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2006年度
今井研研究室紹介
2006年6月30日
今井研究室の研究テーマ
現実社会への応用
未踏域への挑戦
ゲーム理論
交通流解析
量子
ゲームツリー
サーチ
ネットワーク
計算幾何
計算代数
グラフ理論
組合せ論
暗号理論
計算量理論
離散・連続最適化
メタヒューリスティックス
アルゴリズムの世界
博士論文(1)




計算幾何
 アレンジメント再構成の組合せ論的複雑度評価(青木 保一)
 特徴多様体上のクラスタリング問題について(稲葉 真理)
 リーマン計算幾何:凸包,ボロノイ図とデローネ型三角形分割
(大西 建輔)
 整数計画法による三角形分割の最適化(田島 玲)
 三角形分割の組合せ論(竹内 史比古)
 多面体的複体のシェリング向き付け:
シェラビリティー判定と離散最適化の組合せ構造 (森山園子)
計算代数
 単模およびLawrence型整数計画問題に対する計算代数的解析
(石関 隆幸)
量子計算量
 計算量的観点における量子計算モデルの計算能力(小林 弘忠)
 資源制約下における量子計算モデルの計算能力(ルガル フランソワ)
 エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算(下野 寿之)
組合せゲーム理論
 AND/OR木探索アルゴリズムDf-pnの提案とその応用(長井 歩)
博士論文(2)



ゲノム・文字列処理
 部分文字列の性質に基づく計算機援用大規模生物実験設計
(土井 晃一郎)
 文書検索と圧縮の統合-接尾辞ソート、ブロックソート法、接尾辞配列(定兼 邦彦)
 生物配列情報の比較と検索のための高速なアルゴリズムの研究
(渋谷 哲朗)
グラフ理論
 Tutte多項式の計算アルゴリズムとその応用(関根 京子)
 リンクベースのWeb上情報発見手法の新しいフレームワーク
(浅野 泰仁)
ネットワーク
 ネットワーク通信において通信品質を保証するアルゴリズム(古賀久志)
今井研の方針
研究について
自分で考える
こと
独りよがりでいいわけではない

研究を独力で行うために


外の世界と交流する


研究の流行盛衰を把握し良いテーマを設定する
世界の大学の人と共著を書いたり
研究会に参加したり
発表を行う能力を身につける

わかりやすい発表を心がけよう
研究室の活動

セミナー


輪講


週1回持ち回りで研究内容を発表
決まったテーマで論文、本を読む
FOCS,STOCセミナー

中大と合同で最新の論文を読む
今井研の活動は内部に留まらない

研究室内に留まらない活動

外部との交流も積極的に




共同研究 カナダ McGill大学のDavid Avis教授
スイス ETH大学の Komei Fukuda教授
国際会議、研究会
論文誌への投稿
外部の研究施設

ERATO
日経BPムック
「変革する大学
東京大学理学部」
より
研究室環境





研究室
 311号室、314号室(図書室の隣)
個人用端末、机
 PCを購入予定
計算サーバ
プリンタ(カラー2台)とコピー機
発表用のノートPCとプロジェクタ
311号室
図書館前
314号室
卒論で何をするか

まずテーマを決める

自分のやりたいことは?


それは”研究”になるものか?



誰の役に立つ?
皆が必要性をわかってくれる?
既存の研究を調べる



演習3を通じてなにか得たものがあったはず
誰もまだやっていないから意味がある
なぜ重要なのかを知る
研究の流れを掴む

どこまでわかっていてどこからわかっていないのか?
卒論の時間は有限
10月
11月
12月
正月
1月
2月
3月
卒論研究室配属
テーマを決めよう
卒論中間発表1回目
卒論中間発表2回目 アブストラクト提出
卒論中間発表3回目
卒論発表
最終提出
関連研究の紹介
 離散数学

