労省方針08.4.16)
❐ 「委任」契約を促進する(「運営の手引き」の趣旨、p.137)
●センターは請負又は委任で仕事を引き受けているが、もともと委任契約と請負
契約は区別が困難だった。委任行為(委任状に代表される)は民法上の契約概念
(無償が原則)であり、商行為(商法)としては有償委任のみが対象でセンターの
委任契約は少なかった。
正規社員と机を並べ、指揮命令を受け、派遣と同様になる-佐藤
●福祉・家事援助サービス、事務系の仕事は、従来の請負契約でこれを処理することは、
実際問題としては非常に困難と考えられる。理由は「福祉・家事援助サービスは仕事
の完成があるとは考えにくい」「事務系は請負として完全な量的把握が困難である」
ので、むしろ業務は一定期間就労することが目的だから、請負でなく委任にしたほう
がよいです。
〔「委任」契約のメリット〕(p.137)
結局は「時給幾ら」であらゆる
仕事に乗り出すことになる。
❶ 選択肢が増え、引き受けられる仕事内容の範囲が広がる。
❷ 福祉サービス(対人サービス)等に適している。
❸ 単価(委任報酬日額/時間額)で契約できるので、見積事務量が軽減される。
13
シルバー人材センターとは「何者」なのか?
-その経緯、その現在と矛盾、中心要求を考える-
経緯の記述は「運
営の手引き」
(全シ)協の要旨
1.シルバー人材センター創設の背景-昭和40年代後半
・経済激動期-ニクソンショック(71年)、第1次石油危機(73年)
・失対事業の見直し-失業対策から雇用促進へ。雇用政策の転換。
・55歳定年制が主流。中高年の就業が厳しかった。 60歳以上の高齢者の就業対策は、中高
年齢者に対する「労働対策の一環」と
・65歳以上の老齢人口は7%。
・年金制度が未成熟で年金で生活することが困難。 してとらえていたが、シルバーから労
働法制の適用が除外された。
2.高齢者事業団構想
昭和49年、新しい発想による高齢者の働く仕組みの構想した。高齢者が自主的に働く組織
をつくり、その組織が受注あるいは開発した仕事を会員である高齢者に提供することを基
本とし‥。事業実施は区市が想定され、昭和50年2月に江戸川区に高齢者事業団が設立され、
全国に広がった。
実は、全日自労の
先駆的とりくみが
存在する。西宮、
尼崎等‥。
高齢者事業団の法的位置づけは「請負とも派遣とも
いい難い」として「大河内の宿題」とされた。
(高梨晶「証言シリーズ」雇用政策No.1、2003年)
14
3.シルバー人材センター事業の創設
●第4次雇用対策基本計画(79.8、閣議決定)で「高齢者の就業に関しては必ず
しも常用雇用に限らず、個々の希望や体力・能力を生かした多様な形態での就
業の機会が確保されるよう努める」とされた。
●80年から労働省が高齢者の任意的な就業機会を提供する団体を育成する自治
体に国庫補助(高年齢者労働能力活用事業)に踏み切る。これにより、「高齢
者事業団」「生きがい事業団」「能力活用協会」等々が趣旨や理念を同じくし
た団体を「シルバー人材センター」として統一し、全国展開がはかられた。
当時、「年齢線引き」で失対事業のからの就労排除が強行され、全日自労は激
変緩和策として「任意就業事業」で一定の就労を確保した。一般高齢者と失対
「引退者」の「2つの任意就業事業」が並立したことになる。一般対策がシル
バーとなった。
4.シルバー人材センターの法制化
●国の補助事業となり、シルバーは全国に広がったが、組織運営・事業執行で
様々な問題を抱えていた。
●「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」 (高齢法、86.10) が施行され、
国が雇用を前提としない事業に法的根拠(第45条)と財政援助を与えることと
なった。
15
90年代~現在-「シルバー人材センター連合」で「全県」
を取りまとめ。
07.3末 一般会計から140億円
労働保険特別会計から67億円
1993年-「シルバー人材センターの新たな飛躍をめざして」
(在り方研究会の報告書)-「センターが就業機会提供機能を多角化・高度化し、相
談機能や能力開発機能、更には教養文化活動まで幅広い機能を持った、地域の高
齢者のための総合的なセンターを目指していく」
相次いで目標が打ち出された
