研究紹介(計算量理論)

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Transcript 研究紹介(計算量理論)

今井研究室 研究室紹介
2005年6月24日
現在の研究

アルゴリズムの可能性と限界の究明



アルゴリズム構築の基礎



量子計算・情報
計算量理論
計算幾何・代数
離散システム
実社会へのアルゴリズムの応用


交通量解析
ゲームアルゴリズム
博士論文(1)

計算幾何






計算代数


単模およびLawrence型整数計画問題に対する計算代数的解析
(石関 隆幸)
量子計算量


アレンジメント再構成の組合せ論的複雑度評価(青木 保一)
特徴多様体上のクラスタリング問題について(稲葉 真理)
リーマン計算幾何:凸包,ボロノイ図とデローネ型三角形分割
(大西 建輔)
整数計画法による三角形分割の最適化(田島 玲)
三角形分割の組合せ論(竹内 史比古)
計算量的観点における量子計算モデルの計算能力(小林 弘忠)
組合せゲーム理論

AND/OR木探索アルゴリズムDf-pnの提案とその応用(長井 歩)
博士論文(2)

ゲノム・文字列処理




グラフ理論



部分文字列の性質に基づく計算機援用大規模生物実験設計
(土井 晃一郎)
文書検索と圧縮の統合-接尾辞ソート、ブロックソート法、接尾辞配列(定兼 邦彦)
生物配列情報の比較と検索のための高速なアルゴリズムの研究
(渋谷 哲朗)
Tutte多項式の計算アルゴリズムとその応用(関根 京子)
リンクベースのWeb上情報発見手法の新しいフレームワーク
(浅野 泰仁)
ネットワーク

ネットワーク通信において通信品質を保証するアルゴリズム(古賀久志)
今井研究室の目標

独力で研究ができるようになる


多くの人と共著の論文が書けるようになる


人に頼らず自分の力で研究を推進
世界レベルでの共同研究
分かりやすい発表が出来るようになる


人に分かってもらうことが自分の理解につながる
どんなに良い研究成果でも人に分かってもらわなけ
れば意味がない
研究室の活動

週1回の研究発表
(メンバーが毎週2人ずつ順に発表)







成果だけでなく展望、思考過程を発表
活発な討論
発表の練習
輪読
外部の研究者との交流、連携
研究会、国際会議での発表
論文誌への投稿
環境

研究室


個人用端末、机




311号室、314号室(図書室の隣)
PCを購入予定
計算サーバ
プリンタ(カラー、モノクロ)、コピー機
発表用のノートPCとプロジェクタ
卒論へ向けて
10月 卒論研究室配属
テーマ決定
研究・調査開始
11月 卒論中間発表1回目
内容の具体化
12月 卒論中間発表2回目
卒論要旨提出
1月 卒論執筆
卒論中間発表3回目
2月 卒論完成・提出
卒論発表
さらなる研究
卒論修正・加筆
3月 最終提出
研究会、国際会議での発表
論文誌への投稿
卒論のテーマ
今まで…人から与えられた問題を解いてれば良かった
これから…自分で解く課題を探す
卒論のテーマ


各自が興味を持った課題を探す
自分だけが面白いのではなく、他の人にも面
白さが説明できることが必要
卒論の進め方
既存研究を調査する
1.


自分の研究の新規性と位置づけ
研究の流れを理解する(それまでの研究では実現できな
かった課題を克服するものとして次の研究がある)
研究の方向性を見極める
2.


今までの研究の流れで何が問題となっていて、次に
何を研究すればいいのか
方向性を間違えてしまったら、どれだけ問題解決能
力があっても良い結果は得られない
問題を解く
3.

