最終発表プレゼン() - 都市計画DocumentSV

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ガソリン税を考える
~自動車利用の意識変容~
都市計画実習
社会的ジレンマ班
担当教員:谷口
TA:柳田
綾子
穣
班長:田代 泰史
副班長:橋本 健太郎
渉外:董 璇絢・武藤 央子
印刷:梶 淳哉・堤 光平
DB:梅村 佳子
目次






1.背景
2.目的
3.研究の構成
4.調査内容
5.分析
6.提案
地球温暖化問題
自動車の排出する
二酸化炭素が原因の一因
自動車の利用量
ガソリンからは
を減らすこと
28.5% と高い割合
家庭でできる温暖化対策
つくば市における自動車利用状況
2.32.2
27.6
40.9
東京都市圏
7
79
茨城県南地域
0%
10%
20%
30%
40%
16.2
11.1
50%
60%
70%
80%
21 5
90%
0
4 2
自動車
電車
バス
バイク
自転車
徒歩
その他
100%
茨城県南地域と東京都市圏の交通手段分担率
つくば市の人々は自動車を利用する割合が高い
自動車の利用を減らすことは重要
暫定税率問題

暫定税率
1974年から30年以上続いている暫定税率
の期限切れによるガソリンの値下げ
二酸化炭素排出量が2400万トンも増加
これは年間の国内排出量の1.9%に相当する
社会的ジレンマ
地球温暖化
防止対策として二酸化
炭素の排出量を減らす
べき
社
会
的
ジ
レ
ン
マ
自動車利用
過度な自動車利用は環境
問題などの社会問題を引
き起こす。
ガソリンの値下げ
自動車利用を増加させ社会的ジレンマを
一層深刻にする可能性を持つ社会現象
社会的ジレンマの解決策
①構造的方略
《“カネ”“チカラ”による政策》
・ガソリン価格の値上げ
・公共交通の値下げ
②心理的方略
《“コトバ”によるコミュニケーション》
・印象的な言葉やイラストを用いたビラの配布
・自動車利用の現状を伝える
その他の背景


暫定税率の復活による
ガソリン価格の値上げ
原油価格の急激な高騰
→ガソリンの過去最高価格を記録
自動車利用を減らす
社会的ジレンマを緩和する方向に作用する
「構造的方略」
目的

ガソリン税騒動が人々の
意識に与えた影響の把握
・暫定税率が廃止されガソリン価格が安くなっていた4月と、復活しガソリン価格が高騰
した5月における人々の自動車利用意図の把握
・人々のガソリン税(暫定税率、一般財源化)に対する意識の把握

自動車利用削減のための意識変容を意図したコ
ミュニケーションの効果測定
最終的には
車の利用を減らすための
ガソリン税関連施策を含む政策を提案
することを目的とする。
調査概要
事前アンケート
調査対象
筑波大学学生を中心とした
大学関係者

アンケート調査実施期間
事前:5/8(木)~5/19(月)
事後:6/2(月)~6/9(月)


回収率
事前:72.9%(215/295)
事後:74.1%(273/368)
事後アンケート
自動車保有の有無
自動車利用の意識、行動
一ヶ月間のガソリン代、給油回数
距離別交通手段
交通事故にあっ
た回数
ガソリン税につ
いて
図3:主な質問内容
分析結果

①4月(ガソリン安い)と5月(ガソリン高い)の
意識の比較

②実験群と制御群の比較

③グループ別の実験群と制御群の比較

④説明文(短文と長文)による比較
①4月(ガソリン安い)と5月
(ガソリン高い)の意識の比較

事前アンケートと
事後アンケートを
分析した結果
4月(ガソリン安い)よりも
5月(ガソリン高い)の方が
「車の利用を控えよう」
という統計的に有意な結果
が得られた。
自動車利用を控えようと思うか
4
月 5月
と
5
月
の
平
均 4月
値
2.4
2.6
2.8
3.0
3.2
3.4
全く思わない ⇔ とても思う
実験群・制御群
事後アンケート
実験群
アンケートの前に
回答者とコミュニ
ケーションをとる。
制御群
コミュニケーション
をとらず、ただ回答
してもらう。
パンフレットの内容




