Transcript 気温と犯罪の関係
気温と犯罪の関係 法学部法律学科3年8組3番 ** ** はじめに 気温と人間の行動 人間の行動や生活は自然環境から強く影響を受けて いる。人間が犯罪に走る要因はさまざまだと思うが、 ここで気温に限定して考えたいと思う。 気温が高い場合 戸外での活動が活発になって犯罪も増えるのではないか。 戸外での集団生活の機会が増えもめごとも増えるのではな いか。 戸外での格好が薄着になり性犯罪が増えるのではないか 。 仮説 仮説①「気温が上がると暴力犯罪が増える」 仮説②「気温が上がると性犯罪が増える」 仮説③「気温が上がると財産犯罪が増える」 検証に用いたデータ 東京(2002~2004年) 気象庁の統計から気温(日平均気温の月平均値) 警視庁の統計から犯罪の認知件数(月別) ※犯罪の種類を暴力犯、性犯罪、財産犯に分類した。その際、複 合的要素を含んでいる強盗強姦などは数にいれなかった。また 強盗は財産犯に含めた。 すべての変量の個別的検証 (1)気温 30 ヒストグ ラム 度 数 8 25 6 20 4 15 2 10 平均値 =16.686 標準偏差 =7.3005 N =36 0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 5 30.0 東京の日平均気温の月平均値( ℃) 平均値16.686 標準偏差7.3005 最小値5.5 最大値28.5 中央値16.950 東京の日平均気温の月平均値( ℃) すべての変量の個別的検証 (2)暴力犯の認知件数 800 ヒストグ ラム 8 700 6 600 度 数 4 500 2 平均値 =601.19 標準偏差 =93.444 N =36 0 400 500 600 700 400 800 暴力犯の認知件数( 件) 平均値601.19 標準偏差93.444 最小値457 最大値777 中央値598 暴力犯の認知件数( 件) すべての変量の個別的検証 (3)性犯罪の認知件数 250 ヒストグ ラム 12 200 10 8 度 数 150 6 4 100 2 平均値 =155.36 標準偏差 =38.663 N =36 0 100 150 200 250 性犯罪の認知件数( 件) 平均値155.36 標準偏差38.663 最小値94 最大値243 中央値153.00 性犯罪の認知件数( 件) すべての変量の個別的検証 (4)財産犯の認知件数 30,000 ヒストグ ラム 11 28,000 23 14 12 26,000 10 24,000 度 数 8 6 22,000 4 20,000 2 平均値 =23252.22 標準偏差 =2113.321 N =36 0 18000 20000 22000 24000 26000 28000 25 18,000 30000 財産犯の認知件数( 件) 平均値23252.22 標準偏差2113.321 最小値18585 最大値28621 中央値23320.0 財産犯の認知件数( 件) 仮説①「気温が上がると暴力犯罪が増 える」の検証 800 相関係数 暴 力 犯 の 認 知 件 数 東京の日平 均気温の月 暴力犯の認 平均値(℃) 知件数(件) 東京の日平均気温の月 Pearson の相関係数 1 .468** 平均値(℃) 有意確率 (両側) .004 平方和と積和 1865.423 11179.797 共分散 53.298 319.423 N 36 36 暴力犯の認知件数(件) Pearson の相関係数 .468** 1 有意確率 (両側) .004 平方和と積和 11179.797 305609.639 共分散 319.423 8731.704 N 36 36 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。 700 600 ( 件 ) 500 400 5.0 10.0 15.0 20.0 東京の日平均気温の月平均値( ℃) 25.0 30.0 仮説①の回帰直線 暴 力 犯 の 認 知 件 数 ( 件 ) 700 600 5.0 500 10. 0 15. 0 線型回帰 20. 0 25. 0 東 京の 日 平均 気温 の 月 平均 値(℃ ) y=5.993x+501.192の回 帰直線が引ける。寄与率 21.9%と見た目のまま低 い。 F値の有意確率が0.004 と0.05以下なので5%有 意水準で帰無仮説を棄 却できる。よって、仮説① は成立する。 仮説②「気温が上がると性犯罪が増え る」の検証 250 相関係数 性 犯 罪 の 認 知 件 数 東京の日平 均気温の月 性犯罪の認 平均値(℃) 知件数(件) 東京の日平均気温の月 Pearson の相関係数 1 .624** 平均値(℃) 有意確率 (両側) .000 平方和と積和 1865.423 6168.581 共分散 53.298 176.245 N 36 36 性犯罪の認知件数(件) Pearson の相関係数 .624** 1 有意確率 (両側) .000 平方和と積和 6168.581 52320.306 共分散 176.245 1494.866 N 36 36 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。 200 150 ( 件 ) 100 5.0 10.0 15.0 20.0 東京の日平均気温の月平均値( ℃) 25.0 30.0 仮説②の回帰直線 線型回帰 240 性 犯 罪 の 認 知 件 数 ( 件 ) 200 160 120 5.0 10. 0 15. 0 20. 0 25. 0 東 京の 日 平均 気温 の 月 平均 値(℃ ) y=3.307x+100.183の回 帰直線が引ける。寄与率 が39.0%とそれなりに回 帰直線の近くに全体の データが散らばってい る。 F値の有意確率が0.000 と0.05以下なので5%有 意水準で帰無仮説を棄 却できる。よって、仮説② は成立する。 仮説③「気温が上がると財産犯罪が増 える」の検証 30000 相関係数 28000 財 産 犯 の 認 知 件 数 ( 東京の日平 均気温の月 平均値(℃) 東京の日平均気温の月 Pearson の相関係数 1 平均値(℃) 有意確率 (両側) 平方和と積和 1865.423 共分散 53.298 N 36 財産犯の認知件数(件) Pearson の相関係数 .421* 有意確率 (両側) .010 平方和と積和 227497.711 共分散 6499.935 N 36 *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。 26000 24000 22000 件 ) 20000 18000 5.0 10.0 15.0 20.0 東京の日平均気温の月平均値( ℃) 25.0 30.0 財産犯の認 知件数(件) .421* .010 227497.711 6499.935 36 1 156314436.2 4466126.749 36 仮説③の回帰直線 線型回帰 27500 財 産 犯 25000 の 認 知 件 22500 数 ( 件 ) 20000 5.0 10. 0 15. 0 20. 0 25. 0 東 京の 日 平均 気温 の 月 平均 値(℃ ) y=121.955x+21217.267 の回帰直線が引ける。寄 与率が0.177とかなり低 いが、見た目では回帰直 線にデータがそれなりに 集まっているように思え る。 F値の有意確率が0.010 と0.05以下なので5%有 意水準で帰無仮説を棄 却できる。よって、仮説③ は成立する。 結論と課題 結論 仮説①、②、③のすべてが成立した。犯罪学の仮説と して季節変動が犯罪に影響を与えるというものが存 在するが、気温に限定して考えても大丈夫そうであ る。 課題 認知件数の問題 地球温暖化と犯罪減少の矛盾