高齢者や障害者を取り巻く社会状況と福祉住環境
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Transcript 高齢者や障害者を取り巻く社会状況と福祉住環境
福祉住環境コーディネーターとは
生活者の視点に立ち身体状況や建築条件などあら
ゆる条件を視野に入れて問題解決を図っていく存
在
「住宅改修費支給の申請に係る理由書」作成可能
1
平成20年度生活支援系研究会の活動
福祉住環境コーディネータ-の勉強会開催の経緯
障害者→快適な暮らし→住環境の整備
福祉サービスの活用を他部門と連携
PT→住環境整備の知識必要
最近では住宅改修に関わる機会が少なくなってい
る
より的確な情報をケアマネジャーなど他部門に伝
えていく必要性がある
今年度の生活支援系研究会の活動はこのような一
連の流れを体系的に学ぶために福祉住環境コー
ディネーターの勉強会を企画しました。
2
日程
第1章:高齢者や障害者を取り巻く社会状況と福祉住環境コーディネー
ターの意義
第2章:障害のとらえ方と自立支援のあり方
第3章:疾患別・障害別にみた不便・不自由と福祉住環境整備の考え方
第4章:相談援助の考え方と福祉住環境整備の進め方
第5章:福祉住環境整備の基本技術と実践に伴う知識
第6章:在宅生活における福祉用具の活用
6月25日(水)19時~:第1章、第4章
7月23日(水)19時~:第5章
8月27日(水)19時~:第2章、第3章
9月24日(水)19時~:第6章
10月22日(水)19時~:まとめ
11月23日(日)13時30分~:試験日 &慰労会
3
試験について
申込日時:9/9~10/10
受験料:¥6,300
申込方法:インターネット東京商工会議所
HPhttp://www.kentei.org/fukushi/mousikomi.html
*団体申し込みというものがありますが、個人情報管理や申込
4
書の配付・入金手続きがありますので、個人申込でお願いしま
す。
2級 2級公式テキスト(新版)の本編(第1章~第6章まで)の知
識と、それを理解した上での応用力を問う
マークシート方式
制限時間は2時間
100点満点とし、70点以上をもって合格
試験会場:富山・高岡・氷見の各商工会議所
回
試験日
級
受験者(人)
実受験者(人)
合格者(人)
合格率(%)
3級
15,282
13,626
5,559
40.8
2級
19,149
16,750
2,265
13.5
3級
13,820
12,372
5,160
41.7
19,993
4,775
23.9
第18回 7月8日(日)
第19回
2007年度 試験結果(全国分)
11月25日
22,508
2級
(日)
年度合計
5
1級
1,280
1,120
66
5.9
3級
29,102
25,998
10,719
41.2
2級
41,657
36,743
7,040
19.2
1級
1,280
1,120
66
5.9
6
7
勉強会の進め方
各回、生活支援系研究会部員がグループ毎にまと
めたパワーポイント資料をもとに進めます。
内容は、公式テキスト・2級集中レッスン(成美
堂出版¥1260)・過去問500題徹底攻略(新
星出版社¥1890)などから要点をまとめたも
のです。
公式テキストにチェックしながらお聞きになられ
るとよいと思います。まずは、聞きなれない用語
や数字になれることが大切。
勉強会終了後、近日中に富山県理学療法士会HP
にパワーポイント資料を公開します。
8
お願い
勉強会開催の案内や福祉住環境コーディネーター
関連の情報をお伝えする目的で、Eメールを利用
しようと思います。
差し支えなければ、皆様のEメールアドレスをお
教えください。
[email protected]へ氏名・所属・職種を送信くだ
さい。
9
高齢者人口・高齢者世帯数増加の推移
65歳以上の高齢者
2005年時点2576万人
高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)
2005年:20.2%
2013年:25%
2023年:30%
2017年:前期高齢者(65~74歳)<後期高齢者(75歳
以上)
<
10
今後の高齢化の特徴と改正介護保険制度
サービス利用者
当初:149万人→2005年:337万人
2人に1人は何らかの介護支援を必要とする高齢者
認知症高齢者
76万人が入院入所
73万人が在宅
(2002年時点)
2006年グループホーム8000か所
11
介護に対する意識の変化
