遺伝統計学 集中講義

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Transcript 遺伝統計学 集中講義

遺伝統計学
集中講義
京都大学大学院
医学研究科
平成19年9月25日-28日
構成(予定)
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•
•
1
2
3
4
5
6
遺伝・遺伝子・多型・連鎖・集団遺伝学
連鎖不平衡・連鎖不平衡マッピング
単一SNP解析
LDブロックの評価・Haploviewの導入
多重検定・集団構造化とその補正
終わりに
25日(火) 第3・4限
26日(水) 第3・4限
27日(木) 第3限
27日(木) 第4限
28日(金) 第3限
第4限
http://www.genome.med.kyoto-u.ac.jp/ra/statgenet/material/KyotoGenStat2007.htm
もしくは
http://func-gen.hgc.jp/index.html
→「講義・資料など」
→「リンク先はこちら」
→「京都大学大学院医学研究科集中講義2007 ウェブサイト」
遺伝統計学
集中講義
(1)
遺伝・遺伝子・多型・連鎖・集団遺伝学
遺伝学
種は明らかに異なる
その違いは「遺伝」する
系統樹
瓜二つ
瓜の蔓に茄子はならぬ
鳶が鷹を生む
カエルの子はカエル
一卵性双生児・クローン
「遺伝的に」「同一」
種内 個体多様性
同一種内の個体は千差
万別
種の特性は守りつつ、そ
の制約の中で多様
種間系統樹
種内伝達関係
Nature Reviews Genetics 3, 380-390 (2002); doi:10.1038/nrg795
GENEALOGICAL TREES, COALESCENT THEORY AND
THE ANALYSIS OF GENETIC POLYMORPHISMS
Nature Reviews Genetics 3, 380-390 (2002);
doi:10.1038/nrg795
GENEALOGICAL TREES, COALESCENT
THEORY AND THE ANALYSIS OF
GENETIC POLYMORPHISMS
交配が行われている違いは「種内」の多様性
交配が行われえない違いは「種間」の多様性
遺伝する
共通すること 異なること
何が遺伝するか
ジェノタイプ
フェノタイプ
ジェノタイプ
遺伝現象を支える「物質」のタイプ
フェノタイプ
観察される「姿形」のタイプ
家系図
メンデルの法則
• 分離の法則
– 対立形質
– 2つの対立遺伝子が支える
– 発現するのはどちらか片方の形質
• 独立の法則
– 2つの異なる対立形質セットが遺伝する
とき、それらは相互に独立
連鎖と独立
• 形質は遺伝する
• 形質Aと形質Bの伝わり方は、
– 独立 か
– 連鎖しているか
のどちらかである。
浸透率 フェノコピー率
• 浸透率(ペネトランス):
– 形質を発現するべきジェノタイプを有するときに、
形質を発現する確率
• フェノコピー率:
– 形質を発現するべきジェノタイプによらずに形質
を発現する確率
複合遺伝性疾患
• メンデル型遺伝では、浸透率は1、フェノコ
ピー率は0
• 複合遺伝性疾患では、浸透率は1より小さく、
フェノコピー率も0より大きい
複合遺伝性疾患の遺伝性の根拠
• Heritability
• 相対危険度 λ
Heritability
• 遺伝要因+環境要因+偶然
• 形質が発現するかどうかの分散は、遺伝要
因の分散と環境要因の分散と偶然による分
散とで構成されるが、形質発現の分散に占め
る遺伝要因の分散の比率がHeritability
λ
• 一般集団の有病率 A
• 同胞に有病者がいるときの有病率B
• λsib = B/A
エクセル
• 浸透率・フェノコピー率を取り扱う
– 変数
•
•
•
•
ジェノタイプ比率
遺伝形式
浸透率
フェノコピー率
– 関数など
•
•
•
•
•
IF
RAND
&
$
COUNTIF
– ”浸透率フェノコピー.xls”
染色体遺伝学・分子遺伝学
DNAに乗って伝達される情報
遺伝情報~遺伝子(?)
http://www.microbe.org/espanol/news/human_genome.asp
染色体
FISH
DNA デオキシリボ核酸
遺伝情報~遺伝子(?)
• 遺伝情報は2対の相同な、ときに対立する遺
伝情報の組合せ
• ホモ接合体:同一の情報の組合せ
• ヘテロ接合体:異なる情報の組合せ
• 組合せは2つのハプロイドが持つアリルでで
きる→ジェノタイプ
遺伝情報~遺伝子(?)