1.21世紀の超高齢社会に向け、世紀初頭に100万人会員とする。
2.小規模センター(国庫補助対象外)を含め、全国どこでも事業実施を進める。
(1994年、事業発展・拡充のための検討委員会)
3.都道府県単位で取りまとめる組織をつくる。
4.仕事の拡大-事務系就業分野の開拓、福祉・家事援助サービス事業の拡大。
5.会員による自主運営を図る。(1995年、「全シ協」定期総会)
1996年-「高齢法」の大幅改定。都道府県下全域を視野に入れたシルバー人材セン
ター連合(シルバー連合)制度が確立される。
2000年-「高齢法」の改定。「又はその他の軽易な業務に係るもの」が付加され、
シルバー事業の範囲が拡大された。
「週20時間」のガイドライン
16
労働者供給の契約の類型
「シルバー」の特質-「請負とも派遣ともいい難い」(高梨)
〔労働者供給事業〕
〔シルバー人材センター] 」
労働組合
シルバー人材
センター
供給契約
●「職安法」の労働者供給
概念から除外した。
●請負・委任は「民法」によ
る。労働法は適用されな
いと強弁する。
請負 委任契約
規約の承認
労働者
企業
高齢労働者
(60歳以上)
雇用契約
〔労働者派遣事業〕
派遣元
企業・家庭・官
庁等
請負・委任契約
労働法のもとでの
雇用契約である
派遣契約
〔請負〕
請負企業
請負解約
雇用契約
雇用契約
使用契約
労働者
派遣先
労働者
発注者
(指揮命令があると偽装請負)
17
「請負」「委任」は民法で契約は合法。しかし、高齢労働者を、労働法から除
外している根拠は「雇用によるものを除く」(「高齢法」42条の( )書き)による
規定のみである。この不合理さは、労災など裁判となってきた。
〔請負〕
注文者
仕事の完
成、報酬
請負人
民法第632条
請負人がある仕
事を完成するこ
とを約し、注文主
はその仕事の結
果に対して報酬
を支払うことを約
束する契約。
〔委任〕
委任者
事務
報酬
受任者
民法第634条、
第656条
委任者が事務
をすることを相
手方(受任者)に
委任し、相手方
がこれを承認す
る契約。
仕事の完成を目的とするものである
から、労働しただけでは債務の履行と
はならず、仕事の完成がなければ報
酬はもらえない。
事務を処理する(仕事する)こと、すな
わち、或る仕事のための役務の給付を
目的とし、仕事の完成は契約の要素で
はない。
請負人は請け負った仕事を自分の裁
量で完成させなければならない。必要
な人員、機材等の調達は請負人の自
由である。仕事中に発注者の指揮・命
令は受けない。
受任者は、委任された事務を自分の裁
量で処理する。仕事について委任者か
ら指揮命令を受けない。
「運営の手引き」p.136
18
「派遣と請負の区別」の厚労省基準によればシルバーの「請
負」は請負とは言えず、基準に反する。
まだ厚労省と「やり取り」
をしていない。
●シルバーの法制化は86.10 (高齢法施行)
●「告示17号」は86.4(労働者派遣事業と請負により行われる事業の区別に関する基準)
「告示17号」の「請負」の規定。反すれば「派遣」と認定される。
6条1項:事業主が自己の利用する労働者の労働力を自ら直接利用する。
6条2項:事業主は請負った業務を自己の業務として独立して処理する。
ⅱ(請負は)法律で規定された事業主としてのすべての責任がある。
ⅲ(請負は)単に肉体的労働力を提供するものではない。
・事業主でないシルバーが請負の主体となっている。「基準」は請負で仕事をする
場合は雇用 (使用従属)関係の成立を前提としている。シルバーの請負は雇用関
係を回避しているだけで合理性がない。「基準」では、請負とは事業主が労働者
を直接働かせる形態である。シルバーは「再請負」もしくは「下請」させている。
「基準」の請負とは明確に異なる。
・「時給幾ら」の実態は「見積もり」の意味をなさない。発注者にも会員にも「見
積もり」の根拠は開示しない方針にある。事業主は「すべての責任」が問われる
が、シルバーは「使用者」(労基法)でないと回避する。シルバーの取扱う仕事に
「単純作業」との例示が存在する。
シルバー人材センターも労働者派遣事業も労働行政の下にある。シルバーが「請
負」であるなら、労働者は例外なく、同質の行政指導によって保護されなければ
ならない。
19
「配分金」が最賃を下回る状況を打開する!
