修論中間発表資料 - 東北大学天文学教室

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形態別銀河計数から見る
銀河進化の研究
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
博士前期課程2年 銀河実験・観測グループ
小西 真広
2003年 談話会
Contents
・研究の動機
・イントロダクション
- 銀河のmorphologyと星形成
- Morphological classification
- Photometric redshift
・研究の目的・目標
・進捗状況
・Future work
研究の動機
・銀河がどのような進化をして現在に至ったか?
→ Hubble sequenceの起源を知りたい。
・星形成史の変化とmorphologyの変化はどう結び
ついているのか?
ー 遠方銀河(z~3)のmorphology
ー 遠方銀河(z~3)のmorphologyとSEDの関係
1, 銀河のmorphologyと星形成
銀河のmorphologyを調べるに当たっての大きな興
味:
- Hubble suquenceの形成
( 各morphologyの銀河の星形成史 )
銀河のmorphologyの多様性がそれぞれの進化の違
いを反映している事は明らかである。
銀河の測光学的性質がmorphologyと共にどのように
変化(進化)してきているのか?
Hubble sequenceの模式図(近傍に見られる形態分類)
(Burgarella et al.2003)
銀河のmorphologyと星形成
Hubble sequenceはz~1辺りになると描く事が困難。
・ early type : late type : irregularの比が変化
・ peculiar morphologyを示すものが急激に増加
銀河の進化の途中を捉えているため。
redshiftと共にmorphological fraction(環境も考慮すれば
number density)がどう変わるかが銀河進化を知る上で重要。
- 銀河のmorphologyを判別する何らかの手段が必要。
- redshiftの情報が必要。
銀河のmorphologyと星形成
銀河(光度)進化シナリオ
・ passive evolution
銀河は新たな星形成を起こす事無く、星のagingのみで進
化するというシナリオ。
・ pure luminosity evolution
number evolutionをせず、diskでの星形成のみで光度進化
をするという進化のシナリオ。
・ hierarchical evolution
sub-galaxiesがinteractionしながら星形成を起こし、massive
galaxyを形成するシナリオ。
Morphological number count
から銀河進化を知る。
(Cohen et al.(2003))
(後述の)photometric
redshiftを用いてredshift
distributionを調べる。
(Kajisawa&Yamada(2001))
こういった観測量と理論モデルを比較する事で
銀河の進化シナリオを解明する。
2, Morphological classification
方法1:visual (eyeball) classification
見た目で分類する方法。Hubbleを始め昔から
使われている手段。主観性が強く再現性が良
くない。Faint objectに対して弱い。
方法2:quantitative classification 1 (artificial neural network)
実際の銀河の、visualに基づくいくつかの観測量
(light profileに関係するもの)をlibraryとして用意し、
それとinput dataを比較し、visual classificationに最も
近いT-typeを出力するアルゴリズム。精度のよい
training-setを必要とする。
方法3: quantitative classification 2 (Abraham et al.1996)
測光パラメタから分類する方法。客観的で
faint objectでも分類可能。
Morphological classification
分類に使用される主な測光パラメタ
・light concentration
・light distribution asymmetry
・surface brightness
この他にもいくつかのパラメタが提案されつつある。
本研究ではAbraham et al.(1996)の手法を基に
concentration と asymmetry を使って分類を行なう。
Morphological classification
Galaxy light concentration (C)
Sの(30%)2の中に含まれるflux
定義:
銀河のtotal flux(area S)
手順1; ある閾値より大きなカウントを持つpixel群に対して
luminosity分布の楕円パラメタ(長半径、短半径、position
angle)を求める(楕円fitting)。
手順2; 1の楕円から測光apertureを決めるためのscaling factor
を求める。
手順3; 1の楕円にscaling factorをかけた楕円aperture(S)を用い
てtotal fluxを測る。
手順4; その測光apertureを30%にした時に収まるfluxを測る。
Concentrationを求める手順の模式図
測定する天体
手順1、2(楕円
fit&scaling)
area S
手順3(楕円測光,total
手順4(楕円測光,30%flux)
Morphological classification
area S
Galaxy light asymmetry (A)
定義:
∑S{各pixelでの(I0 ー I180 )の絶対
値}
2×∑ {各pixelの
I}
S
0
I0 :original imageでのpixelのカウント値
I180 :ある中心に対して180°回転させた時に同じ位置に
来るpixelのカウント値
実際求める際には、sky noiseによるasymmetryの差し引きも行
なう。
Aの値が大きい程、light profileが非対称である事を示す。
Symmetricなprofileの例
Asymmetricなprofileの例
(Jansen et al.(1997))
180°回転した画像を引いた
残りのfluxがAを決める。
・これらのパラメタから銀河の何を知る事が出来るのか?
