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修士論文中間発表
2005/12/22
東京大学理学系研究科・地球惑星科学専攻
田中 孝明
修士論文目次
LEF-TOF型イオンエネルギー質量分析器
の性能向上に関する応用的研究
•
•
•
•
第一章
第二章
第三章
第四章
イントロダクション
プラズマ観測器の測定原理
質量分析能力の改善
考察及び結論
修士論文目次
• 第一章 イントロダクション
– 固体表面と希薄な大気を持つ天体
– 月希薄大気の科学
– 月周回衛星によるプラズマ観測
• 第二章 プラズマ観測器の測定原理
• 第三章 質量分析能力の改善
• 第四章 考察及び結論
固体表面を持ち希薄な大気を持つ天体
月、水星、小惑星など.
地上観測で得られた月ナトリウム
のD2線の発光の2次元分布。
Potter and Morgan, 1998
地上観測により、月、水星では
Na,Kなどの重粒子の大気が発
見されている。
これらは完全無衝突の大気で、
「固体表面を底に持つ外気圏」
(surface-bounded exosphere)と呼ばれ
る。光学観測の実例はいくらか
あるが、探査機などのin-situ観
測は殆ど例が無い。
月希薄大気の科学
月希薄大気の成因として考えられている主要な
物理プロセスは以下のようなものがある。
・ 太陽光による光脱離 : PSD (photon-stimulated desorption)
・ 太陽風スパッタリング (ion-induced desorption)
・ 電子刺激脱離 : ESD (electron-stimulated desorption)
・ 熱脱離 (thermal desorption)
・ 流星物質の衝突による蒸発 (micrometeoroid impacts)
月面で再吸収
直接生成されたion
惑星間空間磁場(IMF)
によって輸送
中性の大気
太陽光によって電離さ
れたion
月周回衛星SELENE
B_sw
E_sw
ラーマー半径~104km
Solar Wind
UV
Heavy
Ion
Escape orbit
100km
Photoionization
Lunar surface
SELENEによるプラズマ観測
Picked-up ion(Na+)の軌道
pointAは高度100km天頂角
30°
Yokota&Saito,2004
月面由来のイオンの観測によって地表の元素組成、大気生成過程の詳
細(太陽風fluxとの関係など)を探ることができると考えられる。
修士論文目次
• 第一章 イントロダクション
• 第二章 プラズマ観測器の測定原理
– エネルギー分析器
– 質量分析器
• 第三章 質量分析能力の改善
• 第四章 考察及び結論
エネルギー分析器の基本原理
現在では広い視野 と比較的高い感度を持
つTop-Hat型のエネルギー分析器が主流
荷電粒子
電圧
ディテクター
Top-hat型静電分析器
真上から見た図
ion質量分析器の紹介
Top-Hat型エネルギー分析
器に、接続できるような、筒
型の電場領域を利用した、
質量分析器。
粒子の飛行時間の違いに
よって質量を分類する。
左はカッシーニに搭載され
たion mass spectromater
修士論文目次
• 第一章 イントロダクション
• 第二章 プラズマ観測器の測定原理
• 第三章 質量分析能力の改善
– 月周回衛星SELENE搭載用プラズマ観測器
– 検出効率の実際と二次電子放出板
– 固体表面からの二次電子放出
– 性能比較実験
• 第四章 考察及び結論
月周回衛星SELENE搭載用
IMA(Ion Mass Analyzer)
静電エネルギー分析器とLEFTOF質量分析器によって、月周辺
イオンの質量毎の三次元分布関
数を測定する。
エネルギー分析部で粒子の飛行
方向とE/q(エネルギー/電荷)を求
める。
質量分析部で入射粒子のm/q(質
量/電荷)を同定する。
IMAでのLEF-TOF型質量分析の
基本原理
ion
線形の電場なので。
カーボンフォイル
二次電子放出板
Z方向の運動方程式を考えると
neutral
単振動の運動方程式と同様なので
(Start)
二次電子
線形電場
(Stop)
二次電子
MCP
アノード
飛行時間が粒子の初速に寄らない
飛行時間がカーボンフォイルでの散乱や、エネルギー損失、エネルギーの揺らぎ
に影響されにくいため高い質量分解能での計測が可能となる。
質量分析部の検出効率
ion
カーボンフォイル
• カーボンフォイルの
透過率
• 二次電子の放出率
• MCPの検出効率
• 検出される十分な
電荷量か?
