要援護者 - 公衆衛生ねっと

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陸前高田市
丸ごと支援の中での長期派遣保健師の役割
~マンパワーの喪失がもたらす機能マヒ~
平成24年7月28日(土)
緑保健所保健予防課長
日
髙
橘
子
陸前高田市役所の被害状況
• 4階建ての市役所建物が津波で被災し、市役所機能が
麻痺状態
• 職員(正規職員及び嘱託職員)337名中
98名が死亡または行方不明
• 健康推進課保健師7名中5名死亡
市全体では、保健師9名中6名死亡、1名負傷
*社会福祉課障がい福祉担当保健師も死亡
→名古屋市へ32名の職員派遣要請あり
4月22日から第1陣 10名派遣うち保健師2名
一関市から保健師1名と栄養士1名の派遣あり
防
災
住
民
票
り
災
証
明
保
健
福
祉
農
政
土
木
学
校
教
育
上
下
水
道
復
興
計
画
震
災
ご
み
・国からの派遣要請によるものではなく、最も甚大な被害を受けた陸前高田市を、
名古屋市の総合力によって中長期的にバックアップしようとする「全国初の取組み」
・住民票の交付やり災証明に関する事務、保健・福祉・医療に関する事務など市町
村本来の事務に加え、今後の復興計画や防災計画にも携わる“丸ごと支援”
・総勢30名程度の職員を一挙に派遣し、陸前高田市の職員と一緒になって事務を実施
18
陸前高田市民生部の業務体制
長寿社会課
介護保険・高齢福祉
生活保護・民生委員
包括支援センター
保健師1名
社会福祉課
児童福祉・保育園
障害者福祉
保健師1名
名古屋市・一関市 一関市から長期派遣
から
6月から本格的に業
生活保護CW等5 務スタート
名派遣
健康推進課
保健事業(特定健診・乳幼児
健診等)・健康づくり事業・予防
接種等
介護予防事業
国民保険・国保診療所
保健師7名
名古屋市から派遣2名
新規採用2名採用
嘱託保健師1名採用
一関市から栄養士1名派
遣
陸前高田市保健師との役割分担
長期派遣職員
陸前高田市保健師
通常業務の復興
を担当
母子保健
災 害 関 係
特定健診
保健指導業務
予防接種
長期派遣保健師の役割
保健支援チームの総括
陸前高田市、大船渡保健所、一関保健所
保健支援チームの派遣体制・地区担当等の管理
保健支援チームの相談役とコーディネイト
医療、福祉関係など関係機関等の対外的な窓口役
業務実績、記録の整理管理
毎日夕方ミーティングの運営
毎週水曜日の
フリーミーティング
各チームにオリエンテーション
をしている
7月移動した大会議室の様子
仮設住宅への訪問状況や
サロン・介護予防活動について
相談が相次ぐ
処遇困難ケースの検討会議
高田一中学校避難所高齢者部屋の処遇についてケース会議を開催
保健医療包括連絡会
毎月1回公衆衛生ボランティ
アとして、岩室先生が来訪
復興計画(未来図)の作成を
支援していただいている。
保健医療福祉の関係機関が集
まり、情報交換と今後の方針に
ついて話し合う。
総括として、保健支援チームの
活動を発表する
活動区分(フェーズ)
フェーズ0
3月11日
緊急対策期
フェーズ1
3月12日~3月20日
フェーズ2
3月21日~4月6日
応急対応期① 保健支援チーム準備
フェーズ3
4月7日~5月20日
応急対応期② 健康・生活調査
フェーズ4
5月21日~6月30日
応急対策期① 要援護者支援
フェーズ5
7月1日~8月31日
応急対策期② 地域コミュニティづくりⅠ
フェーズ6
9月1日~12月31日
回復支援期① 地域コミュニティづくりⅡ
フェーズ7
1月1日~3月31日
回復支援期② 自立始動
急性期
震災発生時対応
保健支援チーム集結
フェーズ1:急性期
3月12日~20日:保健支援チーム集結
市役所屋上から職員が救出され、防災本部(給
食センター)を設立
健康推進課が保健師の拠点を高田第一中学校
の保健室とし、被災者の健康管理開始
市内の避難所状況を自衛隊と状況把握
13日大船渡・県央保健所の保健支援チーム活
動開始。15日新潟県・横浜市 その後続々集結
16日佐々木亮平氏が入り、保健支援チーム運
営等の調整開始。19日保健医療連絡会開催
フェーズ2:応急対応期①
3月21日~4月6日:保健支援チーム順備
21日高田一中1B教室に保健支援チームの拠点
を置く。大船渡保健所花崎保健師が総括に
保健支援チームを地区担当を決める
26日市内支援体制の連携強化のために、第1回
包括ケア会議を開催。保健・医療・福祉関係者が
集まり情報交換
