Transcript 報告会ファイル
Clusters ‘07
会議出席報告
基礎物理学研究所
研究機関研究員
高階 正彰
Shakespeare’s birthplace
21世紀COE外国旅費補助•成果報告会
13. Sep. 2007
国際会議「Clusters ‘07」の概要
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ÅB
開催期間:2007年9月3日 − 9月7日
開催地:イギリス、Stratford-upon-Avon
(シェークスピア生誕の地)
トピックス:原子核におけるクラスター現象を軸に、安定核、不安定核の
構造•反応、宇宙核物理、超重元素などの領域をカバーしている
シリーズ:4年ごと。今回で9回目。
1969年:ドイツ(Bochum) 初回
:
1999年:クロアチア(Rab)
α 凝縮模型 生誕の地(堀内、Schuck など)
2003年:日本(奈良)
参加者数:89名
(イギリス:15、日本:28、フランス:8、ドイツ:5、ベルギー:4 など、19カ国)
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ÅB
セッション
Experimental development
Interplay between cluster and mean-field
GCM - Weak clusters
BEC
Neutron rich
Superheavies
Clusters in space
Exotic cluster decays
原子核におけるクラスター構造
平均場的構造
• 独立粒子模型(殻構造)
• 集団運動、変形
クラスター構造
• 核子のサブグループ
• クラスター間の運動
典型的な例
安定核の低励起状態
最近ではa凝縮状態
と解釈されている
12C
16O
α
+
02
α
α
7.65 MeV
α
+
21
3a cluster
6.13 MeV
+
21
+
01
6.92 MeV
31 +
02
a-12C cluster
6.05 MeV
4.44 MeV
g.s.
shell model like
+
01
g.s.
shell model like
最近では、不安定核のクラスター構造が盛んに研究されている
核図表
8C
12O
13O
14O
15O
16O
17O
18O
19O
20O
11N
12N
13N
14N
15N
16N
17N
18N
19N
9C
10C
11C
12C
13C
14C
15C
16C
17C
18C
8B
9B
10B
11B
12B
13B
14B
15B
7Be
8Be
9Be 10Be 11Be 12Be
6Li
7Li
8Li
9Li
17B
14Be
11Li
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6
8
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ÅB
He
He
クラスター構造が顕著に現れる領域
発表タイトル
Proton inelastic scattering and
nuclear structure of 12Be
M. Takashina and Y. Kanada-En’yo
YITP, Kyoto Univ.
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ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ •
ÅB
12Beの構造
p
12Be
エネルギーレベル
n
d3/2
s1/2
d5/2
p-shell closed
sd-shell (20)
p1/2
p3/2
p-shell (8)
s1/2
励起状態
s-shell (2)
shell model
基底状態
クラスター構造
(N=8の魔法数の消失)
One-neutron removal reaction experiment
9Be(12Be, 11Be+) A. Navin et al., Phys. Rev. Lett. 85, 266 (2000)
S.D. Pain et al., Phys. Rev. Lett. 96, 032502 (2006)
12C(12Be, 11Be+ &
Be+n)
基底状態で p-wave 成分が小さい
実際には、2つの配位は混合している。
クラスター状態
i
a
p-shell closed
変形している。
励起強度は強い。
“CL”
球形。
励起強度は弱い。
(回転励起を仮定)
“SH”
“CL” (もしくは変形状態)が dominant であることは、既に確立されつつある。
次のステップとしては、この混ざり具合がどれくらいであるかを調べること。
小
弱
a
励起強度
大
強
励起強度を調べれば分かる。
陽子非弾性散乱を分析する
の波動関数 最新の核構造理論計算に基づいて分析する
12Be
“CL”
i
a
“SH”
双方の構造を記述することができるAMD を用いる
(Antisymmetrized Molecular Dynamics)
3種類の波動関数を用意した。
" CL " gs
(i)
No mixing
(no diagonalization)
(ii) Original result
1.00
0.84
2
gs
(2)
2
,
4
B p ( fm )
(2)
4
B n ( fm )
15
74
13
52
stronger
[Y.Kanada-En’yo et al., PRC 68, 014319 (2003) ]
( u ls 3700 MeV )
(iii) Modified
( u ls 3300 MeV )
0.70
14
37
陽子側 中性子側
励起強度
weaker
AMD 波動関数を取り入れて核反応分析を行う
微視的チャネル結合法
(非弾性散乱の場合)
チャネル結合方程式
2
TR V aa (R ) E a a (R ) V a ( R ) (R )
a
diagonal
single-folding 模型
V a (R)
a
( Be )
coupling
核内有効核力 (JLM)
a
12
( Be )
(r) v NN (r R ) dr
Single-Folding Model (SFM)
VNN
AMD 波動関数
対角•遷移密度
12
(a gs, 2 1 )
( r ) a
12
( Be )
( )
( r n r )
R
12
( Be )
n
r
( )
結果
12Be
:
21 01
(2)
(2)
4
B ( E 2) / e
4
B n ( fm )
B p ( fm )
2
14
37
Integrated
" CL " gs
2
:
exp.
