GEMnet2 Symposium 2007 - 宇宙電波観測センター

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Transcript GEMnet2 Symposium 2007 - 宇宙電波観測センター

e-VLBIによる観測成果
藤沢健太(山口大学)、
国立天文台、NICT、JAXA、岐阜大学、GSI、他
e-VLBI研究グループ
2007 Nov 13-14
GEMnet2 Symposium 2007
NTT武蔵野研究開発センタ
電波天文学とネットワーク

超高速データ通信による感度向上
電波干渉計観測
 高速データ通信=高感度
 高感度化:天文学の永遠の課題


遠隔操作
望遠鏡の運用の効率化
 観測効率の向上がもたらす質的変化
 ネットワークと科学研究の関係

超高速伝送の必要性

感度の向上は天文観測の永遠の課題
観測可能な
最小フラックス密度
S 
2k
T S 1T S 2
1
C
 a 1 A1 a 2 A 2
2 BT
B
アンテナゲイン
観測バンド幅
各観測局のアンテナゲイン/システム雑音温度・
観測帯域幅B=データレートが感度限界を決める
データ量を増やすことが観測感度の向上をもたらす
日本の大型電波望遠鏡
臼田 64m
鹿島 34m
野辺山 45m
超高速ネットワーク
高感度観測システム・・・新しい研究領域の開拓
研究成果の例
1.
恒星の電波


2.
恒星の電波放射はごく微弱
これまで研究がほとんど行われていない
活動銀河核



宇宙論的距離の銀河にあるブラックホール
様々な種類:RLQ、RQQ、BAL、セイファート・・・
これまで・・・強力な電波天体のみ研究
1.恒星の電波
P Cyg (白鳥座P星)

高温・大質量・質量放出の有名な恒星






距離 1.8 kpc
絶対光度 -8.3 等級
有効温度 20000 K
光度 7 x 105 Lo
質量放出 1‐3 x 10-5 Mo / yr
放出速度 100-400 kms-1
周囲にHα、電波放射するガス雲が取り巻く
電波で観測できる希少な恒星(数mJy)
P Cygの観測結果
3回観測を実施

基線長200km(臼田-つくば)
2004/01/11
検出
2005/01/09 未検出
2005/02/27 未検出
-1 mHz



2Gbps×4hours
SNR=12
Expected Flux ~ 1mJy
0
Delay Rate
VLBIでP Cyg が検出され
たのは世界初
検出輝度温度~6 x 104 K
天体位置でのフリンジ間隔
~50AU
予想外の結果

+1 mHz
放出ガスの温度は高いが、
光学的に薄いためこれほど
高い輝度温度にならないと
考えられていた
光結合観測・検出の意味

この結果の意味・可能性
これまで知られていなかったごく小さな熱的・光学
的に厚い放射領域・高温の電波光球の存在の可
能性
 熱的な現象が卓越するP Cygにおいて、非熱的
なフレア的現象が起きた可能性(変動があるため、
この可能性が高い)

新しい研究領域に一歩近づいた成果
2.活動銀河核


最近注目を集める天体:BALクエーサー
宇宙の進化を研究する手がかり:遠方の
クエーサー
BALクエーサー:現在研究中

速度幅 2,000-30,000 km/s の blue-shift 吸収線
⇒ AGN 高速度アウトフロー
遠方のクエーサー:観測候補天体リスト
天体名
α(2000)
δ (2000)
z
Comment
1250+3130
12h50m51s.93
+31d30’21”.9
6.13
No Radio Obs
1335+3533
13h35m50s.81
+35d33’15”.8
5.93
No Radio Obs
1425+325
14h25m16s.3
+32d54’09”
5.85
Cool(2006) No Radio
1148+525
11h48m16s.21
+52d53’39.3”
5.70
Mahabal(2005)
0217-053
02h17m43s.35
-05d28’07”.1
5.683
Ouchi(2005) highest SFR
0906+693
09h06m30s.740
+69d30’30”.80
5.47
100mJy@5GHz
1040-1155
10h40m48s.6
-11d55’50”.2
5.44
No Radio Obs
1428+422
14h30m23s.7416
+42d04’36”.491
4.734
Hook(1998) 220mJy@8G, VLBI
1508+5714
15h10m02s.9223
+57d02’43”.376
4.31
282mJy detected with OCTAVE
@8.4GHz
1713+215
17h15m21s.379
+21d45’31”.58
4.011
Hook(1998) 327mJy@5G
1745+6227
17h46m14s.0341
+62d26’54”.738
3.89
4C+62.29
[email protected]
進行中の研究メモ