環境問題
交通事故に遭う危険性
自動車にかかる費用
健康被害(肥満)
の4つの問題の実態を掲載
実験群だけに配布
②実験群と制御群の比較
実験群(パンフレット有り)
と
全体では、
統計的に有意な結果は
見られなかった。
制御群(パンフレット無し)
より詳しく分析するために
ガソリン税の問題に対する意見でグループ分けを行なった。
グループ分け
一般財源化
維
暫 持
定
税
率 廃
止
賛成
反対
A
C
B
D
自民党と民主党の主張
自民党
民主党
・道路の整備がまだ必要な
地域があるので道路整備
を優先させるべき。
・それ以外にも交通問題
(交差点整備、渋滞など)
の解決のために、税金を
使うべき。
・税金の無駄遣いを無くし、
社会福祉など多目的な使途
があるので有効に使うべき
という主張
という主張
自民党&民主党
一般財源化
賛成
維
暫 持
定
税
率 廃
止
A
C
民主党タイプ
反対
B
D
自民党タイプ
バス志向と自動車志向
グレーの人たちは
車と自転車の利用
が多い
交通手段別平均利用回数(一週間)
10
8
平
均
6
利
用
回 4
数
2
A
緑のグループは
バス利用が多い
D
9 .6 9
B
A
6 .7 6 6 .9 0
C
5 .8 2
A
2 .4 2
B
C
2 .6 0 2 .1 6
0
自転車
車
交通手段
D
3 .3 3
B
C
D
A
B
1 .6 2 1 .3 8
C
D
0 .9 5 0 .7 4
バス
バス志向&自動車志向
一般財源化
維
暫 持
定
税
率 廃
止
賛成
反対
バス志向タイプ
A
自民党タイプ
民主党タイプ
自動車志向タイプ
D
まとめて・・・
一般財源化
維
暫 持
定
税
率 廃
止
賛成
バス志向タイプ
(56人)
反対
自民党タイプ
(26人)
民主党タイプ
(30人)
自動車志向タイプ
(26人)
以上の4つのタイプに分けることができた。
このタイプごとに実験群と制御群に分け分析を行った。
地球環境にやさしいタイプは?

今回の調査から
・車の利用回数が少ない
・バスの利用回数が多い
・社会全体の問題について考えている
「バス志向タイプ」が私たちが望ましい
と思うタイプである。
疑問

車を持っていない「自動車志向タイプ」
車を持っていない人
=暫定税率維持、一般財源化賛成の方がメリットある!
「自動車志向タイプ」
=暫定税率廃止、一般財源化反対の方がいい!
なぜそのような意見になったのだろうか?
アンケートの意見を見てみると・・・

暫定税率についての意見
・計画性なく無駄に使われているとしか思えない。
・増税だけでなくコストを減らす努力をするのが先なのでは。
・国民の負担増える。不信感も与えるのでは。

一般財源化についての意見
・どうせ無駄に使われる。
・目的範囲を広げると余計使途不明な無駄使いが出る。
アンケートの結果から
これらの意見は国または役人
に不満を持っていると言え
るのではないか。
アンケートの結果から
車を持っていない人々は
国、政府の財源利用使途や計画に
関する説明不足
によって「自動車志向タイプ」になっていると
推測できる。
非常に好ましくない!
アンケートの結果から

それを解消するために
1.役人が国民に納得のいく財源の使い方をし、無駄遣いを
なくす。
2.国民の信頼をとりもどす。
3.ガソリン税の使い道を明確にして無駄使いをなくす。
━ハイブリッドカーを普及させるためにガソリン税を使う。
━車を使わざる得ない地方の公共交通のインフラを整える。
アンケートの結果から
これらを行うことで・・・
国への不満が減り、信頼が回復する
「バス志向タイプ」へ
③タイプ別実験群と制御群の比較
自動車志向タイプ
自動車志向タイプ
のみ変化が見られた!
4.33
制御群
「自動車利用を控え
ようと思うか」を
全く思わない(1)
~ とても思う(5)
で評価
実験群
1.67
1
2
3
4
5
まったく思わない ⇔ とても思う
自動車利用を控えようと思うか
なぜ、自動車志向タイプにのみ効果が
あったのか?
通常、モビリティ・マネジメントでは、
自動車志向タイプは
コミュニケーションの影響を受けにくい。
しかし!
今回は自動車志向タイプにだけ心理的方略
が効いた。
なぜだろう?
その理由は・・・
自動車志向タイプの学生はガソリン価格の
上昇(構造的方略)に敏感に反応
値上がりに反応し、そのタイミングで
パンフレットを配布したので、心理的方略の
効果が大きく出たのではないかと考えられる。
④説明文(短文と長文)による比較