問題解決能力は今まで十分鍛えられているはず
(課題、試験、レポートなど)
研究紹介(計算量理論)
上野 賢哉(修士1年)
計算量理論を研究する意義
計算量クラス間の関係を示すことにより
 アルゴリズム構築の限界が明らかになる
 暗号の安全性の数学的裏づけができる
 …
計算量理論で評価されてきた研究は、
これらに関して何らかの可能性が示されている
(ただ単に非自明な結果が示せればいいってもんじゃない)
計算量クラス
言語
関数
多項式時間
P
FP
多項式領域
PSPACE
FPSPACE
主流
少数派
文字列の集合のクラス
{0, 01, 100, 101, …}
{1,11,111,1111,…}
{0,10,111,0011,…}
関数のクラス
f(x)=y
g(x)=y
h(x)=y
P=PSPACE ⇔ FP=FPSPACE
新規性=重要性?
「FPSPACEは今まで他の人が研究して
こなかったからこの研究は価値があります」
↓
 研究したって面白くないと思われて誰も手をつけ
てこなかっただけ?
 価値があるけど誰も気づかなかった?
新規性は必要だけど、他の人が研究していない
からこの研究は重要だという論法は通用しない
意義ある研究とは
×言語で知られている定理を関数でやって
みて似たような結果を得る


あたりまえ
だったら関数なんかやらないで最初から言語の研究し
てれば十分
○言語ではできなかったことが関数だったら
可能になることを示す


言語じゃなくて関数を研究することの強みが示せる
さらに、それが計算量クラス間の性質の解明などに役
立つことを示すことが必要
関数計算量クラスに対する
帰納理論的演算子
PからNPなど他のクラ
スを生成するものを
演算子と呼ぶ


NP=∃・P
coNP=∀・P
しかし、PからPSPACE
を構築するような演算子
は知られていない
関数計算量の場合は、
これが簡単に作れる
FPSPACE=
Comp*(BRec(FP))
さらにこの結果から
FPがBRecに閉じている
⇔P=PSPACE
計算量クラス間の関係を
解明するための可能性
量子計算・量子情報
長谷川 淳(D1)
古典コンピュータの限界と
量子コンピュータの要望
古典コンピュータ
量子コンピュータ
ハードウェアの限界
素子の微細化,高速化を行えば
いずれ量子効果が現れてくる
量子力学に基づく状態,操作
アルゴリズムの限界
量子並列性による計算の高速化
例:既存の因数分解は指数時間
例:因数分解は多項式時間
NP完全問題は古典のルートぐらい速い
暗号の安全性の限界
何らかの計算が多項式時間で解けないことが
安全性の根拠
(RSA暗号:因数分解の難しさ)
無条件安全な量子暗号
どんな攻撃に対しても安全性が証明
量子コンピュータ,量子通信の今
量子コンピュータ
実用化はまだ先?
2001年12月(IBM)
7 量子ビットの量子コンピュータを用いて15=3×5 の因数分解に成功
2002年9月(ERATO)
1024 量子ビットの半古典的量子フーリエ変換光ファイバ回路実現
実用化もそう遠くない
量子通信,暗号(既存の光ファイバでの実験)
2003年7月(NEC/ERATO)
単一光子(量子状態)の100kmの伝送に成功
150km超に成功
2005年5月(世界最速の量子暗号鍵配送,NEC/ERATO)
16.3km の実用光ファイバを用いて,生成速度13kbpsでの量子鍵配送に成功
最近の今井研の量子研究
量子計算
領域に制限の付いた量子計算量
隠れ部分群問題を解く量子アルゴリズム
最短ベクトル発見アルゴリズム
ノイズの下での量子計算の理論,数値解析
グラフの量子彩色数
量子情報
量子暗号の性能評価
量子誤り訂正符号の構築,性能評価
Bell不等式の列挙,破れの発見
量子情報幾何
量子通信路容量・量子エントロピー
量子誤り訂正符号
• 量子通信時の情報誤りを防ぐ技術
(量子暗号の安全性にも使われる)
• 量子CSS符号 [Calderbank ら, 1996]
– 2種類の古典符号から量子符号を構成
C 1 : t ビット誤り訂正可能な古典線形符号
n ビット
k1
符号化
C 2 : t ビット誤り訂正可能な古典線形符号
k2
n ビット