市民全体の安否・健康状況がつかめず、市民全
体健康生活調査の準備開始
フェーズ3:応急対応期②
4月6日~5月20日:健康・生活調査
 4月22日から初動
 当初2週間は、陸前高田市の状況把握
特に文化・風土・人間関係・役割
 他チームと4月6日から開始されていた「健康
生活調査」(1次ローラー)に参加し、地理や
住民の生活状況を把握
 各種会議に参加して、議事録の作成と関係機
関の関係と内容を把握
健康・生活調査(全戸調査)の実施状況
1 目的
調査=ケア提供(支援)の一環として位置づけ、全市 民を対
象に現在の健康や生活の状況を確認し、緊急性 の高い要支援
者や、継続して支援を必要とする者を関係機関につなげるととも
に陸前高田市の保健医療福祉にかかる復興計画立案の基礎資
料とする。
2 調査期間
平成23年4月6日~5月末
3 調査方法
全国からの災害派遣支援保健師チームによる全戸訪問
(⇒ 様式・記入要領・結果等は「災害時の公衆衛生HP」を参照)
4 留意事項 傾聴すること。生活者の視点で観察のこと。
フェーズ4:応急対策期①
5月21日~6月30日:要援護者支援
 5月連休明けから毎週フリーミーティング開始
ローラー作戦後二次スクリーニングの基準の考え方
 5月15日神戸市の支援で、具体的な活動の方針やス
ケジュールを決定
 県保健所が通常業務のため撤退方向になり、長期派
遣保健師が総括として中心的に動き出す。
 6月から通常業務(予防接種・1歳半健診)開始
 仮設住宅の建設が本格的になり、仮設住宅への悉皆
訪問開始
継続支援が必要になると思われる対象者
(要援護者)
①65歳以上のひとり暮らし高齢者
②75歳以上の高齢者のみの世帯
(健康上問題のある事例では、歳年齢到達していなくても要支援と
しても可)
③治療放置や治療中断等の高血圧・糖尿病等生活習慣病患者
④一人親世帯(母子・父子)
⑤乳幼児を抱え、育児不安のある親・祖父母等
⑥コントロール困難なアレルギー患者
⑦心のケアの必要な対象者
肉親を亡くした単身生活者(特に男性)
震災孤児やその家族
不眠・不安・不定愁訴や心身症状のある人等
⑧その他、今までの継続事例
フェーズ5:応急対策期②
7月1日~8月31日:地域コミュティづくりⅠ
 仮設住宅の建設が急ピッチに進み、入居者の悉皆訪
問活動がメインに
 社会福祉協議会と協力し、仮設住宅での健康相談・お
茶っこサロンの企画・調整
 6月末4保健師チームが終了・地区担当体制を再編
 陸前高田市の地区担当を決め、支援チームとの協働
作業開始
 7月1日から身分が自治法派遣の取り扱いに
 8月引き継ぎ開始
継続支援ケースの同行訪問
健康相談・サロンに支援チームと参加、新たな調整
仮設住宅への訪問活動
移動してからの体調の変化を
確認する。
玄関でまず訪問の趣旨を
説明して関係づくり
各地仮設住宅で介護予防・
サロン開始
6月30日
長部地区のお茶っこサロン
介護班吉田保健師が
ストレッチ体操を指導!
7月14日
高田高校第2グラウンド仮設
住宅での健康相談開始
保健支援チームと引き継ぎ訪問
や健康相談に参加
中島保健師
神戸市と継続ケースに
訪問し状況確認
血
圧
測
定
し
傾
聴
に
努
め
る
仮
説
住
宅
健
康
相
談
で
フェーズ6:回復支援期①
9月1日~12月31日:地域コミュニティづくりⅡ
 陸前高田市保健師が担当地区を持ち活動開始
巡回健康相談員3名を採用し、一緒に行動
高齢者の見守りケースの訪問、仮設住宅でのサロンや健康相談を実施
 後半に建設された小中規模仮設住宅でのサロンや
健康相談事業を企画し充実
 社会福祉協議会生活支援相談員も活動開始し連携
 毎週水曜日4時から管内ミーティング開催
 第2回健康生活調査の準備と実施(11月9日から2
2日)、終了後の結果整理・分析方法の検討
 要援護者へのフォローと支援体制の調整
(こころのケア)
9月1日からの陸前高田市の体制
地 域
陸前高田市
巡回健康相談員等
こころのケアの応援
広田・小友町
吉田
村上(介嘱)
次採用できた看護 NICCO・大船渡保健所
師
米崎町
中島(名古屋)
吉田
大船渡保健所
高田町
菅原
金野
一関保健所
竹駒・横田町
橋本
鳥澤
日髙(名古屋)
千田・高橋(ボラ)
一関保健所
畠山
一関保健所
気仙・矢作町
障 が い 者 福 祉 市 佐藤(社会福祉
域全体(精神等) 課)
栄養・食生活支援 加藤・小林
チーム
地 域 包 括 支 援 セ 佐藤さ・菅野わ
ンター
9月5日関連スタッフの顔合わせ
健康推進課の紹介
9月1日に採用された
