シティによる株式交換を使った 日興の完全子会社化

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○シティによる株式交換を使った
日興の完全子会社化
• 経緯
– 06年12月:日興コーディアル・グループの不正会計問題
発覚
– 07年4月:シティと日興との提携関係をベースに、シティが
日興にTOBをかけ、56%の株取得
• TOB 価格1700円(プレミアム:TOB発表当日株価比14%、過去
半年平均株価比26%)
– 07年10月2日:シティ、株式交換方式による日興完全子
会社化を発表
• 完全子会社化によるシティグループ全体の総合的戦略の追求
• 日興株1株1700円と見なし、それと同等のシティ株と交換
• 10月2日の日興株価は1462円だから、プレミアムは16%
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• 質問
• なぜ買収者は、プレミアムを付けた(現在の
株価より)高い値段で株を買い取るのか?
– 買収者は、その企業を買収することにより、経
済効果・シナジー効果等を発揮し、より大きな
将来収益を実現できると見込んでいるから。
– ある企業の株を大量に買い集めるには、現状
の株価より一定程度高い値段で買い取る必要
がある。
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• 06年の日航増資と株価急落
• 質問
• 株主総会に諮らないで、大量の株式発行ができ
るのか?
• 授権株式制度
– 会社が発行可能な株式の数を定款で定めておき、そ
の授権の範囲内で取締役会決議により適宜株式を発
行できる。
– 定款変更により既存の授権株式数自体を増やす場合
にも、発行済株式総数の4倍までしか増やせない。
– 第三者に「特に有利な」価格で株式を発行する場合、
既存株主保護のため、株主総会での特別決議が要
求される。
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第3章. 証券会社と証券業務
(1).証券会社の業務
○伝統的業務
• 発行市場関連
– 新規に証券が発行される市場
–①
–②
• 流通市場関連
– 既発行証券が投資家間で売買される市場
–③
–④
• 証券業:金融ビッグバンの中で98年12月から「免許
制」から「登録制」に移行
– ①のみは07年から金融商品取引法により「登録制」移行
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①引受業務→引受手数料
– 証券発行体の審査・評価、市場情報の提供・
発行計画の立案、投資家への情報提供と販
売、売れ残りリスクの引き受け
– 企業審査の専門性・リスク負担能力・販売能
力が必要
→日本ではこれまで大手証券会社が独占、近
年外資系や銀行系証券会社も引受け
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○06年の日航の増資と株価急落
• 日航増資の経緯
– 06年6月28日:株主総会
– 6月30日:7億株の増資発表(発行
済株式が4割増)、株主総会で説明
なし
– 7月19日:公募価格211円に決定
– 7月27日:1386億円の払い込み完
了(当初の調達予定は2000億円)
– 引受手数料
• 1477億円(=211円×7億株)
×6%=89億円
• 引受主幹事:みずほ証券、ゴール
ドマン・サックス証券
日経06.10.13.
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・株式発行引受ランキング
トムソンフィナンシャル調べ
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・国内社債引受ランキング
トムソンフィナンシャル調べ
・社債引受では、株式引受に比べて銀行系証券会社の
力が強い
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• IPO業務(Initial Public Offering 新規公開発
行)
– 引受業務の一部分(新株発行・売出)
– 新興企業の株式公開増大
→証券会社にとって業務としての重要性増大、新興
企業に関してはIPO後も増資のチャンスが多い
– 通常の引受業務(公開企業の新株発行増資)よりも
深い専門性が必要
→手数料も高い
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・IPO引受ランキング
トムソンフィナンシャル調べ
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②募集(分売)業務→募集手数料
• 引受証券会社からの委託により新規発行証券の
投資家への勧誘・販売のみを行う。
• 投資信託の販売も募集業務に含まれる
– 投資信託の商品は投資信託委託会社・アセットマネジ
メント会社が作り、販売は各種の金融機関が行う。従
来は証券会社のみが販売。
– 98.12.より銀行・保険による投信販売解禁
– 05.10.より郵便局も投信販売開始
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③委託売買業務→委託売買手数料
• 株式の委託売買手数料の自由化
• 固定手数料(取引所が定める)→94.4.以降大口から
手数料自由化始まる→99.10.完全自由化
• c.f.アメリカでは75.5.完全自由化(メーデー)
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• 日本:手数料自由化による競争激化とネット取引
の普及が同時進行
• →ネット取引による格安手数料の提供、数多くの
ネット証券会社(オンライン・ブローカー)の登場
– 金融は現物のデリバリーが不要なため、ネット取引と
の相性がよい
– 証券は手数料が高いため、特にネット取引の効果大
– ネット証券会社の手数料:売買代金の0.05%~0.1%
– 自由化以前:売買代金100万円で1.15%
• →証券会社の二極化
– ITサービス特化の低価格戦略型
– IT+対面サービスによるアドバイス重視・付加価値提
供型(資産管理型営業)
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福光・高橋編『ベーシック証券市場論』04年版p.136
日経06.11.18.
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④自己売買業務
→自己売買益(トレーディング益)
• 株式
– 証券取引所での取引、上場株式の取引所外取引、ジャス
ダック市場でのマーケットメイク
– 取引所での売買の30~40%が証券会社の自己売買
• 債券
– 対顧客取引、業者間(インターディーラー)取引
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○債券の流通市場の概念図
業者間市場
証券会社
(ディーラー)A
証券会社
(ディーラー)B
対顧客
取引
投資家:
a
b
c
d
e
f
cf. 外国為替市場での取引構造と同じ
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○証券仲介業
• 証券会社以外の企業や個人が、証券会社の委託を
受けて、有価証券取引の仲介(売買の媒介や募集・
売出しの取扱い)を行う
– 仲介業者は仲介のみを行い、顧客口座は証券会社が保
有・管理
– 2004年に解禁
• 大手証券会社:顧客・チャネルを拡大するチャンス
– 地方銀行等と提携
• 銀行:証券仲介業進出により取扱い商品を増やす
– 銀行は系列の証券会社と提携
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◎伝統的業務以外の業務
• P TS(私設取引システム)業務
• cf. 本講義第2章(2)株式の流通市場
• 店頭デリバティブ業務
• 投資信託業務・資産運用業務
– 通常、証券会社の子会社・関連会社の形態で業務展開
• 証券化業務
• M&A業務:企業の買収や合併を専門的アドバイ
ザーとして支援する業務
• 企業再生ビジネス:
– 経営不振・破綻企業への資本投資・経営改革・事業再
構築を通じて企業を再生し、株式公開・企業売却により
資金を回収する事業
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・日本のPTS
日本証券
経済研究所
『現代日本の
証券市場』
2006年版
2007 顧客注 4000銘柄 19:00—
個人投資家、機関投資
23:50
年8
文対当
家
月
ジャパンネクストPTSには、SBIイートレード証券、ゴールドマンサックス証券、楽天証券、
オリックス証券、GMOインターネット証券が参加。
SBIジャパンネク
スト証券
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• 証券化のタイプ②:証券化を前提にした新たな
金融業務プロセスの創出
– ローンを提供する段階から証券化を前提
• オリジネーター(ローン提供者)は一旦提供したローンを証
券化のアレンジャー(証券会社、政府系金融機関)に売却
• ローンの提供だけに特化した業者の登場
– 米国:CMBS、サブプライムRMBS、政府系金融機
関によって発行されるRMBS、日本:住宅金融支援
機構によるRMBS
– 証券化の中心はアレンジャー
– アレンジャーが証券会社の場合、投資家側のニー
ズも重視
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トムソンファイナンシャル調べ
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・証券会社の企業再生ビジネス
日経新聞05.10.07.
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