CSS : t 量子ビット誤り訂正可能な量子符号
k1  k 2
C 2  C 1 を満たすなら
n 量子ビット
古典LDPC符号を用いた
量子誤り訂正符号の構成
• 古典LDPC符号 [Gallager, 1969]
– 検査行列が疎でランダム
– シャノン限界に漸近する,古典で最良の符号の一つ
• C 1 , C 2 を古典LDPC符号にすると・・・
量子CSS符号もシャノン限界に漸近
ランダムなLDPC符号 C 1 , C 2 が C 2  C 1 を満たす確率は O (1 / 2 )
n
C 1 , C 2 にランダム性をある程度残しつつ,うまい構造を入れる
シャノン限界に漸近する量子CSS符号を多項式時間で構成可能
最近の今井研の量子研究と他の分野の関連
量子計算
関連する他の分野
領域に制限の付いた量子計算量
隠れ部分群問題を解く量子アルゴリズム
最短ベクトル発見アルゴリズム
計算量
計算幾何
ノイズの下での量子計算の理論,数値解析
グラフの量子彩色数
群論
量子情報
量子暗号の性能評価
グラフ理論
量子誤り訂正符号の構築,性能評価
符号理論
Bell不等式の列挙,破れの発見
量子情報幾何
情報幾何
量子通信路容量・量子エントロピー
情報理論
囲碁プログラムの研究
見合いの手の発見を目指して
2005/06/24
美添 一樹
[email protected]
今井研究室の関連研究
• 組み合わせゲーム理論
– AND/OR木探索アルゴリズムDf-pnの提案とその応用(長
井 歩 2002)
• パズル/ゲームの計算量の解析
– “ぷよぷよの全消し判定問題はNP完全” (牟田 2005)
– “Finding Yozume of Generalized Tsume-Shogi is
Exptime-complete” (八登, 瀬田, 伊藤 2005)
– “Complexity and Completeness of Finding Another
Solution and Its Application to Puzzles” (八登, 瀬田
2003)
研究の背景
ゲームプレイングアルゴリズムの進歩
• サーチアルゴリズムの進歩によりプログラム
が強くなった
– ゲームツリーサーチ自体の研究
• minimax, alphabeta, df-pn, generalized threats
search, …
– 評価関数の研究
• ゲームごとに特有の研究
• 統計的手法、強化学習などの一般的な方法
研究の背景
ゲームプレイングプログラムの歴史
• チェッカー : CHINOOK (Jonathan Shaeffer)
– 1992, 1994にTinsleyと対戦
• リバーシ : Logistello (Michael Buro)
– 1996に世界チャンピオン村上に勝利
• チェス : Deep Blue
– 1997にKasparovに勝利
• 将棋 :激指、 YSS 、IS将棋、…
– アマ五段クラス 角落ちでプロ(勝又五段)に勝利
囲碁プログラムの難しさ
• 現状の囲碁プログラムの強さ
– 死活(詰碁)はすでにプロに近い能力がある
– 対局すると3級(?)程度
• このギャップは何から生じるのか?
– チェスや将棋の成功は?
評価関数
+
サーチ
• 囲碁では、盤面全体に対する良い評価関数が作れ
ない
– 速く正確な評価関数は囲碁では不可能(と思う)
現在の囲碁プログラムの手法
• 盤面全体に対する評価関数を使ってglobalな
サーチをしているプログラムはごく少数
• 「目標別サーチ」を行うのが主流
– 多数の小目標(sub goal)を設けて、各sub goal
向けに手を探索する
囲碁のルール
• 黒、白交互に交点
