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まずはわかりやすい話から そばに関するあなたの立場は? • そばが好き・嫌い • そば評論家 • そば作りが得意 • そば屋をやりたい • そば屋の営業を許可する 薬の話もわかりやすく 薬に関するあなたの立場は? • 薬を飲む • 薬を処方する • 薬を調剤する • 薬を開発する • 製薬会社を経営する • 薬を承認する 患者さんに薬を届けるには? 薬が届くまで エンドユーザーが知らなくていいのか? • • • • • • 薬という“物”が作られる 薬が試される 試された結果が出る その結果が検証される 薬が承認される 売り出される 薬に関してあなたの知っていること • • • • • • 薬理学 生化学 毒性学 吸収・代謝・排泄 臨床試験 生物統計 あなたが知らないかもしれないこと • • • • • • • • GPM GCP 医師主導治験 薬事法 治験届 承認申請 ブリッジング ICH 臨床試験を理解する 1. 臨床試験はなぜ必要なのか? 2. エンドポイントとは何ぞや? “新薬”からの連想は? • • • • • • それを報道する新聞紙面 癌,難病といった病気のこと 遺伝子,たんぱく質といった医学技術 薬害のリスク 巨大な製薬会社やビジネスチャンス 治験・承認申請 治験って,何ですか? • • • • • • • 本当に効くんですか? 人体実験ですか? 怖いですか? 副作用にはどんなものがありますか? 死んじゃったりしないんですか? 生命保険とか,あるんですか? お金がもらえるんですか? 一般市民の治験のイメージ 人体実験? 映画「サル」のお話 なぜ治験が必要なのか? • • • • • • 培養細胞や動物実験だけでは駄目なの? 安全な薬だけ選べばいいのでは? 人体実験は危険ではないのか? 丈夫な人だけ選んで試せばいいのでは? お医者さんが判断すればいいのでは? なぜプラセボが必要なのか? 犬猫と同じわけにはいかない 食べ物が犬猫と同じではいけないの なら,薬の有効性,安全性はもっと 大切→だから動物実験だけでいいと いうわけにはいかない プラセボ(偽薬) の必要性 いわしの頭か 夢の新薬か 盲検の意義 治験がないと何でもあり “人体実験”の時代 確かに,ジェンナーの時代,華岡青 洲の時代は人体実験だった.今は 時代が違う 臨床試験を理解する 1. 治験はなぜ必要なのか? 2. エンドポイントとは何ぞや? エンドポイントとは何ぞや? 測る=物差し=エンドポイント エンドポイントとは何ぞや? 評価指標は何のため? 評価指標は誰のため? 風邪の治療薬の評価指標 あなたなら何を考える? 代用 vs 真のエンドポイント 代用 vs 真のエンドポイント 風邪が“治る”ってどういうこと? • • • • 鼻水が出なくなる のどが痛くなくなる 咳が出なくなる 熱が出なくなる 風邪をひくと,何が困りますか? 急性気管支炎に対するアジスロマイシン 220人のRCT:プラセボ108、実薬112 Lancet 2002;359:1648 主要評価指標は? “職場復帰までの日数” エンドポイントの多様性について 誰にとっての?,何のための? 価値観の多様性そのもの 父親にすい臓がんが見つかった • • • • • 治るのか?駄目なのか? 手術するのか?どんな手術か 化学療法は?放射線は? 入院期間は?退院できるのか? お金はどのくらいかかるのか? 治療の様々な成果(アウトカム) • • • • • • • 生死:一日でも長く 腫瘍用量縮小 血清腫瘍マーカー低下 口から食事が食べたい 旅行がしたい 痛みがない 家族と一緒にいたい 評価指標は誰のため? • • • • • • • • 患者の価値観 家族の価値観 医者の価値観 看護師の価値観 病院経営者の価値観 製薬会社の価値観 規制当局の価値観 マスコミの価値観 評価指標の理想と現実 • 現実世界のご利益の反映度 – 誰にとっての?何についての? • • • • • 観察期間 イベント数 被験者への負担 治験実施側の負担 測定系の問題:安定性、再現性、客観性 同じ薬,同じ疾患でも 開発相で評価項目が異なる 関節リウマチ治療薬の例 • 前期第II相:血沈とCRP • 後期第II相:アメリカリウマチ協会の臨床基準 • 第III相:骨破壊の抑制 代用エンドポイント? 決してデジタルで割り切れない • 警察官の多い地域ほど犯罪が多い→警察 官が犯罪を起こしている • 携帯電話普及率の高い国ほど糖尿病が多 い→携帯電話が糖尿病を起こす • 携帯電話を使う人ほど脳腫瘍が多い→携帯 電話(の電磁波?)が脳腫瘍を起こす • アスベスト産生工場に近いほど中皮腫発生 率が高い→アスベストが中皮腫を起こす 代用エンドポイントとしての コレステロールの問題点 • 観察研究は膨大だが・・・ – 低すぎるのも問題? • ご利益を示した介入研究はスタチンだけ • ホルモン補充療法HRTの苦い経験 – コレステロールが下がると心血管死が増える! よくあるエンドポイントの問題点 • 真のエンドポイントとの関係が不明 – 観察研究だけで介入研究がない • 薬剤によって介入研究結果が不定 • 標的疾患が違うと通用しない? – 血圧、コレステロールと心臓・脳のイベント + ホモシステイン仮説の歴史 • 1968年:ホモシステイン血症と動脈硬化 • 観察研究では華々しい成果 – 動脈硬化:1990年代から次々と • 探索的介入研究でも行けそう – Lancet 2000;355:517 – NEJM 2001;345:1593 • 本格的な介入研究では否定 – NEJM 2004;350:2673 – 欧州心臓学会2005 Lancet 2000;355:517 • • • • 対象:健康成人158人,動脈硬化症167人 介入方法:5mg葉酸+250mg VB6 vs プラセボ 観察期間:2年 エンドポイント – 運動負荷心電図異常 • 結果 –odds 比 0.40 [0.17-0.93]; p=0.035 – ホモシステインの低下 • 14.7 → 7.4 μM/L vs 14.7 → 12.0 μM/L NEJM 2001;345:1593 • • • • • 対象:冠動脈形成術を受けた205人 介入方法:葉酸+VB6+VB12 vs プラセボ 観察期間:6ヶ月 エンドポイント:再狭窄 結果:有効 – 最小内腔径: 1.72+/-0.76 vs. 1.45+/-0.88 – 再狭窄率: 39.9+/-20.3 vs. 48.2+/-28.3 % NEJM 2004;350:2673 • • • • • 対象:ステント挿入の患者636人 介入方法:葉酸+VB6+VB12 vs プラセボ 観察期間:6ヶ月 エンドポイント:冠動脈造影による狭窄評価 結果:実薬群の方が悪かった! – 最小内腔径:1.59+/-0.62 vs. 1.74+/-0.64 – late luminal loss: 0.90+/-0.55 vs. 0.76+/-0.58 – 再狭窄率:34.5 % vs. 26.5 % ESC2005:ノルウェーの研究 • 対象: 心臓発作の既往のある3749人 • 介入:葉酸0.8mg、VB6 40mg、葉酸 0.8mg+ VB6 40mg、プラセボの4群 • 観察期間:3.5年 • エンドポイント:心血管イベント発生率 • 結果:イベント発生率は有意差なし.葉酸 +VB6群では相対危険度が上昇