高齢者介護に関する世論調査
自宅で介護受けたい44.7%
男性52.3%>女性38.6%
>
12
高齢者の持家率と住宅の
バリアフリー化
高齢者がいる世帯の持家率:84.0%
一般住宅の特徴
住宅建築後から年数が経っている住宅
修理を要する個所が多い
バリアフリー住宅の特徴
バリアフリーの3セット
手すり
段差が解消
幅のより広い廊下
全住宅の2~3%(2000年H12)
13
住環境整備の問題点と課題
日本の木造住宅の問題点
段差
尺貫法が基準:3尺(910mm)、 狭い
14
生活の洋式化、生活用品が多様化→住宅面積小さい
福祉用具を使用する高齢者や障害者の室内移動困難
床座
床からの立ち座り動作は高齢者には不向き
日本の気候は高温多湿
夏に合わせて造られてきた
冬季の寒さには向いていない
高齢者・障害者・循環器疾患にとって温度差が不適切
寒い冬の夜・暖かい寝室・寒い廊下
衣服を脱ぐ・熱い浴槽の湯
↓
血圧が大きく変動→入浴中の死亡事故
*日本の住環境と入浴習慣
高齢者と家庭内介護の状況
長期化する在宅生活(定年後在宅で過ごす期間)
高齢化→改正介護保険で介護予防、自立支援に重点
家庭内介護力の低下
核家族化、老世帯→高齢者、障害者の在宅生活困難
⇒
15
高齢者と家庭内介護の状況
家庭内事故の発生
2005年 1年間で9,728人の高齢者が家庭内事
3,200
故の犠牲者
溺死33.1%約3,200人
交通事故死4,380人
「建築基準法」を守っていても発生
家庭内事故を減らす配慮
身体的特性
設計や施工
行動特性
16
転倒転落・
不慮の事故
火災など
9,728
4,380
寝たきり高齢者・おむつ使用者
寝かせきり高齢者
本当におむつ必要な高齢者はほんの一部
自分でトイレに行けるような住環境整備で、おむ
つ離れることも少なくない
寝たきりやおむつから人間の尊厳を保たせる
17
住環境整備がなされたときのメリット
高齢者と家族への効果
本人の精神的自立と意欲の拡大
人間としての尊厳
介護量の軽減
介護からの解放
家族関係円滑化
18
介護保険制度の目的と基本理念
基本的な考え方
利用者本位
多様な民間事業者の参入を促進
競争原理を導入
効率的
良質なサービス提供
ケアの総合化・パッケージ化
ケアプラン作成者を介在
適切な評価
福祉サービス
医療サービス
一体的・継続的に利用
19
介護保険制度の目的と基本理念
基本的な考え方
在宅ケアの重視と社会的入院の解消
医療費の適正化
社会連帯による客観性と公平性
40歳以上が被保険者
介護サービス給付
保険料負担の関係を明確化
地方分権
利用者の生活の現場に近い市町村が保険者
20
介護保険制度の仕組みと手続
介護認定審査会で判定
60日以内に都道府県 介護保険審査会に不服申し
立て
16種類の特定疾病(第2号被保険者)
利用限度額の範囲内でのケアプラン
介護支援専門員
自分で作成
1割自己負担
21
2006年4月からの改正介護保険制度の主な内容
2005年の制度改正で指摘された高齢者介護の問題点1
施行後5年を目途
制度の見直し
高齢者の人口の増加をはるかに上回る要介護認定
者の増加と増加が著しい軽度者への予防の重要性
第1号被保険者数2,165万人から2,54
3万人へと17%増
要介護認定者5年間で約2倍:218万人→42
5万人 保険給付費を押し上げ
22
2006年4月からの改正介護保険制度の主な内容
2005年の制度改正で指摘された高齢者介護の問題点2
在宅サービスの脆弱性と施設サービスとの不均衡問
題の是正
サービスの利用者数:全体2.3倍、在宅2.7倍
事業者数 2倍 営利法人は3倍以上
重度になるほど在宅生活の継続 追いつかず
認知症高齢者ケアの確立の必要性
2002(H14)年段階 要介護認定者314万人 半数
の149万人に認知症→2015(平成27)年には250万人
施設入所者 約8割
この状況下で、認知症高齢者ケアの確立が急務
23
2006年4月からの改正介護保険制度の主な内容
改正介護保険制度の主な内容
予防重視型システムの転換
要介護・要支援状態になること
自体を防止する
要介護状態への悪化を防ぐ
介護予防サービス(新予防給
付)の創設
生活機能低下の危険性 早期に
発見
短期・集中的な実施プログラム
自立への目標志向型のケアマネ
ジメント
24
• 介護予防を目的とした地域
支援事業の創設
• 地域包括支援センターの設
置
• 地域密着型サービスの創設
• ケアマネジメントの見直し
• 施設給付の見直し
• 多様な住まい方の拡充
• 医療と介護の連携強化