Concentration : bulge/total ratioをよくtraceする。
→ 銀河を構成する恒星種族の分布を知る事が出来る。
Asymmetry : 銀河の形のirregularityにsensitive。
→ 銀河のdynamicalなprofile(mergingやinteraction)が分かる。
Late typeほど、Aが大きくCが小さくなる(形がirregularになる一方
でbulgeが目立たなくなるというvisualの考えと全く同じ)傾向が
local sampleから得られている。
銀河は、観測する波長により見る恒星種族(つまり銀河のactivity)
が変わる(morphological K-correctionという)ので、測定では波長
依存性(redshiftの効果も含む)に注意が必要。
ex)ある一つのband filterのデータから全ての銀河の2つのパラメ
タを求めた場合、redshiftによって遠方の銀河では近傍とは異なる
部分を見てしまうため、測定が均一でなくなってしまう。
Morphological classification
不確定性はあるがEarly
typeとlate typeとは区別
する事が出来る。
Late type
early type
Visual とautomaticの分類の比較
(Abraham et al.(1996) : Hubble Deep Field)
CとAは銀河の明るさ,
サイズに依存するので
1つの境界線では分け
づらい(cosmological
dimmingの効果も考慮
しなければならない)。
分類の精度は向上できる。
3, Photometric redshift
遠方銀河の分光観測は時間がかかってしまう。
Multi-color dataを使ってredshiftを推定する。
様々な銀河のtemplate SEDを、指定
した進化シナリオに従って変形させて
観測点とfitするものを探す。
- 形成当初(青線)は将来異なる
morphologyを持つ銀河でも同じSED
の形をしている。
- 時間が経つ(青→赤線)につれてSF
の終わったもの、続けているもので
SEDに違いが見え始める。
- 一般に、early type程star formationの
期間(τ)が短い。
6タイプの銀河のSEDの進化
(Hyperz manualより)
Photometric redshift
SED fittingにおいては
Lyman-breakや4000Åbreak
など大きなfeatureを挟む事
が重要。
RedshiftしたLymanbreak(912Å)
z~3.32と推定される。
7色(U,B,V,I,J,H,K)でのSED fittingの例
(Rudnick et al. (2001))
Photometric redshift
Redshift distributionと銀河進化シナリオの比較
(Kashikawa et al. (2003))
fraction
Galaxy number
Photometric redshift
Hierarchical evolution model
Pure luminosity evolution model
Photometric redshift
Hubble sequenceに従う銀河はU-B,B-Vの
color-color図で綺麗な相関が知られている。
これらのcolorについてzを遡って調べてい
くと、stellar populationの変動が分かる。
Bershady et al.(2000)
Photometric redshift
Colorのredshift変化を見ればその時
の星形成史を推定する事が出来る。
Massiveなものはいつの
時代も他より赤い(?)
