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平成14年6月17日
情報科学序説(第9回)
情報社会における問題解決
-計画問題を中心として-
社会情報システム学科
安部 恵介
情報社会における問題解決
-計画問題を中心として-
1.事例紹介
2.計画手法
3.最近の話題
1.事例紹介
• 列車群制御
• 運転整理
• その他
車両運用計画
幹線輸送計画
生産スケジューリング
列車群制御
駅
駅
A
列車
B
A
遅延
B
C
・遅延増大現象
・ダンゴ運転
C
列車群制御
<遅延増大現象>
遅延の発生
遅延列車への乗客集中
遅延の増大
乗降時間の増加
対応策:前後の列車間隔の調整
制御理論・・・・最適制御(離散型線形レギュレータ)
分散制御--自律分散システム
運転整理-列車ダイヤ復旧-
列車ダイヤ
駅
5
4
3
2
1
列車
時間
実際の列車ダイヤの例
計画ダイヤ
遅延発生
運転整理問題
列車ダイヤに乱れが生じた際に、それに
よる損失を最小に抑えるように計画ダイヤ
の変更を行う。
<運転整理の手段>
・順序変更レベル (列車順序変更、着発時刻変更)
・運用変更レベル (列車運用変更、着発番線変更)
・運休レベル
(運休、増発、途中折り返し、等)
列車順序変更
問題の規模と解空間の大きさ
駅数:10
列車数:10(各停5、急行5)
決定変数:Xie の数 40(=8×5)
解空間の大きさ:2 40 ≒ 1012 (1兆)
駅数:12
列車数:16(各停8、急行8)
決定変数:Xie 80(=10×8)
解空間: 2 80 ≒ 1024 (1兆×1兆)
解の探索-列挙木-
解法:分枝限定法による解空間の探索
最適解の例
運転整理支援システム
1.対話型シミュレーション
列車運行予測シミュレーションによる
運転指令員の支援。
2.エキスパートシステム
・運転指令員の知識を計算機に導入。
・計算機による整理案の自動作成
列車運行シミュレーション
<シミュレーション方式>
• 連続型シミュレーション
実際の列車走行
• 離散型シミュレーション
-> イベントシミュレーション
列車の駅着発単位
イベントシミュレーション
駅
5
4
3
2
1
初期時刻
時間
列車運行のネットワークモデル
車両運用計画
2.計画手法
<最適化手法>
• 厳密解法 -> 数理計画法
• 近似解法 -> ヒューリスティック手法
<問題解決アプローチ>
[問題]
製品A,Bをそれぞれ1t生産するのに、
製品A:原料2.5t,電力5kWh,労力3人時
製品B:原料5t, 電力6kWh,労力2人時 必要。
使用可能量:原料350t, 電力450kWh, 労力240人時
1tあたりの利益:製品A 4万円 製品B 5万円
利益を最大にするには、製品A,Bをいくら生産すればよいか。
製品A,Bの生産量を x,y とすると、
最大化 z =4x + 5y
制約条件:
2.5x + 5y ≦350
5x + 6y ≦ 450
3x + 2y
≦ 240
x, y ≧0
y
150
100
最適解
z = 4x + 5y (y= - 4/5 x + z/5)
3x + 2y = 240
5x + 6y = 450
50
2.5x + 5y = 350
0
50
100
150
x
数理計画法
目的関数:
f(x)=f(x1, x2・・・xn)
->最小化
制約条件:
g1(x)≦0
g2(x)≦0
・・・・・・
gm(x)≦0
f(x),gi(x)が線形(一次式)
->線形計画問題
f(x)またはgi(x)が非線形
->非線形計画問題
変数 x=(x1,x2,・・・xn)
の値が整数値(離散量)
->整数計画問題
(離散的最適化問題
組合せ最適化問題)
ヒューリスティック手法
<従来手法>
・局所探索法
・人間の判断を導入
知識工学、エキスパートシステム、等
<メタヒューリスティクス(戦略)>
遺伝アルゴリズム、タブーサーチ、等
メタヒューリスティクス
• アニーリング法、遺伝アルゴリズム、
タブーサーチ等の最適化の新解法。
• メタ(超)とついているのは、解くべき問題
に対するヒューリスティクス(発見的知識)
をいかにアルゴリズムにまとめあげるか論
じているから。
問題解決アプローチ
最近の話題
• メタヒューリスティクス
最適化の適用範囲の拡大
• 情報化の進展
情報の統合化、リアルタイム化
新物流情報システムの構成
< 物流センター >
運行管理端末
配車計画端末
実績管理端末
通信
サーバ
DB
サーバ
<車両>
カーPC
PCナビ
GPS
新物流情報システムの特徴
【物 流 セ ン タ 】
・D SRC の 活 用
・最 新 移 動 体 通 信 の 活 用
【管 理 ト ラ ッ ク 】
計 算 結 果 (配 送 計 画 )
配車効率
化支援
システム
車 両 オンライン
運行管理
システム
計画
物流
D /B
・運 行 計 画 テ ゙ー タ
・配 送 計 画 テ ゙ー タ
・位 置 ・動 態 情 報
・配 送 情 報
運 行 実 績 テ ゙ー タ
の フ ィー ドハ ゙ック
実績
物流
D /B
・運 行 実 績 テ ゙ー タ
・配 送 実 績 テ ゙ー タ
・配 車 計 画 の 最 適 化
・貨 物 の 追 跡
・積 載 効 率 の 向 上
・車 両 数 削 減 、 等
・業 務 効 率 化
・勤 怠 管 理 、 等
・配 送 計 画 ・実 績 の 表 示
・配 送 ル ー ト ナ ビ ゲ ー シ ョ ン
・配 送 先 情 報 の 提 供
・セ ン タ と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
配車計画サブシステム機能ブロック概念図
マスタ整備
マスタ情報
ファイル
手入力
発着地間
所要時間
マスタデータ
他システム
配車計画サブシステム
自動配車
計画作成
配車計画
変更
配車計画
出力
配車計画(仮)
配車計画
配送計画
地図データ
配送伝票登録
伝票ファイル
手入力
伝票データ
実績データ
計画に沿った運行の監視
および
運行実績の収集
運行監視サブシステム
運行実績サブシステム
配送計画の結果画面例(車両割当)
配送計画の結果画面例(1車両の配送順序)
レポート課題
(1)各自の身近な問題の中で、最適化問題として扱
うことができると思われる問題について述べよ。ま
たその問題の目的(関数)と制約(条件)は何か。
(2)今後、計算機によりどのようなことが出来るよう
になれば便利だと思うか、自由に論ぜよ。
(3)そのためには、どのような情報技術が必要とな
るか考察せよ。