広島市シルバー人材センターの現状
最低賃金(引き上げ
配分金(広島シル
額)
バー人材センター)
そもそも配分金は一律な
のか。派遣となる!。
シルバーの対応状況
08年
683円
(14円)
660円
再び最賃が上がる。差は23円.
07年
669円
(15円)
660円
最賃大幅改定。配分金は改定されず。
06年
654円
( 5円)
660円
最賃が5円上がり、配分金が6円上がる。
05年
649円
(4円)
654円
配分金が最賃を上回っていた。
04年
645円
(1円)
(未把握)
●「全シ協」のスタンス(「運営の手引き」)
・見積額が時間額で最低賃金と比較してあまり差がある場合は調整する必要がある。
・センターの配分金は最低賃金法に拘束されるものではありませんが‥。
広島労働局の回答(08.6.13、キャラバン行動)
●各自治体の配分金公表は、労働局に権限がない。
●現在、広島市シルバーを指導している。(これまでは県シルバー連合を指導)すぐに改善と
はならないが、指導は進行状態なので改善の方向で適時・適切な指導を行う。
●シルバーの仕事を民業圧迫等の事実があれば指導改善をはかる。
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〔無法〕 シルバーは「民間」と競争し、仕事をとっている
到達点: 「北海道としては、労働省とも協議の上、『国又は地方公共団体から補助金を
受けているシルバー人材センターについては、入札の価格を低く抑えることができるなど
からして、入札など競争行為に参加することには、基本的に好ましくない』との回答を(建
設一般に)行っている」(1999.12.28、職業安定課長から市町村シルバー人材センター事
業主管課長宛通達)
論点:①「生きがい」対策(シルバー)が「生活対策」(事業団)を圧迫する。
②シルバーが公正な競争を阻害し、民業を圧迫し、存立を脅かすことになる。
「自粛せよ」の要求
公正な競争の阻害、民業圧迫の論点を確認する
〔さらに実態を検証し、改善を求める〕
全国組織の優位性(情報の集
中、統一闘争)を発揮する
1.会費を「就業配分金の1%相当額とする」は適切なのか。
2.「灯油センターの常駐管理人」(11月~3月、危険物取得免許所持者、8:30~19:00、男2
人、時給800円) は臨時的・短期的との関係で適切か。常用代替でないか。
3.「製造工程」での就労が存在する。
4.シルバーの実施している一般労働者派遣事業の実態。
5.シルバーの実施している無料職業紹介の実績等の実態。
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「随契」を考える視点の確認
本質的には「公共調達」をめぐる政策問題
●政府のうごき-入札の適正化
●地方自治法の規定-政令改正が必要である
①入札契約の適正化指針
(閣議決定06.5.23)
・公正な競争の促進→一般競争入札と総合評価方式
の拡大
・透明性の確保→ 予定価格、最低制限価格は事後公
表を推進
・不正行為の排除→官製談合の排除
・適正な施工の確保→履行保証割合の引き上げ
国の入札は会計法29条の3による
②地方自治法(第6節、契約の締結)
第234条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入
札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締
結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政
令で定める場合に該当するときに限り、これによること
ができる。
「公共調達」とは、政府
に物品を売る、政府か
ら発注される仕事を請
け負う、政府と共同で事
業を進めるなど、取引と
契約の関係。
・「公平性」を保ち、何ら
かの客観的な基準で取
引企業を選ぶため、契
約・取引のために「入
札」方式がとられている
・入札制度は中立的制
度として存在していない。
その時々、多くの収益
を得るためにつくりださ
れ、その業界構造を維
持する装置である (中
山徹「建設政策」05.1)
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「随契」はどう説明されているか。(札幌市
05.6.29)
・メリット-速やかに相手方を選択できる。資力、信用など確実な契約ができる。
