陸前高田市活動報告

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Transcript 陸前高田市活動報告

陸前高田市
まるごと支援の中での保健師活動
長期派遣保健師の役割
平成24年3月9日(金)
名古屋市健康福祉局主査
日
髙
橘
子
陸前高田市の8町位置関係
略図
日本百景 高田松原
防
災
住
民
票
り
災
証
明
保
健
福
祉
農
政
土
木
学
校
教
育
上
下
水
道
復
興
計
画
震
災
ご
み
・国からの派遣要請によるものではなく、最も甚大な被害を受けた陸前高田市を、
名古屋市の総合力によって中長期的にバックアップしようとする「全国初の取組み」
・住民票の交付やり災証明に関する事務、保健・福祉・医療に関する事務など市町
村本来の事務に加え、今後の復興計画や防災計画にも携わる“丸ごと支援”
・総勢30名程度の職員を一挙に派遣し、陸前高田市の職員と一緒になって事務を実施
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3月11日
東日本大震災発生
↓
緊急に消防、給水、保健・医療関係の職員を派遣
・緊急消防援助隊を岩手県庁等へ派遣
・給水活動に職員と給水タンク車を仙台市等へ派遣
・保健師、心のケアチーム、医療救護班を仙台市等へ派遣
3月19日
被害が著しい3県(岩手、宮城、福島)に対して、その要請
に応じてそれぞれ1億円相当の物資を贈呈することを各県知事
と合意(各県に四輪駆動車、高規格救急車等を提供)
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3月19日~3次に亘って岩手県内へ先遣隊を派遣
4月1日
副市長をトップとする調査チームを陸前高田市に派遣
1.「言葉を失う」ほどの壊滅的状況
2. 臨時職員を含め100名を超える職員が死亡等
3. 市役所の行政機能が消失状態
4. 岩手県及び陸前高田市から強く支援を要請
4月7日
陸前高田市を全面支援することを決定
4月22日
陸前高田市へ第1次支援隊9名を派遣
・保健師、生活保護、高齢福祉、児童福祉等
5月11日
第2次支援隊20名を派遣
・会計事務、学校建設、復興計画策定、農業関係、
水道事業、防災関係等
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丸ごと支援の強み
 職員同士の横のつながりがあり、市政策に関す
る意見の吸い上げがしやすい
 市政に関して総合的な支援ができる
 市全体に支援が入るので行政事務の復旧が速い
 受け入れ市町村との支援ニーズが調整がしやす
く、必要な支援の把握がしやすい
 大都市名古屋市の総合力を生かした支援が可能
 派遣職員の健康面等の管理がしやすい
陸前高田市保健師との役割分担
長期派遣職員
陸前高田市保健師
通常業務の復興を担当
母子保健
災 害 関 係
保健指導業務
特定健診
予防接種
長期派遣保健師の役割
保健支援チームの総括
陸前高田市、大船渡保健所、一関保健所
保健支援チームの派遣体制・地区担当等の管理
保健支援チームの相談役とコーディネイト
医療、福祉関係など関係機関等の対外的な窓口役
業務実績、記録の整理管理
活動区分(フェーズ)
フェーズ0
3月11日
緊急対策期
フェーズ1
3月12日~3月20日
フェーズ2
3月21日~4月6日
応急対応期① 支援チーム準備期
フェーズ3
4月7日~5月20日
応急対応期② 健康生活調査期
フェーズ4
5月21日~6月30日
応急対策期① 要援護者支援期
フェーズ5
7月1日~8月31日
応急対策期② 地域コミュニティづくり期Ⅰ
フェーズ6
9月1日~12月31日
回復支援期① 地域コミュニティづくり期Ⅱ
フェーズ7
1月1日~3月31日
回復支援期② 自立始動期
急性期
震災発生時対応期
保健支援チーム集結期
フェーズ3:応急対応期Ⅱ
4月22日から初動
 当初2週間は、陸前高田市の状況把握
特に文化・風土・人間関係・役割
 他チームと4月6日から開始されていた「健康
生活調査」(1次ローラー)に参加し、地理や
住民の生活状況を把握
 各種会議に参加して、議事録の作成と関係機
関の関係と内容を把握
健康・生活調査(全戸調査)の実施状況
• 1 目的
調査=ケア提供(支援)の一環として位置づけ、全市
民を対象に現在の健康や生活の状況を確認し、緊急性
の高い要支援者や、継続して支援を必要とする者を関