電波で観測実績のあるHiZ天体は全て検出された。
1715+217(z=4.011)が過去の観測結果(単一鏡@5G)に比べ
異常に弱い。
非常に弱いが1715+217(S~20mJy)を積分時間480秒で検出
に成功した。(VLBI観測では初めて)
1715+217は明らかに山口基線で分解されている。電波放射は
スターバースト起源か?
臼田-山口
山口-つくば
SNR=80
SNR=20
山口-鹿嶋
SNR=12
2.遠隔操作
ASTE
乾燥・希薄な空気⇒天文観測に好条件
人間活動には極めて厳しい条件

Atacama Sub-mm Telescope Experiment

チリのアタカマ砂漠 (立松先生の講演)
VLBI 観測局
Usuda
Hokkaido
高分解能観測のためには長基線が必要
Gifu
VERA Mizusawa
Tsukuba
遠隔地の望遠鏡は観測・運用の負担が大
Yamaguchi
VERA Iriki
Kashima
VERA Ishigaki VERA Ogasawara
山口32m電波望遠鏡




大口径(32m)・高感度
昔は衛星通信用アンテナ
(~2000)
現在は電波望遠鏡
(2001~)
衛星通信所内に所在
(KDDI)
山口32m電波望遠鏡
衛星通信所内に所在 (KDDI)
観測時間

観測時間が多いほど、独創的な研究ができる


第一段階目標 1000 時間 / 年 (1年=8000時間)
しかし…

1000時間も望遠鏡の下で暮らせない
 大学の仕事・・・
 人が生活するには良くない環境
 通信所の安全面からも、人はいないほうが良い
遠隔観測
方法

安価に


高速ネットワークは既にあるから、これを利用
安全に

運用上の安全対策(観測機器を壊さないために・・・)
 通信が切れても望遠鏡が制御範囲内にある
 観測自体は勝手に進行する

操作感

望遠鏡の観測室にいるのと同等の操作感
VNCによる画面伝送
(virtual network computing)
望遠鏡 LAN
y32mng
file server
LinuxXX
PS printer
YSN dark fiber
single-mode 8 fibers
To Yamaguchi-Univ
Standard clock
DEL
L
GPS Rx
Media
Converter
GbE
Switching Hub
y32dat1/2
data acquisition / line obs
FreeBSD
DEL
L
VLBI
y32time
time monitor/server
Windows
GP-IB
100base-TX
制御PC
OKI
FM
V
y32env
obs env monitor
Windows
アンテナ
DEL
L
GP-IB
GP-IB
Obs data
2Gbps system
e-VLBI観測システム
RF/IF system
Climate monitor
WebCam
観測中の画面
制御PCのデスクトップ
WebCam
観測データ
のモニタ
アンテナ
教育・普及活動にも利用
大学外からの遠隔操作
高校
市民向けイベント
電波天文学とネットワーク
超高速データ通信による感度向上
 遠隔操作


ネットワークと科学研究の関係

ユーザ(科学者、医者、・・・)はやりたいことを
持っていてもネットワーク技術・利用方法を知らな
い。共同研究がうまくいくと、ネットワークの新しい
利用方法が誕生する可能性がある。
ご清聴ありがとうございました