二次電子放出板
neutral
(Start)
二次電子
線形電場
(Stop)
二次電子
MCP
アノード
こうした要素で静電分析部を抜けてきた
粒子の検出効率は下がってしまう。
位置検出と時間計測の一致
時間計測と位置
検出のコインシ
デンスがとれた
データは全体の
1~2割ほど。
イオンの核種や
エネルギー、
LEF領域にかけ
る電圧などに
よって若干変化
する
二次電子放出板の特性評価
低い検出効率を改善するために、TOFのス
トップ信号を発生する二次電子放出板を、
様々なものに変えて、装置全体の検出効率の
向上を図った。
特性評価を行ったのCuBeとAlの
基盤を基にして、厚さを変えた
MgOの薄膜を蒸着した板である。
基盤を研磨することにより表面の
粗さを変える事も行った。
電子衝突での二次電子放出量
実験のセットアップと測定方法
結果1TOFデータ
まず一見して
はっきりと言えるのは
MgOを蒸着
することでイオンの
ピークの検出効率が
確実に増加している
ということ。
ストップ電子のパルスハイトデータ
一見してMgOを蒸着
したものの
パルスハイトのすそ
が高いほうまで伸びて
いることがわかる。
MgOの膜圧との関係
膜厚が厚いほうが
二次電子放出量
が多い。
基盤の表面粗さとの関係
表面が研磨されて
いるほうが二次電
子放出量が多い。
AlとCuBe基盤の比較
Alのほうが若干二次電子放
出量が多い。
コインシデンスデータの増加
修士論文目次
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第一章
第二章
第三章
第四章
イントロダクション
プラズマ観測器の測定原理
質量分析能力の改善
考察及び結論
– 現状での最適化と応用可能性
– 今後の課題
現状での最適化
• 現状で、パルスハイトが十分高く、また基盤
単体でも2次電子放出量が多いということ
で,Al+MgO薄膜のものが適していると思わ
れる。
基盤単体での2次電子放出
今後の課題
• MgO蒸着の基盤で高いパルスハイトを得るこ
とができ、それによって高い検出効率が得ら
れることが分かったが、MgO膜の経年変化
が不明である(スパッタリングなどによる膜表
面の変質etc)
パルスハイト分布に関する簡単な考察
図は数値計算によるプレートへのイオンの
入射角度の分布。
一般的に浅い角度で入射するほど2次電子は
多く放出されるので、この角度の分布がそのまま
パルスハイトの分布に反映しているのではないか?
MCPの粒子種ごとの量子効率
16-24keV
12-20keV
20keV
30keV
CEM Electron 量子効率
エネルギー依存
MCP Neutral,ion 量子効率
エネルギー依存
Paschmann et al,.[1970].
Funsten and Harper [2005].
比較
IMAを用いた月でのNaのカウントの
見積もり
前述の月でのNa+のfluxの見積もりによると
Na+のfluxは~3×104/cm2 sec(単一エネルギーで単
一方向から)これと検出器の感度~10-4cm2 str eV/eV
を考えて、カウントレイトを見積もると。
二次電子放出板評価の
キーポイント
反射イオンが当たった
ときに二次電子を出すか
出さないか
One or notingの評価
二次電子を出すとしたら
どのくらい出すの?
One or moreの評価
<測定1>TOFデータ取得
ADC
TDC
測定1
TOFデータ取得
スタート信号
ストップ信号
のコインシデンス
を取った、TOF
(飛行時間)データ
の取得から
イオンの信号の割合を
入射粒子のエネルギー
を変えて測定した。
<測定2>パルスハイトデータ取得
ストップ信号のパルスハ
イト分布のデータから中
性粒子由来とイオン(二
次電子)由来のデータを
分離することが可能かど
うか評価し。
イオン由来(二次電子)の
信号が
十分高いパルスハイトを
持っているかを確認した。
<測定2>
ストップ信号の電荷量の分布
TOFデータ例