係機関につなげるとともに陸前高田市の保健医療福祉
にかかる復興計画立案の基礎資料とする。
• 2 調査期間
平成23年4月6日~5月末
• 3 調査方法
全国からの災害派遣支援保健師チームによる全戸訪
問 (⇒ ※様式・記入要領等はHP「災害時の公衆衛生HP」を参照
のこと)
4 留意事項
傾聴すること。生活者の視点で観察のこと。
フェーズ4:応急対策期①
要援護者支援期
 5月連休明けから、保健師チームの運営・企画開始
ローラー作戦後二次スクリーニングの基準の考え方
 5月15日神戸市の支援で、具体的な活動の方針やス
ケジュールを決定
 県保健所が通常業務のため撤退方向になり、一機に
総括として中心的に動き出す。
 6月から通常業務(予防接種・1歳半健診)開始
 仮設住宅の建設が本格的になり、入居者が増加して、
仮設住宅への全数訪問活動が主流になる。
継続支援が必要になると思われる対象者
(要援護者)
①65歳以上のひとり暮らし高齢者
②75歳以上の高齢者のみの世帯
(健康上問題のある事例では、歳年齢到達していなくても要支援と
しても可)
③治療放置や治療中断等の高血圧・糖尿病等生活習慣病患者
④一人親世帯(母子・父子)
⑤乳幼児を抱え、育児不安のある親・祖父母等
⑥コントロール困難なアレルギー患者
⑦心のケアの必要な対象者
肉親を亡くした単身生活者(特に男性)
震災孤児やその家族
不眠・不安・不定愁訴や心身症状のある人等
⑧その他、今までの継続事例
フェーズ5:応急対策期②
地域コミュティづくりⅠ
 仮設住宅の建設が急ピッチに進み、仮設住宅への訪
問活動がメイン活動になる
 社会福祉協議会とともに、仮設住宅での健康相談やふ
れあいサロンの開始に向けての企画・調整
 6月末保健師チームが4つ終了・地区の担当体制を組
み変え
 7月引き継ぎに向けて、地区担当保健師を決め、支援
チームとの協働作業開始
 7月1日から身分が自治法派遣の取り扱いに
 8月に入り、引き継ぎに向けての準備開始
担当地区処遇困難事例の同行訪問
健康相談・サロンに支援チームと参加し、新たな調整
 9月以後の体制について、関係機関と打ち合わせ
フェーズ6:回復支援期①
地域コミュニティづくり期Ⅱ
 担当地区を持ち活動を開始する
 巡回健康相談員3名を採用し、一緒に行動
高齢者の見守りケースの訪問、仮設住宅でのサロンや健康相談を実施
 後半に建設された小中規模仮設住宅でのサロンや健康
相談事業を企画し開始する
 社会福祉協議会生活支援相談員も活動開始し連携
 毎週水曜日4時に管内ミーティング開催
 第2回健康生活調査の準備と実施(11月9日から22日)、
終了後の結果整理・分析方法の検討
 要援護者へのフォローと支援体制の調整(こころのケア)
秋のローラー作戦(第2回健康生活調査)
1 趣旨
今後長期化する避難者生活によるストレスから、ひきこもりや生活不活病発症、
ADL低下、精神的不安を引き起こすことが懸念される。特に気温が低下する秋
以降の血圧の上昇に伴う循環器(及び脳)疾患発症のリスク可能性がある。そ
のため、本格的に冬を迎える前の早期の時期に再度それらの可能性のあるハ
イリスクの対象者に対して家庭訪問し、状況確認をするとともに必要な保健指
導を行う。
2 調査対象者 合計 約1200世帯
(1)5月中旬に1次ローラー作戦(生活健康調査)で把握された個人宅避難者で、
仮設住宅に入居していない在宅生活者約700人 312世帯
(2)民間借り上げ支援制度と応急修理支援制度を受けた被災者約170世帯
(3)初回健康生活調査時に「こころのケア」の主訴があった者約300人(300世帯)
(4) 仮設住宅入居者で面接が終了していない者 (400世帯)
3 家庭訪問の実施方法
訪問時期 平成23年11月9日(水)から22日(火)2週間
*就労している対象者に面接するために、土日も調査を実施する
フェーズ7:回復支援期②
自立始動期
 被災後半年間のまとめの作成を開始
支援チームが派遣されていた8月まで
岩室先生らと、フェーズの考え方を整理
 引継ぎに向けて、包括ケア会議の運営方法を検討
し変更。情報交換だけでなく、分野や地区別の未来
図の検討へ
 仮設住宅、ローラーの調査表の整理・結果入力準
備作業
 サロン・健康相談の来年度体制について準備
 来年度事業の計画(特定健診・母子保健等)
一年間の中で感じたこと
学んだこと
何も手本がない中での活動
 自分の感性を信じて、「おかしい」と思ったこと「いまやった方
がいい」と思ったことはやった。 とにかく動く!