• 介護サービス情報公表
• 事業者規定の見直し
• 2006円4月からの介護保険
サービス
• 地域密着型サービス
• 施設サービス
「地域介護・福祉空間整備等交付金」制度の発足
地方分権の推進や地域再生の観点
2006年から市町村交付金の対象事業拡大された
向こう3年以内に基盤整備事業計画に対して交付
ハード整備のための「地域介護・福祉空間整備交
付金」地域密着型サービス拠点 地域包括支援セ
ンター 介護予防拠点整備
ソフト整備のための「地域介護・福祉空間交付
金」 高齢者障害者子供との共生型サービス推進
先進的事業支援特例交付金
個室・ユニット型へ
の改修 療養型の老健への転換
25
高齢者向けの住宅施策の変遷
建設行政の取り組み
「公営住宅法」改正
高齢者の公営住宅への単身入居認可
入居拒否された単身高齢者の訴訟が発端
1987年 シルバーハウジングプロジェクト
住宅行政・福祉行政連携
1980年
バリアフリー化された高齢者向け公共賃貸住宅と
生活援助員(LSA)による日常生活支援
26
高齢者向けの住宅施策の変遷
建設行政の取り組み
1995年 長寿社会対応住宅設計指針
加齢による老化・障害でも住み続けられる設計上配
慮すべき指針提示
1999年 住宅の品質確保の促進等に関する法律(住
宅品確法):住宅の基本性能を9項目にわけて、第三
者機関が客観的に性能を評価するもの
27
高齢者向けの住宅施策の変遷
建設行政の取り組み
2001年 高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢
者居住法)
民間活力活用し高齢者向け優良賃貸住宅供給
高齢者の入居拒まない
終身建物賃貸借制度(亡くなるまで住み続けられる)
持家バリアフリー改良に対し元金死亡時一括返済する
特例制度
2006年 住生活基本法(新しい住宅政策の憲法)
量産から豊かな住生活の実現へ
低所得者や高齢者のセーフティネット住宅を取得しやす
くする
×
28
高齢者向けの住宅施策の変遷
福祉行政の取り組み
ゴールドプラン21
介護サービス基盤の整備
認知症高齢者支援対策の推進
元気高齢者づくり対策の推進
2000年
29
高齢者向けの住宅施策の体系
住宅のバリアフリー化
住宅改修等の推進
公的住宅の供給
持家居住者への支援
借家居住者への支援
ケア付き住宅等の供給推進
30
高齢者向けの住宅施策の体系
住宅のバリアフリー化
公共賃貸住宅のバリアフリー化
公営住宅 アプローチ確保 段差解消 手
すり設置
1993年 手すり設置個所追加 滑りにくい床材 ト
イレ暖房コンセント
1994年 手すり設置個所追加 レバーハンドル式ド
ア 暖房機器の対応 住宅性能表示制度における
「高齢者等への配慮に関すること」の等級表示
「住宅性能表示制度」 5段階 移動時の安全性確
保 介助のしやすさ
1991年
31
高齢者向けの住宅施策の体系
住宅改修等の推進
介護保険における住宅改修費の支給
1.
2.
3.
4.
5.
手すりの取り付け
段差の解消
滑りの防止
引き戸など扉の取り換え
洋式便器
限度額20万円9割が限度で償還払い
32
高齢者向けの住宅施策の体系
住宅改修等の推進
バリアフリーリフォームにおける高齢者向け返済特例制度
特例制度による融資利用「 リバースモーゲージ」:生存中
は利息のみ、 死亡後に相続人一括返済か土地建物処分して返
済を行う
高齢者住宅整備資金貸付制度
60歳以上の高齢者世帯・高齢者と同居する世帯対象
高齢者の専用居室・浴室・階段などの増改築低利貸し付け
生活福祉資金貸付制度
社会福祉協議会
65歳以上の高齢者
長期生活支援資金貸付制度
65歳以上の高齢者
リバースモーゲージの仕組み活用
33
高齢者向けの住宅施策の体系
公的住宅の供給
公営住宅法
単身高齢者の公営住宅への入居
高齢者世帯を優先的に入居させる措置
34
高齢者向けの住宅施策の体系
持家居住者への支援
高齢者の住み替え支援制度
高齢者世帯所有の世帯
広い住宅必要とする子育て世帯へ貸し付け
35
高齢者向けの住宅施策の体系
借家居住者への支援
あんしん賃貸住宅の登録・閲覧制度
高齢者・障害者・外国人
住宅困窮者のセーフティネットを構築
36
高齢者向けの住宅施策の体系
ケア付き住宅等の供給推進
高齢者向け優良賃貸住宅
バリアフリー化
緊急時対応サービス
低所得高齢者 家賃補助
ケアハウス
60歳以上
自炊できない機能低下有する
高齢で独立生活困難で家族の援助見込めないもの
グループホーム
認知症、5~9人1ユニット、介護職員と共同で食事・掃除・