アンケートで、暫定税率・道路財源一般化
について、説明方法を変えることで結果に
影響が出るのか。

短文は事実のみを淡々と書く解説。
長文は現在までの状況を批判的に解説。

短文と長文
■
短文:事実説明
道路特定財源とは、ガソリン関連税など、道路整備などに特定した財源。受益
者負担の原則により、自動車利用者がガソリン税などを負担する制度で、昭和
29年に導入された。財源不足を補うために本来より高い税率(暫定税率)が適用
されている。福田康夫内閣は道路特定財源の一般財源化(ガソリン税を道路目
的以外に利用できる)を2009年度に実施する方針を閣議決定した。
■
長文:事実説明+批判的側面
道路特定財源とは、ガソリン関連税など、道路整備などに特定した財源。受益
者負担の原則により、自動車利用者がガソリン税などを負担する制度で、昭和
29年に導入された。その後道路整備がさらに必要として暫定的にガソリン税率
を上げる法律を制定し(暫定税率)、現在までこの暫定税率が30年以上も
続いている。国と地方の財源が膨れ上がる中、無駄な道路整備も多い
との批判が出ているほか、道路財源からアロマセラピ器具購入など不
明朗な支出が判明、批判を浴び、福田康夫内閣は道路特定財源の一般財源
化(ガソリン税を道路目的以外に利用できる)を2009年度に実施する方針を閣議
決定した。
暫定税率
短文に比べ、暫定税率について
批判的に述べている長文において
暫定税率「廃止」の割合が高くなる
と推測
結果1
暫定税率について
100%
90%
80%
70%
維持
68
維持
73
60%
維持
廃止
50%
40%
30%
20%
廃止
62
廃止
46
10%
0%
短文
長文
批判的な意見を述べている長文の方が
「廃止」と答える割合が低い。
カイ2乗検定によりこの結果は【有意】であることが示された。
道路財源一般化
短文に比べ、一般財源化について
肯定的に述べている長文において
「賛成」の割合が高くなる
と推測
結果2
道路財源一般化について
100%
90%
80%
反対
36
反対
45
70%
60%
反対
賛成
50%
40%
30%
賛成
83
賛成
66
20%
10%
0%
短文
長文
肯定的な意見を述べている長文の方が
「賛成」と答える割合が低い。
カイ2乗検定によりこの結果は【有意】であることが示された。
推測と結果
推測
■
暫 定 税 率 → 長文の方が「廃止」の割合が高くなる
一般財源化 → 長文の方が「賛成」の割合が高くなる
■
結果
暫 定 税 率 → 長文の方が「廃止」の割合が低い
一般財源化 → 長文の方が「賛成」の割合が低い
考察

なぜ、暫定税率・道路財源一般化につ
いて、推測とは逆の結果になったのだ
ろうか。

心理的リアクタンス(Brehm,J.W)
が働いていると分析。
心理的リアクタンスとは

人は自分の意見や態度を自由に決定した
いという動機を持っており、これが脅か
されたとき、人は自由の回復をすべく動
機づけられているとされ、その動機づけ
状態を心理的リアクタンスと呼ぶ。
つまり・・・

長文ではガソリン税の政策に対する批判的な解説
を添えた。
回答者「この解説に誘導されたくない!」
【心理的リアクタンス】

推測とは逆の結果が得られたと考えられる。
提案1

心理的リアクタンスの働きを利用して、
自民党タイプ・民主党タイプをバス志向
タイプへ移行させる。

暫定税率「廃止」、一般財源化「反対」
を勧めるコミュニケーションを行う。
例えば・・・




都市圏の道路は十分整備されているから、暫定税率は廃止すべき。
ガソリン代は高すぎるから暫定税率を廃止すべき。
一般財源化は受益者負担に反している。
一般財源化は財源の使い道がますます不透明になる。
心理的リアクタンス



地方の道路はまだ整備されていないから、暫定税率は維持すべき。
ガソリン代が高いことは環境問題には効果的。
医療や福祉など使い道は道路以外にも様々ある。
バス志向タイプへの意識変容につながるのでは?
提案2

たくさん車を
使っている人
の自動車利用
を減らす
5月の給油量
16
14
12
10
人
8
数
6
4
暫定税率と共に
新しい税制度
累進課税の導入
2
0
10 20 30 35 40 50 60 70 80 90 100 150 200
給油量(ℓ)
累進課税制度
単純累進化税率方式
超過累進課税率方式
課税標準を超えた場合、その全体
に税率を適用する。
課税標準を超えた場合、その超過
金額に対してのみ税率を適用する。
使用額全体が課税対象になってし
まうので消費者が反発のおそれ。
課税標準までなら車を利用とする
人が増え、使用量が抑えられる。
今回は超過累進課税率方式を用いる
分析
アンケートで車を持っていると
答えた人、138人いた。
この人々を5月のガソリン給油量が多い順
で人数が均等になるように分けてみた。
すると・・・
注)ここでガソリン(レギュラー)の平均価格を161円とする(5/31時点)
「5月の給油金額÷161円」により、5月の給油量が分けられ、以下の
ようにグループ分けできた。
Aグループ:5月のガソリン給油量60ℓ以上
Bグループ:5月のガソリン給油量35ℓ以上~60ℓ未満
Cグループ:5月のガソリン給油量35ℓ未満
税率
28人
26人
5月の給油量
26人
16
14
12
C B
A
ナシ 10%
15%
10
人
8
数
6
4
2
0
10 20 30 35 40 50 60 70 80 90 100 150 200
給油量(ℓ)
具体例
日本人の月平均走行距離は約800km
(出展:http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200803/03.html)
つまり日本における平均的自動車利用者は
月平均78ℓ給油する
この日本における平均的自動車利用者を例として
税負担の軽くなる60ℓ未満まで
給油を減らそうと考える。
78ℓ
60ℓ
提案のまとめ
あまりガソリンを多く給油すると、月の
税負担が大きくなる。
月のガソリン消費量を一定量以下まで
減らそうと思う。
自動車の利用が抑制される!
研究のまとめ
分析結果より
Step1
国の信頼性の回復
心理的リアクタンス
超過累進課税制度
バス志向タイプへ意識変容を促す
心理的方略
ガソリンを多く使う人から
多くの税金を徴収する構造的方略
Step2
自動車利用が減らせる!!!
参考文献

(社)土木学会
モビリティ・マネジメントの手引き2005

社会的ジレンマの処方箋
都市・交通・環境問題のための心理学