 使えるものは使え!役割分担が大事!
 大学院での「マネジメント」の勉強が役に立った!
 早目、早目の対応が大切
 情報は待ってては入ってこない。
関係機関へ出向く(動いている情報)
地域に出る 住民から教えてもらう
会いにいく(人脈を作る)
 しがらみがなかったので、逆に動きやすかった。
 断る必要性!支援の波!物資の波!マスコミの波!
地区担当の重要性
 保健師のエリアマネジャーとしての機能を発揮する体制づく
り
保健支援チームと医療チームをペアにして連携
サービスと人をつなげる役割
 保健医療福祉の支援チームが集まる拠点を作る
 定期的に情報交換する場づくり
最初は毎日のミーティング 今は月2回へ
地域包括ケア会議 月1回
 顔が見える関係つくりが大切
保健医療福祉包括ケア会議の重要性
 まず顔見知りになることから連携が始まる
佐々木亮平氏の役割:関係機関の調整に徹した!
陸前高田市で経験が関係機関をつないだ
 他職種が連携することにより、より効果的なサービスの提供が
可能に
 未来図(保健・福祉・医療の復興計画)の作成を市へ反映する
しかし保健関係の代表は検討員会へ入りこめず
岩室先生・佐々木氏が多方面から意見を
ホームページの活用、雑誌連載
内部からの意見反映は難しい!
 最初は外部の参加者ばかり 最近は市内の参加者がメイン
市民団体や地元のNPO,陸前の保健師が発言
派遣保健師が運営方向について毎回調整準備
市民力の活用
 陸前高田市は、被災前から自主防災組織等がしっかり
していた。
 仮設住宅入居時に、建設課が、仮設代表者や班長を
決めて、鍵渡しする。
地域のキーパーソンが決まっていて連携が取りやすい
 今までにないNGO,NPO,市民グループの存在と力
行政ができないことを支援してくれる存在
復旧でなく復興(QOL高くする)を目指す!
市民同士が励ましあう!行政は上から目線!
雇用機会の創造も兼ねる!
先進地域のアドバイス
 神戸市の存在
阪神大震災の経験を生かしたアドバイス
「次に何がおこるのか」「何をすべきなのか」
記録資料の作成
医療ミーティングへ出席し、連携
まとめの作成の支援
(8月に専任主事を派遣・活動経過、ひな形の作成)
*阪神大震災では、東京都が同じような役割を実施
 新潟小地谷市の経験談(6月に県が研修開催)
仮設住宅への支援の問題点
高齢者閉じこもり予防、循環器疾患発症予防
名古屋市防災対策への還元
 現在「中間報告」を作成中
保健支援チームが終了した8月までとする
今回は急性期の動きを忘れないうちに記録
関係職員でのフリートークで振り返りする
 津波対策版の新設 最悪の被害を想定した計画!
 地域で自主的に活動できる人材育成 「災害看護研修」
 保健師の派遣ルールの見直し 派遣順を決める
 自治体間の応援ルールの見直し
自治体が機能しなくなる場合がある
遠隔地支援と長期派遣の新ルール作成
 防災対策の反省と自治体がやれることの限界を知る
 住民へ自己防衛をきちんと伝える必要 自助・共助の醸成