Journal of Personality and Social Psychology71

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物語を書くことによるストレスの軽
減
文学部人文学科心理学専攻4回
生
石山 裕菜
目次
0、序論
1、目的
2、独立変数
3、従属変数
4、場面・装置
5、参加者
6、研究計画
7、今後の課題
8、引用・参考文献
0、序論①
• 「対象者がどうやって楽しく生きていくかの
環境設定のデザイン」としての行動分析
に着目
• 健康を保つため、よりよく生きるためにで
きること(自分に余裕があると他者にも優
しくできる)
• 安価で、どこでも、誰でも(ある程度の文
章能力は必要だとしても)できる
0、序論②
・筆記療法(レポーレ&スミス,2004)
①健康な人(トラウマや精神的な疾患を抱えていない人)
の健康促進にも効果がある
②ストレス・コーピングの手段として利用されている
cf.ストレスに対処できると思っているほどウェル・ビーイン
グが高い(林&堀毛,2007)
③だれでも、どこでも、安価でできる
0、序論③
• 効果のない筆記(筆記のマイナス面)
(Pennebaker,1997)
①逃避行動としての筆記
②知的欲求を満たすための筆記
③不満を自由に表現できる場としての筆記
④自己陶酔のための筆記
0、序論④
<自己物語の利点>
・自己物語は物語として切り取っておけるので、否定的な
出来事の体験もその意味を再構成し、心に納めていく
のに適している。(森岡,2002)
・自己物語は複数の自己の視点を併置し、物語の中間部
では出来事が一つの方向性を持って秩序づけられる。
それによって現在までの自己の連続性一貫性を確認し、
自己の未来をも暗示することができる。(森岡,2002)
↓
序論③の効果のない筆記を回避できる
0、序論⑤
<物語自己の特性>(森岡:2002)
・自己概念やアイデンティティの研究において、従
来方法論的に困難であった自己意識の移行状
態やプロセスについて、言語化することが出来
る。
・現在「語っている自己」とは別に「語られている
私」という視点ができ、後者の視点を前者に一
致させる作業が成されることで、自己はアイデン
ティティを持つ存在として構成される。
0、序論⑥
<先行研究>
• トラウマ体験のない参加者に架空のトラウマの
物語を自分を主人公にして書かせると健康状
態が改善する
(Greenberg,Wortman&Stone,1996)
• 自分の最善の未来(理想的な近未来の自分)の
物語を書かせると健康状態が改善する
(King,2001)
↓
自分を主人公にしなければ健康は改善しないの
か
1、目的
・自分以外の人を主人公にした物語を書くことでは健康は改善しない
のか調べる
*健康の定義が広いので今回はストレスに焦点化する
<自分以外の人を主人公にする利点>
・多種の代名詞を使用すると健康改善が著しい
(Campbell&Pennebaker,2003)
↓
不機能な自分をそのまま書かせない
・言葉に囚われにくい
・現実に基づいたルールは自発しやすい
・言語行動が上手く機能している状態になりやすい
2、独立変数
• 物語を「書く」こと
A群:自分を主人公にしたもの。(先行研究にそったもの。ただし、物語の
内容については先行研究の様に「最善の可能自己とはしていない。)
B群:主人公を自分以外に設定したもの。
C群:自分を主人公にして最善の未来を書いたもの。(先行研究と同様)
D群:自分以外の人間の最善の未来を書いてもらう。(これいるの??)
・インタビュー(入れたほうがいい?)
本当に見たいのはAとB。正直Bに効果があればいい。
3、従属変数
• 質問紙(精神的健康パターン診断検査:
ストレスと生きがいが測定できる)
• 生理的指標:唾液中のアミラーゼの増減
(COCORO METER)
• 物語を書いたことについて語ってもらう
• 物語を書いた量(でも量より質が大事か
も??)
4、場面・装置
場面:実験室(広めの部屋)
装置:COCORO METER
ストレスが増加すると唾液中のアミラーゼ
濃度が濃くなる(荒垣,2004)という理論に
基づいたストレス測定機器。
5、参加者
• 「書く」ことに対して嫌悪感のない大学生
• 物語の記述体験について実験者に語るこ
と、それを録音されることを厭わない者
↓
前もってインフォームド・コンセントをしておく
12人を3人ずつ各々の群にふりわける
6、研究計画①
• 実験デザイン
プレテスト→介入→ポストテスト?