有向マトロイド実現可能性判定
 ゲームツリーサーチ
 計算量理論・暗号理論

ゼロ知識証明
 ゲーム理論
 量子計算

対話証明・隠れ部分群問題・量子ウォーク
今井研 研究紹介
有向マトロイドの実現可能性判定とその応
用
中山裕貴 (博士3年)
森山園子 (助手)
有向マトロイド vs. 幾何的表現 ?
幾何的表現
有向マトロイド
次元:r , 要素数: n
r 個の要素間の
関係の情報のみ保持
例: (r, n) = (3, 6)
z
v6
v5 y
v3
v4
v1
ランク:r , 要素数: n
(符号への抽象化)
v2
v6
v5
v3
v4
v2
x
v1
有向マトロイドの
実現可能性判定問題
・ 幾何的表現が与えられた場合、対応する有向マトロイドは必ず存在
・ 有向マトロイドに対応する幾何的表現は必ずしも存在しない
・・・このギャップについて詳しい情報を得たい
有向マトロイドの実現可能性に関する定理
[Richter ‘88, Bokowski and Richter-Gebert ‘90]
r = 4, n = 8なる有向マトロイドで、一様なものの総数は
2628個あり、そのうち24個が実現不可能
詳細(用いた手法など)は不明 ・・・
数を知ったところで応用は難しい
[Finschi ’01] による、有向マトロイドの列挙アルゴリズムの提案
⇒ 有向マトロイドのデータベースが計算機実験に使用可能に
組合せ的対象である有向マトロイドを通し、
・ 実現不可能な有向マトロイドの具体的な形が判明
代数的性質・幾何的性質の間に新たな結び付けを与える
・ 一様でない有向マトロイドへの拡張が可能に
・ 実現(不)可能性の十分条件となる手法について、
各手法間の有効性の比較が可能に
代数的手法: BFP [Richter-Gebert ‘92], solvability sequence [Bokowski, Sturmfels ‘86]
幾何的手法: non-Euclidean [Edmonds, Fukuda ‘82],
non-HK* [Moriyama, Fukuda, Okamoto ‘04], reducibility [Richter,Sturmfels ‘91]
(r, n) = (4, 8) での実現不可能な 有向マトロイドの個数
#OM(4,8) = 181472
一様なもの 2628
実現不可能 24
一様: χの値が常に 1or -1
非一様なもの 178844
(実現不可能 ??)
BFP 24
双二次最終多項式 3944
non-Euclidean 18
non-HK* 18
non-Euclidean 3444
non-HK* 1364
non-Euclidean, non-HK(*): [Fukuda, Moriyama, Okamoto ‘04]
BFP: [Nakayama, Moriyama, Fukuda, Okamoto ‘05]
さらに、一般の(r, n)についても
non-Euclidean ⊆ BFP [Fukuda, Moriyama, Nakayama ‘05]
(r, n) = (4, 8) での実現可能な 有向マトロイドの個数
#OM(4,8) = 181472
一様なもの 2628
実現可能 2604
非一様なもの 178844
(実現可能 ??)
reducibility 2593
reducibility ??
solvability
sequence 2337
solvability sequence ??
3
reducibleでなく、solvability sequenceを持つものが3個存在
(r =3の場合は必ず空)
ゲーム、パズル
美添
二人ゲーム、パズルに関連する研究
テーマ
• 探索アルゴリズム
– αβ、証明数サーチなどの研究
– 評価関数の研究(学習など)
• パズルの性質の研究
– ソルバーの開発
– 計算量の研究
– 組合せゲーム理論など
今井研究室の関連研究
• ゲームツリーサーチ
– AND/OR木探索アルゴリズムDf-pnの提案とその応用(長
井 歩 2002)
– “Searching for Double Threats in Subproblems of the
Game of Go” (美添2005)
• パズル/ゲームの計算量の解析
– “ぷよぷよの全消し判定問題はNP完全” (牟田 2005)
– “Finding Yozume of Generalized Tsume-Shogi is
Exptime-complete” (八登, 瀬田, 伊藤 2005)
– “Complexity and Completeness of Finding Another
Solution and Its Application to Puzzles” (八登, 瀬田
2003)
宣伝
• 「詰将棋についてはコンピュータが人間を完
全に凌駕した」
– これは主にDFPN[長井 2002]によるものと言え
る
• 長井はIS19期で、今井研のOB
– 世界最強の詰碁ソルバーもDFPN-(r) [岸本
2005]がベース
• 岸本もIS19期
研究の背景 : ゲームプレイング
プログラム/コンピュータの強さ
• チェッカー : CHINOOK (Jonathan Schaeffer)
– 1992, 1994にTinsleyと対戦
• オセロ : Logistello (Michael Buro)
– 1996に世界チャンピオン村上に勝利
