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生命科学基礎C
第6回 シナプス伝達の修飾
和田 勝
東京医科歯科大学教養部
シナプスにおける伝達
早いシナプス伝達は信号を直線的に伝える
早いシナプス伝達には興奮性伝達と抑制性
伝達がある
遅いシナプス伝達もある
遅いシナプス伝達によって、信号の伝わり方が
修飾される
伝達の修飾
リガンド依存型チャンネルによる早い伝達
は、チャンネルとリンクしていない細胞表面
受容体により修飾される
このような遅い効果は神経修飾(neuromodulation)とも言う
交感神経のところで述べたように、Gタン
パク質連結型受容体を介している
Gタンパク質の作用の仕方
● Gタンパク質はアデニル酸シクラーゼを活性
化、あるいは不活性化し、cAMPのレベルを調
節。cAMPはPKA(Aキナーゼ)を活性化し、チャ
ンネルをリン酸化
● Gタンパク質はイノシトールリン脂質系を活
性化し、これがPKC(Cキナーゼ)を活性化し、
カルシウムイオンをストアサイトから放出。これ
らがチャンネルをリン酸化
● Gタンパク質は直接あるいは間接的にイオン
チャンネルを開閉
平滑筋
ここでちょっと平滑筋の話
平滑筋は血管、消化管、膀胱、子宮などの内
蔵器官の管壁を構成し、血管の太さ、消化管運
動(蠕動運動)、膀胱や子宮などの泌尿生殖器
の機能などの調節、瞳の大きさの調節など、多く
の生体反応に重要な役割をはたす
平滑筋は、骨格筋と違って不随意筋で、自律
神経の支配を受けている
平滑筋
ヒト十二指腸の平滑筋(http://www.med.toho-u.ac.jp/anat1/anatomy/t13.html)より
平滑筋
平滑筋の特徴
平滑筋にもアクチンとミオシンがあり、中間径フ
ィラメントによって細胞膜と結合。Z膜もT管系も
なく、dense bodyによってアクチンフィラメントの端
が束ねられている
筋小胞体の発達は悪く、カルシウムイオンは筋
小胞体からも放出されるが、大部分はカルシウ
ムチャンネルを通って細胞外から流入
平滑筋の特徴(2)
交感神経系のアドレナリンと、副交感神経系の
アセチルコリン(ムスカリン様)の二重支配を受け、
細胞内メッセンジャーがチャンネルタンパク質を
修飾して、カルシウムイオン濃度が調節される
トロポニンは存在せず、ミオシンが修飾される。
カルシウムイオンはカルモジュリンと結合し、カル
シウムイオン-カルモジュリン複合体となって、ミ
オシン軽鎖キナーゼを活性化し、ミオシンをリン
酸化してアクチンと結合できるようにする
平滑筋の特徴(3)
平滑筋の中には、他の信号分子の修飾を受け
るものがある
たとえば子宮の平滑筋は、脳下垂体神経葉の
オキシトシンによって収縮
ということは、子宮の平滑筋には、オキシトシン
の受容体がある
このようなメカニズムで平滑筋は複雑な反応をお
こなう
中枢神経系での修飾
このような修飾は中枢神経系でもおこっている
特にモノアミンが重要
アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、
オクトパミン、ヒスタミン、セロトニンなど
たとえば、ノルアドレナリンは橋の青斑核に細胞
体のあるニューロンの伝達物質
中枢神経系での修飾
中枢神経系での修飾
ラット脳内のアドレナリン作動性ニューロンの走行
中枢神経系での修飾
ラット脳内のドーパミン作動性ニューロンの走行
中枢神経系での修飾例
カエルの交感神経節
節後ニューロン
3種類のEPSP
ニコチニック受容体
LHRHの受容体
ムスカリニック受容体
Late, slow EPSPはLHRHで
電気刺激に
よるEPSP
LHRHを与え
る
Late, slow EPSPはLHRHで
電気刺激によ
る反応の後で
も、LHRHのア
ンタゴニストに
よってEPSPは
抑制される
AchとLHRHの関係
動物の行動
生まれつき備わった行動(生得的行動)
学習による行動
遺伝的に決まって
いない?
高等動物だけ?
遺伝的に決まっている
神経回路が存在
ホルモンなどによる
動機付け
信号刺激により解発
生得的行動と
解発
無効
有効
信号刺激(鍵刺激)
生得的行動の解発
中枢神経系内にはプログラム発生器がある
これが鍵刺激によって解発される
生得的行動の解発
鍵刺激
鍵刺激
検出機構
プログラム
発生器
行動
鍵刺激
検出機構
プログラム
発生器
行動
生得的行動・学習による行動
生得的行動(innate behavior)
刷り込み(imprinting)
さえずりの学習(crystalization)
学習や知能によって獲得される行動
どのようなしくみ?
鍵はシナプスの可塑性
生得的行動の修飾例
Kandelによるアメフラシの行動の研究
California sea hare
アメフラシの神経系
アメフラシの行動と腹部神経節
アメフラシの行動
●アメフラシは、水管を触ると鰓を引っ込める
●繰り返し触っていると、「慣れ(habituation)」
が起こって引っ込めなくなる
●頭を叩いたり電気ショックを与えると、「慣
れ」はなくなり、再びよく反応するようになる
(「感度の強化、sensitization」)
● 「感度の強化」は、電気ショックの大きさに
より、数分から数時間続き、簡単な短期記
憶に相当する
感度の強化
「感度の強化」のとき、運動ニューロンのシナ
プス後電位は大きくなっている
感度の強化
●シナプスでの伝達物質放出量は、シナプス
前膜に流入するCaイオンによって調節されて
いる
● 「感度の強化」がおこるときには、水管から
の感覚ニューロンにシナプスを作る促通性介
在ニューロンがセロトニンを放出
●セロトニンは感覚ニューロン軸索末端上の
受容体と結合し、Gタンパク質を介してcAMP
の合成を高め、Aキナーゼを活性化し、Kイオ
ンチャンネルをリン酸化して閉状態にする
感度の強化
●そのため、静止電位に戻らなくなり、電位
依存性Caイオンチャンネルは開状態を続
け、Caイオンの流入が長く続く、伝達物質
の放出も多くなる
●そのため、、伝達物質の放出も多くなる
●チャンネルが脱リン酸化されればもとに戻る
記憶のメカニズム
このようなチャンネルの修飾が固定化され
るのが長期記憶
学習による行動の変容
哺乳類の記憶には海馬が重要
最後は少し難しくなったが、次回は感覚のお話を、、