Kajisawa&Yamada(2001)
Kashikawa et al.(2003)
Early typeでもpassiveモデル
に従わないものが存在する。
Late typeのcolor分布もzと
共に明らかに変化している。
Contents
・研究の動機
・イントロダクション
- 銀河のmorphologyと星形成
- Morphological classification
- Photometric redshift
・研究の目的・目標
・進捗状況
・Future work
4, 本研究の目的・目標
現在の様々な銀河がどのように進化をしてHubble sequence
を形成するようになったのかを明らかにするため、進化効果
を反映していると思われる“morphology”に着目し、
photometric redshiftと合わせる事で、どの銀河がどの進化シ
ナリオで進化してきたかを解明する事を目標とする。
またMOIRCSを用いたimagingによって同様の研究を円滑に
行なうために、ほぼ同じスペックのCISCOのデータを用いて
模擬解析を行なう事も本研究の目的の一つである。
※本研究に使用しているデータ(B, V, R, I, z’, J, K’-band)は、
FOCAS,Suprime-Cam,CISCOグループの方々のご好意により
提供していただいたものである。
5, MOIRCSによるサイエンス
銀河進化にとってのMOIRCS
~撮像から~
よりfaintな天体を検出するために、blank skyと呼ばれる、明る
い星や銀河の存在が確認されておらず、しかもOur Galaxyによ
る吸収の影響の少ない領域をターゲットとして選び、膨大な時
間をかけてdeep imagingを行なう。
しかし近赤外観測の場合にはまだ装置の視野が十分広くない
ため(ex. NICMOS<~1arcmin2, CISCO~2x2arcmin2,
ISAAC~2.5x2.5arcmin2)に大規模構造の影響を受けている可
能性もある。
(HDF-N, HDF-Sでもfield-to-field varianceが見られている。)
MOIRCSの4x7arcmin2の視野+Guaranteed
Time Observationは非常に有利である。
MOIRCSによるサイエンス
Photo-zにおけるNIRの重要性
近赤外の測光データがある事によって
SED fittingの精度が向上する。
U-bandがz~2でのLBの検出に
必要なように、NIRは
U,B,R,I-band
J,H,K-band 4000Åbreakの検出に必要。
(Rudnick et al. (2001))
MOIRCSによるサイエンス
~分光から~
多数のmulti-color dataから銀河のredshiftを推測する
photometric redshiftの手法を裏付けるためにいくつかの
分光サンプルが必要になる。
しかしz~1を超えると、主要な可視輝
線(Balmer系列やO[II],O[III])が近
赤外域にシフトしてしまうため可視
装置では分光が不可能。
MOIRCSの多天体同時分光という機
能が最大限に活かされる。
(Kashikawa et
al.(2003))
6, 研究の進捗状況
天体検出・測光:SExtractor (Bertin & Arnouts(1996))
・検出条件はMaihara et al.(2001)と同じ1.5σ(=24.1mag/arcsec2,
detection completeness~75%) → SDFカタログ生成
・各天体のconcentration(C)を計算。
logC
Number
K’magnitude
logC
Photometric redshift:Hyperz
(Bolzonnella et al.(2000))
Number
カタログ内の天体のphoto-zと
分光データの比較(14天体)
zphot
Kashikawa et al.(2003)との比較
<Δz>~ -0.038
(σ~0.207)
[参考]---------------------------------Bolzonella et al.(2000)より
<Δz>~0.06 @ σ~0.27,Δm~0.2
<Δz> ~ -0.024
(σ~0.150)
zspec
Photometric redshift
z_spec=0.913 , z_phot=1.89
どちらもBurst SEDにfit。
Photometric redshift
は完全ではない。
さらに精度を向上させるには、
U-bandのデータが必要。
z_spec=0.108 , z_phot=2.52
7, Future work
• Asymmetry indexの計算
• Morphological classification
•モデル銀河での分類精度シミュレーション
• z~3までの銀河のmorphological evolution
の研究とそのdiscussion
• MOIRCSに期待できる事
(MOIRCSに関連して)
終わり
Morphological K-correction
B
H
近傍銀河の可視と近赤外観測の比較 (Eskridge et al.(2002))
可視では主にspiral armに関連するstar forming regionがよく
見える一方で、赤外では古い星(主にbulge)がよく見える。
この事は遠方銀河の観測においても同様であると考えられる。
MOIRCS焦点移動機構
磁場の強さに反応するホール素子を用いてMOIRCS検出
器の位置を把握し、必要なら修正移動をするための機構。
2003年8月の結像試験
ホール素子電圧:
VH=Ib・B・RH/d
(入力電流,磁場,内部抵抗,距離)
z_spec=3.087 →LB(912Å)が~4000Åにある。
z_phot=0.05 → 4000Åbreakが~4000Åにある。
5000Å
U-bandがない事で
LBを完全に認識す
る事が出来ない。