• チェス : Deep Blue
– 1997にKasparovに勝利
• 中国将棋
– チェスと将棋の中間の強さらしい
• 将棋 :激指、 YSS 、IS将棋、Bonanza…
– アマ五段クラス 角落ちでプロ(勝又五段)に勝利
– アマ竜王戦ベスト16 (激指)
• 囲碁
– 甘く見て、アマ初段
αβの基本
• mini-maxと同じ結果を返す
ことが保証される
• αカット、βカットにより探索
が省略される
65
– 候補手が理想的な順番にソ
ートされていれば、
65
• 探索ノード数は元のツリー
のノード数のほぼsqrtになる
• 2倍深く読める
62
– [Knuth and Moore 1975]
65
90
62
83
Max node
Min node
65
35
90
49
62
30
83
80
αβの進歩
• 探索アルゴリズム自体の進歩
– PVS, MTD(f), …
• 評価関数の研究
– 学習など
• logistelloなどが有名
対αβ耐性
(こんな言葉はありません、念のため)
• αβにやられてしまったゲーム
– チェッカー、オセロ、チェス、中国将棋、・・・
• ギリギリ持ちこたえているゲーム
– 将棋
DFPNなど
• αβだけではどうにもならないゲーム
– 囲碁
???
ゲーム研究の意義
• 確かに、強くするのが研究目的であるが
– αβは凄いが、それだけをやっているわけではな
い
• それだけじゃつまらない
– 囲碁は難しいので、囲碁を強くすることができれ
ば、自然と意義のある成果が生まれているはず
囲碁の難しさ
• 評価関数が存在するこ
とがαβの前提
• 囲碁には適切な評価
関数が無い
– 静的に評価すると不正
確
– 正確に評価するには探
索が必要
ここの評価値
が知りたい
さらなる探索が必要
現在、
僕(美添)が取り組んでいるテーマ
• 単一の評価関数が作れない場合にどうやって
探索を行うか
– 目指すものは、単純な評価関数の代わりに、い
ろいろ自動的に探索したり評価したりしてくれる
枠組みを作ること
• 単純な評価関数の組み合わせで評価し、依存関係の
解決をする
• 単純な評価値では無い、確率分布のようなものを元に
探索する
副産物
λDFPN Search Algorithm
• 目標達成までの「手数」を考慮した探索アル
ゴリズム
– 証明数を用いた探索アルゴリズムと、threatとい
う考え方を用いたアルゴリズムの融合
– 囲碁の捕獲探索について、過去のアルゴリズム
を凌駕する性能を発揮
– 論文執筆中・・・締め切りは6月30日
計算量理論・暗号理論
永岡 悟(M1)
高橋 敏明(M1)
上野 賢哉(M2)
今井研での最近の研究
ゼロ知識証明
サイドチャネル攻撃
秘密鍵暗号
暗号理論
PCP定理
Unique Game Conjecture
ストリーム暗号
ブロック暗号
一例として
擬似乱数という
観点から概観
量子計算・通信
量子領域計算量
対話証明系
近似不可能性
計算量理論
領域計算量
L versus P
P versus PSPACE
確率的アルゴリズムの威力
近年のブレークスルー
• 素数判定問題(2、3、5、7、11、13・・・)
– Solovay & Strassen 1977
Randomized Polynomial Time
– Rabin 1980
Agrawal, Kayal & Saxena 2004
• 無向グラフの連結性判定問題
– Aleliunas, Karp, Lipton Lovasz & Rackoff
1979
Randomized Logarithm Space
Reingold 2005
t
s
領域制約アルゴリズムの脱ランダム化
Nisan & Zuckermanの擬似乱数生成器
• 長さnのシードからnの多項式の長さの乱数列を生成
• この乱数列は、どんなn領域限定のチューリングマシンからも
ランダムに見えてしまう(⇒だませる)
シード
乱数列
Randomized Linear Space
Logarithm Spaceでも
可能かは未解決
Deterministic Linear Space
擬似乱数と暗号の関係
ゼロ知識証明
パスワード等の秘密情報を
それ自体を相手に渡さずに
保持していることを示す
ストリーム暗号
擬似乱数列と平文を
1ビットずつXORし暗号化
小規模で高速
パスポート、
クレジットカード
単純に作ると
簡単にコピー可能
→擬似乱数を用いて安全に
電子通貨
携帯電話やBluetooth
で採用
デジタル署名
電子
投票
擬似乱数
3彩色問題を使用したゼロ知識証明の例
1
6
2
5
3
証明者
6
検証者
4
1.色の対応をランダムに置換
1
1
2
2
6
3
5
3
5
4
2.色情報を箱に入れ
鍵をかけて送る
4
(1,4)
3.枝をランダムに1つ
選んで送る
4.対応する鍵を送る
5.対応する箱を開け
異なることを比較
擬似乱数生成とストリーム暗号
秘密鍵
乱数列
+
平文
=
安全性
共有
•統計的乱数性
•非線形性
•無相関性
•長周期性
•線形複雑度
暗号文
攻撃
通信
暗号文
+
秘密鍵
乱数列
=
平文
量子計算・通信との関連
•
•
量子暗号を使うと秘密鍵を安全に通信できる
(どんなに強力な計算能力をもってしても破れない)
量子計算では、素因数分解などを基礎とした公開鍵暗号系は破られてしまう
ゲーム理論
加藤 公一、牟田 秀俊、西鳥羽 二郎
ゲーム理論とは…



