山口32電波望遠鏡 - 宇宙電波観測センター

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Transcript 山口32電波望遠鏡 - 宇宙電波観測センター

天文学
• 位置天文学*
– 天体の位置と運動
• 天体力学
– 天体の運動を力学的に解析
• 太陽系
– 地球惑星物理学*
– 太陽系形成論*
• 太陽*
– 唯一表面が見える恒星
– 宇宙電磁気学、電磁流体力学
• 恒星
– 特異な恒星、白色矮星、中性子
星、ブラックホール、連星*
– 恒星の形成と進化
– 超新星・超新星残骸*
• 星間物質*
– HI雲、HII領域、分子雲、星間磁
場、高エネルギー粒子
• 銀河系・銀河
–
–
–
–
–
構造*
組成、ダークマター*
活動銀河・銀河核*
銀河団*
銀河形成論*
• 宇宙論
– 宇宙背景放射*
– 大規模構造
– 宇宙の始まり
• 観測
• 理論・シミュレーション
*印は電波天文学に関係が深い分野。天文学のほとんど全ての分野にわたる
下線は山口で研究を行っている分野
電波天文学
宇宙・天体が放射する電波を観測し、そこで生
起する現象を物理的に解明することを目指す
• 主な研究対象
– 星間物質・星間現象
– 恒星形成と終末
• 星間ガスが主体となる天体・現象
– 銀河電波、活動銀河・銀河核
• 高エネルギー粒子と磁場によるシ
ンクロトロン放射
– 宇宙背景放射
• 宇宙論の最も重要な研究手段
– 太陽・惑星・木星電波
– 位置天文学
• 干渉計観測による超高分解能を
利用
• 電波天文学の得意と苦手
得意
– 希薄だが大量に星間ガスが存在す
る天体・現象
• 例:星間現象、恒星形成、銀河系
の高エネルギー粒子と磁場、
– 高エネルギー粒子が関与する現象
• 活動銀河核、マイクロクエーサー、
太陽電波バーストなど
苦手
– 高密度な天体。見込む立体角が小
さいと、電波は弱い
• 例:普通の恒星。肉眼でも見える大
部分の恒星は、世界最高の電波望
遠鏡でも見えない
• フレアを起こしたり、ガスを撒き散ら
す恒星は観測できる
山口32電波望遠鏡
• 歴史
– 2000年まで衛星通信用に利用
– 2002年~電波望遠鏡整備
– 2004年には観測可能になった
• 意義
– この研究自体、前例なし
• このやり方がうまくいくことがわ
かったので、茨城、ペルーでも
同様の研究が行われている
– 口径32m
• 大型の望遠鏡を自由に使った
研究ができる
• 共同利用機関では不可能なこと
• ビッグサイエンスの観測天文学
において、特異な立場を占める
山口大学
山口大学で行っている研究の2本柱
• 星
• ブラックホール
– 星の形成過程と、終末期の
ガスの放出の研究
– 宇宙における物質の大循環
• 星間ガス→星形成→恒星→
超新星爆発・惑星状星雲→
星間ガス
• 星形成と星の終末は、大循
環の要素過程
– 問題点
• 宇宙の中で、星は小さく、観
測には高分解能が必要
⇒ VLBI観測
– 活動銀河核:銀河中心の大
質量ブラックホール
– 概要
• 周囲の星間ガスを吸収し、
位置エネルギーを解放して
強力な放射を行う
• ジェットを噴出する
– 研究課題
• ジェットの性質と形成機構は、
活動銀河核の未解明の問
題
⇒ VLBI観測
宇宙を構成する基本要素をVLBI観測で研究する
星形成の研究
• メーザ MASER
– 形成中の恒星周囲で、
星間ガスが反転分布・
誘導放射を生じ、強力な
電波放射が観測される
– 微細な領域で生じるの
で、VLBI観測に好適
• メタノール・メーザ
– CH3OH分子の回転遷
移、 6.7 GHz
– 大質量星の形成領域に
のみ生じる
– 暗黒星雲に埋もれた大
質量星形成領域を研究
するための手段となる
この研究は、日本では山口大学が最初に行い、その後、国立天文台や他の研
究機関でも研究が行われるようになった。この研究で学生が論文を2編書いた。
140個程度の天体について、数年にわたるモニター観測
(共同利用観測では全く不可能)
Flux density [Jy]
Flux density [Jy]
Flux density [Jy]
2004
2005
2006
18236-1205
19410+2336
18421-0348
LSR Velocity [km/s]
2007
VLBI観測によって明らかにされた大質量
星形成領域ケフェウスA中心部の構造
空間構造
(Sugiyama et al. 2008b)
スペクトルと時間変化
星の終末期の研究
• 超新星爆発
– 重元素合成、物質の放出、
宇宙線の加速、ガンマ背
バーストとの関連など、宇宙
における重要な現象
– 山口32m電波望遠鏡を自由
に使えることを活かして、多
数の天体の均質な画像作成、
カタログ化(アトラス計画)を
進めている
• 惑星状星雲
– 太陽程度の質量の恒星の終
末期の現象
– 中心の恒星の放射で電離さ
れたガスの熱放射
– 電波放射機構に関する研究
を行っている
HELIX NEBULA
ブラックホール:活動銀河核の研究
• 研究課題:いかにしてジェットを
形成するのか
• 研究方法
1:多様な活動銀河核におけるジェット
の性質を観測する
• 特にこれまで注目されていない、電
波放射の微弱な天体を、ネットワー
クを用いた高感度VLBIで観測する
• 構造・輝度・運動・放射機構・・・
2:ジェットの速度
• ローレンツ係数が50に達するジェッ
ト速度が観測されている。このよう
な高速ジェットの速度分布を調べ、
理論モデルと比較を行う
電波放射の微弱な活動銀河核
NLSy1の観測例(Doi et al. 2008)
天文学の研究を行うための研究
~観測システムの構築~
• 山口32m電波望遠鏡
• 日本VLBI観測網
– 国立天文台、山口大学、
他の研究機関・大学の
協力によるVLBI観測網
「電波望遠鏡」も「VLBI観測網」も売っていないので、自分で作るしかない
この2つのシステムは、藤沢が構築した。
東アジア VLBI 観測網
2010年から観測開始予定
East-Asia VLBI Network
(EAVN)
Korean VLBI Network
(KVN)
Japanese VLBI Network
(JVN)
Yamaguchi
Chinese
Korean
VERA
Other Japanese