群間比較法・個人内比較法
(本当にこんなに群が必要なのか)
6、研究計画②
• 参加者に実験室に来てもらいCOCORO METERでスト
レスを測定する
• 20分程度ノートに物語を書いてもらう(自己を主人公に
してもらう群・自己以外を主人公にした群)
• COCORO METER でストレスを測定する
• 物語終了後質問紙とインタビューをしてもらう(この後も
ストレス度合いを測るべきか否か。)
これを1セッションとし、週1回計4セッション行う
(1セッション目の前と4セッション目の後に質問紙を行う)
6、研究計画③仮想データ
1.8
唾液アミラーゼの含有量
1.6
1.4
A1
A2
A3
B1
B2
B3
C1
C2
C3
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
1-pre
1-pos
2-pre
2-post
3-pre
3-post
セッション
図1ストレス値の変化
4-pre
4-post
精神的健康パターン診断検査のストレス値
6、研究計画③仮想データ
90
80
70
60
50
40
pre
post
30
20
10
0
A1
A2
A3
B1
B2
B3
参加者
図2ストレスの値
C1
C2
C3
精神的健康パターン診断尺度のQOL項目
6、研究計画③仮想データ
50
45
40
35
30
25
pre
post
20
15
10
5
0
A1
A2
A3
B1
B2
B3
参加者
図3 QOL値の変化
C1
C2
C3
6、研究計画③仮想データ
7、今後の課題
• 物語は書き手と読み手の共同行為として
の「出来事」の中に「意味の発生」がみら
れる(やまだ,2000)とされているが、参加
者に自己の書いた物語を読み返してもら
うべきか
• インタビュー後も生理的指標をとるべきか
• 自分以外の人を主人公にしてその人の最
高の人生を書いてもらう群はいらないか
9、引用・参考文献
• 荒垣聡亮(2004)唾液中アミラーゼとコルチゾによる心理ストレスの評価
日本口腔診断学会雑誌 第16巻第2号
• B.F.スキナー(訳)河合伊六他(2003)『科学と人間行動』 二瓶社
• Campbell,R.S.,&J.W.Pennebaker.2003.The secret life of
pronouns:Flexibility in writing style and physical health.Psychological
Science 14:60-65.
• Greenberg,M.A.,Wortman,C.B.&Stone,A.A.1996. Emotional Expression
and Physical Health:Revising Traumatic Memories or Fostering Selfregulation? Journal of Personality and Social Psychology71:588-602
• 林あずさ&堀毛一也(2007)日常ストレスと精神的健康との関連につい
て:認知的評価に注目して 日本パーソナリティ心理学大会発表論文
集;110-111
・ジェームズ・W・ペネベーガー(訳)獅子見照,獅子見元太郎(2007)『ここ
ろのライティング~書いて回復ワークブック~』二瓶社
9、引用・参考文献
• King.L.A.(2001).The health benefits of writing about life goals.
Personality and Social Psychology Bulletin,27,798-807
• 河合隼雄(1995)『河合隼雄著作集12 物語と科学』 岩波書店
• (編)武藤崇(2006)『アクセプタンス&コミットメントセラピーの文脈』
ブレーン出版株式会社
• 森岡正芳(2002)『物語としての面接~ミメーシスと自己の変容~』
新曜社
• 日本行動分析学会(編)(2001)『ことばと行動~言語の基礎から臨
床まで』 ブレーン出版株式会社
• (編)S.J.レポーレ&J.M.スミス(2004)『筆記療法』 北大路書房
• 杉森信吉・坂本陽香(2007)筆記療法の効果の分析 日本社会心
理学第49回大会発表論文
• (編)津田彰,J.Q.プロチャスカ(2006)『新しいストレスマネジメント
の実際~e-healthから筆記療法まで~』現代のエスプリ469,至文堂
• 山口昌樹(2007)唾液マーカーでストレスを測る 日本薬理学雑誌
vol.129,80-84
• やまだようこ(2000)人生を物語ることの意味-なぜライフストーリー
研究か- 教育心理学年報 vol,39 146-161