に石を置いていく
– 19x19の盤が普通
• 最終的に「地」が大
きいほうが勝ち
– 「地」とは一方の色
の石だけで囲われ
た範囲のこと
囲碁のルール : 囲んだら取れる
• ▲のところに黒が打つ
と、白石を取れる
– 空点が無くなると取ら
れる
• 空点のことを、「呼吸
点」「ダメ」などと言う
– つながっている石は一
蓮托生になっている
• 取られるときはまとめて
取られる
• つながっている石の集
合を「連」という
囲碁のルール : 着手禁止点と例
外
• Aに打つと反則
– そのまま取られる場
所には打てない
• Bには打って良い
– 打った瞬間に黒石
を取れるから
実戦例
• 「手談対局V」と私が
打った例
– これは終局図
目標別サーチ
• もちろん最終目的は相手より大きい地を確保
すること
• しかしそれでは評価関数が作れない
• 死活、石取り、連絡/切断、勢力拡大…などの
小目標 ”sub goal” に分割
– 各目標について達成時の評価点を定める
– 一番高い評価点を得た手を打つ
目標別サーチの弱点
• 複数の目標に依存関係がある場合
– たとえば複数の目的を「見合い」にした手の発見
が難しい
• 「見合い」の手の発見を目指す
見合いの手の例 連絡対連絡
• AB間の切断とBC間
の切断を同時に狙っ
た手を発見する
– 現在、考案したアルゴ
リズムを実装中
見合いの手の例 死活対死活
• おまけ
– 囲碁の分かる人向け
– 黒Aと打たれてどちら
かが死ぬことが分から
ないプログラムが多い
「離散数学」とその応用
助手 森山園子
平成17年6月24日
行列
マトロイド
整数行列
グラフ
無向
実数行列
最適化問題
整数計画
有向
線形計画
ネットワーク理論
最大流問題
マッチング
最小費用流問題
離散的
自然数の世界
連続的
実数の世界
グレブナー
基底
行列
マトロイド
無向
有向
整数行列
計算代数
実数行列
計算幾何
グラフ
多面体
トポロジー
無向
最適化問題
有向マトロイド
計画
有向
整数計画
線形計画
線形相補性問題
ネットワーク理論
最大流問題
マッチング
最小費用流問題
離散的
自然数の世界
連続的
実数の世界
グラフィックス
符号理論・暗号理論
隠線処理・3次元物体モデリング
マトロイド
量子計算
無向
有向
計算代数
グレブナー
基底
行列
整数行列 実数行列
計算幾何
多面体
トポロジー
グラフ
無向
有向
最適化問題
有向マトロイド
線形計画
計画
線形相補性問題
整数計画
ネットワーク理論
マッチング
交通流解析
最大流問題
最小費用流問題
VLSI のレイアウト設計
地理情報処理における配置問題
遺伝子情報解析
配送計画問題
マトロイド
無向
有向
グレブナー
基底
行列
整数行列
計算代数
実数行列
計算幾何
グラフ
多面体
トポロジー
無向
有向
最適化問題
有向マトロイド
計画
整数計画
線形計画
線形相補性問題
ネットワーク理論
マッチング
最大流問題
最小費用流問題
[福田・森山・岡本 (2004)]
[中山・福田・森山・岡本 (2005)]
[中山・森山・福田 (2005)] (準備中)
分野間の「新しい架け橋」を見出す!
線形計画問題
= 与えられた線形不等式制約のもとで,
線形目的関数 f(x) を最適化する問題
最適解
許容領域 P = { x | Ax <= b }
線形不等式制約
=超平面の半空間
許容領域=多面体
「曲がった」
超平面の半空間
「曲がった」多面体
線形目的関数 f(x)
目的関数 f
組合せ構造を一般化
線形計画
+
-
有向マトロイド計画
?
多面体の基本的性質を応用
多面体の双対性
擬超平面配置に対して
「双対構造」を提案
+
-
有向マトロイド計画
「擬超平面配置」