• (何がしかの)意味のある遺伝情報は、たった
DNA分子上の1塩基が担っていることもあれ
ば(一塩基多型)、染色体一本が担っているこ
ともあり(性別・トリソミー)、DNA分子上のある
長さの線分が担っていることもある
• それぞれについてアリルとそのジェノタイプが
設定される
• 複数の小さい単位のアリルの組合せをハプ
ロタイプのアリルとすることもある
ヒトゲノムサイズ
1
10
102
103
104
105
106
107
108
109
Sub-microscopic variants
Microscopic variants
Structural variants
SNP
♂♀
置換型多型
挿入欠失型
CNV
リピート型
向きの多型(逆位)
位置の多型(転座)
1010
遺伝的多様性
~集団遺伝学~
• 変異
• 遺伝的浮動
• 交叉・組み換え
変異
• 体細胞変異と生殖細胞変異
1個体あたり、数個の変異(?)
どんどん多型は生まれる
• 1個体に1変異
• 20億人:10億ペア
• 1世代で10億変異/30億塩基対
1-(2/3)=0.33
1-(2/3)2=0.44
1-(2/3)3=0.70
...
1-(2/3)t=0.99999999999
0.2
0.7
遺伝的浮動
0.6
アレル頻度
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
1
7
13
19
25
31
37
43
49 55
世代
61
67
73 79
85
91
97
0.01
0.25
0.15
0.1
0.5
0.05
1
0.9
0
1
7
13
19
25 31
37 43
49 55
世代
61
67
73
79
85 91
0.8
97 0.7
アレル頻度
アレル頻度
0.2
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
1
7
13
19
25
31
37
43
49 55
世代
61
67
73
79
85
91
97
遺伝的浮動
•
•
•
•
N人の集団
2N本の染色体
1本に変異が存在
次世代に残るか?
0.7
0.6
0.5
0.4
– 次世代もN人
– すべての染色体が同
確率で残すとすると
0.3
• (1-1/(2N))^(2N)→1/e
0
0.2
0.1
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
連鎖と独立
• 形質は遺伝する
• 形質Aと形質Bの伝わり方は、
– 独立 か
– 連鎖しているか
のどちらかである。
減数分裂
交叉
交叉と組み換え
• 交叉は相同染色体・相同DNA分子が取替えっこを
すること
• 組み換えは、交叉の結果、対立遺伝子の組合せが
変わること
• 同一の染色体の間で起きる交叉は見分けられない
• 多型マーカー間の交叉は検出できる
– 多型マーカー間に奇数回の交叉が起きると組み換えとし
て検出できる
– 多型マーカー間に偶数回の交叉が起きると検出できない
交叉→組換え
• 同一の染色体の間で
起きる交叉は見分けら
れない
• 多型マーカー間の交
叉は検出できる
– 多型マーカー間に奇数
回の交叉が起きると組
み換えとして検出でき
る
– 多型マーカー間に偶数
回の交叉が起きると検
出できない
交叉→組換え
• 交叉は距離の長いマーカー間では起きやすく、短い区間では起きに
くい
• 1回の減数分裂あたり平均して1回の交叉が起きる長さを 1モルガ
ン(M)とする
• 大きな染色体では平均1回以上の交叉が起きる
• 卵子と精子で交叉の起きやすさには差がある
• DNA分子の場所により、交叉の起きやすさには違いがある
• ヒトでは、男女・ゲノム全体での平均が1.22cM/Mb
• ヒトゲノム30億塩基対(3000Mb)
• 3000Mb ->36.6 交叉/1減数分裂
– 1.22 x 10-2 x 3000 = 36.6
多型の運命
• 変異
• 遺伝的浮動
• 交叉・組み換え
SNPペアの発生とドリフト
2nd mutation
D’=1(3種類のハプロタイプ)
No pair
D’=1(3種類のハプロタイプ)
No pair
D’=1
r^2=1(2種類のハプロタイプ)
組み換えによる4種類のハプロタイプの発生
4種類のハプロタイプ
D’=1
Recombination
D’<1
D’<1
D’=1
D’=1
Polyphyletic mutation
D’<1
No way to discriminate
recombination and polyphyletic
mutation as a cause of D’<1.
D’=1
Recombination
Drift
Status IV
4ハプロタイプ
D’<1,r^2<1
Nh : Number of haplotype alleles
Monophyletic
mutation
Birth of SNP pairs
Ns : Number of polymorphic
sites
Status III
3ハプロタイプ
D’=1,r^2<1
Status II-A
SNP1個
Nh=2,Ns=1
Status II-B
2ハプロタイプ
D’=1,r^2=1
Status I
SNPなし
Nh=1,Ns=0
Death of SNP pairs
ハプロタイプ : 多型の組合せが作るタイプ
種間系統樹
種内伝達関係
Nature Reviews Genetics 3, 380-390 (2002); doi:10.1038/nrg795
GENEALOGICAL TREES, COALESCENT THEORY AND
THE ANALYSIS OF GENETIC POLYMORPHISMS
Nature Reviews Genetics 3, 380-390 (2002);
doi:10.1038/nrg795
GENEALOGICAL TREES, COALESCENT
THEORY AND THE ANALYSIS OF
GENETIC POLYMORPHISMS
交配が行われている違いは「種内」の多様性
交配が行われえない違いは「種間」の多様性