「味覚」の意味空間分析

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Transcript 「味覚」の意味空間分析

味覚のスクリプト分析
環境情報学部3年
村木裕二
基本味の表現
甘い
しょっぱい
酸っぱい
苦い
旨い
意味の広がりをさぐる
データソース
Googleで各々基本味にあたるターゲット語
で検索をかけ、テキストデータを取得
データ数
「甘い」 592件
「苦い」 397件
「酸っぱい」 323件
「しょっぱい」 381件
「旨味」 661件
データ採取
各々の形容詞に関して、係る名詞と助詞
別に関してのスクリプト分析
食べ物とそれ以外を区別
分析結果
「甘い」①
基本味の中で最も使われていることば
甘味は人間が必要とするもの
心地よさ、快感をもたらす
甘い②
‐甘い~
罠
生活
20
14
匂い
愛
3
3
誘惑
香り
嘘
13
9
5
言葉
考え
秘密
2
2
2
関係
日々
5
4
運命
人
2
2
‐「は」
現実
9
人生
9
世の中 3
ビジネス 3
プロ
2
自分
2
世界
2
甘い③
‐「が」
考え
審査
処分
詰め
見通し
ピント
読み
認識
8
5
4
4
4
3
3
2
甘い④
ぬるま湯につかるような心地よさ
厳しさのない、緩んだ状態
‐物事の様態
‐人の行為
他の感覚への転用 → 嗅覚
苦い①
舌の上で不快感を感ずる味覚
体にとって害であることを教えるもの
心がもだえて安らかでない、せつない様子
→ 苦しい
苦い②
‐苦い~
思い出
21
記憶
3
経験
10
恋
2
体験
5
涙
2
思い
4
「は」、「が」に関しては食べ物以外なし
苦い③
不快感を感じた過去にあったできごとを示
すことが多い
つらく、苦しいのは精神的な部分
酸っぱい①
下の上で強い刺激を感じる
苦いと同様、体にとって害であることを伝え
る味覚
酸っぱい②
‐酸っぱい~
匂い
4
色
3
雨
2
経験
2
‐「が」
臭い
3
酸っぱい③
心地よくない強い刺激を持つもの
苦いのように精神的な刺激ではなくて他の
感覚で感じる刺激を表す
しょっぱい①
塩は体にとって必要不可欠なもの。しかし
快感を伴うものではない
広辞苑より
‐困惑または迷惑なさま
‐けちな人
(広辞苑第5版 岩波書店)
しょっぱい②
‐しょっぱい~
ドライブ
試合
やつら
話
思い出
話
レスラー
愛
11
3
3
2
2
2
2
2
‐「は」
現実
2
しょっぱい③
相撲用語の「しょっぱい」
‐盛り上がらないような取り組み、下手な取
り組み、またはそれしかできない力士をこ
う言う
辞書に書かれているはほとんど使われて
いない
旨味①
旨味は1908年に日本人が発見し、1980年
代に世界的に認められる。
旨いは、甘い、美味い、上手い、巧いと同
じように使われている
旨いに係ることばはほぼ食べ物
旨味②
‐「は」
出る
ない
ある
濃い
広がる
増す
多い
強い
‐「が」
16
8
7
2
2
2
2
2
広がる
出る
生きる
しみこむ
膨らむ
調和する
詰まる
逃げる
18
13
7
6
5
5
4
4
旨味③
‐「を」
引き出す
生かす
感じる
加える
閉じ込める
凝縮する
残す
高める
‐「に」
16
8
5
4
4
4
3
2
こだわる
富む
欠ける
加える
変化する
あふれる
合わせる
調和する
11
4
4
4
3
2
2
2
旨味④
旨味のメタファー
‐「もの」とみる
‐「入れ物」と「中身」
‐「生き物」
旨味のメトニミー
‐瀬戸内の旨味 (魚)
‐旬の旨味 (食材)
旨味⑤
味と旨味
‐味とほぼ同じ分析結果
‐味はぼやけるが旨味はぼやけない
‐旨味はそれ自体が調和したもの
まとめ
プラス評価の表現
‐甘い(心地よさ、緩やかさ)
マイナス評価の表現
‐甘い(ゆるさ)
‐苦い(精神的つらさ)
‐酸っぱい(物理的刺激)
‐しょっぱい(盛り上がらない、下手)
旨味=まとまった味
おまけ
味覚ごとの頻出名詞
甘い
苺、お菓子
7
苦い
コーヒー、ゴー
ヤー
ぶどう
15
酸っぱい
19
しょっぱい スープ
16
旨味
19
米
参考文献
瀬戸賢一・編著
「言葉は味を超える‐おいしい表現の追及‐」
海鳴社