Nomura_12SepAGNWS

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VLBI WORKSHOP 2012
X線観測でわかってきた
Ultra-fast Outflowの姿
~Radio-laud AGNとの関連から理論モデルまで~
お茶の水女子大学D2
野村真理子
共同研究者:大須賀健(国立天文台)、和田桂一(鹿児島大学)、
須佐元(甲南大学)、三澤透(信州大学)
VLBI WORKSHOP 2012
CONTENTS
1. Introduction
2. Observations
Ultra-fast outflow
Warm absorber
3.Theoretical models
ラインフォース駆動型円盤風モデル(先行研究&Our work)
Supper-Eddington disk からの Clumpy outflow
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VLBI WORKSHOP 2012
Introduction (1) AGN outflow とは?
スペクトルにBlue-shiftした金属元素の吸収線が観測され
ることで存在が示唆される
観測される波長域や吸収線の線幅、観測される金属元素の
種類などによっていくつかの種類に分かれている
可視/UV
BAL (Broad absorption line): 半値幅>2000km/s, アウトフロー速度
~10,000km/s, CIVなどからなる吸収線
NAL (Narrow absorption line) : 半値幅<500km/s
X線
Ultra-fast outflow (UFO): FeXXV, FeXXVIによる吸収線, アウト
フロー速度>10,000km/s
Warm absorber : Fe以外にもC, Mgなど多様な元素が見られる,アウトフ
ロー速度<2,000km/s
Outflowの起源は降着円盤風(NLR/トーラス起源のものも)
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VLBI WORKSHOP 2012
Introduction (2) AGN outflow研究 の重要性
母銀河へのフィードバック
Outflowは質量、運動量、エネルギーを周囲へと運ぶ。そのため
星形成など母銀河の環境に影響を及ぼす
降着円盤+jetへの影響
Outflowが存在すると、母銀河から銀河中心への質量降着に影響
を及ぼす。特に降着円盤から噴出するoutflowは円盤の状態や
jetの活動性と密接に関わっていると考えられる。
Outflow & jetの関連を探るには電波観測が重要
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VLBI WORKSHOP 2012
Observations
VLBI WORKSHOP 2012
Ultra-fast outflow (UFO)
FeXXV, FeXXVI (He-, H-likeな鉄)による吸収線のブ
ルーシフトが10,000km/s以上のものをUFOと定義
Tombesiらの研究によって、統計的な情報が得られるよ
うになった
Seyfert (type1+type2)の40-50%に存在
Radio-loud galaxy でUFOが観測された例はまだ3天体
のみ (3C111, 3C120, 3C390.3)
Radio-quietとRadio-loudでUFOの性質の違いは見られ
ない
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
速度、電離パラメータ、柱密度
電離パラメータ:
42個のRadio-quiet galaxy (type1+2) について調べた結果
Vout~0.1c
logx~3-6
破線 : non-UFO
(速度10,000km/s
以下のもの)
logNH~23-24
実線:UFO
Radio-loud galaxyでもこれらの特徴はかわらない
Vout~0.04-0.15c, logx~4-5.6, logNH~22-23
Tombesi et al. (2011)
Tombesi et al. (2010)
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
Outflowの位置と起源
Outflowガスの位置の見積もり
上限値:rmax=Lion/xNH
電離度xのガスの分布する範囲<Rという制限から決まる
下限値:rmin=2GMBH/vout2
アウトフロー速度≧脱出速度の制限から決まる
UFO
上限値
non-UFO
下限値
r~3×10-4-10-2pc(100~1000RS )
⇒降着円盤からのアウトフローが起源ではないか
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
質量放出率 & 運動エネルギー
UFO
non-UFO
最大で
UFO
大きな質量&エネルギー放出
40-50%のSeyfert galaxyに存在
⇒feed-backに大きな寄与
non-UFO
Tombesi et al. (2012)
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
Jetとの関連(3C111) Tombesi et al. (2012)
2.4-10keV flux light curve
UFO
破線はUFOなし
UFO
K7-11:
ジェットのknot生成
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
Jetとの関連(3C111) Tombesi et al. (2012)
2.4-10keV flux light curve
UFO
破線はUFOなし
UFO
K7-11:
ジェットのknot生成
u7, u10: X線fluxが増加している時UFOが出現
Radio-quietなUFOでも同様の関係が見つかっている天体がある
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UFO
VLBI WORKSHOP 2012