複数の行為主体がいる
各主体が自分の利得が最大となるよう行動する
行動が状況や相手に影響を及ぼす

以上の特徴を持つモデルを分析する学問

実用的なおもしろさ


ネットワーク解析
計算量的なおもしろさ

Nash均衡点を求める難しさは?
Nash均衡と計算量
利得行列(囚人のジレンマ):
B:黙秘
B:自白
とある囚人の話
 両方黙秘

A:黙秘
3,3
10 , 1

片方のみが自白

A:自白
1 , 10
8,8


両方とも3年
自白した方1年
黙秘した方10年
両方自白

両方とも8年
Nash均衡と計算量
利得行列(囚人のジレンマ):

B:黙秘
A:黙秘
A:自白
3,3
1 , 10
B:自白
10 , 1
8,8
Bさんが黙秘なら


Bさんが自白なら


Aさんは自白
Aさんは自白
結局Aさんは自白
Nash均衡と計算量
利得行列(囚人のジレンマ):
B:黙秘


B:自白

A:黙秘
3,3
10 , 1
A:自白
1 , 10
8,8
Nash均衡点
同様に考えると
Bさんも自白
Aさんは自白だった

結局自白×自白に
落ち着く
Nash均衡と計算量
利得行列(囚人のジレンマ):
B:黙秘
B:自白
A:黙秘
3,3
10 , 1
A:自白
1 , 10
8,8
二行二列は簡単
じゃあ巨大なら?
Nash均衡点を求める多
項式時間アルゴリズ
ムはあるのか?
OPEN
Nash均衡点
研究テーマの例
ネットワーク解析
計算量
ユーザーが利己的な
時のスループットの
解析
Open Problem:
Nash均衡を求める
問題の計算量
(PとNPの間?)
Nash均衡
最適化、凸多面体
Nash均衡を求める
問題は線形相補性
問題で表せる
他の
均衡点
市場解析等
量子計算・量子情報
背景
量子効果による高速化への限界
量子効果を積極的に利用した計算原理
古典の場合と
準指数的なギャップ
Shorのアルゴリズム
素因数分解
RSA暗号が破られる
Groverのアルゴリズム
非ソートデータの検索
量子暗号
古典暗号だと
RSAなど
計算量的安全性
量子計算機を用いて
破られる可能性
量子暗号
量子暗号だと
物理的安全性
隠れ部分群問題
G
入力:群GとGを定義域とする関数f
H
g1H
…
g kH
fにはGの部分群Hに関する制約があり、
fの入力と出力からHを求めたい
f
Shorのアルゴリズムの基本部分は
Gが巡回群の隠れ部分群問題
S
量子ウォーク
一言で言えばランダムウォークの量子版
しかしその性能は全く違う
Glued Tree
Start
goal
・・・
ランダムウォークの機能を持ったロボットが左から右に移動するのに・・・
古典だと
d
2
量子だと
d
2
対話証明
このような計算モデルで量子の場合の
計算能力を見る
その他の今井研での研究
関連する他の分野
領域に制限の付いた量子計算量
隠れ部分群問題を解く量子アルゴリズム
量子計算
最短ベクトル発見アルゴリズム
計算量
計算幾何
ノイズの下での量子計算の理論,数値解析
グラフの量子彩色数
群論
量子情報
量子暗号の性能評価
グラフ理論
量子誤り訂正符号の構築,性能評価
符号理論
Bell不等式の列挙,破れの発見
量子情報幾何
情報幾何
量子通信路容量・量子エントロピー
情報理論
他の研究機関との関連
今井研
赤門前に
オフィスがあるよ
ERATO-SORST
量子情報システムアーキテクチャ
企業
他大学
海外