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サプライ・チェイン最適化の最近の動向について
東京海洋大学
流通情報工学科
久保 幹雄
全体の構成
1.
2.
3.
4.
5.
ロジスティクス概論
ロジスティクス・ネットワーク設計
安全在庫配置
スケジューリング
配送計画
ロジスティクスの定義
Council of Logistics Management
ロジスティクスとは,顧客の要求を満たす
ために,発生地点から消費地点までの効
率的・効果的な「もの」の流れと保管,サー
ビス,および関連する情報を計画,実施,
およびコントロールする過程である.
情報技術(IT)+ロジスティクス・ネットワーク
= サプライ・チェイン・マネジメント
猫の定義
大辞林(三省堂)
体長 50cm内外,足裏には肉球が発達し,
音をたてずに歩く.夜行性で,瞳孔は円形
から針状まで大きく変化する.古来エジプ
ト以来神聖な動物とされる一方,魔性のも
のともされる.古名ねこま.
猫の概念図
ロジスティクスの概念図
調達
ロジスティクスとは,顧客の要求を満たす
ために,発生地点から消費地点までの効
率的・効果的な「もの」の流れと保管,サー
ビス,および関連する情報を計画,実施,
およびコントロールする過程である.
ロジスティクス・ネットワーク設計
配送計画
安全在庫配置
在庫方策
需要予測
収益管理
スケジューリング
ロットサイズ決定
歴史
兵站
軍事用語で物資の補給
紀元前 200年頃,漢帝国の創始者(劉邦),参謀
(韓信),宰相(簫何)
ロジスティクス(logistics)
第二次世界大戦のときにの連合国;日本の敗因
はロジスティクス戦略
サプライ・チェイン・マネジメント
(SCM: Supply Chain Management)
情報技術とロジスティクスが有機的に結合
実システム, 処理的IT, 解析的IT
解 析 的I T
モデル+解法による
意思決定支援システム
POS, ERP, MRP, DRP などの
情報の自動処理を行うシステム
処 理 的I T
物流(物的流通)=トラック,倉庫,工場,製品などの
ロジスティクス・オブジェクトの集合体
実システム
処理的ITと解析的ITにおける意思決定
処 理 的I T
実際問 題
データ 処理
結果の 評価
実行
パラメ ータの調整
解 析 的I T
実際問 題
モデル 化
求解
シ ミュ レー ショ ン
モデル の修正
解の解釈
意思決定
結果の 評価
意思決定のレベル
ストラテジック(戦略)レベル
長期(1年から数年,数十年)の意思決定
解析的IT
タクティカル(戦術)レベル
中期(1週間から数ヶ月,数年)の意思決定
処理的IT
オペレーショナル(作戦,運用,業務)レベル
短期(リアルタイムから1日,数週間)の意思決定
解析的ITの代表的モデル
原材料
長
期
調達物流
ストラテジック
生産
工場内物流 輸送
配送拠点 配送
需要
地点
ロジスティクス・ネットワーク最適化
資源配分最適化
中
期
短
期
タクティカル
オペレーショナル
在庫最適化
生産計画最適化
安全在庫配置
在庫方策最適化
ロットサイズ最適化
スケジューリング最適化
配送計画最適化
配送計画
サプライ・チェイン最適化システム
(Webアプリケーション)
W eb De si g n
ロ ジス ティ クス ・ネ ット ワー ク最 適化
調達
WebLot
ロットサイズ最適化
WebSCM
安全在庫配置最適化
配 送 計画 最 適 化
WebSeq
W e bI n v
スケジューリング最適化
在庫方策最適化
在庫=サプライ・チェインの血液
最適化システムをつなぐ「糊」の役目
時間
目で見える手持ち在庫ではなく...
-> 在庫ポジション(発注済みでまだ到着していない量を加味)
エシェロン在庫ポジション(下流の在庫ポジションの和)
在庫の分類
作り置き在庫
サイクル在庫
ロットサイズ在庫
安全在庫
輸送中(パイプライン)在庫
実際には明確に分類して扱うことは難しいが...
トレード・オフ関係を考慮しながら個別に最適化
時間
輸送中在庫と輸送費用のトレードオフ
輸送中在庫費用
輸送費用
安全在庫と品切れのトレードオフ
品切れ費用
安全在庫費用
サイクル在庫費用と発注頻度のトレードオフ
サイクル在庫 大
発注頻度小
サイクル在庫 小
発注頻度大
作り置き在庫と残業のトレードオフ
需要量
生産量上限(資源制約)
期
残業
生産量
生産量一定
在庫
ロジスティクス・ネットワーク設計
サプライ・チェイン全体を通したストラテジック(戦
略的)な意思決定
例
どこから原材料(もしくは部品)を調達するか,ど
の工場のどの生産ラインで生産するか
どの地点からどの地点にどのような輸送手段
(モード)で輸送を行うか
どこに工場もしくは倉庫を新設するか(もしくは移
転するか,閉鎖するか)
3段階モデル(固定費を考慮した場合)
前述の3段階モデルの例題において,既
存の工場や倉庫の閉鎖も検討することに
なった.工場や倉庫を開設するためには,
一定の固定費用が必要であると仮定した
とき,ネットワーク全体をどのように再設計
したら良いだろうか?