・デメリット-相手が固定化し、馴れ合い価格、不利益を生じるおそれがある
①見積合せ
・指名見積もり合わせ-少額で競争入札の対象にしないが、適正価格を重視し、
資力、信用その他について適当と認める特定多数を選考し、指名して見積書を
取り、最低又は最高の価格を見積もった者と契約する。
・公開見積もり合せ-250万円以下の請負等。履行可能な競争入札参加資格者か
ら自由に専用ポストで見積書を受ける。
群馬は有限責任事業組合(LLP) が「受け
②特定随契←合理性と社会的合意 皿」となっている。法人税はかからない。
特許権、その他契約の性質、目的で特定の者と契約を行う。
「総合評価一般競争入札」とは
高齢者雇用
(地方自治法第167条の10の2、1999年改
正)「予定価格の範囲内で自治体にとって『価格その他の条件が最も有利なもの』
を落札者とできる」との規定の運用。
自治体にとって何を「最も有利」と
するか。首長の姿勢。「社会的価
値」はどのような価値を盛り込むか
で意味が変わる。
建交労が最も重視
・環境配慮-グリーン購入法、環境配慮
・福祉-障害者の法定雇用率
・男女共同参画-福岡県福間町のとりくみ
・公正労働-労働の安全性、雇用の継続
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「事業団」が現実的に「随契」を可能とする「2つ」の論点
❶地方自治法施行令・第167条の2の2-「不動産の買い入れ又は借入れ、普通公
共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるために必要な
物品の売り払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをす
るとき。
❷施行令・第167条の2の3-「障害福祉サービス事業、シルバー人材センターか
ら役務の提供を受ける契約、母子福祉団体‥」
施行令第167条の4~9も
随契が可能だが、「事業
団」にはなじまない。
4.新商品(総務省令)の買
い入れ
5.緊急の必要性がある
6.競争入札が不利
7.有利な価格で買える
8.入札者がいない等
9.落札者が契約しない
建交労は「2つ」を追求している
高齢者の雇用・就業対策
の「性質」と「目的」から競
争入札に適さず、特定随契
で委託すべきである。「失
対」からの経緯、地域住民
の雇用等を考慮‥
①施行令をシルバー人材セ
ンター等とし、「事業団」との
随契を可能とせよ。
②施行令を改正し、高齢者
の雇用・就業対策を随契の
対象に位置づけよ。(高知市
の政府要請)
社会的合意とする!
高齢者の雇用・就業を「効率」の名で「競争」に
さらすことは、著しく社会正義に反する。
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「交流集会」後のあらたな動向 -09春闘の課題
雇用支援で都道府県に基金2500億円
道新10/23
政府は22日、総額約2500億円を原
資に都道府県に基金をつくり、地域の雇
用を支援する制度を始める方針を固め
た。3年間の時限措置とし、10万人程
度の雇用増を目指す。雇用支援制度の
名称は「ふるさと雇用再生特別交付金」
(仮称)。
景気の低迷で雇用情勢が厳しい地域
が増えており、基金を使って働く場の確
保や地域経済の活性化を目指す。
各地の有効求人倍率などを参考に、
まず雇用状況が厳しい都道府県から始
め、徐々に拡大する方針だ。財源は労
働保険特別会計のうち、企業が保険料
を負担する部分から拠出する。
00~01年、02~04年にも、類似の交付金を
一般会計を財源にして設けている。
厚生労働省は、2008年10月24日、「労
働者派遣等の適正な運営の確保及び
派遣労働者の就業条件の整備等に関
する法律等の一部を改正する法律案
要綱」を労働政策審議会(菅野和夫会
長)へ諮問した。この諮問案の最後に
「シルバー人材センターについて、届け
出により、有料の職業紹介事業を行う
ことができるものとする」とし、2010年4
月1日の施行としている。
●職業紹介事業 (19.4.1現在)
事業別
事業所数 前年比(%)
有料職業紹介 4,536
23.3%
無料職業紹介
63
▲1.6%
計 4,599
22.8%
求人受付手数料-1件670円
特定業種以外は、求職者から手数料は
徴収できない。
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