X線fluxのdip→ X線の増光と共にUFO出現→knot
数ヶ月
X線のdip→新しいknotの出現という”dip-ejection cycle”は3C120などでも
確認されている(Marscher et al. 2002)
⇒dip-ejection cycleと
outflow放出メカニズムが関連している
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VLBI WORKSHOP 2012
Warm absorber
O, Mg など多様な元素の吸収線が観測される。
Sayfert galaxy の~50%に存在する
Vout~数100-数1,000km/s, logx~1-3, logNH~21-23
Outflowの位置
数1,000km/sのアウトフロー⇒数10-数100RS (disk起源)
数100km/sのアウトフロー⇒数10pc (NLR, トーラス起源)
Radio-loud AGNでwarm absorber で観測された例はまだ
わずか(3C445, 3C390.3 3C382)
アウトフロー速度、電離パラメータなどはradio-quiet AGNと大
きく変わらない
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Warm absorber
VLBI WORKSHOP 2012
質量放出率とエネルギー
Torresi et al. (2012)
NRL/トーラス起源と思われるWarm absorberのエネル
ギー放出率はaccretion luminosity (h=0.1)に対して無
視できる程度
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Warm absorber
VLBI WORKSHOP 2012
Radio-loudness と質量放出率
Radio-loudness
Radio-loudnessと
質量放出率に
正の相関
Torresi et al. (2012)
質量放出率:
解釈① Radio-loudnessが大きいほど、中心核部分からの質量放出そ
のもの(式の青線部分)が大きい
解釈② Radio-loudnessが小さいほどvolume filling factor Cvが小さ
くClumpyな構造をしている
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VLBI WORKSHOP 2012
SUMMARY 1
UFO
Seyfert galaxyの40-50%に存在する高階電離状態のアウトフロー
速度~0.1c, 質量放出率は降着率の10%程度, エネルギー放出率は大きい
ものでbolometric luminosityにも匹敵⇒feed back に寄与
BHから数100RSの場所から噴出するdisk wind が起源ではないか?
Warm absorber
Sayfert galaxy の~50%に存在
速度~数100-1,000km/s, エネルギー放出率はbolometric luminosityの1%
以下で無視できる程度
NLR/トーラスからのwindが起源?(速度が速くdisk wind起源のものも)
Radio-loud galaxyとoutflow
X線のdip→X線の増光とUFO→新しいknotというサイクルがある。
降着円盤+outflow+jetの密接な関係を示唆(3C111)
Radio-loudnessが大きいほどwarm absorberの質量放出率が大きい
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VLBI WORKSHOP 2012
Theoretical models
VLBI WORKSHOP 2012
円盤風モデル
吸収線なし
observer
吸収線あり
円盤風
降着円盤
観測角度で吸収線
の有無がきまる!
Elvis (2000)
大質量
ブラックホール
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VLBI WORKSHOP 2012
ラインフォース駆動型円盤風モデル
UV光の束縛‐束縛遷移吸収によって受ける力(ライン
フォース)で生じる円盤風
ガスの加速と電離状態を同時に説明できる
円盤風
ガスの状態
光
ブラック
ホール
X線源
高階電離
UV,X
領域 A
UVが最も 100Rs以下
強い領域
X線が強く原子が電離
されてしまう
Line forceが働かない
中間電離
中間電離
UV
領域 B
100~1000Rs
領域Aのガスによって
X線が吸収され
Line force が
働くようになる
なし
降
着
円
盤
領域 C
1000Rs以上
UVが吸収され
Line forceが弱くなる
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Line-driven disk wind model
VLBI WORKSHOP 2012
輻射流体シミュレーション
Proga & Kallman. (2004)
UV,Xの2色の輻射輸送を解きつつ、
ランフォースを考慮した流体計算
UV光源:標準降着円盤
X線光源:BH近傍
重力源:BH
密度
~10000km/s
BH
電離パラメータx
温度
標準降着円盤
logx<4
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Line-driven disk wind model
スペクトルの理論計算
VLBI WORKSHOP 2012
Shurch et al. (2009)
Proga & Kallman (2004)のシミュレーション結果(密度、温度、柱
密度、動径方向の速度分布)をもとにXSCORT(輻射輸送計算コー
ド)でスペクトルを計算
光線に沿ったエネルギーごとの吸収とコンプトン散乱を考慮
input
50°
57°
62°
65°
密度が比較的薄
く(n<108)電離度
も高いため吸収
線は見られない
Log x =3.5~4.5の
ガスが存在し、
吸収線が観測さ
れる
67°
55°<q<67°の範囲でX線スペクトルに吸収線が現れる
NH>4×1025と柱