巡回健康相談員も紹介
社会福祉協議会
生活支援員の紹介
その他管内で活動する団体も
自己紹介
巡回健康相談員と協力して活動
相談員と一緒に
介護予防事業で問診と血圧測定
地区を案内しながら
仮設住宅を訪問する
被災者健康診査開始
連日200名を超す受診者
18歳以上が対象
問診とともに研究事業に関
する同意書をとり、アンケー
ト実施する
検尿、血液検査、心電図、
眼底カメラ、肺活量、握力
実施
秋のローラー作戦(第2回健康生活調査)
1 趣旨
今後長期化する避難者生活によるストレスから、ひきこもりや生活不活病発
症、ADL低下、精神的不安を引き起こすことが懸念される。特に気温が低下す
る秋以降の血圧の上昇に伴う循環器(及び脳)疾患発症のリスク可能性があ
る。そのため、本格的に冬を迎える前の早期の時期に再度それらの可能性の
あるハイリスクの対象者に対して家庭訪問し、状況確認をするとともに必要な
保健指導を行う。
2 調査対象者 合計 約1200世帯
(1)5月中旬に1次ローラー作戦(生活健康調査)で把握された個人宅避難者で、
仮設住宅に入居していない在宅生活者約700人 312世帯
(2)民間借り上げ支援制度と応急修理支援制度を受けた被災者約170世帯
(3)初回健康生活調査時に「こころのケア」の主訴があった者約300人(300世帯)
(4) 仮設住宅入居者で面接が終了していない者 (400世帯)
3 家庭訪問の実施方法
訪問時期 平成23年11月9日(水)から22日(火)2週間
*就労している対象者に面接するために、土日も調査を実施する
各チームごとに担当地区を持ち活動
民生委員さんから
個人宅避難者の調査対象
の情報を得る
名古屋チームの
ミーティング風景
フェーズ7:回復支援期②
1月1日~3月30日:自立始動
 被災後半年間のまとめの作成を開始
支援チームが派遣されていた8月まで
岩室先生らとフェーズの考え方を整理
 包括ケア会議の運営方法を検討し変更。
分野別・地区別の未来図の検討へ
 仮設住宅、ローラーの調査表の整理・結果入力準
備作業
 サロン・健康相談の来年度体制について準備
 来年度事業の計画作成
名古屋市保健師が中心に地区診断
地区保健活動計画の作成
包括ケア会議の変化
テーマ別の討議へ
新人保健師鳥澤さんが
母子保健対策について発言
NPOきらりんキッズの
伊藤さんが熱い思いを語る
中間まとめの作成開始
健康推進課と大船渡保健所で
構成や原稿内容を検討
岩室先生らとフェーズの
区切りなどについて相談
災害のまとめ「中間報告」完成!
保健師サポーターの活躍
1月筧主事(右)が
編集の構成を担当
健康推進課で検討
2月法月主事(左)が
原稿の修正と
編集作業を実施
3月酒井主事(右)が
最終チェックと
印刷作業実施
一年間の活動で
感じたこと・学んだこと
何も手本がない中での活動
まずは被災地の状況を把握し、現地の要望を聞くこと
被災地の文化・価値観を学ぶ姿勢!
自分の感性を信じて、「おかしい」「今やった方がいい」
と思ったことは即やる。
役割分担が大事! 得意分野を生かす!
大学院での「マネジメント学」が役立つ!
情報は待ってては入ってこない。
関係機関へ出向く(動いている情報)
地域に出る (住民から教えてもらう)
会いにいく(人脈を作る)
しがらみがなかったので、逆に動きやすかった。
断る勇気を! 支援の波!物資の波!マスコミの波!
地区担当の重要性
自治体ごと地域にあったシステムの確立
保健師のエリアマネジャー機能を発揮する体制づくり
初動期:保健支援チームと医療チームをペアに
後 半:社協生活支援員・NPO・地元事業所
保健師は「サービスと人をつなげる役割」
保健医療福祉の支援チームが集まる拠点を作る
総括役を置くこと
定期的に情報交換する場づくり
最初は毎日のミーティング 9月からは毎週水曜日
地域包括ケア会議
総括者に必要なコンピテンシー
保健師の経験から培った
連携に必要な対人感受性とマネジメント
決断力
有事にはスピードが必要!
機動力
変化に対応できるフットワークと実行力
先を見通した計画性と企画力
陸前高田市の復興を支えた3人の美女!
大船渡保健所
花崎保健師
名古屋市
日髙保健師
社協川井さん
後継者の佐藤さん
自治体機能の復活が鍵!
陸前高田市の柔軟性が評価!
外部支援の受け入れが必須
後方支援・丸ごと支援・長期派遣
被災者のニーズの変化には、
NPOなど多様な外部資源が必要
市民が活動できる場づくりの提供
本当の復興は住民が元気になること!
全国の仲間に支えてもらいました!