洗濯
37
障害者の年齢別状況にみる高齢化
身体障害者の65歳以上の割合
60%を超える
知的障害
65歳以上2.8%(18歳~64歳
精神障害
65歳以上27.2%
38
64.4%)
障害者の住宅・施設生活の割合
568万人(90%)在宅生活
66万人(10%)施設生活
身体障害児・者:在宅生活94.6%
知的障害児・者:在宅生活71.7%
精神障害者:在宅生活86.7%
障害者の多くは在宅生活
さらなる脱施設化・社会的入院の解消が施策の課題
39
障害者の住宅に関する実態
障害種類別にみる障害者の住宅事情
80%以上が持ち家
身体障害者の住宅改修の実態
住宅改修できない人
17.1%:構造上困難、借家、資金がない
身体障害者の6割以上住宅改修必要としている
トイレ、浴室、玄関、階段、居室、廊下、訪問灯
在宅の身体障害者の障害程度状況
障害者の多くが重度である
障害者の重度化・高齢化が進む
40
バリアフリー対応の住宅
障害者向けバリアフリー住宅
2003(平成15)年度の障害者世帯:「H17
障害者白書」より
見込みは140戸
2000(H12)よりも減少傾向
障害者世帯向け住宅の供給戸数
不十分な状況
41
施設から在宅(地域)生活への動き
地域生活支援の重要性
障害者自身は住み慣れた地域で生活希望強い
地域生活の基本的な支援システム
情報
権利
社会資源
相談
42
支援体制づくり
障害者福祉施策における
ノーマライゼーションの実現
ノーマライゼーションの理念
デンマーク:バンクーミケルセン提唱
スウェーデン:B・ニィリエが8つの原理をまとめた
わが国
1981(昭和56)年:国際障害者年
1983(昭和58)年:国連・障害者の十年
ノーマライゼーションの理念が普及
脱施設化へ
43
障害者福祉施策の概要
障害者基本計画の概要
障害者基本計画
2003(平成15)年から2012(平成2
4)年
10年間
国民だれもが人格と個性を尊重して相互に支え合
う共生社会の実現
44
障害者福祉施策の概要
障害者施策推進の基本的な方針
4つの視点
①社会のバリアフリー化の推進
45
ユニバーサルデザインの観点からのまちづくり、ものづくり
重点的課題4つ
① 活動し参加する力の向上
②活動し参加する基盤の整備
③精神障害者施策の総合的な取り組み
④アジア太平洋地域における域内協力の強化
② 利用者本位の支援
③障害の特性をふまえた施策の展開
④総合的かつ効果的な施策の推進
8つの重点施策:啓発・広報、生活支援、生活環境、教育・育成、雇
用・就労、保健・医療、情報・コミュニケーション、国際協力
障害種別を超えた一つの制度体系
障害者自立支援法
2006(平成18)年
障害者および障害児がその能力、適正に応じて、
自立した日常生活、社会生活を営めるよう、必要
な障害福祉
自立支援給付の申請と決定の仕組み
申請:市町村
判定:一次二次
サービスの支給
46
地域生活支援事業
市町村
相談支援
コミュニケーション支援
生活用具の給付
移動支援
地域活動支援センター
都道府県
特に専門性の高い相談支援事業
発達障害者支援センター
障害者就業・生活支援センター
高次脳機能障害支援センター
47
建設行政の取り組み
「住生活基本法」
低所得者・高齢者のセーフティネット確保
市場で住宅得られるように
2006年 「高齢者・障害者等の移動等の円滑化
の促進に関する法律(バリアフリー新法)」
ハートビル法+交通バリアフリー法
2006年
+
48
=
福祉行政の取り組み
2003年から2012年 新「障害者基本計画」
「重点施策実施5カ年計画(新障害者プラン)」
住宅や建築物のバリアフリー化の推進
新設される公共賃貸住宅のバリアフリー化
手すり設置・広い廊下・段差解消がなされた住宅ス
トックの形成、2015年まで全住宅の2割を目指す
49
住宅改修等の推進
在宅重度身体障害者住宅改造費助成事業
市町村が助成
身障手帳1・2級、療養手帳A
一定の所得制限あり
50
公的住宅の供給
公営住宅の入居者募集・選考
障害者世帯は特に住宅困窮度高い者とする
当選率の優遇
別枠選考
身体障害者の公営住宅への単身入居認可
2006年 知的障害者・精神障害者の単身入居認可
1980年
51
専門職の条件と
福祉住環境コーディネーター
論理的知識に基づく技術であること
個人情報保護を遵守すること
倫理綱領をもつこと
公共の福祉に奉仕する活動であること
能力考査があること
相談者との契約関係で成り立っていること
社会的地位が認められるものであること
52