密度が大きく
Compton散乱に
よって輻射はほ
ぼ完全に弱めら
れている
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Line-driven disk wind model
観測との比較
VLBI WORKSHOP 2012
Shurch et al. (2009)
50°
53°
NGC3516 Warm absorber
57°
62°
6.700KeV
EW: 60eV
6.76KeV 7.05KeV
EW: 45eV EW: 65eV
6.990KeV
EW:
112eV
Warm absorber の観測と合うスペクトルが理論的に再現された
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Line-driven disk wind model
VLBI WORKSHOP 2012
スペクトルの時間変動
t=9.5×106: 電離度大&密度小
t=0
t=4.4×106: 柱密度大
数日から数ヶ月スケールで時間変動が見られる
紹介した結果の他にモンテカルロシミュレーションを用いた
スペクトル計算も行われている(Sim et al. 2010)
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Line-driven disk wind model
流体要素の軌道計算
VLBI WORKSHOP 2012
Nomura, Ohsuga, Wada, Susa & Misawa
近似的に原点から測った
X線光源:
光学的厚みでUVもXも減光
中心ブラックホール近傍
(点光源とみなす)
光線
流体要素
UV光度の0.18倍
重力源:
ブラックホール
UV光源:標準降着円盤
パラメーター
ブラックホール質量 & エディントン比
円盤風の根元の密度と速度(今回は固定)
X線とUVの光度比(今回は固定)
ー log x>6
ー log 2.5<x<6
ー log 2<x<2.5
ー log x<2
高階電離
中間電離
軌道計算結果
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Line-driven disk wind model
VLBI WORKSHOP 2012
円盤風の構造と観測との比較
BAL及びUFOの観測結果
BAL
UFO
log x
<2
2.5-6
vmax
>10,000km/s
>10,000km/s
log NH
>23
>22
UFO
見込み角ごとに
観測と比較
ー log x>6
ー log 2.5<x<6
ー log 2<x<2.5
ー log x<2
81.6°
82.5°
UFO
& BAL
高階電離
ラインフォース駆動型円盤風
でUFOの特徴が再現できた
UFOが観測される確率: 9%
86.7°
中間電離
BAL
BALが観測される確率: 10%
吸収線が観測される立体角W
吸収線が観測
=
される確率
4p
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Line-driven disk wind model
VLBI WORKSHOP 2012
ブラックホール質量およびエディントン比依存性
Mass outflow rate/Leddc2
Eddington ratio e
UFO probability (%)
エディントン比が大きく、ブラックホール質量が大きい場合にUFO
が観測されやすい。
吸収線が観測される確率はブラックホール質量107M☉以上、エディ
ントン比が0.3以上で10-20%である。Seyfert galaxyの50%で観測され
るという観測結果より少ない
質量及びエネルギー放出率は
であり、観測から示唆される値とほぼ一致
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VLBI WORKSHOP 2012
Supper-Eddington disk からの Clumpy outflow
jet
Clumpy outflow
AGN outflow とjetが同時に
発生する例
Supper-Eddington disk か
らUFOで示唆されているよ
うなパワフルでclumpyな
outflowが発生
中心核からは輻射により加速
され、磁場によって
collimateされたジェットが
発生
ラインフォースは考慮せず輻
射はトムソン散乱のみ
Ohsuga, Mineshige and Takeuchi (in prep.)
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VLBI WORKSHOP 2012
Future works
ラインフォース駆動型円盤風に関して
これまでの計算は降着円盤表面の密度一定としていた、より現
実的に密度の半径依存性を持たせた場合にwindの構造がどのよ
うに変化するのか(天文学会@大分にてポスター発表)
より現実的なoutflowの構造を知り、時間変動の起源を調べるた
め3次元輻射流体シミュレーションを行う
降着円盤と共にガス雲も回転
AGNwind が分裂
ガス雲が飛び出してくる
降着円盤
ブラックホール
降着円盤の回転
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VLBI WORKSHOP 2012
SUMMARY2
理論モデルについて
ラインフォース駆動型円盤風
降着円盤からのUV光を束縛‐束縛遷移吸収することで加速する円盤
風であり、数100RSから高速で噴出する。
2次元輻射流体シミュレーション+スペクトル計算によってWorm
absorberなどに見られる鉄の吸収線が再現された。
Windの軌道計算では、観測角度~80°から観測した場合にUFOの特
徴(速度、電離度、柱密度)が検出されることがわかった。
UFOの観測される確率は10-20%(これは観測に対して少ない)
Supper-Eddington disk からの Clumpy outflow
ジェットと高速で噴出するClumpy outflowが共存
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