--
( mb ) : 27.0 ± 4.0
AMD (i)
no diag.
57.1
(ii)
0.84
39.6
(iii)
0.70
31.0
分析法のまとめ
今回の分析
(2)
AMD
(i)
4
(2)
4
B p ( fm ) B n ( fm )
No mixing
(ii) Original
(iii) Modified
15
74
13
52
14
37
核構造論を基に
した微視的手法
exp . ( mb )
consistent
27.0 ± 4.0
inconsistent
H. Iwasaki et al., PLB481, 7 (2000)
(2)
安定核のデータに基づく
現象論的手法
exp . ( mb )
4
B p ( fm ) B n( 2 ) ( fm 4 )
Simple model
11
18
?
consistent
27.0 ± 4.0
Bernsteinの公式
4 b p M p bn M n
3eR
b p Z bn N
(p,p’) : b p 0.3
陽子•中性子励起強度と断面積の絶対値の
関係を表す現象論的な式
比較的軽い安定核のデータを基に作られている
(N Z )
b n 0 .7
陽子•中性子分布半径の違いが考慮されて
いない
AMDによる 12Be の密度
半径の違いを考慮しない場合を、
我々の手法でシミュレートする
結果
n
(12 Be )
(2)
p
(12 Be )
(iii)
cf. AMD
4
B p ( fm )
14
14
(2)
4
B n ( fm )
11.3 ± 1.7
37
結論
不安定核における陽子•中性子分布半径の違いは、
核反応分析においては注意深く取り扱わなければ、
間違いに導く危険性がある。
質疑応答
セッション中2つ、終了後の休憩中3つの質問があった
質疑応答
質問1(Khan):single-folded potential の虚数部分における
再規格化定数について、どう考えているか?
核内有効核力 (JLM)
single-folding 模型
V a (R)
a
12
( Be )
(r) v NN (r R ) dr
回答:再規格化定数についてはスタン
ダードな値を使った。構造が知られている
12Cの陽子弾性、非弾性散乱をよく再現して
いるので問題は無い。
exp. A.A. Rush et al., NPA166, (1971) 378.
J.A. Fannon et al., NPA97, (1967) 263.
質疑応答
質問2(Neff):AMDで使っているスピン•軌道力が
強すぎるのではないか?
(ii) Original result
[Y.Kanada-En’yo et al., PRC 68, 014319 (2003) ]
( u ls 3700 MeV )
(iii) Modified
( u ls 3300 MeV )
回答:(延與准教授より)今回のAMDで用いている中心力
(MV1)に対するスピン•軌道力としては、極端に強いという
わけではない。
質疑応答(セッション終了後の休憩中)
質問3(Kawabata):陽子中性子分布半径が同じとした場合と、
AMDの結果を使った場合で、分析結果にこれほど違いが出る
とは驚きである。角度分布も異なってくるのではないか?
結果
(2)
4
B p ( fm )
n
(12 Be )
p
(12 Be )
(iii)
cf. AMD
14
14
(2)
4
B n ( fm )
11.3 ± 1.7
37
回答:今回は角度分布で比較をしていないが、違いは現れる
と予想している。ただ、現存する実験データは実験室系のもの
であり、角度分解能もそれほど良くないので、そのデータと比較
することにそれほど意味があるかどうかはよくわからない。
質疑応答(セッション終了後の休憩中)
質問4(Khanとの議論)
Khan:用いている核力に関して、安定核である12Cの陽子非弾性
散乱のデータを再現することはいいが、12Be+p 弾性散乱の
場合はどうか?
高階:12Be+p
弾性散乱のデータもよく再現している。
Khan:私自身も不安定核に関してはBernsteinの公式が破綻して
いると思う。14Beの陽子非弾性散乱の分析もこの公式を用
いて行われているが、意味のある結果は出ないだろう。
微視的な分析は行ってみたか?
高階:14Beの場合もAMD波動関数を用いた分析は行ってみたが、
実験データを再現しなかった。
Khan:それは興味深い結果だ。詳しく調べる必要がありそうだ。
質疑応答(セッション終了後の休憩中)
質問5(Horiuchi):16C+208Pb の非弾性散乱のデータが測られて
いると思うが、この場合、現象論的な方法と微視的な方法で違い
はあったか?
回答:比較はしてみたが、その差はそれほど顕著ではなかった。
聴衆の反応
早く論文にまとめた方が良い。
現象論的な手法の問題点をはっきりと示していて、良い仕事だ。
よくまとまっていた。
などと声をかけられ、手応えを感じた。