工場,倉庫の開設・閉鎖の決定
点
資源
点
枝
品目
生産ライン
資源
倉庫
資源
固定費用データ
枝
工場1(入) ->工場1(出)
工場2 (入)->工場2 (出)
固定費用(万円/単位)
1000
1000
倉庫1 (入)->倉庫1(出)
200
倉庫2 (入)->倉庫2(出)
倉庫3 (入)->倉庫3(出)
300
400
資源データ
資源
生産ライン資源
倉庫資源
上限
240
80
品目
冷蔵庫
冷蔵庫
資源使用量
3
1
最適解(4930万円)
在庫配置の基本原理
安全在庫量はまとめて配置するほど少なく
なる(統計的規模の経済の原則)
品目の価値はサプライ・チェインの下流
(顧客側)に近づくほど高くなる(在庫保管
費用の単価が上昇する.)
リード時間と最大在庫量
需要の平均μ=100,標準偏差σ=100の正
規分布(正確には負の部分を切り取った分
布:切断正規分布)
サービスレベル(品切れを起こさない確率)
95%->安全在庫係数 1.65
リード時間 (発注から品目の到着までの時
間) L
最大在庫量=
  L +安全在庫係数
 
L
リード時間と平均,安全,最大在庫
量の関係
3000
2500
2000
平均需要
最大需要
安全在庫
1500
1000
500
0
0
5
10
リード時間
15
20
リード時間を変数とすることによる安全在庫量の削減
在庫費用の計算
前回の公式
在庫費用=在庫保管費用×在庫量
今回の公式
在庫費用=
在庫保管比率×品目の価値×在庫量
調達
付加価値
10円
10円
10円
10円
品目の価値
10円
20円
30円
40円
安全在庫配置モデルの目的
在庫はなるべくまとめて置きたい.(どこ
に?どれだけ?)
->リスク共同管理
在庫はなるべく上流に置きたい.でも,顧
客へのサービス条件を満たさなければい
けない?
->押し出し・引っ張りの境界
これらを同時に最適化!
生産時間と保証リード時間
保証リード時間:発注後,この時間内には
商品を届けることを保証している.
(アスクルなら1日,デルなら1週間)
安全在庫量
=2日分
2日
下流の地点への保証リード時間
=2日
2日
上流の地点の
1日 生産時間=3日
保証リード時間
在庫(生産)地点
=1日=入庫リード時間
直列多段階モデルの例
(保証リード時間がすべて0のケース)
平均需要量=100個/日
標準偏差=100 の正規分布
安全在庫係数=1
保証リード時間
=0
保証リード時間
=0
外部
供給
生産時間
3日
2日
1日
1日
商品1個あたりの在庫費用(商品の価値×在庫保管比率)
10円
20円
30円
40円
安全在庫費用
1732円
2828円
3000円
4000円 合計 11560円
最適解
保証リード時間=3
入庫リード時間=2
安全在庫量=3-(2+1)=0日分
生産時間
3日
保証リード時間
0日
安全在庫費用
1732円
2日
1日
1日
2日
3日
0日
0円
0円
8000円 合計 9732円
(16%減)
スケジューリング最適化
オペレーショナルレベルの意思決定
時間軸上における資源の活動(作業,ジョブ,タスク)
への配分の最適化
資源制約付きスケジューリング問題のソルバー
「アルゴリズム工学ー理論と応用の橋渡しー」
理論
応用
実務
http://www-or.amp.i.kyoto-u.ac.jp/algo-eng/
配送計画最適化
総費用最小化
 ルート内の顧客需
要量がトラックの
積載重量(容量)
の上限以下
 一日の稼働時間の
上限を超えない
 時間枠を満たす
 入庫可能トラック
の制限

顧客(需要点)
デポ
ルート
実務家
研究者
参考図書 1
(サポートページ:http://www.logopt.com/book/)
サプライ・チェインにおける
最適化モデル入門
Excelと高校生レベルの数学
参考図書 2
学術書
アルゴリズムの中身まで
知りたい人向け
参考図書 3
MIT のSimchi-Leviたちの本の訳本
MBAコースでのサプライ・チェイン
入門の定番
ケーススタディ中心
よりビジネス向けに改訂した本も
同じ出版社から刊行予定